IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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束ならありえそうと思ってしまう箒


箒への疑惑

 海外組が候補生の合宿で国に帰ってしまったので、千冬と箒は学園に戻ってきて道場を使わせてもらっていた。

 

「今日は私の勝ちだな」

 

「だが通算ではまだ私の方が勝ち越しているからな」

 

 

 夏休みという事もあり、剣道場を使いたがる生徒は皆無と言って良い事もあり、殆ど二人の貸し切り状態になっている。もちろん、毎日許可をもらってから使っているので、その状態に不満を漏らす生徒はいない。というか、この暑い中剣道部も活動したくないようで、今は殆ど休部状態なのだ。

 

「自主練という形になっているけど、他の部員たちはそれで良いのか?」

 

「まぁ、ここはIS学園だから、剣道よりISの練習をした方が褒められるんだろう」

 

「そんなものなのか?」

 

「私が知るわけないだろ」

 

 

 千冬の問いかけにあっさりと答えた箒だったが、実際今アリーナの使用許可はかなり取りにくい状況になっている。帰省している生徒もいるが、せっかく時間があるのだからと学園に残り、訓練機とアリーナの使用許可をもらって訓練しようと考えている生徒が多数存在するのだ。

 

「私たちのように専用機を持っていれば、アリーナの使用許可だけで良いんだが、他の連中はそうはいかないみたいだからな。復習も兼ねて訓練したいと思ってる一年が多くいても仕方ないだろう」

 

「実技は問題なかったからな、私たちは」

 

「いや、問題はあったと思うが……」

 

 

 自信満々だった箒に、千冬は顔を顰めてツッコミを入れる。確かに平均よりは上だったが、細かい部分では要精進と評価されているのだ。

 

「そもそもISに触れてまだ半年程度の私たちが、実技で高評価だったのがおかしいとは思わないか?」

 

「まぁ私たちの戦い方は、一夏さんの戦い方を模写してるに過ぎないからな……」

 

「一夏兄の戦い方を完璧に模写出来るなら兎も角、そんなこと不可能だからな……」

 

「なら、午後はISの訓練でもするか? アリーナが使えればだが」

 

「何処も空いてないだろうな……」

 

 

 毎日分単位で埋まっているので、今更申請したところでアリーナの使用許可が下りるとは二人とも思っていなかった。

 

「あれ? 今日はもう終わりなの?」

 

「簪か……そろそろ昼休憩にしようと思ってただけだ。お前たちも一緒にどうだ?」

 

「そうだね~。かんちゃん、今日は二人と一緒にお昼にしよ~!」

 

「それじゃあ先に食堂に行っててくれ。シャワーを浴びたらすぐに行く」

 

「分かった。それじゃあ、場所取りしてるね」

 

 

 簪と本音の二人と別れて、千冬と箒は部屋に向かい、着替えを持って大浴場へ向かう。普段なら部屋のシャワーを使うのだが、今は人も少ないので大浴場を使っているのだ。

 

「何時もこの広さの風呂を使えれば良いんだがな」

 

「それは贅沢が過ぎると思うがな。そもそも、普段は大勢の人間が生活してるから、こんな贅沢出来るわけ無いだろうが」

 

「まぁそうだな……というか、また成長してないか?」

 

「? ……っ!? 何処を見ているっ!」

 

 

 千冬の視線が自分の身体の一部分に向けられていると気づき、箒は慌ててその部分を腕で隠した。

 

「同じような生活リズムで、同じようなものを食べているというのに、何故お前ばかり成長するんだ」

 

「そんなこと私が知るわけ無いだろうが! というか、お前だって十分成長してるだろうが」

 

「お前のような乳お化けが隣にいると、私くらいの大きさでは霞んでしまうんだよ!」

 

「だ、誰が乳お化けだ!」

 

「ひょっとしてお前、束さんに何か投薬されてるんじゃないのか?」

 

「そ、そんなことあるわけ……ないだろ?」

 

「何故言い淀んだ?」

 

 

 何時もなら力強く否定してくるところで言い淀んだのが、千冬には気になって仕方なかった。

 

「いや、姉さんならありえそうだと一瞬思ってしまっただけだ。少なくとも、私の意思でそんなことをされた覚えはないからな! というか、そんな身体の一部分だけを成長させる薬なんて、いくら姉さんでも開発出来ないだろうしな」

 

「いや、あの人なら何でもありだからな……やってやれない事は無いと思うが」

 

「そもそも! 何でお前はそんなことを気にするんだ! 大きくたって邪魔なだけだからな! 肩は凝るし動きにくいし!」

 

「自慢か? それは自慢なんだな?」

 

「そんなわけあるか! というか、簪たちを待たせてるんだから、こんなくだらない事で時間を無駄にするのは得策ではないだろうが」

 

「むっ……確かにそうだな。箒の無駄乳の話で待ちぼうけを喰らわせたなどと知られれば、さすがに怒られるか」

 

「誰が無駄乳だ! というか、何時まで見てるんだお前は!」

 

 

 一向に自分の胸から視線を逸らそうとしない千冬に、箒は割かし本気で怒鳴るが、そんなことで動じる千冬ではない。シャワーを浴び脱衣所で身体を拭いている最中も、着替えの最中もずっと箒の胸を凝視していたのだった。




興味なくても大きかったらチラッと見てしまうかもしれない……

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