ノーゲーム・ノーライフ I am a loser   作:飯落ち剣士

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第2章:敗北ゲーマーは天空都市へ向かうようです
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----雨が、降っていた。

 

銃声が聞こえた。『◼️◼️』が倒れた。

倒れる『◼️◼️』を、俺は見つめることしかできなかった。

 

震える足で、ゆっくりと、倒れた『◼️◼️』の方へ向かう。彼女の来ている上矢印のプリントされたTシャツは血に塗れている。

 

血に濡れたシャツを触れる、しかし俺の手に付いた血はすぐに洗い流される。

 

俺は、彼女に言う。

 

「……ごめん」

 

「私こそ。ミスっちゃった」

 

そして彼女は、ゆっくりと口を開いた。

 

「××××××××」

 

そのまま眠るように、目を閉じた。

 

俺は立ち尽くす。遠くサイレンの音が聞こえる。

濡れた顔を拭いて、俺は呟く。

 

()()()()()()()()()()()()

異世界のベッドの上で。

 

 

「ファル、料理出来たのな」

「そりゃ一人暮らしでしたし。あなたができることの方が意外でしたよ」

「できるけど面倒だから今度からファルが作ってな」

「安定の理不尽」

 

そんなことを言いながらの朝食。炒め物とパン。合うのか不安だったが杞憂だった。

そうだ伝えとかなきゃと海、

 

「あ、今日俺仕事しないから」

 

唐突の仕事サボる宣言。

 

「えっ」

 

こんなに堂々と仕事サボると宣言するやつがいるだろうか。ファルは呆れを通り越して尊敬の念すら覚えた。

 

「ファル。俺らに今足りない物って何だと思う」

 

突然そんな問いを投げかける海。ファルは少し迷って答える。

 

「人手ですか?」

「いや、情報だ」

 

しかし海の答えは違うものだった。

 

「ここしばらく、この家の蔵書とか王宮の図書とか漁ったんだが」

「王宮どうやって入った」

それはサラッと流すなとファル。

「いや、経済大臣補佐の職権濫用。話を戻すとな。

----人類種(イマニティ)、あまりにも持ってる情報が少なさすぎる」

情報は弱者である人類の唯一の武器である。それが少ないと言うことはつまり、

「他国に攻め込めない」

「攻め込むつもりだったんですか」

こちらから仕掛ける事が出来ないことを意味する。

「俺は勝てないって話はしたよな」

「ええ、勝利恐怖症でしたよね。あと異世界出身でしたね」

「そう。異世界出身なのは別にどうでもいいけど。

----で、俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……なんでですか?」

その問いにパンを口に放り込んでから答える海。

「簡単な話、相手はわざと負けようとすれば良いから」

そう、そうすれば海の勝利恐怖症は発症し、ゲームどころではなくなって敗北する。

「だから俺らの作戦はこうだ。

----いろんな国に内通者を作って、『 』がそれらの国家を全て獲ったタイミングで()()()()()()。そうすれば----」

「たった一回でバレる事なく全て手に入ると。なるほど」

海の言わんとしていることを理解し、続きを取るファル。

「そゆこと。だから内通者を仕込むために、多種族に攻め込まなきゃいけないわけ」

そしてそれにはさっき海が言った通り、情報が足りない。

だからこそ彼は自らの足で情報収集することにしたのだ。

「そういうことならまあいいですよ、仕事は僕がしときます」

「サンキュー。とりあえず酒場とかまわっとくから。夜には帰るよ」

そう言って炒め物を平らげ、ドアから出て行った。

「……よく考えたらなんで僕あの人に協力してんだろ」

一瞬ふと疑問に思ったファルだったが、すぐにその思考を消し去り出勤準備を始める。

 

 

「西の森にエルフ?」

「ああ、そのせいで木こり達が木を取れねぇんだ。遭遇するとその森に近づかないことを賭けたゲームを申し込まれるからな」

酒場のマスターはそう答える。

これは当たりの店かもな、そう思い海はチップを積む。

「ふーん。他には?」

「東部連合の大使館付近でデモが起こったらしい」

「……大使館?」

「しらねぇのか?元王宮跡地にあるでっかい金属製建物だよ」

「……ああ、あれか」

そういえばそんなものあったなと、海は宿泊まりの時に見たビルを思い出す。金属製ならあれだろうと。

「そそ、理由は不明だけどな」

「りょーかい、さんきゅ」

「またどうぞー」

金貨を置いて酒場を後にする海。もう情報収集は終わったと、家に帰る。

その途中、大通りがざわついているのに気づいたが、

「……まあいいか、めんどくさい」

特に気にせず帰宅した。

 

 

「帰りました……」

「おかえりー。結構収穫あったぞ」

「もう帰ってたんですね」

意外そうにそう言ったファルに、海。

「3時間くらい前からいたぞ」

「じゃあ仕事くればよかったじゃないですか」

そうファルが突っ込むが、しかし忘れるな。

この男、()()()()()()()()人類最底辺である。

「で?何するんですかその情報で」

もう何かすることはお見通しだ、聞かせろと言外に告げるファル。

「ああ、俺らの今後の目標は2つ。

1、エルフを仲間にする。

2、アヴァント・ヘイムへ行く」

この2つな。と、さらっと言ってのけた海。

「正気ですか?最大国家を作り上げた種族を手に入れて、上空20,000メートルの天空都市へ向かうって……人類に出来ることですかね」

そう、いつものように反論するファルだが、彼は同時に思う。

(きっと、もう策はあるんでしょうけど)

「ま、その辺は任せろ。差し当たっては俺はエルフを仲間にする。明日、な」

「で、僕は仕事と」

「そーゆーこと。よろしく頼むぜ?」

相変わらず理解の速いファルにウインクし、海は眠りにつく。

ファルはそんな彼に溜め息をつきながらも、明日の報告を楽しみにしている。

『____』が、動く。




今後4ヶ月の間忙しいため、書き溜めていたものを予約投稿する形となります。

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