仮面ライダーエグゼイド ウルトラガシャット   作:ぽかんむ

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第7話 Reflecterと最上級

 その頃、エグゼイドはひたすら階段を走って、登っていた。

 回りは一面、剥き出しのコンクリート。階段は12段ごとに折り返すようになっていた。そのため彼はその度に、敵が潜んでいないかどうか、神経をすり減らす。

 途中、何度か踊り場もあった。彼は時折、そこになにかがいる気配を感じていたが、敵は現れない。

 今までよりも広い踊り場に、エグゼイドは辿り着いた。そこであるものを発見する。

 

 

「お前はこの前の!」

 

 

 そこに待ち受けていたのはギンガた。待ち受けるといっても、威風堂々に佇んでいたわけではない。

彼は奥の冷たい階段に、ちょこんと座っていた。

 

 

「うわっ!? またでた!」

 

「道を開けな。そうすれば、痛い目を見なくてすむぜ」

 

「逃げない! 怖いけど……僕は戦う!」

 

 

 声高らかにギンガが宣言した。しかし言葉とは裏腹に、その足下は震えている。

 エグゼイドは一瞬でギンガとの間合いを詰め、パンチを繰り出す。その結果、エグゼイドは吹っ飛ばされた。彼は勢いそのままに、壁にのめり込む。

 

 

「あれあれ? どうしたの?」

 

「どういうことだ?」

 

 

 エグゼイドは壁を壊して脱出した。

 ガシャコンキースラッシャーを召喚すると、スロットにマキシマムマイティXを挿し込む。

 

 

キメワザ! マキシマムマイティー! クリティカルフィニッシュ!

 

 

「リプログラミングしてやるぜ」

 

 

 キースラッシャーから光線が放たれる。それがギンガに直撃した。そしてエグゼイドがダメージを受ける。

 

 

「なんで?」

 

「これで僕の勝ちが確定した」

 

 

 ギンガはエグゼイドに近づくと、回し蹴りを仕掛けた。まるでリンボーダンスのように、エグゼイドはかわす。

 天井まで飛び上がったギンガ。彼のクリスタルが青く発光を始める。ギンガが腕をL字に組むと、ギンガクロスシュートが発射された。

 撃たれたエグゼイドは傷つき、その場に座り込む。

 

 

「ハイパームテキ攻略にあたって、一番ネックになったこと。それが"どんな攻撃も効かない"ことだった。そこで僕は考えた。それをリプログラミングすれば良いと」

 

「そういうことか……でもそんな能力があるのならば、あのときに倒せば良かったんじゃないのか?」

 

「確かにそれも出来た。だけど、どうしてもここに来て欲しかったんだ。仲間と一緒にね」

 

「まさか、何か罠でもあるのか!?」

 

「そこから先は自分で見つけな。天才ゲーマーさん」

 

 

 エグゼイドが今、疑問に思っていることは二つ。

 何故最初に出会ったときに戦わなかったのか。どうやって攻撃を反射させているのか。

 しかし、その謎を落ち着いて解く時間は与えられない。

 ギンガの徒手空拳での攻撃をいなしながら、エグゼイドは思考を巡らす。

 そのとき、パラドクスが現れた。彼はギンガの拳を、エグゼイドの代わりに受ける。

 

 

「大丈夫か? らしくねぇぜ、永夢」

 

「パラド……」

 

 

 エグゼイドとブレイブ達の距離は、大きく離れていた。だが、パラドクスは永夢に感染するバグスター。エグゼイドの身体を乗っとる要領で、今のような登場を可能にした。

 

 

「そういうことか! わかったぞ、お前の攻略法が!」

 

 

 突破手段を閃くエグゼイド。彼はパラドクスのゲーマドライバーから、ガシャットギアデュアルを奪った。

 そしてそれを、ガシャコンキースラッシャーに差し込む。

 

 

キメワザ! パズルファイター! クリティカルフィニッシュ!

 

 

「やめろ!」

 

 

 ギンガが明らかに困り果てている。足下はガタガタと震え、腰も曲がっている。

 そんなギンガ目掛けて、エグゼイドは走り出す。その刀身で敵を斬り捨てた。

 エグゼイドもいくらかのダメージを負ったが、ギンガのダメージ量はそれ以上。男は元の姿に戻され、彼のガシャットも壊された。

 

 

「お前の跳ね返せる攻撃は一種類のみ。つまり、二種類以上の異なる攻撃を同時に与えれば、お前は完全には跳ね返しきれない!」

 

「見事だ……」

 

 

 ギンガに変身していた男は、それを最後に目を閉じた。気を失い、全身の力が抜けた。

 

 

「なるほど……だからこいつはあのとき、俺とのバトルを恐れたのか」

 

「あぁ。かなり一か八かの賭けだったけどな。ところでパラド、皆は無事か?」

 

「ゲンムが使い物にならなくなった」

 

「えっ!?」

 

「操られた原因は一部のガシャットにあるみたいなんだ。タドルレガシーと二本目の爆走バイク、ゲンムのドライバーは使えない」

 

「そんな……それじゃあ、さっさと俺たちでクリアしてやるぜ!」

 

 

 一方、こちらはブレイブ達。彼らも一向に景色の変わらない階段を、ひたすら登っていた。

 現在、彼らは一部のガシャットが使えない。そのため、ブレイブはレベル50、レーザーはレベル3、黎斗神に至っては生身だ。

 ここに乗り込む前、彼らは二人一組で行動するとこを決めていた。ところが、ガシャットに制限がかかったため、戦力的に不安はペアが現れる。

 そのため、パラドは永夢と一緒に行動させ、残りは全員で固まることになった。

 

 

「自分だけレベル低くない? ねえ、低いよね」

 

「私は変身すらできないんだぞ!」

 

「仕方ないでしょ。黎斗はどのガシャットを試しても暴れちゃうんだから! ゲーマドライバーが原因としか思えないよ」

 

「監察医、これを使うか? 今よりは多少ましになるだろう」

 

 

 ブレイブはレーザーに、ドラゴナイトハンターZを手渡した。

 

 

「これ使って暴走しない?」

 

 

 貴利矢がフルドラゴンを見たのは、永夢が使った時のみ。その後は消滅してしまっていた。復活後にはもはや誰も使っていない。

 そのため貴利矢にとって、ドラゴナイトハンターZを一人で扱うということは、見境もなく暴れまわる危険性を考えずにはいられなかった。

 

 

「嫌なら返せ」

 

「使う! 使うから! 5速!」

 

 

ガシャット! レベルアップ! バクソウドクソウゲキソウボウソウバクソウバイク! アガッチャ! ドドドラゴナーナナナー! ドラドラドラゴナイトハンターゼット!

 

 

「案外良い乗り心地じゃん」

 

 

 その後も階段をひたすらに登り続けていた一行。

 数十分が経った頃、新たな敵が彼等の視界に入り込んだ。

 

 

「来たか仮面ライダーども」

 

 

 踊り場に待ち受けていたのはウルトラマンマックス。

 最強最速の戦士の力が宿ったガシャットによって、変身した姿だ。

 

 

「ここは自分が引き受ける。試し乗りも兼ねて、こいつは自分が倒す」

 

「いいだろう。他の奴等は先に行け」

 

 

 マックスが道を開ける。ブレイブ達は、罠があるかもしれないと疑ったが、そんなものはなかった。レーザーを除いた一行は、そのエリアを楽に突破する。

 

 

「永夢はここを通らなかったのか?」

 

「エグゼイド攻略には他に適任がいる。だから彼に任せて、俺は隠れていた」

 

「なるほど。つまり確実に戦力を減らすために、仲間は先にいかせたってこと?」

 

「そういうことだ。さあ、そろそろ始めよう」

 

 

 その瞬間、レーザーの視界からマックスが消えた。

 レーザーはあちこちと、辺りを見回す。右後方から気配を感じた彼は、そこに向かって、ドラゴンの脚で蹴りこんだ。

 しかしそれは残像だった。

 

 

「なに!? 本体はどこだ?」

 

 

 レーザーは辺り一面にドラゴンガンを連射し始めた。一見すると宛もなくやっているように見えるが、敵の動きに見当をつけるという意味では、効果的だ。

 マックスはレーザーの首下を目掛けて、飛び蹴りを放つ。彼はドラゴンブレードでそれに応戦した。二つの攻撃は正面衝突する。

 速度と破壊力はマックスが上回る。レーザーは吹き飛ばされた。

 

 

「何て強さだ」

 

「レベル5で挑むのは悪手だったな」

 

「それならこれだ!」

 

 

ブンシン!

 

 

 レーザーがエナジーアイテム・分身を使用する。彼の体は八人に増えた。

 レーザーは数で対抗しようと考えたのだ。ところがマックスも分身し、同じ数になる。

 一対一で勝てないのだから、それは八対八でも同じこと。分身はすべて、あっけなくやられてしまった。

 

 

「これで終わりだ」

 

 

 マックスの下にマックスギャラクシーが飛んで来た。色は黄色で、姿は鳥のようである。圧倒的な攻撃力を持ち、遠距離も近距離も可能な万能武器だ

 レーザーは咄嗟に、混乱のエナジーアイテムを投げつけた。

 

 

「そんなの当たらねえよ」

 

「目的はあんたじゃない。その武器だ」

 

 

 マックスギャラクシーはアイテムの効果を受けた。ふらふらと、酔っぱらいのような動きをしている。

 マックスはエリア内のエナジーアイテムを眺めた。あったのは透明化、高速化、ジャンプ強化、暗闇。

 いずれもマックスの武器を、レーザーが奪うために使えそうなものばかり。

 レーザーは高速化を使った。彼は猛スピードで、マックスギャラクシーとの距離を詰めていく。盗られるのを防ぐため、マックスは間に割って入った。

 

 

キメワザ! ドラゴナイト! クリティカルストライク!

 

 

 レーザーは思いっきり、マックスを蹴り飛ばした。

 

 

「なんだと!?」

 

 

 マックスのガシャットが破壊され、人間の姿に戻る。

 

 

「あれ? のせられちゃった?」

 

「くっ……なるほど。マックスギャラクシーを奪おうとしていると俺に勘違いさせ、がら空きの俺を倒したのか」

 

「そういうこと。じゃあね」


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