違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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今日は講義が2コマ空いたので連続投稿です。

池と山内のことを作者はあまり好きになれないのですが、みなさんはどうでしょう?自分は好きではないので少しきつめになってしまっているかもしれませんが気にしないで見ていってください。
それとこの小説未だ原作1巻の100ページほどしか進んでいないことに驚きました。もう少し早めに進んだ方がいいですかね?




水泳

学校生活にも慣れてきたある日、桐生たちDクラスの生徒たちは次の授業のため移動をしていた。そこは普段桐生たちが授業を受けている場所ではなかった。

 

「やつぱり水泳といえば、輝く水面に飛び散る水滴、そして何よりもスクール水着を付けたかわいい女子だよな!」

 

現在、彼らは次の授業である水泳の授業のため更衣室に向かっている。桐生の前にはここ最近一部から三馬鹿トリオと言われている、池、須藤、山内の三人がやたらと高いテンションで騒いでいた。他の男子たちや綾小路、平田、そして俺はそんなテンションについていくことができず、その後ろで泳げるか泳げないかという話をしていた。

ところであの三人がなぜあんなに騒いでいるのかといえば、この水泳授業が元凶だろう。高度育成高等学校の水泳の授業は男女合同である。この時点で多くの人は察しただろう。彼らは女子の姿を眺めることを楽しみにしているのだ。こちら側の話に参加していない男子たちも心の奥底では多少気にしているだろう。だがここまで全開に出されると鬱陶しいと思ってしまうが…。そりゃあ自分だって男だから気にはなるがあんなに言っていたら女子からも嫌悪感が飛んで来るだろう。

 

「本当にあの三馬鹿たちキモいよね…」

 

俺と綾小路は男子の最後尾を歩いているのだが、後ろを歩いている女子たちからの嫌悪感と汚物を見るような視線が俺の背中に突き刺さるため辛い。

あいつらもそのことを察してくれれば幾らか楽なんだが、彼らは何も気にしておらずあの子は胸が大きいだのそんな話ばかりしている。池とか山内は女子にモテたいなんて言っているが、そんなことを言っているうちはモテないだろう。かくいう自分もモテるわけではないのでいえた口ではないが、少なくともそれだけは分かる。

 

しばらく歩いているとプールへとやって来る。やはり政府が支援している施設であるというだけあってとても広いプールとなっていた。ただ時間があまりなかったため、みな急いで更衣室へと移動していった。

水着に着替えて、プールに出てくると、綾小路や山内たちが何やら怪しげな会話をしていた。何かやらかすのではないかと心配になったので、気になって近づいてみると不意に山内の声が聞こえた。

 

「ここだけの話、俺実は佐倉に告白されたんだよ」

山内が告白されたと言っていることに驚きが桐生は隠せなかった。まさか心の中でそんなことを言っている人はモテないと思っていたにも関わらず、実際は告白されていたことに衝撃を受けていた。

というか、佐倉って誰?なんて考えていると更衣室からガタイが良い金髪の男が颯爽と現れた。

 

「ハッハッハ。水泳という授業は素晴らしい。私の美しい肉体を存分に見せ、輝かせることができる授業だからね。」

 

Dクラスきっての変わり者、高円寺が現れた。高円寺は確かに普通の高校生には似つかないような強靭な身体をしていて、さらにこの登場だったため、注目を浴びていたが、なによりも彼が穿いているブーメランパンツに注目が集まっていた。さすがにこの頃ブーメランパンツを穿く人なんて見たことなかったため、みなが引いている。自分もだ。

ところが高円寺は他人の視線など関係ないとポージングを披露する。その気にしなさにみなも疲れたのか気にしないで仲が良い人と話すようになっていった。

 

それからほどなくして体育教師がやってきて授業が始まる。先生はやる気のなさそうな様子の女子たちや、泳ぐことが苦手な人たちにある言葉を伝えた。

 

「泳げるようになっておけば、必ず後で役に立つ。必ず、な」

 

確かに泳げるということは人生において役に立つだろうがそこまで使う機会は少ない。それにもかかわらず『必ず役に立つ』と二度も断言していることが気になる。覚えておいた方がいいのかもしれない。

 

その後は至って普通の授業のように説明を受けた。その後初めに全員が50m泳ぎ、終わった後に競争すると先生が言い出した。競争をするということに抵抗がある人たちは文句を言ったが、1位になった生徒には特別ボーナス、5000プライベートポイントを支給するといった瞬間その反抗は収まった。変わりに最下位のものは補修を受けてもらうと付け足されたが、1位のボーナスに夢中で他の人たちはあまり気にしていなかった。

 

まず予選を行い、タイムが早かった5人で決勝を行って、その中で1位を決めるという分かりやすい方法であった。俺は洋介、高円寺と同じグループに所属することになった。

「私と同じグループとはついていないものだね。私の一位は固いものだが、せいぜい楽しませてくれよ。ボーイたち。」

 

高円寺は変わらぬ様子を見せていて、余裕そうである。確かにあの身体なら相当なタイムは出るだろう。かといって負けてやるつもりもない。やるからには勝ちに行く。

 

 

 

まずは女子から始まる。女子は男子に比べると人数が少ないため2くみしかない。注目は堀北、櫛田、そして水泳部の小野寺だ。順当にいけば小野寺が勝つだろうが、堀北はかなりスペックが高そうなため接戦が予想される。

 

「おい見ろよやっぱり櫛田ちゃんの胸やばいだろ。」

 

「いやでも…」

 

横の二人は煩悩のことしか考えていないのか…他の男子も大方のやつらはそう考えているようだ。しかし、綾小路と洋介はそんな目で見ておらず、純粋にタイムを見ていた。

 

結果としてやはり小野寺が優勝した。タイムも26秒と男子でも早い部類に入るタイムでこれには男子も女子も驚いていた。続いて堀北の28秒、そして櫛田の31秒が上位3位となっていた。

 

さて、そろそろ前の組がスタートするためしっかりと準備運動しておく。準備体操も終わったところでプールを見ると須藤が前半を一位で通過していた。その後も須藤がぐんぐんと差をつけていく。あまりの速さに他の人が遅く見えるほどであった。

 

「よっしゃあ!一位だ!」

 

余裕で一位を取り雄叫びをあげる須藤を見て、高円寺もスイッチが入ったのだろうか普段の変な雰囲気を一切出さない本気の目をしていた。

 

やがて全員が泳ぎきって全員がプールから出たため、桐生たちの組の出番になる。全員がスタート台に立つと女子から黄色い声が上がる。これは洋介がスタート台に立ったからだろう。高円寺は特に気にしているような様子はなかったが、同じく泳ぐ池、山内は不快そうな顔をしていた。やはりあの二人はモテる洋介を敵対視しているようだ。

俺も応援がなかったことは悲しかったが、応援の有無はレースに作用しない。ここにいる全員より先にたどり着けばいいだけの話だ。負けはしない。

全員が準備を整え、スタートの笛を待つ。

スタート前の独特の緊張感が周りを支配する。スタートを今か今かと待っていると先生の笛がプールに鳴り響いた。

五人が一斉に水面へと飛び込んだ。

 

 

 

飛び込むと高円寺は驚異的な瞬発力でスタートダッシュに成功すると、その勢いのままぐんぐんと加速をしていく。少しタイミングが遅れてしまった桐生はほぼ平田と同じタイムで進んでいた。さらにその二人から遅れて池、山内と続く。

このままでは高円寺の圧勝となってしまうため、ギアを上げてペースをあげる。本来ならペース配分を気にするところだが、このままでは何もすることなく負けてしまうため、ペース配分度外視のスピードで突き進む。少しづつ洋介を引き離していき、高円寺を少しづつ捉えていた。しかし追いつくことは叶わず、そのまま高円寺が一位でゴール。続いて桐生、平田、池、山内となった。

高円寺のタイムが23秒22、桐生がが25秒03、洋介が26秒13がだった。ちなみに池が33秒45、山内は37秒78となっており、山内は暫定補修圏内のためかなり落ち込んでいた。

 

「いつも通り私の腹筋、背筋、大腰筋は好調のようだ。悪くないねぇ」

高円寺はまだまだ余裕がありそうだ。そしていつものように髪をかきあげた。それに対して肩で息をするように俺は疲れていたためまだまだ体力が足りていないと感じた。もう少しトレーニング増やすか…

そんな俺に高円寺は突如として話をしてきた。

 

「桐生司といったか。なかなかやるようだ。本気を出すまでもなく勝てると思っていたのだが、この私に本気を出させ、その上でほぼ変わらぬ速度を泳ぐとは面白い人物だ。」

 

どうやら高円寺が俺のことを少し認めたらしい。そんなことはないだろうと思っていたため、内心驚いているが、素直に感謝する。

 

「高円寺にそういってもらえるとは光栄なものだ。だが俺は肩で息をしているが、高円寺は全く余裕そうだ。それを鑑みればまだまだ俺はダメだ。もっと鍛えないといけない。」

 

この体力じゃ高円寺を越すタイムで泳げないな…こりゃあ決勝は辞退する他ないなか…

そんなことを考えていると洋介がやってくる。

 

「司も高円寺くんも早いね!僕には付いて行くので精一杯だったよ。」

 

「悲観することないぞ。確かに君たちは早く、いい泳ぎをしていたが、私がただその上をいく泳ぎをしただけだ。この美しい肉体を持ってすれば余裕なのさ。」

 

そういうと再びポージングを高円寺は決める。最初は疑っていたが、高円寺は確かな実力を持っていて、その上でこの態度を取っているのだ。圧倒的強者、そんな雰囲気を感じていた。

 

「ああ、平田も速かった。けど今回は俺が勝てた。変わりに今は動けそうにないけど…」

 

「大丈夫かい?肩を貸そうか?」

 

こんな状況でも相手の心配ができる洋介はすごい。俺が女だったら惚れるているかもしれない。さすがはイケメンだ。

 

「ありがとう。少しだけよろしく頼む。」

 

その後、桐生は決勝戦をリタイアし、決勝は実質高円寺と須藤の直接対決となった。結果は高円寺の勝利。須藤さえも寄せ付けない速さで勝利し、その日の水泳の授業は終わったのだった。


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