のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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ハッピーバースデー蘭ちゃん!!
つぐちゃんのような事にならず大安心。
今日中に投稿したいがために少し急ぎ足で書きました。


番外編 買い物に付き合うラテと綺麗な蘭

「蘭ー、悪い待ったか?」

 

「遅い。10分遅刻だよ」

 

「いや、いきなり30分前に電話入れて来てそれはないだろう」

 

現在時刻9時40分。その30分前に電話で9時半に駅前に来て欲しいと言われ急いで準備して向かって来た結果がこれだ。理不尽すぎる。

 

「せめて昨日の夜とかに電話くれたら話は変わってたのに」

 

「うるさい。文句言わないで」

 

「はい、ごめんなさい。で、今日はどこに行くんだ?」

 

「ついてくればわかるよ。ほら、行くよ」

 

「あ、おい、蘭」

 

どこに行くか教えてくれないのは疑問があるけどまぁいいか。ついていけばわかる事なんだし。

 

「ていうか蘭、お前今日は俺と出かけてていい余裕あるのか?」

 

「なにが?」

 

「いやなにがって。今日はお前の……」

 

そう。4月10日は蘭の誕生日だ。蘭の誕生日パーティをするのだが、モカから話を聞く限り、夜は蘭の家の食事会があるのでパーティは昼頃にするらしい。

 

「……あぁ、大丈夫。そんなに買い物は時間かからないだろうし。それに、そのこともあったからこうやって開店時間前にラテを呼び出したんだから」

 

「あぁ、なるほど……ってなに、蘭の中で俺は今日暇だって思ってたの?」

 

「そうだけど……暇じゃなかったの?」

 

「いや、えーと……」

 

バイトは蘭が誕生日だと言うことで空けていたし、モカを愛でようと思ったが、あいつは朝早くにつぐちゃんの家に行っちゃったし、家事全般は俺が朝早くに起きてやってしまった。

 

「……いや、暇。物凄い暇。もう蘭がこうやって買い物に呼んでくれたのが死ぬほど嬉しいくらい暇だったね」

 

「っ!…………そっか」

 

「ん?蘭、どうかしたのか?」

 

「別になんでもない」

 

一瞬蘭の顔が真っ赤に見えたんだけど、気のせいかな?

 

「それよりほら、着いたよ」

 

「ん?あぁ、楽器屋か」

 

しばらく歩いて着いたのが楽器屋。なんで自分の誕生日だというのに楽器屋に来たかったのかはよくわからないが、そのまま中に入る。

 

「蘭はなに買いに来たんだ?」

 

「この機会に色々と道具を新しく変えようと思って。弦とかシールドとか。あと、チューナーも最近調子悪くなって来たし、新しいの買おうかなって」

 

「ちゅーなー?なんだそれ?」

 

「チューナーっていうのは、音程を素早く合わせる機械のこと。ギターはチューニングをしないといけないから。後はアンプとかも少し見たいな。あ、エフェクターも何かいいのあれば……」

 

「ちゅーにんぐ……あんぷ?えふぇくたー?それにさっきシールドって?なんで盾?」

 

なんだ?全く話がついていけない。ていうかなんのために俺は連れてこられたんだ?絶対後日にモカとか連れて来たほうがよかっただろ。こんな事ならモカが家でギターの練習してる時に色々話を聞いておいたらよかった。

 

「ラテは少し待ってて。なるべくはやく終わらせるから」

 

「って言われてもなぁ」

 

音楽はよく聞くけど別にバンドとかに興味があるわけでもないし……いやでも、この機会に少しは勉強してみるのもありか?Afterglowの事をもっと知る機会なのかも。

 

「とりあえず蘭についていけばいいか」

 

そう思い、蘭の後ろをついて行くことに。決してストーカー的行動ではありません。単に蘭の邪魔をしたくないだけです。

 

「………へぇ」

 

あんな風に目をキラキラ輝かせる蘭もあまり見たことがない。よっぽどバンドが好きなんだろう。俺としても何か協力してやりたいところではあるんだけど……

 

「なぁ、蘭?」

 

「なに?」

 

「えっと……その……何か俺が買ってやろうか。お前の必要なもの」

 

「えっ?」

 

「いや、そのなんていうかさ。バンドもすごい頑張ってるし、モカがいつも世話になってるし、なにより、今日はお前の誕生日だろ?」

 

「あ……………」

 

「真剣に頑張ってる蘭達はやっぱりかっこいいし、応援したくなるからな。なんだかんだ言っても俺はお前らのファンだし」

 

「………………」

 

「で、でもあんまり高すぎるのはダメだぞ。ちゃんと俺が買えそうで限度のあるものだったらいいから。だから、えっと……」

 

「ぷっ……」

 

「ん?」

 

「ラテ、何でそんなに焦ってるの。凄い面白い」

 

「んなっ!」

 

蘭が口元を手で抑えて笑っている。

 

「し、仕方ないだろ!モカにならともかく蘭にはこうやって物買ってやるなんてあんまり言わないし、慣れてねぇんだよ!」

 

「だ、だからって………」

 

「あぁもう。言わなきゃよかった」

 

折角蘭が誕生だから何かプレゼントにとでも思っていたのに、そんな事されたら買いたくなくなる。

 

「ほら!俺の気が変わらないうちに早く選んでくれ!」

 

「わかった。で、いくらまでならいいの?」

 

「そうだな……所持金が大体1万程度だから……って、おいまさか、このギリッギリまで買う気じゃねぇだろうな?」

 

「わかってる。じゃあまずシールドから」

 

「本当にわかってるのか?なぁ?おい!!」

 

結局、一つ一つは少ないけど合わされば結構な値段がいくほど買わされて、本当に言わなければよかったと思う俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……最悪。楽器屋であんだけ奢らされだ挙句、昼飯まで奢ることになるなんて」

 

「感謝してるよラテ」

 

「くそー、俺が誕生日の時覚えてろよ。絶対蘭に奢らさせてやる」

 

「あたしがそれを覚えてたらね」

 

俺は今、楽器屋で買ったものを持たされながら蘭の家の前まで来ていた。何やら、今日の夜に蘭の家で食事会があるらしく、その準備をしてから、誕生日会に行くということに。

 

「じゃあちょっと待ってて。少し時間はかかるだろうけど」

 

「はいはい。俺はモカに電話でもしながら気長に待つとするよ」

 

蘭が家に入っていくのを見送ってから俺は家の前で待たせてもらうことに。

 

「はぁ……モカの声が聞きたい」

 

そう思いポケットから携帯を取り出しモカに電話をすることに。

 

『……もしもし〜、モカちゃんですよー』

 

「おー、朝ぶりだなモカ。そっちの準備は?」

 

『準備万端だよ〜。もうつぐの家の中でクラッカー持ってスタンばってるよ〜』

 

いや早い。まだおそらく20分はかかるはずだ。女子の準備は長いと聞くしな。

 

「そっかそっか。俺ももう少ししたら蘭と一緒にそっち向かうから」

 

『はーい。用はそれだけ〜?』

 

「いや、単純にモカの声が聞きたくなったんだよ。愛しい愛しい妹のモカの声が」

 

『あたしも大好きなお兄ちゃんの声が聞きたかったよ〜。寂しくて寂しくて、ひーちゃんの胸に飛び込みたくなるくらい〜』

 

『えっ?何で私に!?』

 

電話越しにひまりちゃんの驚く声が聞こえる。まぁひまりちゃんは何をも包み込んでしまうあの胸があるからな。いやー、俺も包まれてみたい。

 

『お兄ちゃん……?』

 

「ん?なに?」

 

『あたしも脱いだらすごいんだよ〜』

 

「え、いきなり何のカミングアウト!?」

 

『も、モカ!いきなりなに言いだすの!?』

 

『だってお兄ちゃん今絶対ひーちゃんの身体を想像したよー』

 

『えっ……』

 

「待てしてない!してないから!」

 

『したよねー?ひーちゃんの胸に飛び込むって言った時お兄ちゃん少し考えてたよね〜』

 

「考えてない!全く……いや、ほんの少しだけ。20%くらい考えてたけど、考えてない!」

 

『ほらー。やっぱり考えてるんじゃん〜』

 

「うっ………」

 

『…………変態』

 

「いや待て!そんな怖い声で言わないでっ!」

 

ひまりちゃんのドスの効いた声が俺の耳に響く。いや本当に怖い。

 

『ラテ君変態さんだったんだね。蘭ちゃんが心配だね』

 

『あぁ。今からでも遅くない。アタシ達が迎えにいくか?』

 

「何もしねえよ!いいからお前らはそこで待ってろ!ちゃんと蘭をエスコートしてやるから!!」

 

つぐちゃんや巴まで俺のことを変態扱いしてくるなんて。みんな酷い。事の発端はモカなのに。

 

『まぁそれは置いといてー。お兄ちゃん、ちゃんと蘭の誕生日プレゼント買ってあげたの〜?』

 

「あぁ。大丈夫だ。ちゃんと蘭にあったプレゼントを買ってあげた」

 

『ならだいじょーぶだねー。モカちゃんもそれはそれは蘭に似合うものを買ってあげたんだよ〜』

 

「へぇ。なに買ったんだ?」

 

『えへへ〜。ひみつー』

 

「秘密って。やけに気になる『ラテ』言い……方だ………な?」

 

『んー、お兄ちゃん?どしたの〜?』

 

名前を呼ばれ振り返るとそこには蘭が立っていた。何気なく振り向いたが、何だその格好?着物着ていて、いつもと全然違うお淑やかな雰囲気で。なんて言ったらいいのか。いやもう今のこいつに会う一言なんてこれしかない。

 

「綺麗だ」

 

「んなっ!」

 

『お兄ちゃん〜?』

 

「悪いモカ。もうすぐしたらそっち行くから」

 

モカには悪いと思ったが電話を切らせてもらい蘭の姿をじっと見つめる。なんだ。こいつ本当に蘭なのか?

 

「ちょっと。いやらしい視線でこっち見ないで」

 

「いやだって……お前のその姿をまじまじとみるなって言う方が無理だぞ。お世辞とかじゃなくて、マジで綺麗だ」

 

「や、やめてよ…恥ずかしいから」

 

「無理だ。もし俺がお前の彼氏になってたら絶対抱きしめてる。それくらい今のお前は可愛いんだ」

 

「わ、わかったから!ほら、早く行くよ」

 

え、待って。こんな綺麗な蘭を今からつぐちゃんの家までエスコートするの?この俺が?場違いにもほどがある。

 

「くそ、こんな事なら俺ももうちょっと清潔感ある服でくればよかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いた。周りの視線が痛かったけど、何とかここまでくることができた」

 

「まだ帰りがある事を忘れたらダメだよ」

 

「うわマジか。もう一回この羞恥に晒されるのか」

 

つぐちゃんの家まで向かう中、こんな綺麗な蘭の隣に歩く俺は羞恥に晒されていた。通りかかる通行人から蘭への憧れのような視線と、何であんな奴があんな綺麗な子の隣にという嫌悪の視線が向けられていた。

 

「まぁ、夜は少しは暗くなるだろうしいっか」

 

「そうだね。それじゃあ蘭。扉をどうぞ」

 

「………の前に一つ言いたい事がある」

 

「ん、何だ?」

 

「………えっと、その……なんていうか」

 

なんだ?なんでそんなモジモジしてるんだ?何なんだ、言いたい事があるって………いや、もしかしてトイレに行きたいのか?でも、それを言いにくくてモジモジしてるとか?

 

「ら、ラテ」

 

「は、はい!」

 

「い、言うよ」

 

「お、おう」

 

すー、はー、すー、はー、と深呼吸を繰り返す蘭。なんだ、トイレじゃないのか?まぁ言われたところで俺はなにもできないけど。

 

「…………き」

 

「き?」

 

「……今日は、買い物に……付き合ってくれて……ありがとう…()()()

 

「えっ……………」

 

「そ、それだけだから!じゃあ私中入るから!!!」

 

急いでつぐちゃんの家の扉を開けて中に入っていった。その後聞こえるクラッカーの音も、みんなの叫び声が聞こえた気がしたが、俺の耳には深く入ってこなかった。

 

「蘭が……蘭が俺を……」

 

今日は蘭が誕生日の筈なのに、俺が逆にお祝いされた気分だ。蘭が俺のことを兄さんと呼んでくれたんだ。じゃあ俺はこうして返してあげるのが自然だろう。

 

「誕生日おめでとう、()よ」




巴の誕生日もすぐそばに迫っている。間に合うのか?
ネタすらなにも浮かんでないんだが……
感想と訂正があればお待ちしております。

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