のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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びっくりしました。
昨日までお気に入り数320件くらいだったのに400件まで跳ね上がり
日間ランキング8位になっていました。
とても嬉しいです。お気に入り追加、また評価してくれた方々。ありがとうございます!

て事で、嬉しいあまりの投稿です。



第15話 毎月の恒例行事とラテを慕う第2の妹

放課後。俺とモカは待ち合わせをして一緒に帰っていた。モカの他に蘭と巴も一緒にいる。

 

「ふんふーん♪」

 

「モカ。今日はなんだかご機嫌だな?」

 

「あ、わかる〜?なんてったって今日はお兄ちゃんとモカちゃんの毎月の恒例行事だからね〜」

 

「恒例行事?この後何かあるの?」

 

「そうだよー。ねー、お兄ちゃん?」

 

「あぁ。俺が高校生になってバイト始めてから毎月の事だからな。俺もモカも両方ハッピーになれるんだよ」

 

「いや、お前ら2人は一緒にいたら常にハッピーだろ。でも……少し気になるな。その恒例行事って」

 

少し遠回しの言い方をしてるから、巴もどんな感じなのか少し気になるみたいだ。

 

「あ、だったら巴も付いて来るか?」

 

「いいのか?」

 

「あぁ。巴も来たらあいつも喜ぶだろうし」

 

「なんだ?他にも誰かいるのか?」

 

「まぁそれはお楽しみで。どうする?」

 

「そうだな。アタシも今日は予定ないし付いて行くとするか。蘭はどうする?」

 

「別にいいよ。あたしも今日は予定ないし」

 

毎月の恒例行事に巴と蘭の参加も決定した。

 

「じゃあ行くか。とりあえず一回家に帰ってからじゃないとな。荷物置かないと」

 

「なんだ?そんな大荷物になるのか?」

 

「そうだなー……10袋くらいいくな」

 

「10!!?」

 

「2人とも何するつもり?」

 

「まぁ付いてきたらわかるよ。なっ?」

 

「うん。お兄ちゃん、今日もお願いするね〜」

 

「あぁ。任せとけ!」

 

「わ〜い」

 

モカと一緒に腕を組みながら俺たちは一旦家へと歩き始めた。

 

「一体なんだろうね?」

 

「アタシ達も付いて行っていいって事はそんな大した事じゃないと思うけどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いた〜」

 

「あれ?ここって……」

 

「まぁ、そんな事だろうと思ってたよ」

 

家に戻って荷物を置いた後、俺たちは目的地へと歩いた。目的地とは商店街にあるやまぶきベーカリーの事である。そう。モカが常日頃通うこの場所で、俺たちは恒例行事を行うのであった。

 

「ではでは〜」

 

モカがお店の扉を開けて俺たちがそれに続くようにして中に入って行く。

 

「いらっしゃいませー。あ、モカ。それにラテさんも。くると思ってたから今日は奮発してあるよー!」

 

中に入ると店番をしていた沙綾が俺たちに声をかけてくれる。まぁ、この日はいつも沙綾が接客をしてくれるから当然といえば当然なのだが。

 

「流石さーや。わかってるね〜」

 

「あ、巴と蘭も来たんだ。2人ともモカ達の付き添い?」

 

「あぁ。2人が毎月の恒例行事だ、って言うからちょっと気になってな」

 

「2人がここにくるのって別にいつもの事なんじゃないの?」

 

「えーっと……まぁ、そうなんだけどね。今日は特別なの。初めて見るならびっくりするかもしれないよ?」

 

「どういうことだ?」

 

「まぁ、見てたらわかるよ」

 

俺とモカはトレイとトングをとってパンを取り始める。

 

「まぁ、メロンパンは外せないよな。とりあえず5個くらいだな」

 

「モカちゃんの分も合わせて10個は必要だよ〜」

 

「っと、それもそうか。それじゃあ」

 

まず1つのトレイに計10個のメロンパンを乗せてそれをレジの前に置く。

 

「あ、お兄ちゃん。チョココロネまだあるから欲しい〜」

 

「おう、別にいいぞ。好きなだけ取ればいい」

 

「わ〜い。あ、クロワッサンは〜?」

 

「おー。それも外せないな。んー……とりあえず15個くらい取るか」

 

「はーい」

 

今度はチョココロネを5個とクロワッサンを15個乗せてそれをレジの前に置く。

 

「……………なにあれ?」

 

「あ、あんなに食べるのか……?」

 

「ねっ、びっくりしたでしょ?」

 

「いやいやいや!おかしいだろ!?今放課後だぞ!」

 

「明日食べるぶんにしたとしてもあの量はおかしいと思う」

 

「まぁ、かれこれ1年くらいあの光景見てるんだよね〜。なんかもう慣れちゃった」

 

「慣れちゃったって………あぁ、もう!ラテに聞いて来る」

 

沙綾と話していた巴がズンズンと俺に近寄って来る。一体どうしたんだ?

 

「ラテ。これはなんだ?」

 

「え、何って。俺たちが食うパンだけど」

 

「……今日食うのか?」

 

「もちろん。言っただろ。毎月の恒例行事だって」

 

「お兄ちゃん〜、クリームパンはー?」

 

「んー……それも10個くらい買うか」

 

巴の相手をしつつもパンを次々とトレイにのせていく。もう全部で40個を超えそうになっていた。

 

「ラテ。恒例行事って一体どういう事なんだ?」

 

「ん?あぁ!そういえば説明してなかったな。俺今日給料日なんだよ」

 

「給料日?」

 

「それってラテのバイト先の?」

 

「そっ。いやー、バイト始めたものの貯金とモカへのプレゼント以外は使い道がなくてさ。何に使おうかなって思ってた時にモカが言ったんだよ。『毎月のこの日はお兄ちゃんとモカちゃんのパンの日にしよう〜』って」

 

「………ラテのモカの真似。気持ち悪いな」

 

「うん。いつも通りだけど、ラテキモい」

 

「突っ込むとこそこなのか!!!」

 

確かに自分でも少し気持ち悪いなって思ったけど。

 

「話戻すけど、それはいい考えだなって思ってさ。給料日になるたびに俺とモカがここのパンを大量に買って帰るんだ。まぁ、大抵は1日で全部なくなるんだけどな。調子が悪かったら次の日まで延びる」

 

「嘘だろ?」

 

「なんでラテもモカも太らないの?」

 

「んー……まぁ俺のバイト先は結構忙しいからな。ホールとかキッチンとか走り回ってたら自然とこの体型を維持できるようになった」

 

ちなみに俺のバイト先は飲食店だ。モカは母さんと1度来たことがあるけど、それ以外のみんなはまだ来たことがない。

 

「あたしはひーちゃんにカロリー送ってるからね〜」

 

「モカ。そのネタまだ使うのか?」

 

「ネタじゃないよ〜。事実だもん」

 

「まぁそういうことだよ」

 

「うちとしてはありがたいんだよねー。この日だけはいつもより売り上げ上がるし。何より、それだけうちのパンがこの2人に気に入ってもらってるってことなんだし」

 

「やまぶきベーカリーのパンは最高だよ〜」

 

「あぁ。沙綾みたいな可愛い店員もいる事だしな」

 

「もう。またすぐそういう事言う。おまけなんてしませんよ?」

 

「しなくていいよ。お世話になってるんだしちゃんと全部払うさ」

 

俺と巴が話してる時も。今こうやって俺と沙綾が話してる間にもモカは次々とパンを撮り続けていた。

 

「そういえばモカ。今日昼ごはん食べてなかったよね?もしかして……」

 

「そーだよー。この日のためにお腹を空かしてたんだ〜」

 

「俺も今日は昼飯食ってないしな。これを帰ってから2人で黙々と食べ続ける。それが俺とモカの恒例行事だ」

 

ドヤ顔で決めて見せたが、巴と蘭は顔を青ざめさせるだけだった。おかしいな。俺変なこと言ったんだろうか?

 

「………そうだ。蘭とトモちんも食べる〜?今日は家でパンパーティだよ〜」

 

「へっ?」

 

「いや、アタシは別に」

 

「そうだな……ここまで付いてきてもらったのもあるし、お邪魔じゃなけりゃ招待するぞ?」

 

「あたしはいい。見てるだけでお腹いっぱいだから」

 

「アタシも遠慮しとく。胸焼けしそうだから」

 

「そうか?まぁ無理には進めないけどさ」

 

「蘭もトモちんも変なの〜」

 

「変なのはお前だモカ!!」

 

「ていうか、トレイやばいことになってる」

 

蘭の見つめる先には山積みになったパンが。もう何個あるのかもわからない。いつもの光景だ。

 

「今月はこれくらいにするか。沙綾、お会計頼む〜」

 

「はいはーい。ちょっと待ってねー」

 

山積みになったパンを次々と数えていく沙綾。毎度毎度の事だがすごくて慣れている。

 

「……なぁ、これってアタシ達がおかしいのか?あの量を普通に捌く沙綾も十分おかしいと思うんだけど」

 

「巴のいうとおり。凄いね、3人とも」

 

「えへへ〜」

 

「モカ。褒めてないから」

 

「はい。終わったよー。全部で70個か。いつもより少ないね?」

 

あっという間に数え終えた沙綾が報告してくれる。確かに。いつもは80くらいいくのに今日は少し少ないな。

 

「それでいつもより少ないの……?」

 

「1番すごかった時って何個だ?」

 

「えっとー……確か、100個だったと思うよー」

 

「あー、そうだそうだ。食欲の秋って事でバカみたいに買ったんだっけ?いやー、あの時は流石に辛かったな」

 

「今日は暑いから、きっと夏バテだね〜」

 

「夏バテでもそんなに食わねえよ。あー、ダメだ。アタシ今日夜ご飯食べれるかな?」

 

「あたしも。自信なくなってきた」

 

「トモちん、大丈夫?」

 

「蘭も。しんどいなら無理するなよ?」

 

「誰のせいだと思ってるんだ!」

 

「こんな事ならついてくるんじゃなかった」

 

こうして俺たちは計70個のパンを家に持って帰った後すぐさま食べ始めた。結果的に俺とモカでその日のうちにすべて食べ終えることができた。

 

「いやー、美味かったな」

 

「うん。お兄ちゃん、来月もよろしくね〜」

 

「あぁ。そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと……今日は何して時間潰そうか」

 

モカはバイト。それ以外のみんなも何かしら用事かあるみたいで俺は1人街でぶらぶらと歩いていた。

 

「本屋に行くか……それともゲーセンか…」

 

「あっ!ラテおにーちゃんだ!!」

 

「ん?」

 

とっさに自分の名前が呼ばれてそっちに振り向くとそこには見知った顔が。

 

「ラーテおにーちゃん!」

 

「おぉっと。久しぶりだなあこちゃん」

 

その見知った子は俺を見つけるやいなや胸に飛び込んでくる。いきなりの事で仰け反りそうになるがその子をしっかりと抱きとめる。

彼女は宇田川あこ。巴の妹であり、彼女と同じくバンドを組んでドラムをしているお姉ちゃん大好きっ子である。

 

「ははっ。どうしたんだ?1人でいるなんて珍しいじゃん」

 

「今日はね、忙しいおねーちゃんのかわりにあこが夕飯の買い出しをするんだー」

 

「へぇー。1人で買い物か……偉いな、あこちゃんは」

 

「えへへ〜、そうでしょー?」

 

ちなみに彼女は1番好きだと思っているのは巴だが、2番目に好きだと思っているのはどうやら俺らしい。俺のことを本当の兄のように慕ってくれている彼女の事を俺自身も本当の妹のように可愛がっている。いわば、第2の妹という感じだ。

 

「ちなみに晩飯は何を作るんだ?」

 

「カレーだよ!やっぱり暑い日に食べるカレーって美味しいから!」

 

「カレーか……いいな」

 

「でしょでしょ!良かったらラテおにーちゃんも一緒に食べる?」

 

「あー……そうしたいのは山々だけど、今日はモカがいるからな。帰ってモカの飯も用意してあげないといけないから」

 

「そっかー……残念」

 

あからさまにしょんぼりする彼女の頭を優しくポンポンと撫でてあげる。

 

「また今度誘ってくれよ。その時は俺があこちゃんを招待してやるからさ」

 

「ほんとっ!?約束だよ!!」

 

「あぁ。わかったよ」

 

無邪気な子どものような笑顔を浮かべる彼女。モカとは正反対だけどやっぱりこういう可愛い妹もありだよな……

 

「でも、そうだな……うん。俺も買い物手伝ってやるよ」

 

「いいのっ!?」

 

「あぁ。今日晩飯付き合ってやれない代わりだ。俺も暇してたしな」

 

「……ラテおにーちゃんって会う時いつも暇してるよね?もしかして友達いないの?」

 

「うぐっ!!」

 

痛いところを突かれて俺はその場に膝をつきそうになる。辛い。そんないきなり核心を突かれると流石の俺も辛いとこがある。

 

「あぁ、おにーちゃん!大丈夫!?」

 

「も、もちろんだ。それにな、おにーちゃんには友達なんていなくても大丈夫なんだ」

 

「どうして?」

 

「俺にはこうやって慕ってくれるあこちゃんみたいな可愛い子がいるからさ」

 

「お、おにーちゃん……ありがとう!あこ、嬉しいよ!」

 

よし。なんとか威厳を取り戻せた!……ような気がする。あぁ、でも俺も男友達欲しいな……放課後とかにカラオケとかいきたい。他にもボーリングとか……いや、ダメだ。弱気になるな青葉ラテ。俺にはモカという大事な妹がいるんだから!

 

「よ、よしっ。それじゃ行こっか」

 

「うん!レッツゴー!」

 

俺はあこちゃんと手を繋いでスーパーへと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっと、お肉にジャガイモに人参……玉ねぎに……」

 

「リンゴとかは?好みによるけど入れるんじゃないのか?」

 

「あ、ほんとだ!あこ取ってくるね!」

 

「走ったらダメだぞー」

 

俺がアドバイスを言うとすぐさま果物売り場へと走って行った。本当に無邪気だ。

 

「あれ?ラテ君。こんなところで何してるの?」

 

「ん?つぐちゃん?」

 

名前を呼ばれ振り向くと買い物カゴを持ったつぐちゃんが。いかにも主婦って感じがする。主婦じゃないけど。

 

「もしかしてラテ君も買い物?」

 

「んー、買い物っていうよりは付き添いかな?」

 

「付き添い?誰の?」

 

「それは『ラテおにーちゃん!取ってきたよー!』おぉ、おかえり〜」

 

リンゴを手に持ったあこちゃんが駆け足で俺の方までやってきて、俺の持つ買い物カゴの中に入れる。

 

「あれ、つぐちんだ」

 

「あこちゃん?もしかしてラテ君はあこちゃんの買い物の付き添いをしてるの?」

 

「そうだよ。今日は忙しい巴の代わりにあこちゃんが夕飯の買い出しをしてるんだって。暇してたから俺もついてきちゃった」

 

「………ラテ君」

 

「ん?」

 

「相変わらず友達いな『それ以上言ったらいくらつぐちゃんでも怒るよ』ご、ごめんなさい」

 

「大丈夫だよ!例えぼっちでもおにーちゃんにはあこやつぐちんがいるんだし!!」

 

「グハッ!!」

 

「あぁ、ラテ君!」

 

ここがスーパーだということも無視して俺は膝をついてしまう。キルだ。空気を読めずに言ったあこちゃんの言葉で俺のHPがオーバーキルされた。

 

「ら、ラテ君!ファイトだよ!」

 

「だ、大丈夫。あこちゃん。俺にぼっちとか友達いないとか言うのやめようか。結構辛いところがあるんだ」

 

「ご、ごめんね……だいじょーぶおにーちゃん?」

 

「無論だ。お兄ちゃんに辛いことなんて1つもないんだから」

 

「さっすがあこのおにーちゃんだね!」

 

「さっき辛いところがあるって言ってたような?」

 

「つぐちゃんそこ突っ込まないで!」

 

あこちゃんのおにーちゃんという言葉に励まされた。つぐちゃんがボソッと突っ込むがそこは気にしてはいけない。

 

「とりあえず続けて食材買いに行くか。つぐちゃんも一緒にどう?」

 

「そうだね。つぐちんも一緒に買い物しよっ!」

 

「わかった。じゃあご一緒しようかな」

 

つぐちゃんも一緒に買い物をすることに。

 

「そういえば、今日つぐちゃんは何作るんだ?ていうか、つぐちゃんが買い物してるって珍しいな」

 

「そうかな?今日はお父さんもお母さんも忙しいから私が代わりに。今日はハンバーグにしようと思って」

 

「ハンバーグか……いいな〜」

 

「あこもハンバーグ食べたくなってきちゃった」

 

つぐちゃんの手作りハンバーグ……丁寧に、かつ繊細に作り上げてくれそうな感じだ。食べて見たい。

 

「あはは……そんな大したものじゃないと思うけど、あこちゃんは何作るの?」

 

「カレーだよ。今日はおねーちゃんが帰ってきたら2人で作るんだ〜」

 

「巴ちゃんだったらきっと美味しいのを作ってくれそうだね」

 

巴が作るカレーも美味そうだな。なんというかすごく男らしいカレーになる気がする……男らしいカレーってなんだ?

 

「ラテ君は?」

 

「俺?」

 

「ラテ君は何作るのかなって思って」

 

「俺は昨日の残り物のシチューだな。俺は基本残りもんしか作らねえし」

 

「シチューか……いいなー。そういえばモカちゃんがいつも持ってきてるお弁当ってラテ君が作ってるんだよね?」

 

「まぁ大概は俺だな。モカはあんな感じだし起きるの遅いからな。母さんがいる時はいつも任せてるけど」

 

「モカちゃんのお弁当っていつも美味しそうなんだよね〜」

 

「そうなの?」

 

「うん。具がたくさん入ってて、いつもモカちゃんが羨ましいって思うの」

 

「いいなー。あこも食べてみたい」

 

「機会があったら作ってあげるよ」

 

モカのためだからな。弁当は本気で作ってあげないとモカがかわいそうだから。

 

「でもあいつ食後にいつもパン食ってるだろ?」

 

「そう……だね。お弁当食べた後にいつも2つはパン食べてるよ」

 

「俺が作る弁当は量はそんなに多くしてないからな。あいつが大好きなパンを食べさせてあげるためでもあるけど」

 

モカはいつも学校に行く前にやまぶきベーカリーに寄ってパンを買って行く。俺もたまに買う時はあるけど。

 

「さて、買うものはこれで揃ったかな?」

 

「うん。だいじょーぶだと思うよ!」

 

「よし。じゃああこちゃんが今日頑張れるようにあこちゃんの好きなポテトチップスを買ってあげよう」

 

「ホント!?」

 

「こんなとこで嘘つかないよ。買い物カゴ持っててあげるから好きなの取ってきていいよ」

 

「やったー!ラテおにーちゃん大好き!」

 

すぐさま買い物カゴを俺に預けてお菓子売り場へと走って行った。

 

「いやー、元気だなー」

 

「ラテ君、あこちゃんに甘すぎるんじゃ?」

 

「ん?そうかな。あんな風に俺を慕ってくれてるのに何かしてあげないのは俺の流儀に反する気がしてさ」

 

「……単におにーちゃんって言って欲しいだけじゃなくて?」

 

「つぐちゃん、なんでわかったの?」

 

つぐちゃんに心を読まれた。本当のことを言うと、ただおにーちゃんって呼んでくれるあこちゃんが可愛くて甘やかしてるだけである。

 

「私もラテ君と結構付き合い長いから。そのくらいはわかるよ」

 

「それもそうか。でも、あれだな。あこちゃんに何か買ってあげたのにつぐちゃんに何も買ってあげないのは不公平だよな。つぐちゃんは何かいる?」

 

「わ、私はいいよ!今日たまたまあっただけなんだし」

 

「じゃあ今日たまたまあった記念だ。ほら、俺も行くからなんか選びに行こ!」

 

「ほ、ほんとに大丈夫だから!」

 

「いいからいいから。つぐちゃんはいつも遠慮しすぎ」

 

頑なに拒否するつぐちゃんの腕を取って俺たちもお菓子売り場の方へと向かった。

 

「もう………()()()()()()()

 

「なんか言った?」

 

「な、なんでもない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物をしてスーパーを出た俺たちは、2人を家まで送ることにした。もちろん、2人の荷物は俺が持ってあげている。

 

「ラテおにーちゃん、荷物重くないの?」

 

「ん?大丈夫だぞ。俺男だし、これくらいはね」

 

「ごめんね。私の荷物まで持ってもらっちゃって」

 

「気にしない気にしない。ほら、あこちゃんの家ついたよ」

 

「あ、本当だ!それにおねーちゃんもいる。おーい、おねーちゃん!!」

 

「ん?おぉ、あこ。それにラテとつぐも」

 

ちょうど家に入ろうとした巴があこの声に気づいてこっちに振り向く。どうやら巴の用事が終わったみたいだな。

 

「あこ、ちゃんと買い物できたみたいだな?」

 

「当たり前だよ。あこだってもう中学3年生だよ!これくらいは余裕だもん」

 

「ははっ、そっか。悪いなラテ。付き合ってもらっちゃったみたいだな」

 

「気にしないでいいよ。もともと暇してた俺が手伝いを申し出たんだし」

 

「暇してたって………ラテ、やっぱりお前友達『もうそれはいいっての!!』あ、悪い」

 

今日だけで何度それを言われたらいいんだよ。本当に俺の心が折れるぞ。

 

「ほい。これ今日の夕飯の荷物な」

 

「サンキュー。じゃああこ。一緒カレー作るか!」

 

「うん!ラテおにーちゃん。つぐちんも今日はありがとー!」

 

「おう。次はちゃんとお邪魔させてもらうからな」

 

「あこちゃん、またね」

 

「バイバーイ!」

 

手を振るあこちゃんに俺たちも手を振り返して、今度はつぐちゃんの家へと足を向けた。

 

「ふぅ……重たかった」

 

「ラテ君、荷物持つの変わろうか?」

 

「問題ないよ。つぐちゃんにもたせてるのを蘭とかモカに見られたらそれこそ、またからかわれちまうからな」

 

「それは……そうかもね」

 

「あはは、だろ?この前だってさ」

 

他愛もない話をしながらつぐちゃんの家へと向かって、やがてつぐちゃんの家に着くと、持っていた荷物をつぐちゃんに渡した。

 

「今日はありがとう。おかげで凄く助かっちゃった」

 

「別にいいよ。当然なことをしただけだし。お礼は……そうだな、つぐちゃんが俺に『ありがとう、お兄ちゃん。またよろしくね』って言ってくれるだけでいいよ」

 

「えぇっ!!?」

 

俺の冗談を本気にしたのか、つぐちゃんは顔を真っ赤にしてあたふたし始めた。いやー、相変わらず反応が面白い。

 

「うそうそ、冗談だよ。今度カフェに来た時に何かご馳走してくれたらそれで『わかった!』へっ?」

 

「え、えっとー……」

 

「いやつぐちゃん?さっきのは冗談」

 

「き、今日は本当にありがとね、お兄ちゃん。ま、またよろしくね!」

 

「ぁ………………」

 

「そ、それじゃあ!!!」

 

顔を真っ赤にしたつぐちゃんはそれだけ言うと家へと入ってしまった。俺はあまりの出来事にしばらくそのまま立ち尽くしてしまった。

 

「………また手伝おう」

 

しばらく経った後、俺は今度またつぐちゃんが困っていたら助けてあげよう。そう決意した。




第2の妹とかいいつつ妹ではありません。
あくまで巴の妹です。
あこちゃんのカッコイイ事が何1つ出せなかった。
あのカッコいい事を言おうとして言い淀むあこちゃんも凄く可愛いです。

あと、別につぐみをヒロインにしてるわけではありません。
ただ個人的に自分が好きなだけです。

感想と訂正があればお待ちしております。

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