のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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頂いた感想の中でヤンデレなモカが見たい、というものがあったのを思い出し書いてみました。うまく書けてるかはわかりませんが、こういうものが苦手な人はバックした方がいいかもです。



番外編 平和な1日と怖いモカ

「いやー、平和ですな〜」

 

「急にどうしたんだモカ」

 

「モカちゃんは思うのですよ。こうしてお兄ちゃんと2人でお出掛けできるというのは平和そのものだということを〜」

 

「そうだな。こうしてショッピングに来れることは平和そのものだ」

 

休日。2人でショッピングモールに来た俺たち。ふと今を平和だというモカに俺はうんうんと首を縦に振った。

 

「こんな平穏な日にそうそう変なことなんて起こるはずがないよな〜」

 

「ですな〜。あはは〜」

 

さて。モカと一緒に服でも見に行くとするかな〜。

 

「あれ、ラテさんだ」

 

「ホントだーっ!ラテおにーちゃん。それにモカちんも!」

 

「あれれー、もしかして2人でお出掛けかな??」

 

と思った矢先、そんな俺たちに声をかけ、駆け寄ってきたひまりちゃんとあこちゃん。それに前にモカの弁当を届けに行った時に出会った氷川さんの3人。

 

「………なるほど。平穏というのはこうして崩れ落ちていくんだな」

 

「ラテさん、何の話ですか?」

 

「いや、なんでもない。それにしても珍しい組み合わせだな」

 

「そーかな?あたしたちみんな同じ学校だし、当然だと思うけど?」

 

「うんうん!あこはひなちんともひーちゃんとも仲良しだよ」

 

ねー?と向かい合って笑い合うひまりちゃん達。たしかに仲良く遊びに来るのはいいことだよな。

 

「うんうん。それは良いことだな。じゃあ、俺たちはこれで。モカ行くぞ〜」

 

「あ、そうだ!ラテ君とモカちゃんも一緒にまわろーよ!うん、その方がきっとるん♪ってするよね!」

 

モカを連れて3人から離れようとした瞬間、氷川さんがとんでもない発言を繰り出した。

 

「それさんせーいっ!ひーちゃん、どうかな?」

 

「私も賛成!ラテさんとモカがいいならですけど」

 

「だって!どうかな、ラテ君?」

 

「うーん、どうって言われても」

 

正直に言おう。ひまりちゃんとあこちゃんは全然いいんだが、どうやら俺は氷川さんの事が少し苦手みたいだ。このテンションの高さについていけない。

 

「モカはどうだ?」

 

「私は別にいいよ〜。ここで会ったのも何かの縁みたいなものだしね〜」

 

「さっすがモカ!わかってる〜」

 

「モカちん、ありがと〜」

 

「じゃあモカちゃん。それにラテ君もレッツゴー!!」

 

「え、ちょっと待って。俺の意見無視なの!?」

 

先頭を歩く氷川さんに腕を引かれ俺たちはショッピングをすることに。モカとの貴重な2人っきりの時間が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇラテ君!この服どうかな?」

 

「そーだな……氷川さんはこっちの服の方が似合うと思う」

 

「ラテおにーちゃん、この闇の羽衣みたいにカッコいい服は?」

 

「いいと思うよ。あこちゃんならそういう黒っぽい服は似合うから」

 

「ラテさんラテさん、これは?」

 

「ひまりちゃんはもうちょっと明るい服の方がいいんじゃない?」

 

「お兄ちゃん、この服はどうでしょう〜」

 

「似合う!最高!可愛い!!」

 

5人で行動する事になって最初に来たのは服屋。何故か俺がみんなの服をチョイスする事に。

 

「そっかー。ところでラテ君?」

 

「なんだ?」

 

「その、氷川さんってなんかやだなー。あたしもひまりちゃんやあこちんみたいに下の名前で呼んでほしい!」

 

「いきなりだな。まぁ、別にいいんだけど」

 

氷川さんの下の名前。確か……日菜だったっけ?

 

「えーっと、じゃあ………日菜。これでいいか?」

 

「うん!ラテ君!」

 

下の名前を呼んであげると、凄くいい笑顔で俺の名前を呼んでくれる日菜。少し可愛いと思ってしまった。

 

「お兄ちゃーん。モカちゃんの買う服はこれに決定しました〜」

 

袖をくいくいと引っ張って俺を呼ぶモカが持っていたのは、これから寒くなる時期に備えてなのか、あったかそうな厚手の紺色のパーカー。

 

「またパーカーなのか」

 

「そーだよ〜。ゆったりしてて楽だから、好き〜」

 

「そっか。まぁモカがいいならそれでいいんだけど。買ってあげようか?」

 

「いいのー?おにーちゃん、太っ腹ですな〜」

 

「まぁな。給料入ったばっかだし」

 

モカが買おうとしているパーカーを受け取った。モカが喜ぶ顔が見られるなら、全然問題ない。

 

「あー、モカずるい〜!ラテさん。私もこの服買ってください!」

 

「ひーちゃんずるい!ラテおにーちゃん!あこもあこも!」

 

「じゃああたしも!」

 

みんな各々欲しい服を俺に手渡そうとしてくる。しまった。みんないるんなら買ってあげるなんて言うのやめるべきだったか。

 

「モカは妹だから買ってあげるんだ。みんなはダーメ」

 

「ぶーぶー!モカだけずるいですよ!」

 

「そーだそーだ!モカちゃんだけなんてずるいよ!」

 

「ラテおにーちゃん、ダメ〜?」

 

「ぐっ………」

 

あこちゃんが涙目で見つめてくる。だ、ダメだ。そんな甘い誘惑に負けてしまったら俺はこの先もみんなに何かを奢ってあげなくてはならない。

 

「だ、ダメだ!ダメったらダメだ!」

 

「むー。ラテ君のケチー!」

 

「待って下さい日菜さん!私にいい方法があります!」

 

ひまりちゃんがあこちゃんと日菜を手招きしてコソコソと話し出す。一体何を言おうと言うのか。

 

「ひーちゃん、それ上手くいくの?」

 

「うん!ラテさんだから絶対上手くいく。日菜さんもどうですか?」

 

「任せて!」

 

頷き合った3人は欲しい服を両手で持って俺の前に並び出す。

 

「な、何を言われても俺は譲らないぞ……」

 

「ふっふっふー。そうやって言ってられるのも今のうちです!ラテさん覚悟です!」

 

ひまりちゃん。人を指差しちゃいけないって小学校の時に習わなかったのか?

 

「ひーちゃん。人を指差しちゃダメって小学校の時習わなかったー?」

 

「モカはちょっと黙ってて!」

 

「えー、ひどーい。あたしは正しい事を言っただけなのに〜。お兄ちゃん、ひーちゃんがあたしのこといじめるよ〜」

 

そう言って抱きついてくるモカを俺はよしよしと頭を撫でてあげる。というか、モカは俺と全く同じことを思っていたんだな。

 

「はぁ。とにかく何を言われても俺は絶対に」

 

「おにーちゃん。どうしてもダメ?」

 

「お兄ちゃん。私、この服欲しいの……」

 

「おにーちゃんが買ってくれたら、あたしはこの服を一生大事にする。だから……だめ?」

 

「わかった。買ってあげよう!!」

 

「やったー!ありがとう、ラテおにーちゃん!」

 

し、しまった。3人がかりで涙目で上目遣いで言われるもんだから、反射的にオッケーしてしまった。

 

「どうですかラテさん。私たちの演技は!」

 

「もうずるい。本当にずるい。だから罰としてひまりちゃんには買ってあげない」

 

「そんなー!ラテさん酷いですよ〜!!」

 

まったく。そんな卑怯な手を使ってくるなんて。俺がお兄ちゃんと呼ばれるのに弱いのを知ってるからって。

 

「まったく。本当にず………るい……」

 

「ラテさん?どうかしました?」

 

「いや、えっと……その……」

 

「ラテ君?」

 

「いや、違うんだ。その、なんでもないんだ」

 

「ラテおにーちゃん。様子が変だよ?」

 

「う、うん。大丈夫。大丈夫だぞ?」

 

「「「???」」」

 

なぜ俺がこんな急に焦り出しているのか。そして、なぜ俺はこんなに冷や汗が止まらないのか。理由は2つある。まず1つ。

 

「よ、よう。蘭、それにリサも。こんなところで奇遇だな?」

 

おそらく今の会話を一部始終を見ていたであろう蘭とリサがいる事。2人とも俺の顔を見てドン引きしている。

 

「あれ、リサ姉だ!」

 

「ホントだー。リサちー、それに蘭ちゃんも。2人で買い物ー?」

 

「う、うん。そうだよ。たまたま偶然そこで会ってね?」

 

「ひ、日菜さんたちも買い物ですか?」

 

2人がいるのに気づいたあこちゃんと日菜が駆け寄っていく。とりあえず蘭とリサの事は置いておこう。

理由の2つ目。俺に抱きついていたモカの力がめっちゃ強まっている事だ。胸に顔を埋めてるおかげで表情はまだ見えてないけど、想像したくない。とりあえず今はこっちの方がやばい。ひまりちゃんもそれに気づいたのか。横で凄くあたふたしている。

 

「あの、モカ?ち、違うんだぞ。今のは……」

 

「ねぇ、お兄ちゃん?」

 

「は、はい!」

 

「あたし以外に妹を作ったらダメって言ったよね〜?」

 

顔を上げたモカの顔を見ると、どす黒い闇のオーラを纏っているように見えた。マジだ。これはマジな方でやばいかもしれない。

 

「い、いや。今のは妹を作ったんじゃなく、お兄ちゃんって呼ばれただけで」

 

「あたし以外にお兄ちゃんって呼ばせたらダメって言ったよね〜?」

 

「はい。言ってました」

 

あれ?でもあこちゃんにもう何度もラテおにーちゃんって呼ばれてるはずなのにそれはいいのか?

 

「お兄ちゃん」

 

「はい?」

 

「あこちんはもういいんだよー」

 

「えっ!?」

 

「あこちんはもうあの呼び方でいいんだよ〜」

 

なぜ俺の考えてることがわかった?もう以心伝心とかテレパシーとかじゃ説明つかないんだけど!

 

「じゃ、じゃあ問題なのはひまりちゃんと日菜にお兄ちゃんと呼んでもらったこと…なのか?」

 

「そーだねー。ダメだよね〜?日菜さんとひーちゃんにまでお兄ちゃんって呼ばせたらー?」

 

抱きつく強さが少し強まる。というか少し痛い。

 

「ひ、ひまりちゃん!何とかしてくれ!」

 

「む、無理ですよ!こんな状態になったモカ見るの私初めてです!」

 

「ひまりちゃんのせいでこうなったんだぞ!」

 

「ラテさんがモカにだけ贔屓するから悪いんです!」

 

「おかしいだろ!ひまりちゃんが変な案さえ上げなければこんなことには!」

 

「ラテさんがケチだからいけないんですよ!!」

 

「お兄ちゃん?」

 

「は、はい!!」

 

「ここじゃ邪魔になるから、一回家に帰ろ〜」

 

「え……家に帰るのか?」

 

「そーだよ〜。モカちゃんお兄ちゃんと話したいこといーっぱいあるんだよ〜」

 

……今のモカと一緒にいたら何をされるかわかったんもんじゃない。できるならばここからダッシュで逃げてほとぼりが冷めるまでどこかで隠れてたいんだけど。

 

「えっと…ちなみに断ったら?」

 

「断ったらー………どうなるでしょー?」

 

「疑問を疑問で返された。どうなるんだ?」

 

「んーとねー………モカちゃん自身何するかわからないよー」

 

「………帰ります」

 

「はーい。じゃあいこー」

 

俺の手を取って笑顔でそう言ってくるモカ。いつもなら嬉しいのになんでだろ。笑顔なはずなのに目が全然笑ってないからものすごく怖い。

 

「でねでね、ラテおにーちゃんがね?……あれ?モカちん、どうしたのー?」

 

「用事思い出しちゃったから帰るね〜。リサさん。3人のことお願いしまーす」

 

「え、あ、うん。りょーかい……気をつけてね〜」

 

「はーい。ありがとうございまーす」

 

リサもモカの顔を見てわかったのだろうか、今のモカには何を言っても通じないということを。

 

「それじゃあ、いってきまーす。蘭ー、日菜さんにあこちん。またね〜」

 

「あ、うん。また」

 

「バイバーイモカちゃん!」

 

「ラテおにーちゃんもまたね〜!」

 

日菜もあこちゃんもちょっとは助けてほしいよ………

 

「なんかモカちゃん、凄く怖い顔してたね?どうしたんだろー?」

 

「今のモカちん、漆黒の魔王の………こう………化身?みたいなのが見えたような?」

 

「日菜、それにあこも。それはちゃんと説明するから。今は……ラテを優しく見守ってあげよう」

 

「そうですね。それが良いと思います。ひまり、大丈夫?」

 

「全然大丈夫じゃないよー!蘭ー!リサさん!モカが怖かったです〜!!」

 

「???」

 

「よくわかんないけどー、ラテ君頑張ってね〜」

 

4人が見送ってくれる中、先頭を歩くモカの後ろを俺はトボトボと重い足取りでついていった。そこから先は…………思い出したくないから何も言わないでおこう。平和になると思ってた1日。それがたった1時間で平和から混沌化してしまったとさ。




ヤンデレってこんな感じですかね?
1つわかったのはこんなのモカじゃない!!ってことです。書いてて思いました笑
ま、番外編ですしいいでしょう!!
もし他に要望などがあればよろしくです。
感想と訂正があればお待ちしております。

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