新章です。
29話 洩矢神社
諏訪子はいつものようにこの神社の巫女である
その時大きな神力に押しつぶされるようなものを感じた。見るからに清菜も同じようにその力を感じている。
清菜は諏訪子の子孫であり、巫女でもあるため神力を感じることができる。しかし、感知はできてもその神力を扱うことはできない。神力は神が使うことができる力であるから。例外として神卸しをしたものは人間でも神力を扱うことができる。
諏訪子「清菜はここにいて!私はこの神力の源を調べてくる!」
清菜「分かりました!」
諏訪子はそのまま猛スピードで神力の源へと向かっていく。
向かっていった先には洞穴があった。その洞穴から神力が流れている。
諏訪子は洞穴に入るとより一層神力の強さが強くなったのを感じた。源に近づいている証拠だろう。
諏訪子「ここだな・・・。」
神力の源にきた諏訪子は暗くて何がそんなに神力を出すのかよく見えなかったため自身の神力を使い、明かりをともした。
すると、諏訪子自身はそんなに神力を使った覚えはないのだが異様なほど明るくなった。おそらく、今漂っている神力が諏訪子の明かりをさらに明るくしたのだろう。そのおかげで源を探しやすくなったのだが。
諏訪子は周りを見渡すとそこには銀髪の少年がいた。それもどこかで見たことのある少年だった。
とりあえず、この場に放置しておくのも忍びないので、神社に持って帰り、そこで治療することにした。
諏訪子が少年を担いだ瞬間、少年から放たれていた神力は収まり、押しつぶされる感じはなくなった。
〜少女帰宅中〜
諏訪子「清菜〜この子を拾ったから治療して」
清菜「は~い。ってその子どこから拾ったんですか?」
清菜も神力が収まったことにより、普通に過ごせるようになった。
諏訪子「神力を辿っていったら洞穴を見つけてそこでこの子を拾った。多分この子がさっきの神力を放ってたと思う。」
清菜は居間に戻り押入れの中に畳んであった布団を敷き、諏訪子は担いでいた少年を布団に下ろす。
清菜は少年の横で念を唱え始め、少年の回復に専念する。すると少年は回復していき、ほどなくして、
「うっ!」
と意識を取り戻した。
漣は自身の深層心理の中で尾獣たちと会話を行っていた。
孫悟空「オメーは自分の限界を知らねーのか?」
犀犬「そうやよ。いくらなんでもあんな力を難度も使ったらさすがに死ぬやよ。」
「流石に無理をしすぎた。すまん。でもああするしかなかったんだ。」
牛鬼「でも、俺らの力を使えばどうにかなるんじゃなかったのか?」
「いや、あいつの力はたぶんあれをやるしかなかった。それほど強力だった。
お前たちも見ただろ、残火の太刀を喰らって平気にしてたの。」
犀犬「まあそうやけど…」
九喇嘛「どうでもいいが次あの姿になるときはすぐにくたばるんじゃねぞ。人柱力として情けない。」
「痛いところつかれるな、次はすぐにくたばれないよう修行するよ。」
九喇嘛「ほら、目覚めの時間だ」
「そうだな、また時間があったら話をしよう。」
漣は眼が覚めるとそこには巫女服を着た緑髪の女性と漣と同じくらいの身長だろうか金髪で目玉のついた帽子をかぶっている少女がいた。
巫女「あっ!目が覚めましたか?」
「ここは・・・?」
少女「ここは洩矢神社。私と清菜の家でもあるんだよ。」
「あなたたちは?」
諏訪子「私は洩矢諏訪子。この緑髪の子はここの巫女の東風谷清菜。
ところで聞きたいんだけどきみ何者?そしてなんで洞穴にいたの?あと何で神力を出すことができるの?」
諏訪子という少女はその小さな体とは思えないほどの神力を放出している。
しかし、漣からするとあまり大きく感じていなかった。
「順番に話しますのでとりあえずその神力を抑えてくれませんか。」
その返答を聞くと諏訪子は放出していた神力を抑える。
「俺は矢神漣。神・・・」
漣は自身の名前を言った瞬間に諏訪子は言葉を遮った。
諏訪子「ちょっと待って。矢神漣って龍神様の子供の矢神漣!?」
「そうですけど」
諏訪子「でも矢神漣って一億年前の戦争で死んだって神たちの中では結論付けられているんだけど!」
今度は漣が言葉を遮った。
「ちょっと待ってください。今一億年って言いましたよね。」
諏訪子「そうだけど」
「それって都市の人間が月に行ってから一億年たったってことですよね?」
諏訪子「だからそういってるじゃん」
漣は頭を抱えた。
「どんだけ寝てたんだよ・・・」
諏訪子「話を戻すけど何で洞穴にいたの?」
「さあ、それは分からないです。1億年前の大戦の時に力尽きてそのまま寝てましたから。」
諏訪子「そう・・・。あと聞きたいけどその目は何?」
「目?」
諏訪子「その目、波紋に所々勾玉がある目だよ。」
「ちょっと鏡化してください!」
漣は慌てたようにいう。
諏訪子はちょっとうろたえるように「わっ、わかった。清菜、鏡持ってきて。」清菜は「はい」といいながら鏡をとりに行く。
すぐに戻ってくると清菜は漣に鏡を渡した。渡された漣は鏡で自分の顔を確認する。
諏訪子の言った通り漣の目は波紋に所々勾玉があり、薄紫の目であった。
漣はこの目をよく知っている。写輪眼の究極系の瞳術『輪廻写輪眼』である。
しかし、この目の開眼には条件があり、それは『死に直面する』ことである。
「あの時か・・・」
オリミアとの戦いで力尽きて動けない時に都市の爆発によって死に直面したことにより、輪廻写輪眼を開眼したのだろうと漣は推測した。
諏訪子「ねえ!その目何なの?」
思い更けている漣にイライラしたしたのか諏訪子は声を荒げて漣に聞く。
それに気づいたのか漣は
「あっ、この眼は・・・」
輪廻写輪眼のことを話した。
話しを聞き終えると清菜はおろか諏訪子でさえも顔を引きつっていた。
諏訪子「・・・漣はその眼を持ってどうするつもりなの?」
諏訪子は漣の間違った回答をするとこの場で始末するつもりなのだろう。先ほどの質問から神力を開放している。
「俺はどうするつもりもありませんよ。しかし・・・」
無意識のうちに神力を解放する漣。その力は先ほどの諏訪子がはなった神力よりも何倍も大きい。
諏訪子はその神力に触れて身体が強ばる。清菜に至っては過呼吸に陥りかける。
諏訪子「漣・・・、神力が漏れてる・・・。」
その言葉に気付き慌てて神力を抑える漣。
1分ほどして諏訪子も清菜も落ち着きを取り戻した。
諏訪子「・・・ふぅ、ところで漣はこの後どうするの?」
「どうするって、どういうことですか?」
諏訪子「ほら漣って洞穴で発見されたじゃん。だから家とかないと思うんだよね。そこん所どうするの?」
「あ~どうしよう・・・」
理解したのか悩む漣。
そこに
諏訪子「じゃあさ、私の神社に住まない?」
「はい?」
いきなり諏訪子の神社に住まないかと問われる漣。それもそのはず、この神社には清菜と諏訪子しかしないのだから、気が抜けるような声が出てしまう。
諏訪子「いや、だってさっきも言った通り、洞穴で見つかったから家がないじゃん。そんな中放り投げるのはさすがにどうかなと思うから。」
「ああなるほど」
納得した漣。
「じゃあよろしくお願いします。」
諏訪子「はいよ。あと口調は崩してもいいからね。というか私のほうが丁寧な言葉で話さないといけないんだけど。」
「じゃあ、これからよろしく」
諏訪子・清菜「うん!・はい!」
漣の新しい生活が始まった。
清菜の容姿は黒髪で普段の表情だと穏やかで誰が見ても美人というくらいの女性です。
なのでいつも参拝に来た人たちから告白されていますがすべて断っています。