やはりぼっちとコミュ障のボーダーは間違っていない 作:癒しを求めるもの
八幡side
月曜
それは多くの学生の天敵と言われる日だ。休日により訛った身体を無理矢理動かして学校へ向かうもリア充グループに一瞬、睨まれると空気の如く無視される。
目立たない窓際の席に着座すると中身が少ない鞄から音楽プレーヤーを取り出してマイナーソング、もしくは誰かさんのオススメアニソンを聞きながら腕を組んでホームルームまで目をつぶる。あ、最初以外は俺だ。
昨日は日曜だが防衛任務、さらに報告書を書かされてまさに社畜だった。優菜は優秀だから分かるが、十和は家事スキル皆無なため将来は三上が支えて立派な社畜になる事だろう。まあ、俺も何だかんだで働いてるわけだが社畜だけは勘弁だ。
俺は専業主夫になるのだからな!
ーーーと、月曜朝からテンションが高いのは疲労のせいだ。
鳩原さんめ、帰ってきたら何か奢ってもらわなければ示しがつかん。
昨日は二宮さんに送ってもらったからといっても夜の2時で日付が変わっていた。
俺、いや俺たち比企谷隊は学校にボーダー隊員であることを一部の教師、つーか校長にしか言ってない。だから遅刻するのは内申が落ちるので軽く寝てから自転車で通学中だがヤバイ。
いつもより自転車がブレる。
「お兄ちゃん!揺れてる揺れてる!もっと安全運転しなきゃ!」
まあ、無理もない。
寝不足な上に妹、小町が荷台に乗っているのだから。
おい、安全運転して欲しけりゃちゃんと座りなさい。お兄ちゃん転んじゃうよ?
にしても朝から俺とは違った意味でテンションが高い。ま、可愛いからいいけど」
「お兄ちゃん…………流石にシスコン過ぎるよ。あ、でも小町的にはポイント高いよ!」
おおぅ、また声に出していたらしい。
もうこの癖直すの諦めよっかな。だって無意識に言っちゃうんだもん!
…………キモいな
「はいはい、いいから座っとけ。また事故るぞ?」
「それは小町がいない時にしてよ」
「おい、直接1人の時に事故れって言うんじゃねぇよ。そこはお兄ちゃん、怪我しちゃダメだよって可愛く言うんじゃねぇのか?」
前に少し話したが俺は高校の入学式の時に事故をおこした。
学校の集合時間を間違えたから早朝の犬の散歩に行く誰かの犬を助けて3週間の間入院生活だった。
まぁ、入院費は車に乗ってた人が全額負担してくれた。
なんかえらい人みたいで公にしないのが条件だったため二つ返事でオーケーした。もともとはこっちの責任だが入院費が浮いてほんとたすかった。
でもボーダーのメンバーにはめっちゃ心配されたなぁ。柄にもないが今度なんか奢ってやろう。
「犬の飼い主さんから謝られた?お菓子もらった時に総武高の女子の制服だったけど」
「スルーか……ま、いいけど。しかし小町さんや?俺はお菓子など食べていないんだが?」
「あ…………ま、まあ!お菓子の人が女の人だからって浮気はダメだよ、お兄ちゃん!」
軽く睨むと小町は間が空いたが笑顔を向けて話題を変えてきた。
まあ、事実お菓子などどうだっていい。隊室に優菜所持の貰っていい菓子の山が積んであるしな。しかし問題はここじゃない
「おいおい、誰が浮気するのか?俺は誰かと付き合う前に避けられる男だぜ?」
ボーダーではオペレーターも含めて女子とは話す。それも普通に。
しかし学校の奴らは避けられ、そして無視されるのが当たり前だ。
そう考えるとボーダー組は良い奴ばっかだな。ほんと、俺がボーダーに所属していて良かった。
俺が改めてボーダーについてを振り返っていると後ろからため息が聞こえた。
「はぁ………これだからゴミぃちゃんは。遥お姉ちゃんが可哀想」
「何で遥が出てくるんだ?関係ないだろ」
「………十和さんも歌歩さんに似たような感じだって茜ちゃんから聞いたしーーー比企谷隊の男って大丈夫?でもここは小町がどうにかしなければいけませんなぁ」
何ブツブツ独り言言ってんだ?
俺が映るぞ。あ、小町はハイブリットぼっちだから受け継いでいるのか。すまん
「……まずは情報をーーーあっもう大丈夫。ありがとうお兄ちゃん!」
小町は基本、ボーダー隊員と仲がいい。特に那須隊との親睦が深く、那須隊スナイパーの日浦とは親友同士で同じクラスらしい。
自転車から降りた小町は中学校の門を潜り、姿を消した。
しかし何だったんだ?さっきの言葉は
考えながらも俺は自転車をこいで総武高へと向かった。
授業が終わった
え?早いって?わざわざ高校の授業風景を知る必要があるか?ないな。休み時間はぼっちだしなんにもトラブルは起きていない。
授業が終わり、今から何をするかとがやがやしている教室から早く出るため俺は手短に鞄に筆記用具をしまって密かにドアを開けるが、その向こうには誰かが待っていると俺のサイドエフェクトが反応した。
「比企谷、部室はそっちじゃないぞ」
「別に俺は部活に入るとは言ってませんよ?それにこれからバイトがあるか「ボーダー」………」
廊下には現国教師であり、奉仕部を担当している平塚先生の姿があった。
逃げ出そうと論破しようとしたが気になるワードが出てきたため押し黙った。
「ボーダー所属のA級部隊比企谷隊隊長比企谷八幡は君のことだろ?」
「……確かにそうですが。それで?俺を脅しでもするんですか?」
少し強めの声を出した。もし、言いふらされたくなければ奉仕部に!とでも言われようものなら俺も無理矢理だが逃げようと思った、が
「別に脅迫するつもりは無い。ただ、取り引きをしようと思ってな」
「取り引き?」
「そうだ。君たち比企谷隊の志神と篠崎はボーダー隊員だと校長にしか説明していなかっただろ?だからと言って任務で疲れて遅刻したとしても事情を言えない君たちの内申は下がっていく。だから君が奉仕部に入部したら君だけでなく、志神たちの分の評価の低下を阻止しよう」
なるほど、ギブアンドテイクか。
俺たちは今まで成績はとれたが内申が響いていた。
俺はボーダーの推薦は使わずに大学目指しているため内申が下がらないこの案は魅力的だ。
「わかりました。しかし、いくつかお願いしてもいいですか?」
「何だね?」
「まずは俺の矯正をなしにして下さい。ボーダーにいるため社交性は充分ですし、友人がいることも昨日、わかったでしょう?」
「それは勿論だ。むしろこの前は悪かった」
そう言って平塚先生は頭を下げた。
ただの独身だと思っていたがいい先生だった。
「……何か失礼なことを思われたような気がするが。それで、お願いは終わりか?」
「い、いえ。最後に一つ、俺がやめたいって言った時は必ず奉仕部とは関わらせないでください」
「………わかった」
おそらく平塚先生は俺の矯正を、望んでるのではない。部長であり、簡単に毒舌を吐く雪ノ下雪乃を変えたかったのだろう。
捻くれた俺がいることで場の雰囲気を良くし、活動に取り組めるよう思っていたらしいが俺には無理だ。
アイツがまともな思考を持つにはかけているものが多すぎる
一先ず、平塚先生の了承は得たため俺は一つの部屋へと向かった。
「邪魔するぞ」
「!?………あら、逃げがや君じゃない。昨日は逃げたくせにのこのこととまた来たの?マゾなの?」
「ちげーよ。平塚先生に頼まれたからだ。後、昨日は優菜を睨みつけるだけで言い返さなかった卑怯者がよく言えるな?」
そう返すと部室にいた雪ノ下雪乃は睨みつけてきた。
おい、今注意したばっかだぞ。三バカじゃあるまいし学習しろよ。あ、でも人間性だったら3人の方が圧倒的に上だな。
そして俺は雪ノ下の視線を無視して離れた場所に椅子を置き、鞄から小説を取り出して読み始めた。
いつの間にか視線は消えていったので、俺は読書に集中しようとしたその時だった。
サイドエフェクトに反応があり1人が向かってきているらしい。
ま、俺は参加しているだけであるため担当の雪ノ下に任せて俺は読書を続けた。
「し、失礼しま……ってヒッキー!?」
ドアを開ける音がすると、女の驚いた声が聞こえた。
誰だよヒッキー。最悪の渾名?だな
「ちょっと!聞いてるのヒッキー!」
「あら、目だけではなくて耳も腐ったのかしら?病院に行ったら?」
「じゃあお前は精神科行け。学年4位のクセに頭悪いとか病だろ。そしてヒッキーって俺のことか?誰か知らんが変な渾名で呼ぶな」
「はぁ!?ヒッキー知らないの!?同じクラスなのに!?由比ヶ浜結衣だよ!」
はぁ、その渾名は変えないつもりなのか。
しかしどっかでみたことあると思って思い出すと確かにいた。後ろの方の席に集まるリア充グループの内1人だったはずだ。
てか雪ノ下。お前は本当に挑発と睨みつけることしか出来んのか?
ポ○モンでも後2つは技を覚えられるぞ
「いいからその渾名はやめろ」
「はぁ?ヒッキーはヒッキーじゃん!何言ってんの!?キモい!」
この女ぁ。キモいしか言えんのか?バカだろ。ほんとに
俺はわざとらしく舌打ちをし、不満気な2人を放って読書に戻った。
「そこのゾンビがや君は無視して結構よ、由比ヶ浜さん。それで?依頼は何かしら?」
「あ、うん。平塚先生から聞いたんだけど……あの…その………」
依頼を尋ねた雪ノ下に、由比ヶ浜はこっちをチラチラとみて答えを渋った。
「……紐がや君。出て行ってくれ「piririri」……」
「あ、悪い」
なんか俺と名前が似た奴が雪ノ下から呼ばれたみたいだが着信音が聞こえたため廊下にでた。
しかし雪ノ下はほんと罵倒しかしてないな。ストレス溜まる。
イラつきが収まらないまま、俺は着信にでた。
「なんだ、米屋か」
『なんだとはなんだよ。それよりランク戦しようぜハッチ!弾バカと迅バカもいるからよ!』
「そうか。わかった。今から学校を出るから少し待っててくれ。何なら先にしといてくれ」
『わかった。早く来いよ!』
電話の相手は三バカの1人、米屋陽介だった。
十和に殺られたことを忘れ、すっかり戦闘狂の米屋の申し出を断る理由がないため、俺は電話を切り、もう一度中に入った。
「比企谷君。今から調理室に行くからあなたも来なさい」
「悪いが無理だ。用事ができたから帰る」
「待ちなさい!平塚先生から頼まれたのでしょ?」
「お生憎様、平塚先生からは用事があるなら帰っていいとの許可は貰ってる。信じないなら後で聞け。俺は帰る」
そう言って、後ろから騒ぐ声を無視して俺は本来の居場所であるボーダー本部へと向かっていった。
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