スナイプ達の目の前にウルトラマンヒカリが現れた。
踊り場ではなく狭い階段に陣取り、行く手を阻んでいる。
「これでは必然的に一対一を強いられるな」
スナイプは偶然にも一団の先頭にいた。彼はこう言うと、ヒカリを砲撃した。
「最初に脱落するのはお前か。そうだ、いいことを教えてやるよ」
「ご託はいい。お前をぶっ潰すだけだ」
「まあ聞きなさい。こいつを破壊すれば、使えなくなったツールが再び使えるようになる」
ヒカリによって取り出された、手のひらサイズの直方体。
彼はそれをフルボトルのように揺らして、スナイプ達を挑発した。
「てめえら! 何が目的なんだ」
「邪魔者の排除だ」
スナイプに向かって、ヒカリが駆け出した。彼はスナイプの砲撃にも怯まない。
ヒカリはキック繰り出した。スナイプは左の大砲で、なんとか受け止める。
ヒカリは右腕のナイトブレスから、輝く光の剣─ナイトブレード─を伸ばした。
剣を振り下ろすヒカリ。スナイプは避けられず、もろに斬られてしまった。
「終わりだ。花家大我」
ヒカリが左腕を掲げた。ナイトブレスもエネルギーが溜まる。ヒカリば両腕を体の前で交差させた後、腕を十字に組んだ。
必殺光線─ナイトシュート─が放出される。
「俺は倒される訳にはいかねえんだよ!」
キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!
スナイプはドライバーのレバーを開閉した。全身にみなぎるエネルギーを、全砲門から放出する。
必殺技を放つスナイプとヒカリ。技の威力はヒカリに軍配が上がった。
大我は変身が解けて倒れた。
「そんな……大我!」
ポッピーの悲痛な叫びが、殺風景な空間に響き渡る。
「勝負あったな。次は誰がこうなりたい?」
ヒカリはナイトブレードを再び伸ばす。先端を黎斗神たちに向けながら、問いかけた。
「お前を切除する」
名乗りをあげたのはブレイブだった。彼は大我から、ギアデュアルβを取り上げる。
「レベル50のスナイプが敵わなかったのに、お前に勝ち目があるわけないだろ」
「俺は世界一のドクターだ」
パラドのホルダーを、ブレイブは右腰に装着する。以前パラドクスと対峙したとき、彼の落としたホルダーを回収していたのだ。
それから二本目のタドルファンタジーを起動した。
タドルファンタジー!
レッツゴーイング! キングオブファンタジー!
現れるファンタジーゲーマー。ヒカリのナイトブレードより繰り出されたビームから、ブレイブを守った。
デュアルアップ!
サタンアピアードセイ マオウ! タドルファンタジー!
ゲーマはブレイブに合体された。右腰のガシャットギアデュアルβ以外、これまでと姿は変わらない。
しかし負担は増している。ブレイブは苦しみだした。
胸を押さえてのたうち回る。目もいつもの黄色から、赤色へと変わった。
それを見逃すヒカリではない。彼はブレイブに近づくために走り出した。光の剣が振り下ろされる。
「はぁぁぁ!」
ガシャコンソードにより、ナイトブレードは真っ二つに折られた。
ブレイブはようやく、二体の魔王を制御することができた。目の色も黄色に戻る。
ドクターが持ち得る強い意思。かつてタドルレガシーを使用可能にした強い覚悟。
これらがあったからこそ、これほどの短時間で力を自分自身のものへと変えられたのだろう。
「面白い。剣士どうし、自慢の剣で決着をつけようか」
「違うな、これはメスだ」
再び伸ばされたナイトブレード。それとガシャコンソードが、何度も何度も打ち付けられる。
ヒカリは、ブレイブの喉元を突こうとした。ブレイブはその攻撃を、マントをはためかせて防ぐ。
ブレイブはマントに腕を絡めた。それがドリルのように回転する。
ブレイブのドリル攻撃が、ヒカリの脇腹を掠めた。ようやく、ヒカリに一太刀浴びせることを成し遂げる。
「即席の変身にしては上出来だ......」
ヒカリが構え直す。その目は先程までとはうって代わり、ブレイブの挙動を少しも逃さずに見ている。
ヒカリが素早く、ナイトブレードを振り払った。その早さに、ブレイブは追い付けない。刃が彼を切り裂こうとする。
そのとき、光の剣が突然消失した。さらに、ナイトブレスが粉々に砕け散る。
「その籠手はすでに破壊されていた。無免許医によってな」
「なんだと!?」
スナイプは、自分に勝ち目が無いことを悟っていた。
そのため、彼は後続に繋ぐために、ナイトブレスの破壊を画策する。
ナイトシュートとバンバンクリティカルファイアが激突したとき、スナイプの標準はナイトブレスのみに向けられていたのだ。
「剣士としては俺の負けか。だが、このエリアを死守する者として、引くわけにはいかない!」
ヒカリが右足から、回し蹴りを放つ。ブレイブは左腕の盾で、蹴りを受けきった。
ブレイブはヒカリの足を斬った。切断こそされなかったが、ヒカリはもう自力で歩くことすらできなくなった。
ヒカリは肩で息をしている。彼は膝立で、その場に座った。
「オペを完了させる」
ブレイブがドライバーのレバーを開閉した。
キメワザ! タドル! クリティカルスラッシュ!
また、腰からギアデュアルβを取り出した。ダイヤルを回し、再びホルダーにそれをしまう。身体中に紫のオーラが現れた。
キメワザ! タドル! クリティカルスラッシュ!
ガシャコンソードを2回、虚空に×を書くように斬り払う。生み出された紫の衝撃波が放たれた。
それを喰らったヒカリが元の姿に戻る。ガシャットとスイッチも壊された。
ブレイブは敵の無力化を、しっかり確かめる。安心したのもつかの間、突然彼は膝から崩れ落ちた。変身も解かれる。
見ると、ドライバーに挿していたギアデュアルβが粉々に砕け散っていた。想定外の負荷にガシャットが、耐えられなかったのだろう。
「やったー! これでガシャットが復活したよ!」
スイッチが壊されたとはいえ、始め一同は安易に信用できない。しかし、黎斗神が試しにレベル1へと変身したところ、暴走する様子は見られなかった。
「あの男の言っていたことは、本当だったのか」
嘘をつかなかったヒカリに、感心したブレイブ。彼はレガシーゲーマーになった。黎斗神も、ゲンムレベルX-0へと姿を変える。
「待たせたな」
ブレイブ達が歩いていると、彼らの後ろから足跡が聞こえた。その音を発していたのはレーザーだった。
彼は一行にようやく合流する。
「貴利矢! もうレベル0になっても平気だよ」
「了解、そんじゃ0速変身」
貴利矢は、レーザーターボスポーツゲーマーに。
なんの前触れもなく、彼がこんなことを言ってきた。
「さっきまで使えなかったガシャットやゲーマドライバーを、自分にいったん預けてくれない?」
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エグゼイドとパラドクスの前に立ち塞がる新たな刺客。その名はウルトラマンコスモス。いきなりエクリプスモードだ。
パラドクスがエグゼイドに、ここは自分が引き受ける旨を伝える。彼はエナジーアイテム・暗黒を使った。
コスモスは上へと続く唯一の通路を死守している。彼は視界を奪われたこともあり、エグゼイドのパンチを胸に喰らった。
コスモスがよろけている隙に、エグゼイドがさらに上へと登っていく。
「俺と遊ぼうぜ」
「お前が消滅すれば、エグゼイドの息の根も止まる」
「それは俺を倒してから言ってみろよ」
パラドクスが、ガシャコンパラブレイガンを撃ち放った。
弾はコスモスにすべて命中する。致命傷には至らないものの、幸先のいいスタートをきることができた。
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ブレイブ、スナイプ、ポッピー、レーザー、ゲンムが一列に並んで、狭い階段を登っている。
レーザーに預けられたツール類は、いずれもすぐに返された。そのため、今はみんな最強形態だ。
突然、階段に大穴が開いた。前にいたブレイブ、スナイプ、ポッピーは助かる。しかし、その中にレーザーとゲンムが落ちてしまった。
鈍い音と共に、二人は地面に激突する。レーザーは上に乗っていたゲンムをどかすと、辺りを見回し始めた。
しかし、暗いため何も見えない。
二人にはかすかに、ポッピーの声が聞こえた。
「大丈夫!? 黎斗! 貴利矢!」
「自分達はなんともない! 先に行ってくれ!」
「うん。気を付けてね!」
「なんも見えねぇなて随分下まで来ちまったみたいだ」
「何かがいるぞ……」
暗闇に目が馴れてきた黎斗が、人影のようなものを発見する。
「引っ掛かった。お前らはここで終わりだ」
穴を作り、ここに引きずりおとしたのはタロウだった。彼は不意打ちを仕掛けるつもりだったが、ゲンムに気配を気づかれてしまう。
そのため、正面から仕留める作戦に切り替えた。
「行くぜ! 神」
「よくいった」
「はっ! ちょろいな」
ギンガ× マックス× ヒカリ× コスモス○
タロウ○ ????○ ???○ ??○