やはりぼっちとコミュ障のボーダーは間違っていない 作:癒しを求めるもの
これからも是非!よろしくお願いします!
そしてパロキャラにだす作品は……!
八幡side
休日が終わり、小町を中学校まで送った俺は一人で自転車を漕ぐ。たまに同じ制服を着た生徒の横を通過するがボーダー組はいないためスルー。基本ぼっちなのが俺なのだ。故に一人でいることを不快に思わない。
誰にも見られないようにして欠伸をしながら俺はアホ毛をピンピンさせながら静かに教室のドアを開けた。
俺が入ってきたことに気づかない、もしくはすぐに視線を戻すかのどちらかを選択するクラスメイトだが今日に至っては全員が俺に視線を向けて離さない。
理由は簡単、停学から復帰した縦巻金髪ロールこと三浦が戻っていたからだ。三浦は俺の姿を確認すると睨みつけてきたが全然怖くないんでいつも通り猫背で自分の席に移動して仮眠の体勢をとると徐々に視線が外れていった。
葉山からも悪意の視線を感じたがそれだけ、由比ヶ浜は何か話したげだったが今頃だ。先週はチラチラとこちらを見てきただけで何もしてこなかったから無害。同じく無視した。
俺が仮眠をして少し経つと三大天使の一柱、戸塚がおはようの挨拶をしてくるため対応する、それだけで心満たされた俺はなんとかだるい授業を今日もまた乗り越えるのだった。
「待て、比企谷」
「何ですか、平塚先生?」
授業が終わり、十和と三上に勉強しないかと誘われたので無理矢理参加するため帰ろうとした時、平塚先生にまたも引き止められた。
え、何故無理矢理かって?
二人きりの勉強会の方がいいかと気を使い断ったからだ。あの二人はもう少し話すべきだと思ったんだが………
「何か知らんがラブコメ臭が……」
「先生には縁がないこ「何だって?」……何もないっす」
「まあ、いずれ私にも相応しい相手が現れるだろう。いずれ……」
「先生……俺からは頑張って、としか……」
「何でだろうな……独身貴族って言葉は違和感ないのに独身女になると心が、こう、どす黒い何かに埋もれそうになるのは……」
ヤバい、早く帰ろうとしたが自虐し始めたぞこの先生。どんだけ結婚したいんだよ!
「はぁ……結婚したい………んんっ!所で比企谷、奉仕部はどうした」
「無理矢理ですね……奉仕部は行きません、逆に止められたんで」
「それは篠崎と志神にか?二人が君の部活参加に賛成しないのはわかったが君自身はどうなんだ?」
「何で罵倒されるために時間使うの?って感じですね」
この前のテニスの件でハッキリした。あの毒舌女は人を知らない。
自分が優秀だと間違った認識の結果、周りを見れず救われない相手に勝手に悲願する。
十和曰く「彼女はいずれ崩壊した大人になる」らしい。十和が言うならそうなんだろう。しかし雪ノ下は当事者の話だとしても聞かないだろう。
「前に言ったこと、覚えてますよね?」
「……君が願ったら奉仕部から退部することか?」
「はい。先生だってテニスの件、聞いたでしょう。それなら雪ノ下の間違いだらけの性格を治すのは俺には不可能です」
「……わかった。君はもう奉仕部の部員ではない。時間を取らせてすまなかった」
失礼します、と軽く礼をしてその場をあとにした。もし雪ノ下と次あった時、彼女は自分が言ったように変われるのだろうか?
答えは否、アイツは変わることが出来ない。いや、変わる条件が足りない。
ストレスの原因の一部が無くなった俺は背が軽くなった足取りで自転車を取りに駐輪場に向かった。
さっさとサイゼでゆっくりべんきょーしよ「八幡君!」ん?
俺の名を下で呼ぶのは少ない。そして声の高さから女子、そして俺がよく知っている声故に溜息を履いてその人物の名前を呼ぶ
「何で遥がいるんだ?」
「志神君と歌歩ちゃんが八幡君も来るから勉強しないかって。だから一緒に行こ?」
「はぁ……後ろ乗れ」
「うん!」
送れってだけ言えばいいものを……一緒だなんて言葉使うとうっかり告白して振られるぞ?
まあ、今のこの関係が好きな俺は自分で関係を壊す訳がないがな。
嬉しそうに後ろに座った遥を見て安全運転と心に刻んでサイゼに向かっていった。
***
「……で、ここが公式に当てはまるから……そうそう。そのまま文字を入れ替えて完成だよ」
「おう、サンキュー」
「八幡君、ここの古文何だけど……」
「えーっと……ごめん十和君、もう一度いい?」
とりあえずドリンクバーだけを注文した俺たちは十和の「あ、えー、その、あ、よ、4人……です」と、絶賛コミュ障発動により確保した4人席に座って勉強中だ。
俺は苦手な数学を十和に教えてもらい、国語は俺が教えるというシステムでテスト範囲を確認していた。全員、覚えがいい方なので勉強は進んでいく、進んでいくのだが………
「……十和、いつから女慣れした」
「いや、この前歌歩さんの頭を撫でたら嬉しそうにしてたからそれ以来癖で」
「うぅ〜//」
「歌歩ちゃん、可愛かったよ」
少し前、三上が応用問題が解けたからと十和が三上の頭を数分撫でた事で俺と遥は驚いた。
今も三上は顔真っ赤だが十和は平然。何者だこいつ、いやホントに。
「何か砂糖を吐きそうだ………マッ缶もどき作ってくる」
「それって砂糖取り込んでるよ!?」
「ばっかお前、砂糖足りなくなるから補給するんだよ」
「だからって糖分多いとダメだよ?」
了解と呟くと俺は席を立ってコーヒーをつぎに……
「あれ、お兄ちゃん?」
「おう、小町じゃな、い…………か」
席を立つと俺と同じアホ毛をもつ妹、小町がいた。そしてーーー
「あ、あの!自分、川崎大志っす!はじめましてお兄さん!」
「お兄さんと呼ぶな。で、小町、この男とはどんな関係だ?」
「お、落ち着いて八幡君!」
「そうだよお兄ちゃん。大志くんはただの友達だから!あ、遥お姉ちゃんに十和さんと歌歩さんお久しぶりです!」
俺以外に挨拶する小町だがその横のたい、太子くん?は燃え尽きていた。まぁ、女子から”ただの友達”と強調されて言われたらそうなるわな。ソースは俺。だが同情はせん。
「で、小町はなんでそこの大地くんと一緒にいるんだ?あと次にお兄さんつったら殺すぞ」
「大志くんだよお兄ちゃん……実は大志くんから相談されて……」
ほー。相談事を女子の小町に頼むとは……
軽い殺気をだして気絶させたかったが十和によって止められた。
「で?相談って何なんだよ」
「は、はい!実は姉が家に帰ってくるのが遅くて……」
「お姉さんはどれくらい遅いの?」
「五時っす」
「つまり毎朝バイトでもしているのかな?」
珍しくコミュ障を発動しない十和の質問にたい、大士は何度も頷いて肯定した。
「姉は川崎沙希って言ってお兄さんと同じクラスのはずっすけど」
「お兄さん言うな………あ、もしかして青髪の不良みたいな奴か?」
「そうっす」
………おう
俺、川崎沙希っていう奴に会ってる。しかもバイト先で。
前に二宮さんに鳩原さんの件で使った所にいた。
どうする?働いている店の場所は知っている。しかし今はーーー
「話は聞かせてもらったわ」
「………何でいるんだ雪ノ下」
俺が改めて大志に質問しようとした時、そこには雪ノ下と由比ヶ浜の姿があった。
「私は由比ヶ浜の勉強の手伝いよ。それより逃げが谷くんは綾辻さんと三上さんと他校の生徒を脅してなにがしたいの?」
「勉強会だよゆきのん!それよりヒッキー!なんで綾辻さんと一緒だし!前もだったよね!?」
「由比ヶ浜には前に言ったよね?それに雪ノ下さんはなんで八幡君が私たちを脅したって決めつけるの?」
「あら、そんなダメ男があなたと相席だなんて脅す以外ないと思うのだけど?」
「八幡君は私の幼馴染なの。だから普通に勉強会しているだけよ?」
遥に返り討ちにされる雪ノ下を見ていると頭が痛い。コイツは考えること出来ねぇのかよ。普通しないだろ脅迫とか。
あと、十和なんかマスクなしだからと言って気づかれていない。
「……この際、比企谷君のことはどうでもいいわ。それより川崎さんのことよ。川崎大志くんよね。少し話してくれないかしら」
雪ノ下が偉そうに大志に質問した瞬間、俺の怒りが一定ラインを越えた。
「おい雪ノ下。お前はその事を聞いてどうすんだ?」
「どうにもこうにも、川崎さんを見つけてバイトを辞めさせるわ」
「やめておけ。これは家族の問題だ。部外者が割り込んで言い訳ないだろ」
「しかし彼女は総武高の生徒よ。だったら”私”が問題を解決するだけよ」
「じゃあお前は出来るのか?」
「当たり前じゃない」
「テニスで余計なことしといて、か?」
「ヒッキー!その事は今は関係ないでしょ!」
バツの悪い顔をする雪ノ下をフォローするべく由比ヶ浜が止めに入る、が
「同じだろ。出来ないことを責任取らずに逃げ出す、こんな奴に家族のデリケートな問題を解決出来るとでも?戸塚に迷惑かけて俺が尻拭いした前とは違って今回はお前の勝手な我儘で崩壊することがある。それをお前はわかってるのか?」
「………っ!」
「ま、待ってよゆきのん!」
反論出来ずに雪ノ下は自分が否定した逃げを使ってどこかへと行ってしまった。
溜息を吐いて視線を戻すと清々しい顔の十和以外、怖がっていた。
謝り、二人を席につかせると俺は大志から家族事情、川崎がバイトをし始めた時期などを聞いた。
雪ノ下には関わるなと言ったがバイトをしていると言うことは金が欲しいのだろう。金にうるさい俺は大志からの話をまとめて一つの結論を出し、依頼を受けることになった。
***
時刻は夜の10時
十和と三上と別れ、遥と小町を送った俺は、最後にまた「ありがとうございます、お兄さん!」と言われて内心怒り爆発寸前なのだが小町の”友達”なので受けた依頼は最後まで遂行する。
俺は以前と変わらない服装でドレスコードを難なくすり抜けて川崎のバイト先へと向かった。
(何でいるんだよアイツら………)
しかし、そこには雪ノ下と由比ヶ浜の二人がバーテンダー姿の川崎と何やら話していた。
会話は途切れ途切れのため聞こえないが俺は念の為に川崎の姿は見えずに二人だけを動画でとれる席に座り動画を取り始めた。
別のバーテンダーにMAXコーヒーを注文してそれを一口飲んだ時だった。
「今はゆきのんの家は関係ないでしょ!」
「………川崎さん、覚悟することね」
そう捨て台詞を吐いて二人は店から出ていったので俺は動画を停止させて席を移動させた。
「よう、川崎。次は俺と話そうぜ」
「……誰?」
「同じクラスの比企谷だ。それより川崎、お前の弟が心配してたぞ」
「……あんたも雪ノ下さんたちと同じ?」
「いや違う。アイツらはどうせ何も考えずに突っ込んだだけだろ。俺はお前に提案しに来た」
「提案?」
「そうだ。お前、自分の学費払うためにバイトしてんだろ?」
「……っ!?」
「当たりだな。大志が塾に通い始めたが両親はそれで手一杯。自分は迷惑かけたくないから自分の分は自分で出す。それがお前の考えだろ」
「……そうだけど。あんたに私の何がわかるの」
「わかるぞ。俺の親は大規模侵攻の時に死んでるからな」
すると川崎は驚いた顔で黙った。
話を続けよう。
「あー、これは内緒だが俺、ボーダー隊員なんだわ、A級の」
「………本物のトリガー」
俺はポケットに突っ込んでいたトリガーを川崎だけに見えるようにして見せた後にまた元に戻す。
「親が死んでも金は必要。俺と妹の生活に金は必須だったから俺はボーダーで固定給料が出るA級まで上がったんだがそのための訓練で帰りは遅くなっていた。そしていつものように深夜に家に戻ると妹が部屋で泣いていてな。『一人にしないで』って。だから俺はその日以来、できるだけ早くに帰るように訓練の内容を変えたんだが、お前には意味わかるよな」
川崎は無言で頷いた。
「大志も同じだ。姉のお前が弟心配させてどうする?」
「……でも」
「金がない、だろ?なあ川崎、スカラシップって知ってるか?」
おそらく塾にいった事がないであろう川崎に俺は予備校の資料を何枚か渡す。
ざっと目を通した川崎は信じられない顔をして内容に釘付けになっていた。
「要は勉強して成績よかったら代わりに学費は出すっつー制度だ。これなら夜遅くまでバイトする必要はないだろ」
「………ありがとう……でも」
そう言って川崎は素直に俺に対して礼をした。
しかし最後の「でも」って何だ?
「明日、多分雪ノ下さんが学校に私のバイトのことを話すと思う」
「何でだ?」
「雪ノ下さんの家は雪ノ下建設だから私の気持ちわからないだろって論破したらキレたから」
………本当に余計なことしかしないな。
確かにこれで学校側に川崎のバイトの事がバレたらスカラシップを狙えるか不安定だ。仕方ない
「川崎、お前は明日からバイトに来なくていいぞ」
「無理。1ヶ月くらい前に辞めるって言わないと………」
「問題ない」
俺はそう言い張るとスマホを取り出してとある電話番号を入力した。
『はい、司波深雪です』
「比企谷だ。すまん、司波妹の方だったか」
『八幡さんですか。いい加減私を名前で呼んでくださいませんこと?』
「いや無理。急にお前を名前で呼んだらシスコンのお前の兄に殺させる」
電話の先から聞こえる声は声優顔負けの声を持つ女の声だ。
しかし、今、この電話を通して話している女は笑っているが目で氷漬けにさせてくるだろう。ハッキリ言って怖い。
『………まあ、今更なのでいいです。それより、八幡さんはお兄様に要件なのですよね?』
「ああ、頼めるか?」
廊下を歩く音が聞こえた後、次は別の人物の声が聞こえた。
『比企谷か。久しぶりだな。要件はなんだ』
「おう、久しぶり。それで司波、いや”達也”。頼み事がある」
『………それは四葉家に、か』
「そうだ」
『………わかった。内容と事情の説明を頼む』
『………わかった。俺が頼んでおこう』
「すまんな、迷惑かけて」
『問題ない。それより、今度深雪とそちらへ向かう。その時にボーダーに寄るからその時にまた会おう』
「わかった。助かった」
そう言って互いに通話をオフにした。
「これでお前が働いていたという記録はなくなる。だから川崎、明日、先生に呼ばれてバイトの話になっても自分は知らないと言っておけ。わかったな」
「それでいいなら願ったり叶ったりだけど……さっき、誰と電話したの?」
「内緒だ」
司波達也
母親は他界し、父親は研究所に泊まりこみのため実質妹と東京で二人暮らし。
しかし、本来は日本でも権力が高い四葉家の人間でもあり、ボーダーの臨時開発者であり、同じ師匠をもつ兄弟子でもある。
そんな彼に頼んだこと、それは川崎沙希という人間が働いていたというデータを全て消去することだ。
これで川崎がバイトをしていた事実は消える。
店を出た俺は他所の家族を壊さなかったことに安心しながらも明日見られるであろう絶望の顔をした雪ノ下を思い浮かべ、スマホを持った手をブンブン振りながら帰っていった。
原作とは全く違う達也さんがこれから登場です!