やはりぼっちとコミュ障のボーダーは間違っていない 作:癒しを求めるもの
八幡side
「「「「………………………」」」」ガクブル
「おい!誰か三上を読んでこい!」
「志神が!志神がキレたぞ!!」
「十和先輩!?」
「あのバカ共が……っ!」
「おお……すげぇな、十和のやつ」
「感心してないで三上を探すぞ」
「C級隊員の皆も至急、三上を探してきてくれ!」
「「「「り、了解!!」」」」
「……………なんだこれ?」
ここはボーダー本部
普段は個人ランク戦で賑わっているこの場所だが今日は違う。確かに賑やかだが別の意味で賑やかだ。
先輩、後輩関係なく大慌てでその場をあとにし、忍田本部長はC級隊員に指示をだしている。その前に忍田本部長がいること事態が異常なのだが場は完全にカオスだった。
『や、やめてくれ十和!?』
『悪かった十和のすけ!!弁償するから、謝るから!?』
『十和先輩……っ!?』
異常なほどカオスな現場に隣の遥と優菜も唖然とするしかない。二人の目線は巨大モニター、つまり試合を見ていた。
悲鳴に似た声がしたため恐る恐る俺もモニターを見た。そこにはA級隊員3人が固まっていた。
A級1位太刀川隊 出水公平
A級7位三輪隊 米屋陽介
A級4位草壁隊 緑川駿
各A級部隊の中でもエース級であり、上から弾バカ、槍バカ、迅バカというボーダーの三バカだが完全に怯えている。
戦意喪失している3人だがいきなり、首が飛んだ。
最後まで怯えた目を宿していた3人だったが同時に光に包まれてベイルアウトした。
そのタイミングでカメラアングルが変わる。
そこに映っていたのは俺と同じ黒い隊服に身を包み、メガネ、そして光のない真っ黒な瞳と同様に黒く染まった大鎌を持った少年、十和だった。
「し、【死神】がまたしても降臨してしまった………っ!」
何か喚いている白衣を着たデブも含めてもう一度言おう。
なんだこの状況?
~一時間前~
雪ノ下とのいざこざがあったあと、比企谷隊はボーダー本部に到着した。
中に入って真っ先に向かう場所は開発室、材木座のところだ。
「にしても二人には助かった。ありがとな」
「おお……ハチが珍しく素直だ」
「うっせぇ」
「あはは……まぁ気にしないでいいよ。僕も雪ノ下さんはキレそうになったし」
マスクを外し、イケメンメガネ状態の十和が言う。それに優菜も同意したのか頷いている。
……お前はキレていたろ
乙女の文字が外見しかない優菜の将来と若干、怒りが残っている十和を心配しながらも奉仕部云々のことは忘れて目的の場所に到着した。
「入るぞ、材木座」
「ふむ、来たか八幡に十和、それに篠崎殿よ」
材木座義輝
俺や十和などと同期でボーダーの試験を受けるがただの中二病患者なだけで戦闘の才能が全く無かったがために開発室でエンジニアとして働いている。
俺のぼっちと十和のコミュ障の半分が合成した中途半端なぼっちなコミュ障で中二なブタだ。
「……何か我、disられた気がする」
「気のせいだろ。それより新しいトリガーどうした?」
「けぷこんっ!勿論完成あるぞ!十和の希望も兼ねてオプショントリガーもできてある!」
「流石ね」
優菜が褒めるが同感だ。
確かにコイツには戦闘の才能がないがエンジニアとしての才能はずば抜けている。鬼怒田さんも目をつける人材なだけはある。韋駄天やテレポーター作ったのもコイツだし。
原作のただの中二じゃないんだよな。ん?原作?まぁいっか
「このトリガーは孤月を改造したもの……米屋殿の孤月(槍)と似ているが調節が必要でな。八幡よ。主には相手をしてもらいたいが時間がかかるためランク戦でもしてきてはどうだ?」
「あ!じゃあ嵐山隊の作戦室に行こ!遥ちゃんの手伝いに!」
「そうか。じゃあ優菜は行っといてくれ。俺は此処にのこ「ハチも行くよね?」……らずに嵐山隊の所に行こうと思う。うん」
断ろうとしたら優菜の殺気に負けて頷いてしまった。
別に遥の手伝いはいいが戦闘員の俺って必要なくね?
「必要に決まってるじゃない。その方が遥ちゃんが喜ぶし」
「人の思考を読むなよ……後、なんで俺がいると遥が喜ぶんだ?むしろ邪魔じゃね?」
「「「……はぁ」」」
3人の溜息が重なった。材木座までなんだ?
「綾辻さんも大変だねぇ」
「トワも人のこと言えないから……ま、いっか。行くよハチ」
「わかったから押すなよ」
ボソッと材木座の奴が「リア充爆発しろ」と言ったが完全に無視して嵐山隊の作戦室へと向った。
***
「どうも~遥ちゃんいる~?」
「……お邪魔します」
嵐山隊の作戦室は何度も入ったことがあるがキレイだ。
ウチの作戦室も優菜が掃除してくれているため俺の本、十和のDVD、優菜のお菓子で溢れかえっているが太刀川隊の作戦室のように散らかってはいない。
しかし、十和のやつ、アニメ好きだからと言ってもDVD多くね?いくらかかってるのか知らんが家にも大量にある。
幼馴染の三上が掃除しているらしいが完璧に夫婦だ。特に三上なんて十和の家なのに十和以上に物の場所を知っている。
十和の欠点ってコミュ障と家事ぐらいだろ?それを補う三上とはよくっつけ。
そう思いながら部屋を見ているとすぐに奥から人が出てきた。
「あ、優菜ちゃん。どう、し……は、八幡君!?」
出てきたのは俺の幼馴染である嵐山隊オペレーターの綾辻遥だった。遥は俺の顔を見た途端、顔を赤くしながら身だしなみを整えていた。
「なぁ、やっぱり俺、いない方が「うんうん!大丈夫だよ!ゆっくりしていって!」……お、おう」
そう言って俺と優菜は遥の勧めで椅子に座り、お茶を出してもらった。
おい、優菜は何故ニヤニヤしている?
「最近の遥ちゃんはわかりやすいねぇ~」
「優菜ちゃん!?」
優菜の言葉がスタートを合図して女子トークが始まった。たまに遥がこっち見てくるがやっぱり俺がいない方が女子同士で楽しいんじゃないか?
「じゃあハチは遥ちゃんの手伝いね。私は1人用の書類を仕上げるから」
言葉を発する前に優菜は仕事に取り掛かり、黙々と書類の束を片付けていく。
嵐山隊は広報の担当でもあるため仕事が多いな。
俺も手伝おうと遥に話しかけようとした時、遥の方から話しかけられた。
「ごめんね、八幡君にも手伝って貰って」
「気にするな。それより最近、顔が赤いが大丈夫か?風邪か?」
「風邪じゃないから平気だよ。それより手伝いよろしくね?」
そう言って遥は密着ギリギリにまで近づいてきて隣に座る。
ヤバイ。女子特有のいい匂いがしてきた。
しかし遥さんや。いくら幼馴染だからって言って無防備すぎじゃね?俺じゃなかったら大変だよ?可愛いんだから」
「は、八幡君!?」
「お~大胆だね~」
………出たよ、俺の悪い癖
そう言えば前に独り言いってから遥の様子がおかしかったな。怒ってる、よな。
「あー、すまん遥。気にしないでくれ」
「う、うん………よかった……」
書類に目を通し始めた事で意識が書類に向いたため遥の最後の言葉が聞こえなかったが更に近づく幼馴染を意識しないよう、仕事を始めたのであった。
***
その頃
十和side
こんにちは。比企谷隊の志神十和です。
隊長である八幡とオペレーターの優菜さんが部屋からでて数十分が経過していた。
材木座くんの指示に従って僕は新トリガーの孤月(鎌)の調整が完了した。
「どうであるか?なにか不満があるなら今のうちである!」
「うーん。大丈夫かな。むしろ扱い易い」
孤月を改造したこの武器だが、他の孤月とは色が違って真っ黒だ。材木座くんの趣味らしいが目立つなぁ。
外で目立つのは嫌だけどボーダーでは何故か目立っちゃってるしコミュ障も発動しないから色は気にしなくていいや。
「耐久性は通常の孤月と同じ。重みが大きさに合わせて重くなっているがレイガスト程ではない。攻撃力も使い方次第で強力になるぞ」
僕は玉狛のレイジさんの次にパーフェクトオールラウンダーになった。しかし風間さんや八幡からアタッカーとして教わったがどれもしっくりくる武器がなくて狙撃と射手で戦闘してきた。
でもパーフェクトオールラウンダーとしてアタッカーもする必要があるとレイジさんに教わって話し合いの結果、新トリガーを作ってもらったのだ。
「オプショントリガーは絶空孤月。旋空弧月は距離を重視しているがこの絶空孤月は威力重視であるため距離は少しである。だがシールドも破壊出来るほどの威力のためトリオンの消費が旋空よりちょっとだけ多いのでな、気をつけよ」
「了解。ありがとね。じゃあ八幡呼んでランク戦してくるよ」
「うむ!……あ、我も呼びに行こう。データを得るため二人のバトルは見るつもりであるからな!ついでに今期アニメの感想でも語り合おうではないか」
「………いいね」
アニメ好きな僕の話し相手はボーダーだと材木座くんぐらいだ。八幡はプリキュアが好きらしいがジャンルが違うから語れない。
これから白熱する議論のため、僕は材木座くんと同じく腕を伸ばした。
***
「……ふむ。やはり『妹○え』は八幡に見せてもいいと思う。シスコンだし」
「でも一話終わったからね~。録画してないからブルーレイ買うしかないけど下ネタ多いのダメなんだよ」
「……三上殿が?」
「うん。前に小説の方を読まれて上目遣いでこういうのはダメって言われちゃって……」
「……それ、もう夫婦ではないか」
ん?材木座くん今なんて言った?
ボソッと何を呟いたが気になったため質問しようとした時、比企谷隊の作戦室に誰か3人いることがわかった。
空間把握
名前の通りに空間にある物や人を知ることが出来る。
普段は一定の範囲だけど頑張れば広げられるし、狭くしてより詳しく知ることも出来る。
たまたま範囲が広かったのでシュルエットみたいにしかわからないけど八幡はいないな。アホ毛ないし。
気になった僕は材木座くんに声をかけて自分の作戦室に入った。
「誰かいる、の………」
「「「…………あっ」」」
そこには確かに3人いた。
出水くん、米屋くん、緑川くんだった。しかし、僕が反応したのはそこではない。3人の足元には僕のDVDがあった。初回限定版の。
でも状態が最悪だった。
ウチのオペレーターの優菜さんは甘党なので僕達の分もとお菓子が大量に常備されている。その中でも優菜さんの大好物でもあり今日のおやつのために買っていたショートケーキが落ちていたのだ。
僕のDVDの上に
ブチッ
「……3人とも」
「「「は、はいっ!」」」
「ランク戦、100……殺ろ?」
いつも見ているはずの十和の笑顔ではないかことに3人はとっくに気づいている。
後に材木座が命名した孤月(鎌)【ファルクス】は3人の死刑を言い渡すが如く、幾度も3人を切り裂いていった。
オリキャラである二人の紹介を込めて前回と今回を書きました。
おそらくオリキャラはもう出さないと思いますが出したい時には募集しようと思うので意見よろしくお願いします!