のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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1周年ガチャでモカちゃん当てるために本気になったブリザード。
10連引いた数は7回。
モカちゃん一点狙いで引きまくった結果。
一度だけ虹色が。
結果、はぐみちゃん。

























あなたじゃないよっ!!!

とガチャ引いてる時に本気で突っ込んだブリザードでした。
まぁ、本気になっても当たらないんだな。
それならせめて花音さんが良かったと思いましたね。
もう泣きそうでした。


第20話 シスコン2人と膝枕するモカ

「たっだいまー!」

 

「蘭ちゃんモカちゃん、お留守番ありがとう」

 

「別に。それよりモカが」

 

「モカがどうかしたのか!!」

 

「お兄ちゃ〜ん」

 

パラソルの下で寝転んでいるモカが甘える声で俺の名を呼ぶのが聞こえる。よく見ると少しぐったりしてるようにも見える。

 

「モカ、どうした?具合悪いのか?」

 

「お腹すいた〜」

 

「よし。何食いたい?今すぐお兄ちゃんが買って来てやる!!」

 

「モカちゃんはお兄ちゃんが買って来てくれたものなら何でもいいよ〜」

 

「よしわかった。今すぐ海の家のメニュー全部買って来てやるから!!おい、みんな!モカのピンチだ!財布よこせっ!!」

 

「「「1人で勝手に行ってこい」」」

 

「ら、ラテ君。落ち着いて」

 

今すぐにでも走り出しそうな俺をつぐちゃん以外の3人がきつい口調で言ってくる。おかしい。俺にいつも敬語で話してくれるひまりちゃんまでそんな風に言うなんて。

 

「ご、ごめん。なんか焦ってたかも」

 

「あはは……で、でもラテ君1人だったら大変だと思うし、誰か付き添いでついて行ってあげた方がいいんじゃないかな?」

 

つぐちゃん優しすぎる。俺のことを心配してくれるのはモカとつぐちゃんしかいないんだ。他3人はみんな俺のことがきっと嫌いなんだ。だからあんな風に言うんだ。そうに違いない。

 

「あたしはパス。暑いし」

 

「モカちゃんはお腹すいて動けないよ〜」

 

「蘭もモカもそんなのずるいっ!ここは公平にじゃんけんで決めよ。ラテさん以外で」

 

「そこで無条件で俺を連れていこうとするひまりちゃんはもうついてくるの確定でいいと思う」

 

まぁ女の子だけで行かせてもなにが起こるかわからないし別にいいんだけど。万が一モカがナンパされるものなら、そいつは死刑にしてもいいと思うくらいだ。

 

「まぁ、ラテは確定でいいとしても、あと2人くらい付き添いでついて行った方がいいかもな」

 

「そうだね。この人数だしそれがいいと思う」

 

「全部ラテに任せたらいいと思う」

 

「おい蘭。お前だけ飯抜きにするぞ」

 

ひまりちゃんだけでなく、巴と蘭も俺が飯買いに行くのは確定のような言い方。まぁ別にいいんだけど。なんか気に入らない。

 

「じゃあいくよー!最初はグー、じゃんけん」

 

「「「「「ポンッ!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人ともあんま俺から離れるなよ?この時間だから人多いし逸れたら大変だからな」

 

「だいじょーぶ〜。お兄ちゃんの手握ってるからー」

 

「アタシも一応心配してくれてるのか?」

 

「当然だろ。巴も女の子なんだし」

 

結局負けたのはモカと巴だった。腹が減って力が出ないのか、モカは俺の手を握りながら俺にもたれかかっている。

 

「あー……なんだ。あんまりそういうことはないから、なんていうか照れくさいな」

 

「お兄ちゃん、あたしは〜?」

 

「俺以外の男には触ることすら許されない神聖な妹。触ったら天罰が下る」

 

「えへへ〜」

 

「いや、そこまで言うのかよ。少し落ち着け」

 

モカに近づく男は全員抹殺してやる。さぁ、全員かかってくるといい。というのは冗談だとして。

 

「ほらモカ、しっかりしろ。もう少しでご飯だから」

 

「むりー。もうモカちゃんの体力はこの暑さと空腹でほとんど残ってないんだよ〜」

 

俺の手と腕をぐっと組んでぐったりしているモカ。そんなモカも可愛いと思うのだが、暑さが苦手な俺からすればこれだけくっつかれるのも少し辛いところがある。

 

「俺も暑いの我慢してるんだから、モカももうちょっと頑張ってくれよ。それに、お前ずっとパラソルの下で寝転んでただけなんじゃないのか?」

 

「そんな事ないよ〜。モカちゃんはお兄ちゃんがいない間にいーっぱい体力使ったんだー」

 

「へぇ。どんなことに?」

 

「んーとねー。カバンからパン取り出したりー、飲み物取り出したり」

 

「………他は?」

 

「蘭とおしゃべりしたり、後はぼけーっとしたりもしたよ〜」

 

「体力使うことほとんどしてねえじゃん」

 

「そんな事ないよー。お兄ちゃんはわかってないな〜」

 

モカの思考回路全て理解できるやつなんていない。そんなやつがいるものなら、モカと付き合う事を考えてやらないこともなくはない。百歩…………いや、五百歩譲って許してやらないこともなくはない。

 

「それにしても、中々列が進まないな」

 

「そりゃそうだろ。昼時だし、食べにくるやつは多いだろうしな」

 

「お兄ちゃん、モカちゃん疲れたよ〜」

 

「もうちょっとだから我慢しよーぜ」

 

「つかれた〜あづい〜しぬ〜……」

 

「はいはい」

 

ため息をつきながらも再度俺にもたれかかるモカの頭をよしよしと優しく撫でてあげる。もう暑いのとかどうでもいいや。モカを甘やかしてこの暑さを誤魔化すとしよう。

 

「きもちいい〜。もっとー」

 

「あぁ。いくらでも」

 

目を細めてきもちよさそうにするモカの頭を撫でながらも、列が進むのを待つ。あぁ、なんて至福なひとときなんだ。

 

「な、なぁ、ラテ?そろそろ周りの視線が痛くなってきたんだけど」

 

「周りの視線?」

 

そういえばさっきから周りの人たちが俺たちの事をじーっと見ているような気がする。気のせいだと思ったけどそんな事もないのか?

 

「でもなんで視線集めて……」

 

「いやいや!気づけよ!それだよそれっ!」

 

「それ?」

 

「モカの頭を撫でてる手だ!」

 

……あぁ、そういうことか。モカの頭を撫でるのが、こんなところでもイチャイチャカップルに見えると。

 

「いや、モカとはカップルじゃなく、兄妹だからやめる必要ないな。なぁ?」

 

「そーだよ〜。今お兄ちゃんが手を止めたらモカちゃん死んじゃうよ〜」

 

「なら仕方ない。ずっと撫で続けてやろう」

 

「アタシが周りの視線でやられてしまいそうだからやめてくれ!」

 

「巴はモカが死んでもいいのかっ!!」

 

「頭撫でるのやめるくらいで死ぬわけないだろっ!」

 

「トモちん、これはモカちゃんのしかつもんだいでもあるんだよ〜」

 

「…………もういい。アタシが悪かった」

 

「分かればいいんだよ分かれば」

 

よし論破した。巴だってあこちゃんというモカには及ばないが、超絶可愛い妹がいるんだから、この頭を撫でてあげた時の妹の反応のときめいた表情がわからないはずないのに。

 

「なぁ、巴ママ」

 

「誰が巴ママだっ!!」

 

「あこちゃんにはよくこういうことしてやらないのか?」

 

「あこに?んー……たまにするけど?」

 

「だったらわかるだろう?妹の頭を撫でた時のこの表情。気持ちよさそうにしながらかつもっとしてほしいとねだるように頭を寄せてくれるこの妹の表情が。お前はなんとも思わないのか?」

 

「まぁ確かに可愛いとは思うぞ。あこだってモカに劣らず可愛いしな。この前だってアタシの事を世界一カッコイイドラマーだって、嬉しいこと言ってくれるしな」

 

…………言ってくれるな。あこちゃんが可愛いのは認める。そこは認めよう。だが、モカに劣らずだと?

 

「巴。お前は今俺の触れてはいけない所に触れてしまったな?」

 

「え、何がだ?」

 

「モカがあこちゃんに劣ってるわけないだろ!世界一可愛い妹はモカだ!異論は認めないっ!」

 

「なっ……いや、あこの方が可愛いね。これはラテにも譲れないな。お前がモカの事を好きなのはわかるが、アタシだって同じ気持ちで負けてるとは思ってないぞ」

 

「ほぉ、じゃあどっちが妹のいいところを言えるか勝負しようじゃねえか」

 

「いいぜ。負けたら今日の昼飯全員ぶん奢りだからな」

 

「乗ったっ!!」

 

「お兄ちゃん、そんな低レベルな話してないで、モカちゃんをたすけてよ〜」

 

「「低レベル言うなっ!!」」

 

「怒られたー……しくしく」

 

低レベルなわけがない。これはお互いに妹を持つもの同士、負けられない戦いである。どっちが可愛い妹の事をよくわかっているか。そんな勝負で常にモカを愛し続けている俺が負けてはいられない。

 

「負けた時の顔が眼に浮かぶな、巴」

 

「そっちこそ。負けた後に後悔するなよっ」

 

「…………あ、もしもし、ひーちゃん?ちょっと来て〜。トモちんとお兄ちゃんが壊れちゃった〜」

 

そして、戦いの火蓋は切られた。列を進む事を忘れて俺と巴のどちらが妹の事をより好きかという話は周りに観客ができるほど人を集め、それはひまりちゃん達が俺たちを止めに来るまでずっと続いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もぉ!2人して何してるの!!」

 

「「ごめんなさい」」

 

「ラテさんはいつも通りだとしても、どうしてそこに巴がラテさんの話に乗っかるの!!」

 

「いや、なんていうか、ちょっとあこが劣ってるって思ったら、なんていうか姉貴として負けられない気持ちが溢れ出してきて」

 

「でもびっくりしたよ。モカちゃんから電話あった時は何事かと思っちゃった」

 

ひまりちゃんが止めに来てくれた後、財布をロッカーに戻し、無事に6人ぶんの昼飯を俺たちはひまりちゃんの説教を巴と2人正座して聞いていた。迷惑かけた罰として俺と巴が昼飯を奢ることになってしまった。

 

「私達がどれだけあの中に入るのが恥ずかしかったか、2人ともわかってるのっ!!」

 

「わ、悪かったって。ほら、ひまりちゃんの好きなアイスとラムネも買って来てあげたから」

 

「ホント!?わーい!ラテさんありがとうっ!」

 

物で簡単に許してくれるひまりちゃん。本当にちょろい。ちょろすぎる。

 

「さてと、じゃあ俺たちも飯食べるか」

 

「だな」

 

「ごちそうさま〜」

 

「モカちゃん食べるのはやっ!?」

 

空腹で倒れそうになっていたモカは俺たちが説教されてるのを無視して先に海の家で買った焼きそばをもう完食していた。

 

「お兄ちゃん、お腹いっぱいになって眠くなってきちゃった」

 

「食ってすぐ寝たら牛になるぞ」

 

「牛じゃないよ〜。モカちゃんだよー」

 

「いや、それは知ってるけど」

 

「て事で膝貸してね〜」

 

いいよ、という間も無く俺の膝を枕にして寝転ぶモカ。そしてそのまま10秒もたたないうちに寝息を立てていた。

 

「………こいつ海来たのに何にもしてないな」

 

「確かに。せっかく海に来たのにもったいない」

 

「実はモカちゃん昨日楽しみにしててよく眠れなかったとか?」

 

「モカに限ってそれないと思う」

 

「あぁ。でも仕方ないな。午後は蘭を加えて遊ぶとするか」

 

こうなってしまった以上俺とモカは必然的に留守番だ。モカが起きたら混ざることはできると思うけど。

 

「あたしも留守番がいい。暑いし」

 

「ダメだよ蘭!蘭だって海来てから何もしてないんだし遊ばないとっ!」

 

「だな。午後はせっかく海に来たんだし泳ぐとするか」

 

「いやあたしは…………わかった」

 

ひまりちゃんと巴に押されたのか、蘭も結局遊ぶことを決めたようだ。てか、モカにしろ蘭にしろどんだけ暑いの嫌なんだよ。

 

「つぐはどうする?」

 

「私は……ちょっと休憩してからいこうかな?ちょっと疲れちゃったし」

 

「つぐは午前中アタシ達にボロボロにされたから仕方ないか」

 

「あはは……休憩したらすぐ向かうから」

 

「わかった。よし、ひまり。蘭も行くぞ」

 

「おぉっ!」

 

「ちょ、もう少し休憩してからでも……!」

 

浮き輪を持った巴とひまりちゃんに腕を引かれ蘭もそのままついて行ってしまった。蘭はともかく巴とひまりちゃんは元気すぎる。

 

「つぐちゃんは大丈夫か?疲れたんだったら寝転んでてもいいけど。なんだったら飲み物とかもだそうか?」

 

「あ、ううん、大丈夫だよ。疲れたって言っても寝転ぶほどじゃないから」

 

「そうか?ならいいんだけど」

 

「うぅ…………あつい〜」

 

「モカ?」

 

俺の膝を枕にして寝ているモカが寝返りをうった。どうやら寝言みたいだ。

 

「モカちゃん苦しそうだね?」

 

「そりゃまぁこの暑さだし、パラソルの下といっても暑いんだろ」

 

つぐちゃんと話しながらもクーラーボックスの中に手を伸ばし、中に入っている保冷剤に手に取る。そして、それをタオルで包んでモカの頬に優しく当ててあげる。

 

「………きもちいい〜」

 

「そりゃよかった」

 

「ラテ君凄い……モカちゃんへの対処をあんな一瞬で」

 

「まぁなんだかんだ言ってももうずっとモカの面倒は見て来てるしな。これくらいなら当然だよ。はいこれ、つぐちゃんの分」

 

「あ、ありがとう」

 

保冷剤をもう1つ取り出してタオルで包みそれをつぐちゃんに渡してあげた。

 

「はぁ。冷たくて気持ちいい〜」

 

「だろ?」

 

「うん。ありがとうラテ君」

 

「どういたしまして」

 

にしても本当に暑いな。よく蘭とモカはこんな暑い中ここでじっとしてられたな。これならビーチで遊んでる方が絶対にマシだと思うんだけど。

 

()()()()()()()()

 

「え、今何て?」

 

「ううん、なんでもない。私そろそろ巴ちゃん達の所に行ってくるね」

 

「あ、うん。気をつけてな」

 

「うん!」

 

つぐちゃんはよいしょ、と言って立ち上がりそのまま走って巴達がいる方へと走って行った。

 

「さて、どうしようか」

 

普段なら本とか持って来てるんだが、今日は海に行くということでそういうのは何も持って来ていない。できる事と言えば、今俺の膝を枕にして寝ているモカの頭を優しく撫でてあげることだけ。

 

「………俺も少し寝ようかな」

 

モカの気持ちよさそうな寝顔を見ているとこっちまで眠たくなって来た。いったいどんな夢を見ているのやら……

 

「ダメだ……ちょっとだけ。ちょっとだけ俺も寝よう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………うう…ん」

 

「……あ、起きた〜?」

 

「…………も……か……?」

 

「そーだよ〜。モカちゃんだよー」

 

目を覚ますと、目の前にはモカの顔が。どうやら俺が眠ってからはモカが代わりに俺に膝枕をしてくれてたみたいだ。

 

「……悪い。俺いつの間にか寝てたみたいだ。どのくらい寝てた?」

 

「うーん……1時間くらいかな〜?あたしが起きてからそれくらい寝てたと思うよ?」

 

「そっか。悪いな。モカが気持ちよく寝てたのを邪魔しちゃったみたいで」

 

「だいじょーぶー。お兄ちゃんの寝顔を弄ったり、写真もばっちし撮っておいたよ〜。ほら〜」

 

モカの携帯の画面には、モカに膝枕されながらも気持ちよさそうに眠る俺の顔が。

 

「いや、それ恥ずかしいから消して欲しいんだけど」

 

「ダメだよー。これはモカちゃんの携帯のまちうけにするから〜」

 

「消しなさいっ!そんな事に使うなら絶対に消しなさい!!」

 

「えー。そんな〜」

 

「いいからっ!」

 

「はーい」

 

しょぼーん、と悲しそうな顔をしつつもモカは俺の寝顔写真を消して見せた。待ち受けに使ってくれるのは嬉しいけど、流石にそれは恥ずかしい。せめてツーショットならまだしも。あ、俺の待ち受けがそうだった。

 

「そういえばみんなは?まだ戻って来てないのか?」

 

「今さっき蘭がきゅーけいに戻って来たくらいかな〜?」

 

……なんてこった。蘭が戻って来たということは俺がモカに膝枕されて寝ているところをばっちし見られてしまったということじゃないか。

 

「でも、お兄ちゃんとあたしの姿みたらすぐに戻って行ったよー」

 

「え、そうなのか?」

 

「なんか蘭の顔がものすごーく赤くなってたよ」

 

「なんで?あいつまさか暑いの我慢してるとか?」

 

「なんでだろー?」

 

別に俺とモカが常一緒にいるところなんてあいつは見飽きてるはずだし、恥ずかしがる事は何もないはずだ。何故だ?

 

「まぁいいや。それより、モカも遊んで来たらどうだ?今日1日ずっとここから動いてないだろ?」

 

「今のモカちゃんはお兄ちゃんと一緒にいたい気分だから別にいいー」

 

「うん。それは俺も同じ気持ちだけど、折角海に来たんだし、モカもみんなと一緒に遊びたいだろ?」

 

「そうだねー。遊びたいよー。でもー」

 

「でも?」

 

「お兄ちゃんがあたしの足から頭どけてくれないと動けないよー?」

 

「………モカの膝枕が気持ちよくて動きたくないんだ」

 

モカの膝枕。いつもは俺がするけど、今日はめずらしくモカがしてくれてることに加え、水着も着用している。上を向けば、可愛いモカの顔が目の前にあり、ふと目をそらせばモカの成長中の胸があり、頭に意識を集中させればモカの柔らかい太ももが感じられる。正直に言おう。ここから一歩も動きたくない。

 

「言ってる事とやってる事が全く違うよー?」

 

「……許せ。お兄ちゃんもうモカを離したくないんだ。なんていうかもう俺死んでもいいと思ってるから」

 

「お兄ちゃんが死んだらモカちゃんも死んじゃうよ〜?」

 

「それはダメだ。てことで俺はここから一歩も動かない」

 

「ダメ、ですっ!!」

 

パコーンっ!という音が俺の頭に響いた。何事かと思い起き上がると、いつの間にか戻って来ていたひまりちゃんの姿が。

 

「いったぁ!!」

 

「私達が遊びに行ってからいつまでたっても来ないと思ったら2人で何やってるんですか!」

 

「モカに膝枕してもらってる」

 

「お兄ちゃんに膝枕してるんだよ〜」

 

「この兄妹は………蘭が顔真っ赤で戻って来た意味がわかったかも」

 

「ひーちゃん、ため息ついたら幸せが逃げちゃうよ〜」

 

「誰のせいだと思ってるのっ!」

 

「ひーちゃんが怒ったー」

 

俺たちのやり取りを見てため息をついたひまりちゃん。

 

「あれ?他の3人は?」

 

「私が2人を呼びに来たんです。折角海に来たんだから、6人で遊ばないと」

 

「いや、荷物番いないと危ないだろ?」

 

「だいじょーぶ。貴重な物は全部ロッカーに入れてあるんですし、こんな人が多いところで泥棒を働くような人はいませんよ!」

 

「………それもそうか」

 

ここに残ってるものといえば、パラソルとシートと飲み物を入れたクーラーボックスくらいのもの。これなら誰も盗む奴はいるはずないか。

 

「だからほら。モカもラテさんも一緒に遊びましょうっ!!」

 

「はいはいわかったよ」

 

「あついよ〜お兄ちゃんおんぶー」

 

「今から遊ぼうとしてるのにおんぶしてどうするんだ」

 

「しかたないな〜」

 

呟きながらも、ひまりちゃんの隣を歩くモカ。どれだけ動きたくないんだうちの妹は。

 

「お、やっと戻って来た」

 

「遅い」

 

「モカちゃん、ラテ君!こっちこっち」

 

「お兄ちゃん、やっぱりおんぶして〜」

 

「もぉ!モカ、しっかり!」

 

モカがいて、蘭も巴もつぐちゃんもひまりちゃんもいて。こうして6人で遠出する事はなかなかないけど、やっぱりこいつらと一緒にいると楽しいな。

 

「みんな、何しよっか?」

 

「ラテの顔にボールをぶつけるゲームは?」

 

「蘭、お前俺に何の恨みがあるんだ」

 

「恨みはないけど、なんかムカついたから」

 

「り、理不尽すぎる」

 

俺が一体何をしたって言うんだ。

 

「とりあえず、折角海に来たんだし、ラテを砂で埋めるとするか」

 

「はぁ!?ふざけんな!!何で俺がそんな目に!」

 

「さんせーっ!つぐもいいよね?」

 

「そう…だね。ちょっと楽しそうかも!」

 

「つぐちゃんっ!?」

 

俺の良心である2人のうちのつぐちゃんが俺のことを裏切った。どうして……つぐちゃんの事を信じてたのに。

 

「お兄ちゃん〜」

 

「モカ……」

 

そうだ。俺にはまだモカがいる。この子さえいれば俺はきっと……

 

「楽しいそうだから、モカちゃんもさんせ〜」

 

「……裏切られた」

 

「それーっ!みんなかかれー!」

 

ひまりちゃんの掛け声とともに一斉に襲いかかってくる5人。俺はなすすべもなく砂で埋められてしまったのだった。




絶対に巴はシスコンである。確信です。
あの姉妹は揃ってシスコンである、と。
まぁ、見てればわかりますよねw

モカに膝枕して欲しいです。
あれだけ引いて当たらなかった自分を癒して欲しいです。
感想と訂正があればお待ちしております。

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