霧隠れの黄色い閃光   作:アリスとウサギ

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参上!うずまきナルト

「くくく、終わりだと? わかってねぇな……猿真似ごときじゃあ、この俺様は倒せない、絶対にな!」

「ちっ!」

 

クナイを首に突きつけられた状況で、なお余裕の態度を見せる再不斬に警戒するカカシ。

 

「ククククク、しかしやるじゃねぇか、カカシ。あの時既にオレの水分身をコピーしていたとはな。分身の方にいかにもらしい台詞を吐かせて、オレの注意を引き……さらに本体は霧隠れの術をコピーして、オレの動きを探っていたわけか……けどな……」

 

再不斬がそこで言葉を区切り、

 

「オレもそう甘くはねぇんだよ!」

 

そこでカカシは漸く気付く、目の前の再不斬も水分身なのだと。

すぐさまクナイで切り、水分身を倒すが、ここで初めて本体の再不斬がカカシの前に現し、首斬り包丁で襲いかかる。

その大きな大剣を軽々と振り回し、一閃。

カカシは何とかその斬撃を避けるが、体勢を崩し、そこにすかさず再不斬の蹴りが入る。

 

「ぐぁっ!」

 

蹴り飛ばされたカカシは、一度体勢を立て直そうと水の中に飛び込む。

しかし、それは再不斬相手には悪手過ぎる手だった。

 

「何だ、この水? やけに重いぞ……」

「ふん、バカが! 水牢の術!」

 

予め水にチャクラを練り込んでいた再不斬はそれを利用し、カカシを水の牢獄へと捕縛した。

しまった!? と自分の迂闊さを嘆くカカシだが、後の祭りだ。

 

「さて、カカシ。お前との決着は後でつけるとして、まずはタズナと餓鬼どもを殺らなくてはな。水分身の術!」

 

再不斬は片手で印を結び、水分身を作りだす。

このままでは全滅だ。

それだけは避けなければと、カカシは大声を上げる。

 

「お前ら、なにボサっとしてやがる! タズナさんを連れて早く逃げろ!」

 

確かに下忍の三人では逆立ちしても上忍の再不斬には勝てない。

だが、それは逃げることすらできないという意味だ。

だったら、俺たちが生き残るにはカカシを助け出すしかない。

そう結論づけ、再不斬の水分身に攻撃を仕掛けるサスケ。

だが、勝てないものは勝てない。

あっさりと水分身の再不斬に捕まり、地面に叩きつけられる。

 

「くそっ!!」

 

再不斬がそのままサスケの頭を踏みつけ、首斬り包丁で切りつけようとした時、

 

「忍法・超獣偽画!」

 

サイが所持していた巻物に二匹の獣の画を描き、その獣が現実となって、

バシャッ!

水分身を噛み消す。

それを見た再不斬は一言。

 

「ほぉー、なかなか優秀な餓鬼がいるじゃねぇか、カカシ!」

 

カカシも水牢の中からその様子を見て驚く。

急遽、第七班に加わったサイが演習の時に手を抜いていたのはわかっていたが、まさか水分身とはいえ再不斬に抗えるほどの強さを持っているとは思ってもみなかった。

サイは感情の込もらない顔で、

 

「確かに本体の相手は無理だけど、水分身くらいなら僕には殆んど通用しないよ再不斬」

「この餓鬼!」

 

再不斬はこのままではいい的になるだけなのを悟り、水牢の術を解き、カカシとサイから距離を取る。

自由になったカカシが再不斬と部下の間に立ち、

 

「よくやったぞサイ! 正直言って助かった」

「いえ、上がだらしなければ、下がしっかりするしかありませんから」

「はははは……じゃあ、少しはオレもいいところを見せますか」

 

サイとサクラが既にタズナの近くにいるのを見て、サスケは悔しそうにしながらも護衛に戻る。

それを見たカカシは再び視線を再不斬に向け、

 

「さて、言っておくが再不斬、オレに二度同じ術は通用しないぞ! どうする?」

「ふん!」

 

再不斬は写輪眼を相手に正面からの近接戦闘はまずいと距離を取り、忍術を繰り出そうと印を結ぶ……が、

 

「「丑 申 卯 子 亥 酉 丑 午 ……」」

 

カカシまでもが再不斬と全く同じ動きをする。

そして、

 

「「未 子 丑 申 酉 壬 子 亥 酉!!」」

 

ほぼ同時に術が発動する。

 

「「水遁・水龍弾の術!!」」

 

次の瞬間。

水面から現れた二匹の龍が踊り争う。

両者は全くの互角の勝負をして、最後に再び水へと還っていった。

 

(どうなっていやがる? 写輪眼は一度見た、相手の術をコピーする能力のはず。

だが、今のは初見なのにほぼ同時に術が発動してやがった……コイツ……)

 

「胸糞悪い目付きしやがってか?」

 

(なに、オレの心を先読しやがっただと!? 駄目だ、このままでは奴の術中にハマってしまう……早めにけりをつけねぇと!)

 

「ふん所詮はコピー、二番煎じだ!「お前はオレには勝てねぇよ! 猿野郎!」」

 

術だけでなく、体の動き、台詞までもコピーして再不斬の心理を揺さぶるカカシ。

そこで、隙ができた再不斬を写輪眼で幻術にかけ、印を聞き出し、完全に先を超す形で再不斬の術をカカシが発動する。

 

「水遁・大瀑布の術!!」

 

突如。

大きな水流が再不斬を襲う。

いくら水を用いた闘いを得意とする再不斬でも、これほどの水遁には抗いようがなく、そのまま抵抗虚しく押し流され、木に激突したところに四肢の関節を狙うカカシのクナイが再不斬の体に突き刺さる。

 

「……なぜだ、お前には未来が見えるのか?」

「あぁ……お前は死ぬ!」

 

これは本気で殺られる。

再不斬がそう覚悟を決めそうになった時、

 

「つぅああらぁああ!」

 

およそ忍らしくない声を上げながら、ナルトがカカシに蹴りを入れに来た。

それを難なく防いだカカシは反撃することも考えたが、再不斬の増援である以上油断はできない。

万が一のことを考えて、一度距離を取った。

そこで、自分に蹴りを入れようとした相手に目を向ければ、まるっきり予想外の人物が視界に入り、あのカカシが一瞬とはいえ完全に無防備になる。

その隙にお面を着けて現れたハクが、再不斬の体に刺さったクナイなどを抜き、救出に成功する。

 

「やいやいやいやい、てめぇら随分と好き勝手やってくれたなぁ! オレが来たからには、てめーらなんか、こてんぱんのけちょんけちょんにのしてやる!」

 

(この子は九尾の、ミナト先生の……

木の葉からいなくなったのは火影様から聞いていたが、まさか再不斬達と一緒にいたなんて想定外もいいところだぞ)

 

「あ〜、お前、何で……」

「ナルトくん、ここは引きます!」

 

カカシがナルトに話しかけようとしたのを遮り、ナルトに撤退を促すハク。

 

「何で逃げなきゃなんねぇんだ! 再不斬も業頭も冥頭もコイツらにやられたんだぞ! やり返さなきゃ気がすまねぇってば「ナルトくん!!!」

 

ハクがナルトの言葉を遮り、叫ぶ。

再不斬も心配な上に、このまま闘ったとしても勝てる可能性が低いと考えたからだ。

いつも優しいハクのあまりの剣幕にナルトは、

 

「わかったってばよ……」

 

と、撤退の意思を示した。

だが、目の前のナルトをカカシが見逃すわけもなく、一歩踏み出そうとした時。

 

「忍法・超獣偽画!」

 

カカシの後ろまで来ていたサイが、再不斬やハクでもなく、ナルトに向かって術を発動する。

 

「待て、サイ!」

 

カカシはサイを止めようとするが、写輪眼の使い過ぎでチャクラも殆んど残っておらず、止めることができない。

まずいと思ったが、術を向けられたナルトは不敵な笑みを浮かべながら、応戦する。

 

「多重影分身の術!」

 

十数人のナルトが二匹の獣に近づき、一斉に飛びかかることで動きを止める。

更に、本体のナルトは印を結び、

 

「分身・大爆破の術!」

 

分身達に予めつけておいた起爆札を起動して、自らの分身ごと爆発させた。

 

起爆札によって発生した煙が消えた頃には……ナルト達もその場から消え去っていた。

 

 

カカシは先ほどまでナルトが立っていた場所を見て、顔を曇らせる。

 

「カカシ先生、今のはナルトでしたよね? 前まで同じアカデミーにいた……」

「ナルトがなぜ再不斬達と一緒にいやがる!」

 

ナルトと面識のあるサクラとサスケは困惑の表情でカカシに問いかける。

 

「そう……だな……間違いなくナルトだった。再不斬といい、ナルトといい、どうにもとんでもない任務を引き受けてしまったようだな、俺達は……」

 

(最後に現れたお面の子も声や背丈からして、サスケやサクラと大して変わらない年頃だろうに、かなりの身のこなしだった。ただのガキじゃないね……それに)

 

カカシはサイの方へと視線を向ける。

弱った再不斬ではなく、ナルトに対して攻撃をしていたサイには明らかに何らかの目的があるように思えてならなかった。

 

(こっちもただのガキじゃないね、どうも……)

 

そこまで思考を巡らしながら、カカシを突如地面に倒れてしまう。

 

「カカシ先生!?」

 

心配して駆けよってくる下忍達。

 

「あ〜ぁ、すまん。写輪眼の使い過ぎだ……オレはしばらく動けないから、あとはよろしく〜」

 

そういって静かに眠りについた。

 


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