のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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やったね、すぐ投稿できたよ。
ペルソナコラボに期待しまくっている私ブリザードです。


第26話 ラブレターをもらうラテ

「蘭、つぐちゃん、巴、ひまりちゃん。みんな集まってくれてありがとう」

 

「ラテ君が私たちを集めるってどうかしたの?モカちゃんは呼んでないみたいだけど」

 

俺は今日、モカ以外の4人を集めてつぐちゃん家のカフェに集まっていた。

 

「で、話って何?あたし忙しいんだけど」

 

「とか言いつつ呼び出したら来てくれる蘭の事が俺は大好きだぞ」

 

「う、うるさい!早く話して!」

 

蘭は顔を真っ赤にして俺に話を続けるように促す。なんだ、大好きって言われたのがそんなに恥ずかしかったのか?

 

「まぁ、モカを呼んでない理由は後で話すとして。今日さ、学校終わって帰ろうとしたら下駄箱にこんなものが入っててさ」

 

俺は下駄箱に入ってたものをみんなに見せる。

 

「これって……」

 

「手紙?」

 

「あぁ。それもかなり可愛い感じの手紙だな」

 

「ラテさん、これってまさか……」

 

「あぁ。中身も見たんだけど、どうやら俺宛のラブレターみたいだ」

 

「「「「ら、ラブレター!!??」」」」

 

みんなも驚きを隠せないようで声を上げる。当然の反応だ。俺だって驚いたわけだし。

 

「学校では1人も友達がいないラテに」

 

「クラスでも教室では友達いないから自分の席で本を読むことしかできないラテに」

 

「昼休みになっても友達いないから、1人でいつもご飯食べてるラテさんに」

 

「「「ラブレター!!??」」」

 

「み、みんな落ち着いて!ラテ君が傷ついて死んじゃうよ!」

 

なんでこいつら学校違うのに俺の学校生活知ってるんだよ。事実だから何も言い返せないけど。あ、やばい。泣きそうになって来た。モカがいたらすぐに抱きつくのに。

 

「嘘でしょ。そんな事ってあるの?」

 

「絶対何かの間違いだ。そうに違いない」

 

「うん。そうじゃなかったらきっと何かの前触れに違いない」

 

「うんうん。とりあえず警察に電話しよう」

 

「いや待て!これはきっとラテが勘違いしてるだけなんだ。警察じゃなくて救急車だろ」

 

「蘭、巴!110でよかったっけ?それとも、119!?」

 

「……ラテ君、大丈夫?」

 

「大丈夫じゃない。もう心ポッキリ折れそう。つぐちゃん、今日はモカがいないから俺の隣座ってくれない?もう誰かそばにいてくれないと辛いんだ」

 

「う、うん、いいよ」

 

「ありがとう。つぐちゃん」

 

つぐちゃんに席を移動してもらって俺の隣に座ってもらう。モカがいないと俺の味方はつぐちゃんしかいないみたいだ。

 

「今日って4月1日だっけ?」

 

「いや、9月だ。9月14日」

 

「嘘でしょ。エイプリルフールでもないのにこんなことって……」

 

「ら、ラテ君……」

 

「もうやだ。こんな事ならちゃんと相談に乗ってくれそうなつぐちゃんだけに相談すればよかった」

 

俺はいつの間にか机の下でつぐちゃんの手を握っていた。もうやだ耐えれない。誰かが俺の心をあっためてくれないと俺耐えれない。

 

「ふぅ……で、ラテ。これは本当にラブレターなの?」

 

「だからそう言ってるだろ!疑うなら中身見てみろよ!」

 

ゴクリ、と息を飲んだつぐちゃん以外の3人はゆっくりと手紙の封を開けていく。つぐちゃんだけ俺に寄り添っててくれていた。今日のつぐちゃん超優しい。いつも優しいけど。

 

「えっと……『前々から青葉くんの事が気になっていました。この気持ちをちゃんと言葉にしたいです。明日の放課後、体育館裏で待ってます』だって」

 

「嘘だろ。マジでラブレターじゃないか」

 

「でも、確かにこれ見たらモカは卒倒しそうだよね」

 

「あぁ。だからモカは今日呼ばなかった。幸いあいつはバイトだしな。ちょうどよかったよ」

 

「で、でも、ラテ君。これどうするの?」

 

「どうするって何が?」

 

「何がって……その、このラブレターの返事」

 

「あぁ。断るぞ。当たり前だろ?」

 

「だ、だよね。よかった」

 

つぐちゃんはほっ、と胸を撫で下ろした。当たり前だ。モカがいるのにこんな誰とも知らない子と付き合えるわけがない。

 

「答え決まってるならいいじゃん。なんであたし達を呼び出したの?」

 

「いや、どうやったら相手を悲しませずに断れるかなって。その相談をしたいんだ。流石に『妹が大好きだからあなたとは付き合えません』とは言えないだろ」

 

「え、ラテ………」

 

「な、なんだよ」

 

「そうやって断ったら傷つくってわかるんだ。シスコンのくせに」

 

「アタシも今のは凄いって思った。シスコンのラテだから絶対そうやって断ると思ったのに」

 

「ラテさん、シスコンだから女心なんてわかってないと思ってましたけど、そんな事なかったんですね。私感心しました!」

 

「みんな。もうラテ君の心が折れるの寸前だと思うよ?」

 

つぐちゃん、それは違う。折れる寸前じゃない。もう3人がかりで折られてるから。

 

「もういい。つぐちゃんとだけ相談する。みんなは帰っていいよ」

 

「あははっ、悪い悪い。冗談だよラテ」

 

「そうですよ!私たちあまりにびっくりしちゃっただけですから、ね、蘭?」

 

「うん。正直今年1番びっくりしてる」

 

「はぁ……まぁいい。で、どうやって断ればいいと思う?」

 

これが本題だ。女の子であるみんななら俺よりこの手の話はわかるだろう。

 

「そうだなぁ……ここはきっぱり断るのがいいんじゃないんですか?」

 

「と、言うと?」

 

「例えば……『ごめん、俺他に好きな人がいるんだ』みたいな感じで!」

 

「……その相手を聞かれたら?」

 

「えぇっと……『俺の、妹だ』って」

 

「それ結局なんも変わってないじゃん!結局俺ただのシスコンを超えたシスコンになるだけじゃん!」

 

「何言ってんの。ラテはもうシスコンを超えたシスコンでしょ」

 

「ありがとう」

 

「褒めてないから」

 

第1の作戦、失敗。

 

「じゃあ次、巴」

 

「アタシはこの手の話よくわからないからな……とりあえず、キープっていうのはどうだ?」

 

「いやダメだろ。俺別にこいつのこと知らねえし、そもそも断る気しかないし」

 

「だよなー。悪い、この案は無しだ」

 

第2の作戦も失敗。もうちょっとマシな案が欲しいものだ。

 

「次、蘭」

 

「思いつかない。次、つぐみ」

 

「えぇ!?」

 

「真面目に考えろよ!」

 

「真面目に考えた。でも思いつかない」

 

絶対真面目に考えてない。面倒臭いだけだろ。

 

「じゃあつぐちゃんは?」

 

「えっと………あ!ラテ君がもう彼女いるってことにしたらどうかな?」

 

「それを証明するには?」

 

「誰かがラテ君の学校についていく?」

 

「誰かって?」

 

「それは………蘭ちゃんとか?」

 

「なんであたし!?そこはつぐみに決まりでしょ!?」

 

「わ、私!?無理無理!絶対無理だよ!」

 

そんなに露骨に拒絶しなくても。俺のメンタルにも来るものがある。

 

「だって、つぐみ、ラテにはいつも優しいし、それにラテと1番仲良いのもつぐみでしょ?」

 

「仲良いって言ったらひまりちゃんもそうじゃないかな。ほら、ひまりちゃんよくラテ君と甘いもの巡りしてるし」

 

「私!?私はラテさんとじゃ釣り合わないし、ここは1番かっこいい巴に決まりでしょ!」

 

「かっこいいってなんだよ!そこは普通1番可愛いやつだろ。それならつぐに決まってる」

 

「1番可愛いのはひまりちゃんだよ!うん、絶対そう!」

 

「そんな事ないよー。可愛いのは蘭だと思うな〜」

 

「それはない。可愛いのは絶対つぐみでしょ」

 

なんだろうこれ。ずっと循環してるんだけど。ていうか話進まないし。ちなみに俺が1番可愛いと思ってるのは絶対モカである。ここは譲らない。

 

「と、とにかく!誰かラテ君と一緒に学校に行けばいいんじゃないかな?」

 

「てか、それならモカを連れていくのはダメなの?」

 

「モカなら兄妹ってバレるんじゃないのか?顔はあんまり似てないけど、髪の色とか一緒だし」

 

「てか、そもそもモカにはこの話ししたらダメなんでしょ。じゃあ無理」

 

「ならこの案も却下だな。他に何かないか?」

 

第3の作戦も失敗。なかなかいい案は浮かばないな。

 

「ていうかさ」

 

「ん?」

 

「相手を悲しませずに断るっていうのがそもそも無理なんじゃないですか?」

 

「それは………… 」

 

「確かにそうかも。勇気出してラブレター出してくれた相手にこんな相談してるのも失礼な話かもしれないね」

 

「いや、俺もそれは考えたけど、でもこんなものもらったの人生生まれて初めてだからよくわからないんだよ。だからこうして相談してるわけで」

 

「だったら尚更じゃないかな。ラテ君が初めてもらったラブレターの返事は自分が思ったことをそのまま伝えて、その上で無理っていう返事をするべきじゃないかな?」

 

「つぐちゃん……」

 

「だな。アタシもつぐの意見に賛成だ」

 

「あたしも。よくわからないけど」

 

「巴、蘭……」

 

確かにそうかもしれない。そもそもこうやって断ることを前提にして話すこと自体が相手に失礼な事だったのかもしれない。相手は顔も名前も知らないとはいえ勇気を出して送ってくれたんだから。

 

「そう……だな。うん、つぐちゃんの意見を参考にして明日ちゃんと断ることにするよ」

 

「うん!それがいいと思う!」

 

「ひまりちゃんも、蘭も巴もありがとう。()()礼は言っとく」

 

「いえいえ、どういたしまして!あ、お礼はケーキでいいですよ!」

 

「じゃああたしコーヒー」

 

「アタシは豚骨醤油ラーメンな」

 

「黙れ。前半あれだけ俺のことをバカにしたやつらに何かを奢る気なんてない。つぐちゃんは何が欲しい?」

 

今日のことは絶対許してやらない。相談に乗ってくれたことは感謝するが、それ以外のことは死んでも許さないからな。やっぱり持つべきものはつぐちゃんだ。

 

「私?うーん……じゃあ今度お店手伝って欲しいな」

 

「任せろ。いつでも手伝ってやるよ」

 

「うん!ありがとう、ラテ君!」

 

こうして俺たちはここで別れて、明日またここで集合という事で、俺は次の日のために早く寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

「………………」

 

今日はお店が忙しいという事で、つぐちゃんの部屋に集合という事になり、俺は裏口からつぐちゃんの家に入ってそのまま部屋へと向かった。

 

「あ、ラテさん!」

 

「お疲れ様。結果聞いてもいいかな?」

 

「………………」

 

「お兄ちゃん、聞いたよー。もー、モカちゃんに相談もしないなんて白状だな〜」

 

「悪いラテ。モカには黙っとくつもりだけど、ひまりがうっかり口を滑らしてさ」

 

「でも、モカもこの調子だし大丈夫だと思う…………ラテ?」

 

「お兄ちゃん〜?」

 

「………ん?あぁ、モカもいたのか。ごめん、気づかなかったよ」

 

そういえばノックをした記憶もない。女の子の部屋にノックもしないなんて俺は最低かもしれないな。

 

「お兄ちゃん、どうしたの〜?」

 

「ラテ君、大丈夫?なんだか顔色悪いみたいだけど」

 

「へっ……あ、あぁ。大丈夫。大丈夫だぞ」

 

「ラテ、何かあったの?」

 

「……………」

 

心配そうに俺の顔を見てくれるモカ達。ダメだな。なんとか明るく振る舞おうと思ったけど、これは無理だ。

 

「…………がらせだった」

 

「へっ?」

 

「嫌がらせだったんだよ。俺に対しての」

 

「え?」

 

「嘘!」

 

「そんな………」

 

「待ち合わせの場所向かったら、俺のクラスの奴らがいたんだ。あいつら笑ってやがった。まんまと騙されてやんの、みたいな顔してやがったよ」

 

「酷い……」

 

「なんだそれ……」

 

「俺の顔見て笑って、バカにしてきて。なんて言われたかも覚えてねえけどな。正直どうでもよかったし」

 

「お兄ちゃん……」

 

「いや、そもそも最初から気付くべきだったんだよ。あの手紙を見た瞬間に。差出人の名前が書かれてないことも、字体が女の子っぽくないこともさ。それに今日そいつらがなんか俺の方見てニヤニヤしてたし。はぁ、なんで気づかなかったんだろう」

 

手紙を見返してみれば気がついた。よくみれば字も男が書くようなあまり上手くないような字に、単純な文章。ちょっと考えればまるっきり嫌がらせってわかるのに。

 

「単純に俺が馬鹿だったってことだよ。初めてもらったラブレターをバカみたいに喜んで、断る気しかなかったのに、お前らに相談して。はあぁ……ほんと馬鹿だ」

 

「ラテ」

 

「ラテさん……」

 

「ラテ」

 

「ラテ君」

 

俺の今日起こった出来事を話しするだけで辛そうな表情を浮かべる。つぐちゃんとひまりちゃんなんて少し目に涙が浮かんでいるくらいだ。

 

「みんなが落ち込む必要はねえ。楽しみにしてたところで悪いな。ほら、さっきやまぶきベーカリーでパン買ってきたから、みんなで食べようぜ」

 

 

 

なんとかみんなに心配かけまいと明るく振舞ってみせる。店番していた沙綾も俺の顔を見た瞬間何かあったのかと聞いてきたが何もないで済ましてきた。きっとあいつにも心配かけちゃったし今度謝らねえとな。

 

「さっ!暗い話は終わりだ!明るい話でもして今日は」

 

「お兄ちゃん〜」

 

買ってきたパンを置いて床に座ろうとした瞬間、モカが俺の体に抱きついてそのまま俺を引き寄せた。

 

「も、モカ?」

 

「…………」

 

「どうした?俺なら大丈夫だぞ。だからこうやって抱きしめてくれなくても」

 

「……………」

 

「や、やめてくれよ。そんなことされたら、俺、耐えられなくなるだろ……」

 

「お兄ちゃん、部屋入ってきてからとーっても辛そうな顔をしてたよー」

 

「っ!?」

 

「お兄ちゃんが辛い顔見せないように我慢してるのはわかったよ〜」

 

「……あぁ。モカにはわかっちゃうよな」

 

「でも、お兄ちゃんが辛い顔をしてるのはあたしが見てられないから」

 

「……モカ」

 

「だから、モカちゃんがこうやって癒してあげるんだよ〜」

 

「も、か………」

 

優しくも、そして暖かいモカの抱擁に俺はその場に崩れ落ちた。そんな崩れ落ちた俺を包み込むように抱きしめつつ、頭を暖かい手で優しく、あやすように撫でてくれるモカに俺の保っていた理性までもが崩れ落ちた。

 

「俺、俺さ、嬉しかったんだよ。でもさ、それが一瞬で壊されて」

 

「そーだね〜。辛かったよねー。でもだいじょーぶー。モカちゃんはいつでもお兄ちゃんと一緒にいるよー」

 

「期待してたんだ。初めてだったのに。それなのに……」

 

「言わなくてもわかるよー。だってお兄ちゃんだもん」

 

「バカにされたのは悔しくない。でも、何より騙された自分に腹が立って」

 

「お兄ちゃんは悪くないよー。悪いのはお兄ちゃんは騙した人たちだから〜」

 

「モカ……ごめん。ごめんな、こんなダメな兄貴で」

 

「ダメじゃないよ〜。お兄ちゃんはいつでもあたしに優しくて、頼りになって、かっこいいんだよー」

 

「ありがとう。それで、ごめんな、心配かけて。ちょっとだけ。ほんのちょっとだけモカに甘えてもいいか?今日だけだから」

 

「もちろーん。モカちゃんはお兄ちゃんの事が大好きだからね〜」

 

こんな状態の俺でもいつも通りののんびりとした口調で俺を励ましてくれるモカ。そんなモカの胸で俺はいつぶりになるかわからない大粒の涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫。モカ、ありがとう」

 

「どういたしまして〜」

 

数分くらいモカの胸の中で涙を流した俺はモカの胸の気持ち良さにちょっと寂しさも残しつつモカから離れた。

 

「本当にモカがいてくれてよかったよ。やっぱり俺モカなしじゃ生きていけないな」

 

「モカちゃんもお兄ちゃんがいないと生きていけないから大丈夫だよ〜」

 

「それもそうか。じゃあモカとは一生一緒にいないとな」

 

「そうじゃないとモカちゃんが餓死して困っちゃうからねー」

 

えへへー、と笑いつつ俺の隣に座って俺にもたれかかるモカ。やばい。最高に可愛い。

 

「よし!みんなも心配かけてごめんな。これは俺の奢りだからみんな存分に………ってあれ、みんなどうした?」

 

1人2個ずつ買ったパンを机の上に置いていこうとしたが、なぜかみんな俺たちの方を見ようとしない。

 

「おーい、蘭ー?巴?ひまりちゃんにつぐちゃんも。みんな大丈夫か?」

 

「あんなの見せられて大丈夫なわけないじゃん……」

 

「ヤバイな。兄妹だってわかってるのにあんなにドキドキするものを見たのはアタシ初めてだ」

 

「うん。私も最初は泣きそうになってたけど、モカの表情を見てたら、なんていうか胸が熱くなって」

 

「ダメ。顔が火照って……どうしよう、熱いのが冷め切らないよ!」

 

あれ?もしかしてこれはやってしまったやつか?

 

「と、とりあえず飲み物も買ってきたから先にこっちのむか?」

 

「飲む」

 

「くれ!」

 

「ラテさん、私も!」

 

「私も欲しい!」

 

飲み物を差し出すと、各々欲しいものをバッ、と取ってそれを音を立てて飲んでいく。

 

「………ぷはっ、生き返った」

 

「なんだろうな。ラテを励ましてやらないといけないのに」

 

「ラテさんが凄く妬ましい……というか羨ましいよね」

 

「あんなことするモカちゃんも初めて見ちゃったから」

 

「確かに。モカってあんなに大胆だったんだね」

 

「大胆なんてひどいな〜。モカちゃんはただお兄ちゃんに元気になって欲しかっただけだよ〜」

 

「その方法が大胆だって言ってるの!!」

 

「そーかな〜?お兄ちゃん、普通だよねー?」

 

「いや、普通ではないと思う。でも、嬉しかったのは事実だから。ありがとうモカ」

 

「えへへー。お兄ちゃん、膝の上座るよ〜」

 

「あぁ。いいぞ」

 

モカは袋の中からパンを1つ取り出してそのまま俺の膝の上に座ってもたれかかる。モカなりに俺のことを励まそうと頑張ってくれたんだ。俺もちゃんとモカにお礼をしないといけないな。

 

「なんだか私たち、モカに負けた気分」

 

「いや、実際アタシ達はモカに負けてるだろ」

 

「ていうか多分一生勝てない」

 

「で、でも、私もラテ君の事元気付けたかったのに、モカちゃんに全部取られてなんだか悔しい」

 

4人は顔を見合わせてコクリ、と頷くと、全員でジリジリとにじり寄ってきた。

 

「み、みんな?どうした?」

 

「今度はアタシ達がラテの事を元気付けてやるよ」

 

「とりあえず今日はつぐの家でお泊まり会です!」

 

「はぁ!?」

 

「元々そのつもりだったから、お父さんとお母さんにも話してあるから大丈夫だよ」

 

「ラテ、覚悟して」

 

「いや、そもそも俺着替えとか持ってない…………あぁもうわかった!付き合ってやるよ!なにするか知らないけど、全員かかってこい!!」

 

「みんなー、頑張って〜あむ」

 

俺の膝の上で呑気にパンを食べるモカを放って俺たち5人は全員で遊べるパーティゲームなどで大いに盛り上がった。今日は最悪な1日でもあったが、最高の1日でもあったと、俺は心の底からそう思うことができる1日だった。




いきなり少しシリアスな話にしちゃいましたね。
本気でラテを励ますモカを描きたかったんです。
書いててすごく楽しかったですよw

感想と訂正があればお待ちしております。

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