対魔法国家建国記/生存園を確保する為に国を作ります/   作:SimoLy

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いろいろあるかとは思いますが、まずはじめに。
100UAありがとうございます。これからも頑張っていきますのでどうかよろしくお願いいたします。
後前回の告知の期限ぎりぎりになってしまい申し訳ございません。

追記:謎の改行修正しました。申し訳ございませんでした。

今回も是非楽しんで読んでいただければなと思います。

一件感想及びアドバイスを頂いたので、参考にしています。その為今までと大きく文が変化している点があります。ご了承ください。


st.2 戦う手段と神の存在

Ex-st.1より

「あの時呟いていた」『剣技』、『型』って何?」

「そうだな...簡潔に説明するなら、『俺が今まで生き残っている理由』かな。」

 

 

かの少年、海月 冬夜は自分が目にした光景を信じる事が出来ていなかった。目にした光景、といっても色々あると思うが、冬夜は『何が起こったか』を認識できていないわけではなく、『何故起こせたか』が認識できず、その光景を信じる事が出来ていなかったと言える。冬夜は、今目の前で起こった事を理解する為、言葉を紡ぐ。

 

「今のは...?」

「一番分かりやすい表現は『魔法』かなぁ?正確には違うんだけど」

 

ではまず、分かっている事...何が起こったかを整理してみよう。と冬夜は自身を落ち着かせる。『魔法』と言っていたのはこの際無視するとする。

『何が起こったか』だが、端的に表現するのであれば『剣が出現した』が最も正しい表現だと思う。彼...海月 志久は、先程冬夜から少し離れ「まぁ見てろ」と冬夜に対して言った後、何かに祈る様に少し俯きながら小さく呟いたかと思うと、次の瞬間、志久の目の前に黒い、細剣と言うほどではないが、冬夜が知っている剣よりは少し細身の剣が光と共に出現した...と言った所だろうかと、冬夜は一人で納得する。だが冬夜の整理も虚しく、疑問であった『何故起こせたか』を解決出来る様な情報を洗い出す事は出来なかった。

 

「どうやってやったの...って聞いてもいい?」

「今までは、絶対教える気は無かったんだがな...今回の襲撃はこいつが無ければ終わってたからな...」

 

冬夜がおそるおそる、疑問に対する答えを求めると、志久は剣を持っていない左手で頭を掻きつつ、今も咥えている冬夜とお揃いの、彼が仕事を完遂した証である棒を悲壮な面持ちで見つめる。だが、その表情を見せたのは一瞬で、次の瞬間には何かを考える様な表情になって突拍子も無いことを口にしていた。

 

「今から教える事は、お前を始め、何人かの者には扱える様になってもらう。特にお前は...俺と戦える位にはなってもらうから、覚悟しろよ?

今から教える『剣技』と『型』は、奴ら『魔法使い』から身を守る方法であると同時、奴らを倒す...いや、はっきり言ったほうがいいよな、『殺す』方法だ。それを念頭において話を聞いてくれ。」

 

そう言った彼の表情は先程までのどこか気の抜けた表情ではなく、ただ真剣に大切な事を話す様な、そんな表情に包まれていた。冬夜は、そんな彼の想いに応える様に真剣に話を聞こうと真っ直ぐ彼を見つめる。そうして少し経ち、冬夜が彼の言葉を心待ちにしていると、彼は、申し訳なさそうな顔を浮かべながら話し始める。

 

「まぁ別にこの剣出す奴は関係ないんだけどな?」

「え?」

「これは別、『剣技』と『型』はまだ何も見せてない。剣出す奴はまた今度な?」

 

そう言って彼は剣を構える。その姿は冬夜が想像していた騎士の様な構えではなく、自然体に近い、右手一本で剣を前に構える...といった感じだ。彼が近くの木に対して構えているのをあいも変わらず真剣に見つめる冬夜。先程とは違い、彼は間を空ける事なく冬夜に話し続ける。

 

「『型』は少し特別...みたいな感じだからそれもまた今度。今から見せるのは比較的簡単な『剣技』だ。剣身と切断の瞬間を見逃すなよ?」

 

自分の弟に自慢げに見せる様な口調と表情でそう言った志久は、一番近い木のすぐ傍まで距離を詰めると、一言「ごめんな?」と小声で呟き、剣を振り始める。

志久の右側から、半時計回りに半円を描くような軌道を取って木に近づいていく剣撃、その刃が木に接さんとしたその瞬間

 

「『剣技-斬鉄』」

 

志久の言葉が聞こえたと同時、刃に白い膜...みたいなものが浮かび上がる。その一瞬を挟み、剣が木と接したのだが....冬夜は最初と同じ様に目を疑った。志久の一振りは、まるで素振りかの様に一切の淀み無く半円を描ききったのだ。『木を切断して』。目の前で起きた手品の様な芸当に、思わず「すごい...」と冬夜が零すと

 

「このサイズの木は、専用の道具を使わないと綺麗に切断する事は出来ないだろ?ましてはこんな細身の剣で、俺一人の力でなんて土台無理な話だ。それを可能にしたのが今回の剣技、斬鉄ってわけ。」

 

細身の黒剣を右手で遊ばせながら志久が自慢げに話す。先程までの真剣な表情は見る影もないと言った感じだ。いつものどこか飄々とした雰囲気に戻った志久に合わせるかの様に冬夜も普段の落ち着きを取り戻し始めていた。そんな冬夜の心境の変化を待っていたのか、少し時間を空けて志久は問いかける。

 

「落ち着いたか?お前的にはいつもの感じで話した方が落ち着くみたいだな。じゃあ冷静になった所で質問だ、切断の瞬間何か見えたか?」

 

何かを試し、願うかの様なその声色に疑問を抱きながらも、冬夜は自分が見た光景をそのまま志久に伝える。

 

「しぃ兄が「斬鉄」って言った瞬間、剣身に白いもや...膜?よく分からないけど、そんな感じの何かを纏って木に向かって行ったと思う...かな?」

「ふぅー....良かったぁ。もしかしたら『捨てられた』可能性もあったが、流石にそこまで盲目じゃないか。」

「....?」

 

『捨てられた』とか、『盲目』とか、いまいち全容が掴めない言葉が出てきたが、多分合格...なのだろう、志久は安堵に息を吐いている。そんな志久に、冬夜は胸の中で広がり続ける疑問を解消するべく問いかける。

 

「ねぇ、そろそろ教えて貰っていい?」

 

その質問に、彼は「そうだったな」と恥ずかしそうに顔を背けるが、一瞬で元に戻り、話し始める。

 

「まず原理だが、不明だ」

「は?」

 

思わず怒りが出てしまった。こいつ...じゃない、我が兄は一体何を言っているのだろうか。と内心考えていると

 

「待て落ち着け、まだ続きがある。原理は不明だが、そうだな...神様みたいな?そんな感じの何かが力を貸してくれてるみたいなイメージだ」

「神様~?」

 

そういえばそんな存在も居たな、と内心呟く。初回の襲撃時には魔法使い達から民を守る為に力を振るっていた気がする。その後の襲撃ではうんともすんとも言わなかったが。だがそうすると一気にさっきのしぃ兄の発言の謎が解けるね。あくまで予想だけど、4回目の襲撃を乗り切って集合場所での「足りないのか」って叫んだ奴...信仰も何もあったもんじゃない発言の事が気がかりだったのだろう、居たなら言ってくれれば良かったのに。と、色々思い出していると、彼は冬夜の呟きに応える様に続ける。

 

「そ、神様。俺は元々個人的に信仰していた神様から借りているが、冬夜にも一柱くらい居るだろ?信じている神様。その神から力を借り---」

「居ないけど?」

「は?いや仮にも信仰心で出来た村に居て、かつそこの村長の家系だろ?それが信仰心持ってないなんてこ---」

「守り神様は建前上してたけど、1回目の襲撃以降何もしてこない神様にする信仰なんて持ち合わせてないです。」

 

冬夜達が居た村は志久が言った通り、どこの家も何かを信仰していた。それは志久の様に神様だったかもしれないし、もしかしたら物だったかもしれない。だが一つだけ分かっている事は、冬夜が今信じている神や物などは居ないという事であり、冬夜の家...海月家が信仰していたのはガルラだかガルーラだか呼ばれている神鳥であったが、彼?彼女?に対する信仰は1回目の襲撃以降心の片隅程度にしかしておらず、3回目以降に至っては「祈って生き残れるなら苦労しない」と信仰なんて忘れていた。先程の発言にはそう言った背景があったが、特に説明する事は無く、冬夜は話を続ける

 

「信仰が要るって言うなら、本当に申し訳ないんだけどこの話は無かったことに」

「でも見捨てられてるなら神力は見えない筈...あ、ちょっと目を閉じてイメージしてみろ、『お前の中の神様を』」

 

そう言われたので、渋々イメージしてみる。確か...こんな感じだったっけ、と胸の前で手を組み目を閉じる。

しばらくすると、何だろうか、まるで人型に感じられる、だが人型ではない何かが頭の中?心の中?に浮かび上がる。冬夜はそれの正体を掴もうとイメージを固定化させようと必死になるが、『それ』はどう頑張っても正体を掴ませない。だがその『何か』は唐突に何かを語りかけてくる。

 

「-------、-う--、す-し-け、力を貸そう。」

 

最初は不明瞭だったが、徐々に鮮明になっていった『何か』の言葉を聞き終えると、心の中でイメージしていた人影?は一瞬で消え去り、冬夜の意識は半ば強制と言われる様な感覚を伴いながら、現実世界へ引き戻される。引き戻された現実世界で冬夜が見たものは、先程までは絶対に存在していなかった白銀の剣が冬夜の目の前に突き刺さっている姿と、それを見る志久の、驚きと喜びの入り混じった表情だった。

 

「何これ!?しぃ兄が用意したの!?」

「そんなわけないだろ...。でもまぁ、とりあえずは大丈夫そうで良かったわ。」

 

表情から分かってはいたが、分かっていても質問してしまうくらいには衝撃的な光景だった。とりあえずその剣を手に取ってみると、まるで今までも使っていたかの様な感覚が手から感じられる。「しっくりくる」との表現が適切だろう。そんな事を考えながら、暫くその剣の取り扱いを試していると、志久から話しかけられる。

 

「とりあえず一先ずは安心だからさ、寝ないか?ここまででだいぶ時間を使ったし...」

 

言われてみれば、そもそもの会議の時間が遅かった気がする。というか落ち着くと眠気が襲ってくる。それもその筈だろう、手元の時計はもう少しで日が昇る時間だと言う事を示していた。

 

「また明日...今日か。俺...僕はここで寝るけど、しぃ兄は?」

「外で寝るよ。自分のテントまで向かっていたら下手したら日が昇る。」

「じゃあ一緒に寝る?勿論テントは別だけど。」

 

冬夜のテントの中には、冬夜が最後にテント設営をした影響で、余った設営道具が転がっている。それを一つくらい引っ張りだそうと考えて提案する。

 

「あるのか?じゃあ借りようかな」

 

そう言って冬夜のテントの中から用具を引っ張りだしてテキパキと設営をする志久。その様子を眺めていた冬夜だったが、ついに眠気に耐えられなくなって一言告げる。

 

「しぃ兄...先に寝るね?お休み~...」

「おう、お休み。明日しっかり説明するからな」

 

その声を最後に冬夜はテントの中で意識を手放した。

 

 

 

 

 

「それにしても、まさか剣の顕現が行われるとは思ってなかったな。お前は心当たりあるか?ってあるわけないよな。あ、冬夜に何が見えたかは分からないが、最悪お前の力を借りる事になるかもだから、そこ把握よろしくな」

 

 

 




st.2で剣技の説明は終わらせるつもりだったのですが、終わりませんでした。
違いますよ?決して期限に間に合いそうになかったから急遽切ったなんて事はないですよ?
はい、少なからずありました。本当に申し訳ありません。気が付いたら文字数も多かったので良い区切りかなと思い切らせていただきました。次回では本質に触れますので、楽しみにしていただければなと思います。
感想、お気に入り登録などしていただけると、とっても嬉しいです。

今回の失敗を元に、次回の更新予定を立てたいと思います。
次回の更新は「今週中」を予定しております。
次回をお楽しみに!


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