遅い話ですが、2周年モカは当たらず、代わりに、常設で出るピュアのモカが当たりました笑
昔々あるところに。パンツクール王国という大きな国が存在していた。そこには、パンを食べる事が大好きな王様、ラテと、パンを作る事が大好きな王妃、サーヤ、が治める大変幸せな国であった。
だが、そんな平和が突如崩されることとなる。北の国を乗っ取り城に住む大魔王、アコが魔物達を連れてこう言ったのだ。
『ここで作るパンは大変美味であると評判である!!この大魔王アコにこの国のパン全てを差し出すがいい!さすれば、命だけは助けてやろう』
いきなりの事で納得のいかない王様、ラテは魔物達に対抗すべく、たくさんの兵を大魔王アコの前に送り込み立ち向かった。だが、結果は惨敗。偉大なる大魔王アコの大魔法の前では、一国の兵士には敵うわけなどなかった。
「はーはっはっはっはー!!大魔王アコの、この……最高の、じゃなくて……だ、大魔法の前では100人いても敵うまい!!」
大魔王アコの手によって、王は降伏をせざるを得なかった。国も大切だが、何より人を大切にするラテ王には傷ついた兵士は見るに耐えなかったのだ。
「では、王よ!この大魔王アコに兵を差し向けた罰として、この国の王妃であるサーヤは頂いていく!!
なーに、大人しくしていれば、傷つけたりはしまい」
「ラテー!!」
「サーヤ!!」
なすすべもなく王妃は攫われてしまった。そして、パンツクール王国も魔王軍の手によっての支配が徐々に進んでいってしまった。
「ラテ王よ!このままでは大魔王アコの手によって国が滅んでしまいます!」
「王妃様が攫われてしまった今、美味しいパンを作るのもままならない!作れたとしてもパンは全て魔王軍に渡さなくてはならないのです!!」
「どうすれば良いのですか、王様!!」
「王よ!!」
「王様!!」
「ラテ王!!」
「………わかっている。早急に対策を打たねば……」
「あたしにまかせなさーい」
国の会議場にのんびりとした声が響いた。
「お前は……モカ!」
現れたのはモカ。王の実の妹にして、王以上にパンが大好きな女の子である。
「お兄ちゃ……じゃなかった。王様。あたしが大魔王アコを倒してきてあげましょう〜」
「モカ……ダメだ!危険すぎる!!」
ラテ王はモカに溺愛していた。そんなモカを大魔王アコを倒すために旅に出させるのはラテ王は許せなかった。
「だいじょーぶー。モカちゃんには頼りになる仲間、ランが付いているのだから」
「……あたしにお任せください」
モカの世話役であるラン。モカが生まれてきたから頃からずっと一緒に過ごしてきた者で、その実力はかなりのもの。
「モカ、ラン……………………………わかった」
他に対抗すべき手段がないため、ラテ王しぶしぶ。しぶしぶモカの提案を受け入れた。
そして、出発の日の朝。
「では、王様。行ってきます。モカの事はあたしにお任せください」
「もー、ラン〜。心配しすぎだよー?」
「あたしにお任せください」
「なんで2回言うのさ〜」
「うむ。モカの事は任せたぞ。それと、モカ。これを受け取るがいい」
「おー。これはー?」
「かつて伝説の勇者が使っていたと言われている伝説の剣。その名も、『フラン・スパンソード』である。きっとお前ならば使いこなすことができるだろう」
「おー。ありがとう〜」
「あと、これも持っていけ。王妃、サーヤが攫われる前に作っていったパンだ。お腹が空いたら食べるんだぞ」
「王妃様のパン………ゴクリ」
「モカ。今食べたらダメだよ」
「では……行ってこい!!国の命運はお前たち2人に預けた!!」
「はーい」
「はい」
こうして、大魔王アコを倒すべく、モカの旅は始まったのである。
「モカ。まずは仲間にできそうな人を探そう。あたし達2人で旅に出るのは危ないと思うから」
「おー!」
モカ達は城を出て、仲間を探すべく、パンツクール王国で有名なカフェに訪れた。
「いらっしゃい。今日はどんなご用で?」
「えっと…その……旅に出るために仲間を探しにきました」
「仲間か……それならうちの娘なんてどうだい?」
「娘、ですか?」
「あぁ。ツグミ。こっちにおいで」
「は、はい!!」
呼ばれてモカとランの前に立ったのは、このカフェのマスターの娘にして、看板娘、ツグミである。
「つ、ツグミです!よろしくお願いします!」
「ら、ランです!こ、こちらこそ、よろしく」
「ラン〜。こんな所でも人見知り発揮しなくても良くない〜?」
「う、うるさい!モカは黙ってて!!」
「えー、ひどーい」
「あ、あはは。えっと、お父さんから話は聞いてるよ。大魔王アコを倒す旅に出るんだよね?何も取り柄もないこんな私でよかったら、喜んで旅に同伴させてもらいます!!」
「ツグミはこう見えても回復系の魔法が使えるんだよ。魔法の本をすごく頑張って読んで覚えたんだ」
「へぇー、回復魔法。いいかもね」
「ツグミはつぐってるんだね〜」
「つ、つぐってる?」
モカの変な言葉にツグミは首を傾げた。コホン、ランが咳払いをして話を戻す。
「で、どうするの、モカ?」
「うーん。ツグは他に何が得意なの〜?」
「えっ?うーん………あ!ケーキとか作るのが得意だよ!!」
「今日からツグはあたし達の仲間だよ!!」
こうして、頑張り屋さんの看板娘、ツグミは仲間になった。
「じゃあ、私旅の準備してくるからちょっと待っててね!」
「あたし達はここでコーヒーでも飲んで待ってようか」
「そーしよ〜」
ツグミを待つ間、モカとランはケーキとコーヒーを食べながら待つことにした。
「ラン〜、これからどうしようー?」
「とりあえず、ツグミが仲間になった事だし、大魔王アコが住む城を目指そう。目指す間に魔物を倒したり、あたし達のレベルをあげたりする。そんな感じでどう?」
「いいんじゃない?いやー、ランがいるとモカちゃんは何も考えなくていいので楽ですな〜」
「……モカ。あたしも怒るときは怒るんだよ?」
「ジョーダンだよジョーダン〜」
「お待たせー!旅の準備、万端だよ!!」
ツグミの準備が完了した事で、モカとランはケーキを平らげてカフェを出たのち、そのまま、国の外に出て大魔王アコの城を目指すことに。
「そういえばモカ。ラテ王からもらった剣は?」
「んー?ちゃんと持ってるよ〜」
「そうじゃなくて。ちゃんと使えるのって事」
「おー、そういえば確認してなかった〜」
モカはラテ王からもらった伝説の剣『フラン・スパンソード』を手に持った。
「どう?」
「うーん………」
「モカちゃん?」
「………………」
「あれ、モカ?」
「…………くー……くー……」
「寝てる!!?」
「ちょっとモカ!立ったまま寝ないで!」
「……はっ!……ここどこ〜?」
「パンツクール王国出たばっかだよ」
「おー、そうだったそうだった〜。今日は天気が良くて気持ちいいから、ついつい立ったまま寝ちゃったよ〜」
あはは〜、と笑ってごまかすモカに他の2人はじーっとモカを睨みつけた。
「もうしないように気をつけるよ〜」
「まったく………で、話す戻すけど、モカは」
「ねえねえ!!」
ランが話を続けようとした瞬間、見知らぬ誰かが3人に話しかけた。
「私、ヒマリっていうの!あなた達、大魔王アコを倒すべく旅に出るんだよね?」
「え、えっとその……」
「そうだよー」
「私たち、今から大魔王アコの城目指すところなんだ」
「よ、よかったら、その旅に私も同行させてくれないかな?」
「うん、いいよー」
「ほ、ほんとに!?」
「ちょっとモカ!理由も聞かずに!!」
「だいじょーぶー。モカちゃんの目に狂いはない。ヒーちゃんはいい子だよ〜」
「ヒーちゃん……な、なんでもいいや!じゃあ、改めて!私、ヒマリ!攻撃魔法が得意なの。これからよろしくね?」
「モカでーす。あたしの武器はこの『フラン・スパンソード〜』」
「………ラン。一応まだ完全に信じたわけじゃないけど、よろしく」
「私はツグミ!これからよろしくね、ヒマリちゃん!!」
「こちらこそ!!じゃあみんな!魔王の城を目指して頑張ろう!!せーの!
えい、えい、おー!!」
「………………」
「………………」
「………………」
瞬間、ヒマリ以外の3人が空気が凍ったような感覚に襲われた。
「ひどーい!!なんでみんなやってくれないのー!!」
「いや、いきなりだったから」
「ていうかー、その掛け声はないよね〜」
「えーっ!?ツグはそんな事思わないよね?」
「え!?えーっとー……さ、さぁ!魔王の城を目指して、頑張ろう!!」
「……流したね〜」
「うん、流した」
「うぅ……みんな酷い……」
こうして、モカとランはツグミと新たな仲間、ヒマリを加えて魔王の城へ向かうべく旅立った。
だがモカ達は知らない。この旅はすごく過酷なものとなることを。モカ達の大魔王アコを倒す旅は、まだ始まったばかりなのである。
「ていう、夢を見たんだけどー、みんなどうかな〜?」
「色々突っ込みたいことあるんだけど、まず、フラン・スパンソードってなんだよ。無茶ありすぎだろ」
「あと、パンツクール王国って言うのも意味不明」
「アタシの出番がないのはどういうことなんだ?」
「で、でも凄くファンタジーなお話で楽しそうじゃない?ね、ひまりちゃん?」
「たしかに。この後どんな展開が待っているのか楽しみかも!!」
「いやー、今後のモカちゃんの活躍に期待ですな〜」
どうでしたか?
モカの冒険2にご期待!!(やるかもしれないし、やらないかもしれない)
感想と訂正があればお待ちしております。