第4話 Xの謎を追え
数ヶ月が過ぎた。
世間ではその間、幻夢コーポレーションに社長が帰ってきたり、新社長が就任したり、仮面ライダークロニクルが発売されたり、初代の社長が戻ってきたり、パンデミックが起こったりしていた。
「ようやくだ……」
薄暗い部屋。その中で、二人の男が机の前に立っていた。一人はやせ形、もう一人はやや太り気味だ。
身長はほぼ同じで、お揃いの白いスーツを着ている。
机の上には、沢山のガシャットが乱雑に置かれていた。
「これがウルトラマンガシャットか。なんと素晴らしい出来映えなんだ」
痩せている方が感想を漏らした。太り気味の男は、それに同意するようにうなずく。
痩せ形の男が机にジュラルミンケースを置く。彼がそれを開くと、太り気味の男がガシャットを、その中に入れ始めた。
その作業が終わると太り気味の男は、ケースを閉めて鍵をかける。
ケースを持ち上げた痩せ形の男。そして二人は、部屋をあとにした。
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それからさらに数日が経過する。バグスター出現の通報を受け、永夢はとある公園にやって来ていた。
だがそこにバグスターはいない。代わりにいたのは、特徴的な白いスーツを着た男だ。
「待っていたよ。君は宝生永夢君だね?」
「そうですけど……通報したのはあなたですか?」
「そうだ。君を……いや、仮面ライダーを呼ぶためにね」
男は胸ポケットから、ガシャットを取り出した。スイッチを押して起動させる。
ウルトラマンギンガ!
ベルトを使わずに、ライドプレイヤーのように男の姿が変わった。
その容姿は、ウルトラマンギンガそのものになっている。唯一違うところは身長のみ。
永夢はその姿にどこか見覚えがあった。しかしそれを思い出すのはもう少しあとになる。
マイティーアクションエックス!
「大変身!」
ガシャット! レベルアップ! マイティーアクションエックス!
走って間合いを詰める、エグゼイドとギンガ。二人が回し蹴りを放つ。
お互いのキックが、それぞれの足に当たった。
エグゼイドはガシャコンブレイカー(ハンマー)を手にする。ギンガの顔面目掛けて、それを振り下ろした。
ギンガはその攻撃を、両手を交差させて防ぐ。
「やるね」
「何が目的なんだ?」
「邪魔な仮面ライダーを排除する。それが僕に与えられた任務」
そのとき、エグゼイドの身体からパラドが現れた。
彼はギンガをタックルで投げ飛ばす。
「何! どうして他の仲間が!? まさかバレていたのか!」
ギンガは突然パニックに陥る。彼は今までの振る舞いとは正反対に、やかましく騒ぎ始めた。
「もう終わりだ! 殺されちゃうよ! 財団Xももうおしまいだ!」
「どうしてパラドもいるんだよ!? エグゼイドだけならともかく、パラドクスまでは無理だよ!」
男は元の姿に戻る。それから彼は悲鳴をあげ、一目散に逃げていった。
「しらけることすんなよ……」
「財団X?」
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永夢はCRに戻る。彼はポッピーと飛彩に、行き先で起こったことについて話した。
その後永夢は"財団X"について二人に聞く。しかし求める答えは返ってこなかった。
「財団X……聞いたことがある」
ゲームの中から聞いていた黎斗神が、その事について話し始めた。
なんでも財団Xは、檀正宗が幻夢コーポレーションを起業したとき、莫大な資金提供を行ったらしい。
財団Xはこのときには既に先のこと─仮面ライダークロニクル─を予測していたのかもしれない。
彼はそういった推測も交えつつ、財団Xについて自分の知っていることを語った。
「それにしても意外ね。いつもの黎斗なら『私の許可なくガシャットを生み出すことは許さない!』って怒るのに」
「温情などはないが、あそこには利用価値がある。私が消滅されたあとにも幻夢コーポレーションが維持できたのは、財団Xが裏で働きかけていたかららしい」
「奴等は私を掌で転がしているつもりなのだろうが、それは違う! 奴等はすべて、私のこの手の上で転がされていたんだよ!」
貴利矢は黎斗神を無視して、疑問に思ったことと、気づいたことを喋り始める。
「相手の目的がさっぱり見えねぇな。一つ言えるとすれば、財団Xについて自分達に知らせる必要があったということくらいかな」
「どういうことだ? 監察医。組織の名称を口にしたのは、冷静さを欠いていただけではないのか?」
「そうだよ! 例えば永夢だけなら倒せたけど、パラドもいたから諦めたーとか」
「どうだろーな。財団Xのネットワークはとてつもなく凄まじい。だからパラドのことを知らないとは考えにくい。仮にそうだったとしても、ハイパームテキのことまで知らないのはあり得ないしな」
敵の行動の意図がさっぱり読めず、困り果ててしまうドクター達、看護師、ゲームクリエイター。
それを書き消すように、緊急通報の電話が鳴り響いた。明日那がそれに出る。
「はい、こちら電脳救命センターです。……わかりました」
「永夢! 飛彩! バグスターが!」
二人と明日那は現場に急行する。そこで暴れていたのは、一体のウルトラマンだった。
身長は一般人と変わらないが、強大な力で町の破壊にいそしんでいる。
「来たか。仮面ライダー」
そこにいたのはタロウ。
赤い身体と頭の二本の角が特徴的だ。