「今のうちにとどめを刺すぞ」
スナイプが呼び掛けると、四人は必殺技の準備を始めた。
マキシマムガシャット! キメワザ! マキシマムマイティ! クリティカルフィニッシュ!
キメワザ! タドル! クリティカルフィニッシュ!
バンバン! クリティカルファイア!
クリティカルクルセイド!
ガシャコンキースラッシャーから放たれる光線。
逆手に持たれたガシャコンソードより、繰り出される氷の塊。
すべての砲台から撃ち込まれるエネルギー弾。
全身から出される数々の旋律。
しかし光が消え失せることはなかった。やがて光は収縮を始める。中から現れたのは銀と金のゼロ─シャイニングウルトラマンゼロ─
「くたばれ!」
スナイプが砲撃を仕掛ける。だが、シャイニングゼロは怯む様子を見せなかった。それどころか彼は、ガードせずにスナイプに近づく。
「はぁぁ!」
ブレイブは両手でガシャコンソードを握り、ゼロ目掛けて縦に振る。だが、これもまったく通用しなかった。その斬撃は、敵を切り裂くことができない。
ポッピーもガシャコンバグバイザーⅡからビームを放って攻撃するが、やはり現状を変えることはできない。
「シャイニングエメリウムスラッシュ!」
ゼロの額から、極太のビームが放たれた。それを受けて、壁まで吹き飛ばされるブレイブ、スナイプ、ポッピー。さらに彼らは、変身も解かれてしまった。
「残るはお前だな。エグゼイド」
エグゼイドが何度も剣を打ち付けるが、効果はない。ゼロのパンチが、エグゼイドの胸部に入る。エグゼイドに大ダメージを与えた。
「この力……まさかハイパームテキのか?」
「御名答。その通りだ。まあわかった所で、対処法など無いがな」
作戦会議の際、黎斗神が発言したことを思い出すエグゼイド。加えて先程の攻撃で、リプログラミングが通用しないことも確認済みだ。
ハイパームテキが敵に回ることなど、彼は少しも考えていなかった。味方としては頼れるが、対峙するとなるとこれほど厄介なことはない。
ハイパークリティカルスパーキング!
エグゼイドは剣を構える。一瞬で間合いを詰め、それを横凪ぎに払った。
さらに振り向き様、圧倒的な素早さで剣を上下左右斜めに振り回す。
「威力の問題じゃ無いんだよ」
攻撃は依然として効かない。そればかりか、ゼロはエグゼイドの首を左手で掴んだ。そして腕を上げる。
「絶望にうちひしがれろ」
「研修医!」
……
ゼロが徐々に力をかけていく。初めのうち、エグゼイドは足をじたばたと動かして、抵抗していた。けれども次第にその動きは小さくなっていく。
遂には完全に動かなくなってしまった。
「エグゼイド……」
「永夢……そんな……嫌だよ……」
「息絶えたか。残るは雑魚のみ」
ゼロはエグゼイドを投げ捨てた。
「誰か忘れてないか?」
力を振り絞り、パラドが立ち上がる。彼はゼロを後ろから羽交い締めにした。
それに呼応するように、エグゼイドはガシャットをキースラッシャーに挿し込む。
ダブルガシャット!
キメワザ! ドクターマイティ! クリティカルフィニッシュ!
エグゼイドが回りながら、横に斬りつける。遠心力を味方につけた一撃は、ゼロに膝をつかさせた。
「あれはゲムデウスの抗体。つまりゲムデウス以外には効果がないはずだ。まさか、奴の力の源は……」
大我の推測は的を射ていた。ゼロガシャットには、ハイパームテキとゲムデウスの強大な力が詰められている。
ハイパームテキの使用にはバグスターの協力が不可欠。そこで彼は、密かに入手していたゲムデウスウイルスを利用し、その条件をクリアさせていたのだ。
ゲムデウスの力が封じ込められたため、ゼロはムテキの力を使えなくなる。
「貴様ら……どうやって息を合わせた……」
「俺とパラドの心は繋がっている! もうお前の好きにはさせない!」
勝機を見出だしたパラド、飛彩、大我、明日那が再び変身した。
さらにレーザーとゲンムも、ようやくその場に辿り着く。ここにすべての仮面ライダーが集まった。
「だが、シャイニングウルトラマンゼロの力を完全に失った訳ではない!」
「だとしても俺達の超超超協力プレイで、クリアしてやるぜ!」
「くらえ……シャイニングスタードライヴ!」
シャイニングゼロが、頭上に光の珠を生み出す。すると、空間が乱れ始めた。
この技は時間を巻戻すことができる。それが成されてしまえば、ここまでの戦いがすべて無駄になってしまう。
「これでゲムデウスのウィルスも、破壊されたガシャットも元に戻る。ゲームは振り出しに戻る!」
しかしそれは失敗した。
元はクロノスのリセットに対抗するために、組み込まれたセーブ機能。それがゼロの技の発動を無効化したのだ。
「私は負けない。まだ策はある!」
そう言うと、ゼロは青い直方体のスイッチを取り出した。
それは改造バグスターウィルスを、活性化させる為の物。ヒカリの持っていたスイッチは偽物だったのだ。
当初の計画では入り口での戦闘で、仮面ライダーを減らす予定だった。しかし、大きな損失を与えることはできなかった。
そこで、ブレイブ達を再び暴れさせるため、わざと一度解除していたわけだ。
「ゲンム……なぜ君が暴走したのか、その理由はただ一つ……」
「以前に私のドライバーを勝手に使用したからだろ?」
「どうしてその事を!?」
「簡単なことだ。ゲーマドライバーを作れるのは私だけだからな!」
思惑を見透かされ、ゼロは大いに焦った。彼は力に任せてボタンを押す。けれども、ゲンム達が暴れることはなかった。
「改造バグスターウイルスとやらは、自分が抑制したんで」
レーザーが飛彩達から、一部のガシャットやドライバーを預かったのはこのためだった。
かつてゲムデウスウィルスの抑制まで可能にしたレベル0の力は、今もなお健在だ。