仮面ライダーエグゼイド ウルトラガシャット   作:ぽかんむ

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完結編
第15話 Visitorは異次元から


 財団Xとの戦いから一週間が経つ。

 通報を受け、大我とニコは山奥にやって来ていた。そこには患者と、分離したバグスター─リボルバグスター─の姿が。

 大我はスナイプシミュレーションゲーマーレベル50に変身した。遠距離から高火力な砲撃を繰り返して、敵を圧倒する。

 

 

キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!

 

 

「はぁぁぁ!!」

 

 

 すべての砲門から繰り出される強烈な一撃。リボルがやられ、患者の容態も良くなる。

 

 

「やったね!」

 

「掴むな!」

 

 

 大我が変身を解除、彼らはそのまま帰ろうとする。そのとき、大我にとって見覚えのある少年が、二人の行く手を阻んだ。

 

 

「久しぶり。覚えてる?」

 

「お前はあのときの奴か? てっきりゲンムの野郎に殺されたとばかり」

 

「あの程度じゃ死ねないね。もっとも、しばらくは気を失ってたけどさ」

 

「俺に何の用がある?」

 

「お前たちを人質にする」

 

 

 少年がニコ目掛けて走り出した。大我は変身すると、それを防ごうとする。

 

 

「邪魔だよ。はぁ!」

 

 

 少年は走って近づくと、スナイプにパンチ。スナイプが両腕で受け止める。

 スナイプは首の横の四門から、ビームを放った。少年はそれを、後ろに何度もバク転することで避ける。

 

 

「ただの人間じゃねぇようだな」

 

 

キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!

 

 

 ゲーマドライバーのレバーは一度閉められ、再び開かれた。スナイプが一斉砲火を繰り出す。少年はまともに喰らった。

 

 

「ミッションコンプリート」

 

「本当にそうかな?」

 

 

 少年は刹那でスナイプの真ん前に。それから、右手を彼に添えた。

 至近距離から、光線が撃ち出される。スナイプは木々を薙ぎ倒し、岩を粉砕しながら、遥か遠くまで飛ばされた。

 少年は、怯えるニコを強引に連れ去る。

 

 

「何者なんだ……奴は……」

 

 

 変身のとけた大我。彼は弱りながらも、少年を追いかける。自分の注意不足に対する憤りに、思考を乗っ取られながら。

 

 

────────────

 

 

 CRにて、貴利矢と黎斗神が話している。永夢は静養中、飛彩は手術、明日那は永夢や他の患者の看病のため、パラドは永夢に頼まれた仕事を果たすために不在。なので今ここには二人しかいない。

 

 

「あの男の発言が気になるよな」

 

「すべて壊すまで私の戦いは終わらない」

 

「その必要はないぜ」  

 

 

 黒い革のコートと、黒い帽子を身に纏う男が入ってきた。肩には中身のつまった、大きい袋がかけられている。

 

 

「部外者が勝手に来るな。それにあんた誰?」

 

「彼の名はクレナイガイ。昨日の話で少し出てきた、ウルトラマンオーブの正体だ」

 

 

 初見の貴利矢に説明する黎斗神。彼が促すと、ガイは話を続けた。

 

 

「ガシャットとやらはすべてここにある」

 

 

 ガイは肩に背負っていた袋を降ろした。次に袋の口を広げて、中が良く見えるようにする。確かに、大量のガシャットが乱雑にしまわれていた。

 

 

「本物にしか見えねぇな。嘘はついてないみたいだな」

 

 

 貴利矢は、手当たり次第に取ったガシャットを眺める。ウルトラマンの力が内包されており、幻夢製に勝るとも劣らない性能を持つ。

 

 

「お互いに情報交換といかないか?」

 

 

 貴利矢が提案する。そこでガイは初めて、ウルトラガシャットを作ったのは財団Xであること、その組織の基地はすでに永夢達によって壊滅させられたことを知った。

 

 

「次はあんたの番だな」

 

 

 ガイは、自分がここに来るまでの経緯を語る。ブルトンやキングジョーなどの固有名詞について、いちいち質問しながらそれを聞く貴利矢。

 

 

「なるほどね。にわかには信じがたいが、嘘ではないみたいだな」

 

「嘘をつくのは君だけだ。九条貴利矢」

 

「そんなことよりも早くガシャットを調べろ」

 

「もうやっている!」

 

 

 黎斗神はすでにガシャットの分析を始めていた。すると彼はとあることを突き止める。

 

 

「九条貴利矢、適当なガシャットをハンマーかなにかで壊してくれ」

 

 

 そうは言われても、病院にハンマーなど普通はない。そこで彼は、ガシャコンバグヴァイザーⅡのチェーンソーモードでの破壊を試みた。

 外側を切ると、中からカードのようなものが見えてくる。もちろんそれはガイのカードだ。

 

 

「わざわざパソコンを立ち上げるほどのものじゃない。それはただの手抜き! 所詮人は神にかなわ......」

 

 

 貴利矢は、持っていたバグヴァイザーⅡの中に、黎斗神を吸収。

 CRの日常は、ガイをひどく驚かせる。

 

 

「ガイ、そういうわけで。あんたはカードの取り出し作業を続けてくれ」

 

「貴利矢はどこに行くんだ?」

 

「自分に出来ることをしに行く。じゃあな! しばらく待っててくれ」

 

 

 言い終わると、貴利矢の姿が消えた。バグスター特有のワープによるものだ。とはいえ一瞬でどこまでも行けるわけではない。

 彼は外に出ると、ゲーマドライバーを巻き、キメワザスロットホルダーに爆走バイクを差し込んだ。

現れたバイクゲーマに乗って、彼はどこかへ走っていく。

 

 

「誰だお前は?」

 

「部外者の方は退出願います」

 

 

 ガイが作業を続けている途中、飛彩と明日那が入ってくる。弁明するガイだが、追い出されそうになる。

 だが、黎斗神のフォローもあってそれは防がれた。

そのあとに彼は、事の経緯を二人にも説明する。

 

 

「この度の協力、心から御礼申し上げます」

 

 

 かしこまる飛彩。普段は尊大な態度を取る彼だが、礼儀を知らないわけではない。使う相手が少ないだけだ。

 

 

「それにしても、貴利矢は何をしに行ったのかな?」

 

 

 鏡灰馬がやって来る。彼は三人に、あることを伝える。

 

 

「近くで花家君がバグスターらしき人物と戦っている。飛彩、助けてやってくれないか?」

 

「無免許医が!? わかったすぐに行く!」

 

「俺も行く。お前達の戦力になれるはずだ」

 

「私も行くね!」

 

 

 三人が病院の外へ出る。

 スナイプレベル50と、ニコを掴む子どもが戦っていた。優勢なのは少年。先程の疲労も残るスナイプはもうヘロヘロだ。

 

 

「ニコちゃんを離しなさい!」

 

 

 明日那が怒る。すると少年がこう切り返す。

 

 

「条件を飲んでくれれば、こいつはすぐに返すよ」

 

「条件……?」

 

「それは君が一番よく知ってるんじゃないか? ガイ。ガシャットを渡せ!」

 

 

 オーブに敗北を喫して以来、ずっとガイを付け狙っていたガラ。彼をここまで駆り立てたのは、他でもないウルトラガシャットだ。

 だが、不正なそれはすでに破壊済み。

 

 

「ガシャットは院内にて厳重に管理されてある。取りに行くからそこで待っていろ! 花家先生も来てください」

 

 

 バグヴァイザーの中から、黎斗神がそう伝える。ガラはそれを承諾した。明日那とガイと大我は一度CRに向かう。

 飛彩が、敵をしばし見張る役目を負った。しばらくの間、ガラを見続けていた飛彩。やがて彼は口を開く。

 

 

「何が目的だ?」

 

「カードをガシャットに改造して出力を上げ、それを吸収して最強の存在になるためだ」

 

「最強の存在となった先にあるものはなんだ?」

 

「全時空を支配する。すべての反対勢力をぶちのめしてな!」

 

「力での統治は長くもたない」

 

「それはそいつらが弱かっただけだ。同じ轍は踏まん!」

 

「説得の余地は残されていないか。お前と財団Xの関係はなんだ? 一団員とは思えないが」

 

「ウルトラフュージョンカードの情報や実物を貸し与えることを条件に、奴等にガシャットを作らせるという協定を結んだだけだ。仲間ではない」

 

「もっとも、奴等は隙あれば俺を殺そうとしていたらしいがな。ところでエグゼイドの姿が見えないな」

 

「研修医は……お前を切除するのに研修医では役不足だ!」

 

 

 飛彩は、永夢が負傷中であることを隠しつつ、このように言い切った。これ以上永夢に負担をかけられないと、躍起になっている。

 

 

「たいした自信だな。まずはそれを折るか」

 

 

 そこに三人が戻ってくる。彼らはいずれもドライバーを巻いており、片手にはガシャットも握られていた。

 大我の右手には、白い大きな袋が掴まれている。

 

 

「来たか」

 

 

 ニコにはガシャコンマグナムの銃口が向けられている。財団Xと戦ったあと、ガシャットはニコが持っていたままだったのだ。

 大我はガシャットの入った袋を高く上げる。交渉の意思があることを知らせるためだ。

 

 

「先に彼女の身柄を返せ」

 

 

 飛彩はニコの身の安全を第一に考え、このようにしらせる。ガラはその要求を受け入れたのか、ニコを解放した。彼女はそのまま、大我のもとに駆け出す。

 もっとも彼女は変わらずに、標準を向けられ続けているが。

 

 

「さあ、次はガシャットだ。速やかに返してもらおうか」

 

 

 大我は袋を片手に、一歩ずつゆっくり歩む。ガラとの距離が極めて近づくと、彼は押し付けるようにそれを渡した。

 偽物でないか中身を覗くガラ。パッと見た感じでは、怪しい箇所は見受けられない。

 彼がガシャットのスイッチを押す。すると突然、彼の手の中でそれが爆発した。

 さらに袋の中の他のガシャットも、続々と誘爆していく。

 

 

「やはり偽物か……だがこんなもので俺を倒せるとでも?」

 

「その爆弾はてめぇをぶっ潰すためのものじゃねえ。ニコを逃がすための時間稼ぎだ!」

 

 

 ガラがふと目をやる。ニコはすでに視界から外れていた。彼女は無事、聖都大学附属病院内へと逃げることに成功する。

 ドクターたちは犠牲を出すことなく、ガラを出し抜くことができた。

 

 

「許さんぞ!」

 

 

 怒りに満ちたガラが、銃をぶっぱなす。ライダー達は各々、ガシャットを起動した。その際に現れるタイトルによって、弾丸を防ぐ。

 

 

「「「変身!」」」

 

 

ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! タドルレキシ メザメルキシ タドールレガシ!

 

レベルアップ! マイティジャンプ! マイティキック! マーイティアクショーン アガッチャ デンジャ デンジャ デスザクライシス デンジャラスゾンビ!

 

バグルアップ! ドリーミングガール! コイノシミュレーション オトメハイツーモ トキメキクライシス!

 

デュアルアップ! スクランブルダ シュツゲキハッシン バンバンシミュレーション ハッシン!

 

 

 ガラが本来の姿を露にしたのだ。仮面ライダー達とオーブオリジンも、変身を完了させる。

 仮面ライダー達では体格の差があるため、まともな勝負にならない。

 そのため彼らは、オーブの援護に切り換える。巨大化のエナジーアイテムがあれば良いのだが、それを探す時間を、敵は与えてくれないだろう。

 

 

「オーブ! 受けとれ!」

 

 

 レーザーターボコンバットバイクゲーマーが、飛んで駆け付ける。彼はオーブに、七枚のカードを投げ渡した。

 

 

「それは財団Xアジトの跡地から見つけたやつだ! 使え!」

 

 

 オーブがうなずく。中のガイは、早速そのカードを手に取った。オーブリングにかざす。

 

 

「タロウさん。メビウスさん。熱いやつ、頼みます!」

 

 

フュージョンアップ! ウルトラマンオーブ バーンマイト

 

 

 紅に燃える戦士・オーブバーンマイト。彼の飛び蹴りが、ガラの首に当たる。

 オーブは次に、目にも止まらぬ速さで腹を何度も殴った。

 怯むガラ。オーブは全身を発火させた。敵に抱きついた途端に爆発する。

 彼の必殺技である"ストビュームダイナマイト"が綺麗に決まった。

 ブレイブは無数の光の剣を飛ばし、スナイプとレーザーは砲撃、ポッピーはガシャコンバクヴァイザーⅡビームガンモードで撃ち、オーブを援護する。

 ガラが飛び立った。オーブに光弾を連射する。ガラは腕を前にして突っ込み、オーブを吹っ飛ばした。

 

 

「ストビュームバースト!」

 

 

 オーブはガラに、巨大な火の玉をぶつける。だがそれは、簡単に左腕で振り払われた。

 ガイは別の形態になるため、新たなカードをリロードする。

 

 

「ギンガさん。エックスさん。ビクトリーさん」

 

 

トリニティーフュージョン!

 

 

「三つの光の力、お借りします!」

 

 

オーブトリニティー!

 

 

 オーブトリニティーにフュージョンアップした。これまでよりも出力が上がり、より強力になる。

 彼は右肩からオーブスラッシャーを取り外した。ガラに斬りかかる。

 

 

「こいつは厄介だ……こうなったら!」

 

 

 ガラが勢いよく、その場でジャンプした。地震のような揺れがライダー達を襲う。

 ガラはオーブの斬撃をいなしながら、地面に右手を這わせる。

 彼の手は、あるライダーを掴んだ。

 

 

「トリニティウム光……」

 

「待て、こいつが握り潰されてもいいのか?」

 

 

 ガラの右手にはポッピーが。再び人質をとられてしまう。一同はむやみに攻撃できない。




次回最終回(予定)です

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