仮面ライダーエグゼイド ウルトラガシャット   作:ぽかんむ

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第6話 洗われたbrain

 監視カメラ越しに、白スーツの二人は一連の流れを見ている。

 仮面ライダー達の声は彼らに聞こえているが、彼らの声は仮面ライダーには聞こえない。

 

 

『おい! 早く兵を出せ! 奴等がすぐそこまで来てんぞ!』

 

『安心しろ。手は打ってある』

 

 

 小太りの男が、胸ポケットから直方体を取り出した。大きさは10cmほどで、青く塗装されている。つまんでONとOFFを切り替えるスイッチが、取り付けられていた。

 

 

『なんだそれは?』

 

『これを作動させると、私が改造したバグスターウイルスが活性化される』

 

『改造バグスターウイルス? それを使うとどうなるんだ?』

 

『まあ見ていろ』

 

 

 変身を完了させた一同。突然ブレイブが、スナイプに斬りかかった。

 ゲンムとレーザーターボも、見境をなくして暴れ始める。

 

 

『そういうことか。財団X製のタドルレガシー、二本目の爆走バイクには例の改造バグスターウイルスがつまっていたのか』

 

 

 事実を唯一知っていた檀正宗が死亡したために、あやふやになっていた二本のガシャットの出所。

 なんとそれらは、財団Xが正宗に提供した物だったのだ。

 なぜ彼らが、ガシャット開発のノウハウを手に入れられたのか。その答えは過去に幻夢コーポレーションから盗まれた"ナイトオブサファリ"にある。

 彼らはこのガシャットを徹底的に分析した。その結果、外側を作る技術を得ることは出来た。

 しかし、ガシャットの肝となる要素。つまり、中のデータを一から作ることは出来なかったのだ。

 タドルレガシーと爆走バイクはそれぞれ、タドルファンタジーや一本目の爆走バイクのデータを、改造して作られた。

 ウルトラガシャットはデータとして、ウルトラフュージョンカードが使われている。

 数ヵ月前に事件を起こしたあの少年。彼に与えられた任務は、ガシャットとウルトラフュージョンカードを奪うことだったのだ。

 

 

『いつか、こんなこともあるかもと思ってな』

 

『ゲンムはどうしてだ?』

 

『忘れたか? 少し前に、奴のドライバーに細工を施しただろ』

 

『あのガキにウルトラマンのデータを盗ませたときのことか!』

 

 

──────────

 

 

「なんだ!?」

 

 

 思いがけない事態が起こったことに、頭の整理が追い付かないエグゼイド。

 そんなエグゼイドに、冷静さを取り戻させたのはスナイプ、ポッピー、パラドクスだった。

 自我を失ったブレイブ達をおとなしくさせるため、その三人がこの場に残る。彼らはエグゼイドに、先に行くよう伝えた。

 エグゼイドはその場を仲間達に任せると、敵のアジトへ乗り込む。

 

 

「ブレイブ! お前がなぜ操られているのか、俺にはわからない。だがそんなもの断ち斬れ!」

 

 

 スナイプが説得を試みる。しかしブレイブはまったく反応しない。

 ブレイブの斬撃を、避けたり両手の砲台で受けるスナイプ。

 彼は必死に訴えるが、効果はなかった。

 スナイプは、ブレイブを倒す覚悟を決める。彼はすべての砲台から、光線を発射した。それらは的確に、ブレイブの身体に命中する。

 しかし、ブレイブは無傷だ。ブレイブが接近してくる。それを防ぐ手段を、スナイプは持ち合わせていない。

 ブレイブの斬撃が、スナイプを襲う。ガシャコンソードによって、投げ飛ばされたスナイプ。変身も解除されてしまった。

 

 

「レベル差がありすぎる……それならば」

 

 

 大我は白衣のポケットから、二本のガシャットを取り出す。それらは仮面ライダークロニクルだった。

 以前ゲムデウスクロノスと戦ったとき、大我はクロノスの力を使いこなせず、敗北してしまった。

 それ以来彼は、クロノスの抗体を手に入れるため、何度もそのガシャットを起動している。しかしまだ、抗体の獲得には至っていない。

 

 

「スナイプ! それを使うのはやめとけ」

 

「そのガシャットは危ないよ!」

 

 

 パラドクスとポッピーは、大我に注意を促す。

 

 

「黙れ。お前達は目の前の敵だけを見ていやがれ」

 

 

 だが、大我は聞き入れない。彼は銃を構えるように、ガシャットを構えた。起動し、ゲーマドライバーに挿し込み、レバーを開く。

 

 

「変身」

 

 

ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! ライダークロニクル アガッチャ テンヲツカメライダー! キザメクロニクル! イマコソトキハキワマレリ!

 

 

 大我は仮面ライダークロノスに変身した。ゲーマドライバーでの変身のため、ポーズを使うことはできない。それから身体にかかる負担も大きい。

 しかし大我がブレイブを倒す術は、もはやこれしか残っていなかった。

 クロノスは二振りの剣─ガシャコンブレイカーとガシャコンソード─を召喚した。二刀流を巧みに操り、ブレイブと互角に渡り合う。

 互いの得物が、火花を散らしてぶつかった。衝撃の余波で二人の身体が吹き飛ぶ。

 間合いが空いた隙に、彼らはベルトからガシャットを抜いた。

 

 

ライダークリティカルフィニッシュ! ライダークリティカルフィニッシュ!

 

 

 ブレイカーとソードにクロニクルガシャットが装填される。

 

 

タドルクリティカルフィニッシュ!

 

 

ブレイブも必殺技を発動した。

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 クロノスはジャンプして、二本の剣を振り下ろす。ブレイブは、それの接近をギリギリまで待った。左から右へと剣を横に振るう。

 背中合わせに、向かい合う両者。数秒の沈黙のあと、クロノスはその場に倒れる。

 その手にはタドルレガシーと、ドライバーが握られていた。

 

 

「俺はなにを?」

 

 

 変身が解け、飛彩は正気に戻った。彼が振り向く。そこには安堵の表情を浮かべた大我が、白衣に手を突っ込んでいた。

 大我は飛彩に、次のことを話した。飛彩が操られていたこと。しばらくの間、タドルレガシーを使わないこと。

 大我の活躍によって、ポッピーとパラドクスも攻略の鍵を掴む。二人も彼と同じ方法を使った。

 それによって、貴利矢と黎斗神を元に戻すことにも成功した。


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