やはりぼっちとコミュ障のボーダーは間違っていない 作:癒しを求めるもの
比企谷八幡が金に目がないのは間違ってない
司波兄妹の歓迎会が終わり数週間が経過した。
東京への新幹線に乗る二人を俺、十和、優菜、小町で見送った後、何故か小町が東京行きのチケットを買っていたのは何故だろうか?
本人に確認すると「え?だってあのお兄ちゃんに会いたがっている人がいるって深雪お姉ちゃん言ってたよ?」と首を傾げて人差し指を口元に当てる天使が降臨していた。
あれでおねだりされたら昔、親父が生きていたら速攻で服でもアクセサリーでもほぼないに等しい小遣いで買ってあげたことであろう。
まあ、そんなことがあって俺の重要な夏休みの後半は潰れてしまったのだった。
会いたがってる人って誰だよ………七草さんじゃなければいいなぁ………
終業式が終わり、学校の生徒にボーダーでの様子を見せてファンクラブが創立した
え、俺?
俺は現在、ボーダー本部の司令室にて学生のための休みを潰し、書類の整理という名の雑務をこなしていた。
一応、A級部隊の隊長やってるから司令室にはお世話になるハメになる。ぶっちゃけ、木戸司令怖いから来たくないんだが………
「比企谷、こっちも頼む」
「うっす」
忍田さんの頼みは中々断れん。
忍田本部長は俺が入隊した当時からぼっちな俺を気にしていためっちゃいい人だ。
この人の下なら社畜にならずにすむと思う。超ホワイト会社作れますよ忍田さん!
「本当に助かった。風間なら大丈夫だろうがこういった仕事は太刀川にさせられないからな」
「まぁ、大学のレポートを高校生に頼む程っすからね」
「全くだ。ボーダーがなかったら食っていけないぞ」
あるからボーダーに頼ってるんだけどな。
あの人はボーダー内で師匠の忍田さんを除けばNo.1の実力者だ。しかし、勉強は米屋以上に問題児かもしれない。ボーダーからの推薦なかったらどうなっていたことか………
「そういえば………比企谷、バイト受ける気はないか?」
「バイト……ですか?」
「そうだ。といっても小学生の体験学習の付き添いなんだがな」
「なんでボーダー隊員を?」
「ボーダーのスポンサーがそこの小学校の校長と知り合いでな。ちょうど宣伝にもなるため数名をバイトとして送ることになった」
「バイトってことは……」
「もちろん、バイト代はだす。2泊3日で一人五万だ」
「行きます」
即答した俺は悪くない。
3日で五万だぞ。小学生の体験学習について行くだけということは仕事も限られている。楽をして稼ぐ……めっちゃ最高やないですか
「人数は何人までですか?」
「十人くらい欲しい。防衛任務と重なるならこちらで合わせよう」
「太っ腹っすね」
「宣伝も重要な仕事だからな。それで、誰を連れていく」
「………妹連れてっていいっすか?」
「構わんよ」
「ちょっと待ってて下さい」
そう言って俺は時間を見る。
………任務はこの時間帯に入ってないな。
ジーパンのポケットからスマホを取り出していつものLINEグループに連絡を入れる。
~ボーダー高二組~
八幡:おーい
八幡:忍田本部長からバイトに勧誘された
八幡:一緒にしないか?
三輪:内容は
八幡:体験学習に行く小学生の手伝いだ
出水:えっ!?
米屋:ハッチそれ受けるのか!?
八幡:そのつもりだが?
小南:あの比企谷がバイト!?
十和:それって報酬は?
八幡:2泊3日で一人五万だ
奈良坂:それが理由か
出水:八幡が自主的にバイトするわけないもんな!
八幡:うっせ
八幡:それで、どうする?
優菜:それってオペレーターも可?
八幡:大丈夫だ
優菜:そんじゃ、私と栞ちゃんと桐絵ちゃんは参加〜
十和:僕も
出水:俺も槍バカも参加だ
米屋:うるせー誰が槍バカだ玉バカ!
出水:んだとゴラ!
三輪:そこまでにしておけ
奈良坂:米屋と出水が行くなら俺たちも行こう
十和:ストッパーお願いね
米屋:えーストッパーなのー?
十和:じゃあ僕が代わる?
出水:…………大人しくします
那須:そんなに怖いんだ
熊谷:私と玲はその日防衛任務があるんだけど
八幡:そっちは忍田さんがシフトを変えてくれるらしい
小南:随分太っ腹ね
八幡:同感だ。だから小町も連れていく
遥:許可は?
八幡:小町の事だから来るだろ
那須:それなら私と熊ちゃんは参加するよ
三上:私も
遥:皆行くなら私も
八幡:じゃあ高二組全員だな
八幡:必要なものとかは後で連絡する
スマホの画面を消す。
人数は……14人か。少し多いが大丈夫だろう。
「すみません、14人ですが大丈夫っすか?」
「そのくらいが丁度いい。助かった」
良かった。
東京行くのは面倒だがこれなら楽しめるな。
「それと、今回の体験学習はボランティアとして何人か来るらしい。トリガーの保有は許可するが争いごとにならないよう十分注意してくれ」
「何処のボランティア活動の人っすか?」
「そこまではわからない」
「わかりました。といっても争い事にならないメンバーなんで大丈夫だと思いますよ」
「それはわかっている。念の為だ」
書類の山も片付き、コーヒーを左手に、右手で持ったマッ缶を俺に渡して一息つく。
ま、ぼっちの俺が他人と無益な争いになることはないな。
あの時の言葉はフラグだったと後に八幡は後悔した。
甘いマッ缶を味わう俺の夏休みは間違っていないはずだ
俺ガイルでの千葉村編です。
その後は番外編で東京での八幡となるのでご了承ください