作者が風邪を引いて、ふと思いつきました。
風邪引いたモカは可愛いと思います。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん〜」
「ん?どうしたモカ…………」
「風邪ひいた〜。だるいよ〜」
「寝ろ!すぐに寝ろ!」
ある日。俺は家で掃除や洗濯といった家事をしている時。俺の愛しの妹であるモカは顔を真っ赤にして、ふらふらな足取りで2階から降りてきた。
「どうしたいきなり!?」
「昨日お風呂はいった後に、髪の毛乾かさずに寝ちゃったからかも……」
「バカ!あぁもう!今すぐ部屋戻れ!」
「もう歩けないよ〜。連れてってー」
「仕方ないな、もう!!」
なら何故下に降りてきたんだ、と突っ込みたいところだがそんな事を言っている場合ではなく、だるそうにして俺にもたれかかるモカを抱えてモカの部屋に向かった。
「わーい、お姫様抱っこだ〜」
「言ってる場合か!早く病院に……って今日は日曜日か。とりあえず布団入ってあったかくして待ってろ。今日はつきっきりで看病してやるから」
「やったー。ありがとう、お兄ちゃん」
「どういたしまして!」
折角の休日だというのに風邪をひくとはモカも運が悪い。とりあえず濡れタオルを用意して、その後なにが食べやすいものでも作って。
「ほら、モカ。とりあえずこれおでこにおけ。で、体温計で熱計れ。どこが辛い?食欲はあるのか?何か欲しいものはあるか?」
濡れタオルをおでこにおいて、体温計を口に咥えさせながら、俺はモカに尋ねる。
「そんなにいっぺんに聞かれても答えられないよー」
「じゃあ1つずつ聞く。どこが辛い?」
「頭と喉と体の節々が痛い」
「食欲は?」
「あるー」
「何か欲しいものは?」
「パン〜」
「寝込んでるんだからそれは遠慮しろ」
「ケチ〜」
「文句言わない!」
いつも通り答えてるように見えるけど、息切らせてるみたいだ。ただの風邪のように見えるけど、これ結構しんどいんじゃないのか?
「っと、体温計なったか。何度だ?」
「38度3分だねー」
「完全に風邪だな。今日バンドの練習は?」
「……あったような気がする」
「なんで曖昧なんだよ。まぁいいや。それは俺が聞いといてやるからモカはとりあえず寝とけ。ついでに昼ごはん作ってくるけど、何がいい?」
「パン〜」
「それはダメってさっき言った!!ていうか、作れるか!」
「む〜。じゃあお兄ちゃん特製のおかゆがいい〜」
「おかゆだな。わかった。すぐ作ってくるからちょっと待ってろ」
「は〜い」
俺はすぐさま下に降りておかゆの準備をする。出来る間に電話して、今日バンドの練習があるか聞かないと。
「………蘭でいいか」
鍋に火を入れた後、俺は携帯を手にとって蘭に電話をかけた。
『…………もしもし?』
「お、蘭?今時間いいか?」
『大丈夫だけど。珍しいね、ラテから電話かけてくるなんて』
「ちょっとな。今日はバンドの練習あるのか?」
『あるよ。ちょうど今スタジオに向かってるところ』
「あぁ、そうなのか。実はさ、モカは風邪引いちまって。熱も出てるから今日バンドの練習行けないんだ」
『モカが?それも珍しい。大丈夫なの?』
「今日は病院空いてないから詳しいことはわからないけど、多分ただの風邪だと思う。昨日風呂入った後髪の毛乾かさずに寝たとか言ってたし」
『そうなんだ。わかった、みんなにはあたしから伝えておく』
「頼んだ。じゃあそういうことだから」
『了解。モカにお大事にって伝えといて』
「了解。じゃな」
やっぱりあったのか。当日のことなのに、把握してないってあいつは本当に抜けてるな。まぁそれがモカのいいところでもあるんだろうけど。
「掃除途中だけど仕方ないか。モカのためだし、また今度ちゃんとやろう」
「モカー?入るぞ〜?」
「はーい」
部屋に入るとモカはおとなしく布団に入っていたようだ。まぁ、熱出してるのに本読んだりとかはしないだろうけど。
「おかゆできたぞ。あと薬も持ってきた。体起こせるか?」
「ん〜………無理ー」
「早いな。仕方ない」
おかゆを乗せたお盆を机の上に置き、体を起こせないというモカ(本当かは知らない)を優しく起こす。
「はい、おかゆだ。自分で食べれそうか?」
「お兄ちゃんに食べさせて欲しいな〜」
「………モカ、風邪っていうのを言い訳にして、俺に甘えてるんじゃないだろうな?」
「ひどーい。モカちゃんは頑張ってるんだけど、無理だったからお兄ちゃんにお願いしてるんだよ〜」
「………それにしては挑戦する気もないようにしか俺にはみえないんだが?」
「それにねー、モカちゃんはお兄ちゃんが大好きだからこうやって甘えたくなるんだよ〜」
「そ!そんな言葉で俺を惑わそうたってそうはいかないんだからな!はい、あーん」
「あーん」
くそ。モカが俺のこと大好きなんて言うから自然とモカのお口の中にレンゲで掬ったおかゆを持って行ってしまった。なんて巧妙な罠なんだ。
「うまいか?」
「うん、美味しいよ〜」
「それは良かった。食べれるだけでいいからな。しっかり食べるんだぞ?」
「はーい」
その後モカはおかゆを食べ続け、瞬く間に鍋の中にあったおかゆは空っぽになってしまった。
「ごちそうさま〜」
「食欲はあるんだな。なら大丈夫だろう。ほら、薬。粉薬は嫌がるかと思って、錠剤にしておいたぞ」
「さすがお兄ちゃん、よくわかっていらっしゃいますな〜」
「当然。モカのことならなんでも分かるぞ俺は。とりあえず、それ飲んだら1度寝るんだぞ。俺はリビングにいるから。何か用があるんだったら、電話でもなんでもしてくれたらいいからな」
それじゃあ、と言ってお盆を持って部屋を出ようとすると、モカは俺の服の裾を掴んで俺が出て行くのを止めた。
「モカ?」
「今日はつきっきりで看病してくれるんだよね〜?」
「ん?まぁ」
「言ったよねー?だから、モカちゃんは今汗かいて気持ち悪いから、体拭いて〜」
「………………はい?」
「このままじゃ気持ち悪くて眠れない〜」
いやいやいや。何を言ってるんだ。確かに言った。つきっきりで看病するって言った。でも俺もモカももう高校生だぞ。
「あのモカ?体ってどこまで?」
「全部〜」
「いやダメだろ。後ろなら百歩譲ってオッケーだとしても前はダメだろ」
「だいじょーぶ。兄妹だから〜」
「あぁそうだな。兄妹だもんな、ってなるか!」
「モカちゃんが気にしないからだいじょーぶ」
「いや、大丈夫じゃない。絶対大丈夫じゃない」
「む〜……もし体拭いてくれるなら、あたしも安心して寝る事が出来るんだけどな〜?」
「くっ……」
ダメだ。モカは何があっても引く気がない。いや、モカの体を見たくないと言ったら嘘になる。当然見たい。でも兄としてそれはいいのか?絶対ダメなことだと思う。でも、モカは引かないし。でも、あんなこと言われたら断れないし……
「お兄ちゃん、お願い〜……」
「お、俺も出来るならしてあげたいんだぞ。でも、ほら。俺たちもう立派に成長してるし。出るとこも出てるんだし……」
「おねがい〜……」
「ず、ずるいぞ。そんな顔でお願いしてくるなんて……」
涙目なんてずるい。まるで弱っている小動物のような表情だ。弱っているのは事実だけど。ていうか、可愛い。モカの涙目超可愛い。
「うぅー……」
「…………あぁもう!わかったよ。ただし後ろだけだ。前は自分でふくんだぞ!」
「やった〜」
「はぁ……とりあえず先に食器を水につけてくるから。その間に着替えの準備をしとけ」
「はーい。ありがとうお兄ちゃん〜」
本当に俺は………モカに弱い。いや、風邪をひいてるからかわいそうだと思う気持ちがあるからなのだろう。でもそれを踏まえたとしても俺はモカに弱い。いや仕方ない。モカが可愛すぎるのがいけないんだ。
部屋を出て、食器を水につけた俺は、風呂場に置いてある桶にお湯を入れてタオルをつけた。そしてそれを持ってモカの部屋に戻る。
「モカは妹。モカは妹。モカは可愛い妹。変な気を起こしてはダメだ。モカは妹。モカは妹。モカは可愛い妹。よし!!」
自己暗示のようなものをかけ、俺は部屋のドアを開けた。部屋に入ると、準備万端のようで、パジャマを脱いで、下着姿になったモカが俺に背を向けてベッドの上に座っていた。いつもは見えない白くて、傷1つない綺麗な肌。やばい、本当に緊張してきた。
「お兄ちゃん、よろしく〜」
「よ、よし。じゃあ拭くぞ」
桶の中に入れていたタオルを絞って、そのままモカの体を拭いていく。最初は右肩、下がるように腕、手を優しく拭いていく。
「い、痛くないか?」
「だいじょーぶ〜」
一通り終えると、今度は左肩にいき、また下がるようにして拭いていく。にしても、モカの体ってスベスベだな。ザ、女の子って感じの体をしている。流石は俺の妹。
「って、俺は何考えてるんだ!」
「お兄ちゃん、どうしたの〜?」
「あ、いや、なんでもない………よし、じゃあ次は背中を拭いていくぞ」
「はーい」
今度は背中、肩甲骨のあたりから下に下がるようにして拭いていく。
「気持ちいい〜」
「そ、それは良かった………」
その後、モカの体を極力見ないようにして、体を拭いていき、俺が拭ける部分は全て終わらせた。
「よし。これでいいだろ。あとは自分でできるだろ?」
「うん。だいじょーぶ〜」
「よ、よし。なら俺は部屋から出るからな」
やばい。心臓が物凄くドキドキしている。妹の体に興奮するなんて俺ただの変態じゃん。
「じゃ、じゃあ俺は下にいるから。じゃあな」
この気持ちをモカにバレないように、急いで部屋の扉を開けて出ようとした、瞬間。
「モカ。今日練習休みになったからみんなでお見舞いに…………って」
「モカちゃん、風邪大丈夫!?あったかくしてないと悪化しちゃう…………あれ?」
………………オーケー。状況を整理しよう。今この部屋にいるのは、部屋から出ようとした俺と体を拭くために下着姿でベットに座るモカ。そして、俺が開ける前に、部屋に入ろうとして扉を開けた蘭とつぐちゃん。
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「蘭ー、どしたの〜?」
あまりにいきなりのことで固まる俺と蘭とつぐちゃん。唯一モカだけが正常に機能していた。
「えっと、その、蘭。つぐちゃん。これには訳があるんだけど、聞いてくれる?」
「聞くと思ってるの、変態」
「えっと……いくらなんでもこれは流石にちょっと、あたしもフォローできないかな、って」
「ですよね〜」
その後。モカの看病はつぐちゃんとひまりちゃんともう1人の幼馴染に任せ、俺は1階のリビングで蘭にこってり絞られた。
もっと表現上手くなりたいなー。
感想と訂正があればお待ちしております