IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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クラスメイトの子たちも基本いい子


代表決定パーティー

 千冬と箒が本音に相談して企画した、セシリアクラス代表決定パーティーを開催する事になり、参加者はクラス全員という、一ヶ月も経たないうちにかなり仲良くなっている事が分かるパーティーとなっていた。

 

「私が出ると分かっていながら皆さん参加してくださるなんて、ありがとうございますわ」

 

「織斑さんと篠ノ之さんと和解してるのに、私たちが何時までもセシリアさんに冷たくするのもね~」

 

「こうやってパーティーやるっていうのに、不参加はつまらないもんね」

 

「ようは騒ぎたいだけなんだよ~。だからセッシーが必要以上に恐縮する必要もないよ~」

 

「ちょっと本音、ぶっちゃけすぎでしょ!」

 

 

 本音の身も蓋もない言い分にクラスメイト全員が笑う。そのお陰でセシリアの表情も硬いものから柔らかいものに変わっていた。

 

「はいはいは~い! 新聞部の黛薫子です。注目の新入生、織斑千冬さん、篠ノ之箒さん両名と、話題の代表候補生のセシリア・オルコットさんにインタビューさせてね~」

 

「何処から現れたんですの!?」

 

 

 突如現れた上級生に驚くセシリアとクラスメイト。だが千冬と箒、そして本音は驚いた様子もなく、本音に至っては呆れた表情を浮かべている。

 

「どこで聞き出したんですか~?」

 

「ジャーナリストの嗅覚を甘くみないでほしいわね! スクープの匂いがすればどこにだって現れるわよ」

 

「このまえおね~ちゃんに散々怒られてたのに、懲りてないんですね」

 

「あ、あれくらいで志を曲げるようなら、私はジャーナリストを名乗らないわよ」

 

「何だか震えてません?」

 

 

 本音の指摘に、薫子は一つ咳ばらいをしてから三人に視線を移した。

 

「今回のインタビューはちゃんと織斑先生に許可を貰ってるから、遠慮なく喋っちゃってね」

 

「一夏さんの許可?」

 

「そんなものいつの間に取ったんですか?」

 

「まぁ、そこは秘密よ。これでもちゃんとした校内新聞を書いてるつもりだから安心して」

 

「偶に違法すれすれだっておね~ちゃんから聞きましたけど~?」

 

「す、すれすれであって違法ではないもん! っと、それじゃあさっそくインタビューをしたいんだけど、順番の希望とかある?」

 

 

 本音にはなるべく関わらないようにしようとしているのが丸わかりな態度だが、一夏が許可してる以上変な事は聞いてこないだろうと、千冬と箒は安心していた。

 

「ないならまずはオルコットさんからね。噂の二人と闘った感想は?」

 

「凄く手ごわかったですわ。時間制限が無ければ、千冬さんには勝てなかったかもしれません」

 

「なるほど……篠ノ之さんはどうだったかしら?」

 

「あの技を完璧に使用できていれば、間違いなく私は負けていました。あれで勝ったとは言えませんわ」

 

「なるほどなるほど……あの試合は得るものが多かったみたいですね」

 

「そうですわね。もしあのままの私で突き進んでいれば、いずれ限界が訪れ、その時誰も助けてくれなかったでしょう。ですが、お二人のお陰で自分の愚かさに気付けましたし、こうして皆さんと楽しく騒げるようになりました」

 

「これは噂なんだけど、オルコットさんって織斑先生の事が気になってるんだよね? 教師としてじゃなくて一人の異性として」

 

「なっ!?」

 

「まぁ当然だろうな」

 

「一夏兄の魅力に逆らえる女など、そうそういないからな」

 

 

 照れるセシリアを尻目に、箒と千冬は当然のようにセシリアの感情を肯定する。よく見れば、クラスメイトの殆どが頷いており、残りのメンバーは恥ずかしそうに視線をそらしているのを見て、セシリアは自分だけではないと理解し安堵の表情を浮かべた。

 

「競争率は高そうね~。それじゃあ次は織斑さんにインタビューしちゃおっかな」

 

 

 薫子から解放されたセシリアは、熱くなった顔を冷ます為に輪の中から抜け出した。

 

「セッシーも分かり易いね~」

 

「の、布仏さん……」

 

「本音で良いよ~。それにしても、織斑先生の人気は新入生の中でもかなり高いよ~。かんちゃんも気になってるみたいだし、おりむ~やシノノンもライバルっぽいしね~」

 

「千冬さんは実の妹ですわよね?」

 

「『そう言う行為』をするときは血縁は邪魔だけど、それ以外はかなりのアドバンテージだと思うよ~。自然に一緒にいられるんだから」

 

「な、なんだか深い事を言われた気がしますわね……」

 

「そうかな~? ちなみに、楯無様も織斑先生の事は先輩以上に思ってるみたいだし、相当頑張らないと厳しいと思うよ~」

 

「楯無……?」

 

 

 どこかで聞いた覚えのある名前だったが、セシリアはすぐに思い出せなかった。本音に聞こうとしても、彼女は既に輪の中に戻っており、追いかけるのも憚られたので、セシリアは自分の記憶を一生懸命探った。

 

「楯無……まさか、ロシア代表の更識楯無さんですの!?」

 

 

 漸く思い至った名前は、セシリアにとってかなり大きな意味を持つ相手だった。他国の代表というだけでも相当なライバル心を懐いているのだが、まさかその相手が恋のライバルになるかもしれないなど、セシリアは思ってもいなかったのだ。




ジャーナリズムをはき違えてる気が……

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