のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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タイトル思いつかなかったです。
パーティはパーティでも食事するパーティです。



第10話 パーティする6人と運の悪いモカ

「ラテ。はやく次焼いてよ」

 

「ラテさん、次は私もやりたい!」

 

「ラテ。そこにあるソース取ってくれ」

 

「お兄ちゃん、マヨネーズも取って〜」

 

「だあぁもう!いっぺんに俺に話しかけるな!はいモカ、マヨネーズ!」

 

「流石ラテ君。モカちゃんのお願いはきちんと聞いてる」

 

俺たちが今何をしているのか、疑問に思う人はいるだろうか。そう。俺たちは今たこ焼きパーティをしている。事の発端はモカだ。

 

『お兄ちゃん、たこ焼き食べたい〜』

 

『たこ焼き?別にいいけど2人でするのはちょっと寂しいな。それだったら、みんな呼んでたこ焼きパーティといくか?』

 

『さーんせー』

 

という事になりすぐAfterglowの面々に連絡をして、材料を頂戴してたこ焼きパーティへと洒落込んだのだ。

 

「はいこれ。ラテ君の分ね」

 

「ありがとつぐちゃん」

 

「いいのいいの。ラテ君は私達の分焼いてくれたんだし、これくらいはね」

 

つぐちゃんはたこ焼きを作って手が離せない俺のために、出来上がったたこ焼きを俺の分だけ取り分けてくれた。

 

「変わって。冷めちゃうと美味しくなくなっちゃうし、次私がやるから」

 

「いいよ別に。ちょっと冷めてるくらいの方が食べやすくていいから。合間見つけて食べるからつぐちゃんはゆっくりしてなよ」

 

「え、でも……」

 

「つぐちゃんはこうして場所提供してくれたんだから全然いいよ。むしろ何も持って来ずただ食べてるだけのひまりちゃん達にやらせるべきだ」

 

今俺たちはつぐちゃんの家でたこ焼きパーティをしている。俺たちの家よりつぐちゃんの家の方が広いという単純な理由だけなんだが。

 

「私は焼いてみたいって言いました。それに、私達だってちゃんと働いてますよ!」

 

「ほぉ。働いたって何をだ?」

 

「これ!食後のデザートとしてコンビニのプリン買ってきました!」

 

「………それってただひまりちゃんが食べたかっただけだよね。というかなんでそれを冷蔵庫に入れないの?」

 

「あとはこれです。チョコレート!」

 

「やっぱりひまりちゃんが食べたいだけだよね。というかなんでそれも冷蔵庫に入れないの?」

 

プリンもチョコレートも冷蔵庫に入れないひまりちゃんがちょっとおかしく見えてきた。というかこれは働いたと言えるのだろうかと。

 

「うぅ………じゃあ蘭と巴はどうなんですか!あとモカも!」

 

「ん〜?あたしはお兄ちゃんと一緒に食材買いに行ったよ〜」

 

「アタシはたこ焼き機持ってきたぞ」

 

「あたしは飲み物。お茶とかジュースとか家から持ってきた」

 

「うぅ………つぐ〜。ラテさんがいじめるよー!!」

 

「あはは……ひまりちゃん一緒に作ろ!」

 

「ありがとうつぐ!!」

 

結局自分だけ何もできてないと自覚したひまりちゃんがつぐちゃんに助けを求めた。俺はつぐちゃんと場所を入れ替わり、モカの隣に座って食べることにした。

 

「美味いな。たこ焼きなんて久しぶりに食べたけど、たまにはいいもんだな」

 

「そーだね。モカちゃんの案は大正解なのだ〜」

 

「はいはい。えらいぞモカ……って、モカ、口の周りにソースついてるぞ」

 

「んー、どこ〜?」

 

「あ、バカ。袖で拭こうとするな。ほら、拭いてやるからじっとしてろ」

 

俺はティッシュを2枚取って、モカの口の周りを優しく拭いてあげる。

 

「よし。綺麗になった」

 

「ありがとー。はい、ご褒美だよ〜」

 

モカは口の周りを拭いてくれたお礼に、爪楊枝でたこ焼きを一つ取って俺の口の前まで持ってきた。

 

「あーん」

 

「どう〜?」

 

「……うん。美味いぞ。モカが食べさせてくれたから美味しさ2倍になった」

 

「でしょー。これにはモカちゃんの愛情をたーっぷり込めておいたからね〜」

 

「いつ込めたんだよ。でもまぁ美味しかったのは確かだ。ありがとな、モカ」

 

「えへへ〜」

 

やっぱり可愛い。このまま家に帰りベッドの中までお持ち帰りしたいくらいだ。

 

「いつも思うんだけど。モカとラテのあの空気ってどうにかできないの?」

 

「どうにもできないだろ。アタシ達が何年あぁなるのを見てると思ってるんだ?」

 

「…………だよね」

 

なんだ?蘭と巴が俺の方を見て溜息をついてる。俺なんかあの2人を呆れさせる事でもしたのか?

 

「何だよ2人とも。俺なんか2人になんかしたか?」

 

「……あのさラテ。聞きたい事があるんだけど」

 

「なんだ?」

 

「ラテってモカが妹だから好きなの?それともモカだから好きなの?」

 

「んなもん決まってるだろ。どっちもだ。モカ自身大好きで大切だけど、妹だからより大切にしたいと思えるんじゃねえか」

 

「じゃあもしモカが妹じゃなくて、あたし達みたいに幼馴染だったら?」

 

「即告白。出会って3秒で告白だな」

 

「おー。お兄ちゃん言い切ったね〜」

 

俺がこの人生でモカが彼女だったらと何度思った事か。もう100回は超えてる。下手をしたら200まで行くまである。

 

「逆にモカはどうなんだ?ラテがもし兄貴じゃなくて、幼馴染だったら」

 

今度は巴がモカに聞いた。それは気になる。幾度なく愛し続けたモカが俺自身をどう思っているのかを。

 

「んー?そんなの考えられないよ〜」

 

「考えられない?」

 

「だってそれってー、お兄ちゃんが蘭みたいな感じになるって事でしょ〜?」

 

「ま、まぁ、簡単に言えばそうなるな」

 

「あたしが家に帰ったら、いつもみたいにおかえりって言われないって事だよね〜?」

 

「そ、そうだな。幼馴染になるなら家一緒なわけないからな」

 

「いつも一緒にいてくれてー、やまぶきベーカリーのパン買ってくれてー、モカちゃんの事構ってくれるのがあたしのお兄ちゃんなんだよ〜」

 

「そ、そうだな」

 

「お兄ちゃんがいない生活なんて、想像できないから〜」

 

「モカ…………」

 

「だから、お兄ちゃん。ずっと一緒にいようね〜」

 

「モカー!!!」

 

俺は号泣しながらモカに抱きついた。モカがずっと一緒にいようねって言ってくれた。それはつまり。俺の事を1番に考えてくれているという事。

 

「もちろんだ。ずっと一緒だぞ!」

 

「わ〜い」

 

「……………どんな話をしても2人はこうなるんだね」

 

「あぁ。アタシ達には到底理解できない話だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ!追加のたこ焼きだよ!」

 

なんだか物凄く上機嫌なひまりちゃんが追加のたこ焼きを皿に乗せて持ってきた。

 

「へー。うまくできてるじゃん。ひまりちゃん初めてだったんだろ?たこ焼き作るの」

 

「はい!つぐが一生懸命教えてくれました!」

 

「わ、わたしはほとんど何もしてないよ?」

 

どっちなんだよ。と突っ込みたい。がそれより気になるのは、たこ焼きから目線をそらし続けるつぐみちゃんだ。

 

「じゃあ食べるか」

 

「その前に1つ。言っておくことがある!」

 

「ん?どうしたんだひまりちゃん?」

 

「このたこ焼き。全部で24個あるけど、そのうちの1個に。ある隠し味を入れましたー!!」

 

「はぁ?」

 

この子は一体何をするつもりなんだ。

 

「ズバリ、ロシアンたこ焼きですよ!」

 

「…………つぐちゃん、なんで止めなかったの」

 

「わ、わたしは止めたんだよ。でもひまりちゃんがどうしてもっていうから」

 

「ちなみに隠し味って何を入れたんだ?」

 

「それは食べてからのお楽しみだよ、巴!」

 

ロシアンたこ焼き。確かにまぁよく聞くものだけど。つぐみちゃんのあの反応。きっとロクでもないものでも入れたんだろう。

 

「誰が当たっても文句なし!さぁ、食べよう!」

 

食いたくねえ。そんな事言われて、はーい!って頷ける人間がいるわけがない。みんなの空気も重くなってるし。

 

「じゃ、じゃあみんな1個ずつ取ってせーので食べるか」

 

「そ、そうだね。わたしもそれがいいと思う!」

 

つぐちゃんも賛同してくれてるが、つぐちゃんは何を入れたか目の前で見たんだろう。絶対に食べにくいはずだ。

 

「じゃあ、まずは1回戦!」

 

なんでひまりちゃんはこんなにご機嫌なんだろう。万が一自分が当たる事を想像してないんだろうか。

 

「いっただきまーす」

 

ひまりちゃんの掛け声とともにみんなが口の中にたこ焼きを入れる。うん、美味い。

 

「どう?」

 

「美味しい」

 

「美味しいよ〜」

 

「美味いな」

 

「わたしも美味しいよ」

 

「俺も大丈夫だ」

 

「ちぇっ。みんなあたりなんだ〜」

 

1回目は全員セーフ。この妙な緊張感がギスギスと伝わってくるから早く終わらせたいんだけど。モカはマイペースすぎてよくわからないが。

 

「じゃあ続いて2回戦!」

 

ひまりちゃんの掛け声とともに2つ目を口に入れる。これも全員セーフだった。緊張して味がわからない。

 

「じゃあ3回戦だよ!」

 

3回戦。誰もが早く終わって欲しいと思っているだろう。モカはマイペースすぎてよくわからないが。

 

「せーのっ!!」

 

あむっ、全員がと口の中に入れた瞬間。その時は訪れた。

 

「かっらーーーーーいーーーーー」

 

それは俺の隣に座る人物に起こった。急に立ち上がり、口を手に当てて、あたふたと机の周りを走り回る。もうお分かりだろう。ハズレを引き当てたのは俺の妹、モカだ。

 

「モカ!おい、大丈夫か!!」

 

「かりゃいよー…………」

 

「ひまりちゃん!何入れたんだよこれ!」

 

「いやー、作るときにタバスコをほんの10滴くらい」

 

「ばっか!!なんでよりにもよってモカの苦手なもん入れんだよ!しかもそれはほんのとは言わない!」

 

いつものマイペースさはどこにいったんだと思わせるくらい慌てるモカ。今のモカの口の中は一体どうなっているんだろう。

 

「じゃない。モカ、大丈夫か!?」

 

「おにいひゃん、かりゃいよ〜」

 

「大丈夫だぞ。お兄ちゃんがついてるから!ほら、水だ」

 

あまりの辛さに呂律が回っていない涙目のモカを俺の目の前に座らせて水を飲ませてあげる。

 

「大丈夫か?」

 

「まらかりゃい……おにいひゃん、たふけてぇ〜」

 

「大丈夫。大丈夫だからな。ほら、やまぶきベーカリーの甘いパンを想像しろ。チョココロネにメロンパン、クリームパン。想像したら辛いのもきっと治るから」

 

モカが辛くないようにモカを抱きしめて頭を撫でながら、モカの耳元で甘いパンを次々と上げていく。……あぁ、俺までパン食べたくなってきた。

 

「え、えっとー。もしかして私やりすぎちゃったのかな?」

 

「だからわたしはやめとこうって言ったんだよ」

 

「ま、まぁアタシ達ならあれ食べて、耐えられるわけじゃないけど、あそこまで慌てる事じゃなかっただろうな」

 

「うん。今回は辛いものが苦手なモカが見事に引いちゃったから」

 

甘いパンを次々と想像していったおかげか、モカは次第に落ち着いていった。

 

「…………もう大丈夫か?」

 

「りゃいりょーぶ」

 

「全然大丈夫じゃないな。とりあえず水飲んで落ち着こうな」

 

モカにもう一杯水を渡してあげる。さて。

 

「ひまりちゃん、ちょっとこっちに来ようか?」

 

「ひっ!!」

 

俺はひまりちゃんの方を向いてゆっくりと近づく。

 

「大丈夫。怖くないよ。ただ、すこーしだけお話しするだけだからさ」

 

「む、無理です!怖いです!」

 

「大丈夫大丈夫。あんな危険なものはもう2度と作らないように教えてあげるだけだよ?」

 

「蘭、つぐ、巴!助けて!」

 

「自業自得」

 

「わたしはちゃんととめたからね」

 

「ひまり、いってこい」

 

「そ、そんなー!!」

 

「ひまりちゃん?」

 

「は、はい!!」

 

「いいよね?」

 

「わ、わかりました…………」

 

その後、ひまりちゃんにマンツーマンでお説教をしてもう2度とこんなものを作らないと約束させた。にしても、モカも不幸だな。

 




ついこの前タコパしてるときに思いつきました。
辛いものを食べるモカの描写は多分こんな感じかな?という想像です。
感想と訂正があればお待ちしております

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