違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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長らくお待たせしてすみません
テストにレポートに追われてなかなか時間が取れず、1ヶ月以上書けてませんでした
次回もまた遅くなる可能性があるので、ご理解お願いします


騒乱

無人島特別試験開始から4日目、橋下と神室との約束の日がやってきた。桐生は二人と今日の夕方に例の隠れ家的スポットで合流し、答え合わせをする予定になっている。互いに他の者には知られるわけにはいかないので、こっそりと抜け出して合流する予定だったのだが、そうもいかなくなってしまった。

「誰よ!恵の下着を奪った変態は!」

 

その原因とは、Dクラスの女子生徒、軽井沢恵の下着泥棒が現れたということだった。

この事件によってクラスの雰囲気は最悪となり、男女間で睨み合う険悪な雰囲気が辺りには漂っている。この中でこっそり抜け出したともなれば間違いなく疑いの目が俺自身に向けられるのは目に見えて明らかだ。

俺自身は最初に女子の手伝いをしたことによって多少なりと女子からの疑いの目は少ない方だが、それでも疑われていることに間違いはなかった。

 

「俺らだって知らないよな!?そんなもん盗んでどうしろって言うんだよ!?」

「そうだ!こんなところでしても疑われるだけだろ!」

 

池や山内たちを中心に俺たち男子はしていないと主張を続けてきたが、信じてはもらえなかった。寧ろ隠しているとさらに強く責められているのだった。

 

「はぁ…めんどいことになったなぁ…」

 

意見は常に平行線上をたどっているため、口論が絶えず、クラスの雰囲気は最悪と言って過言なかった。

 

「まあまあ、みんな落ち着いてよ。そんな下着を盗んだりするような人はこのクラスにはいないと思うんだ」

 

クラスのまとめ役の洋介も必死に女子たちをなだめようとしていた。洋介がそう言った疑心暗鬼になったりするのを嫌っているからというのもあるだろうが。

 

「いくら平田くんが言っても、こんな誰が盗んだかも分からない状況だったら信用することなんてできないよ!ね?軽井沢さん?」

 

今回の騒動、主に男子に文句を言ってきているのは軽井沢本人ではなく、その軽井沢の所属しているグループのメンバーたちだった。軽井沢本人はそのことがショックだったのか、ここにはおらず、自身の寝ているテントの中にずっといるようであった。

つまり、本人ではなく、別の人たちが俺たち男子をまくし立てていたのだった。

 

「本当男子なんてクソだよね」

「下着を盗むなんて本当最低!人としてどうかしてるよ!」

 

思いつく言葉でこちらを罵ってくるので、当然そんなことをしていない(はず)の男子たちも、そんな言葉に腹を立てて逆に罵り返したりする悪循環だった。

かくいう俺も早くこの場を抜けて橋下や神室に合流したいと思ってるので、早く終わらせたかったのだが、朝から続くこの状況に辟易していたし、いつまでも罵られるのはイライラしていた。

 

「だからやってないって言ってんだろ!そうやって女子が勝手に疑ってるだけだろ!俺たち男子はやってないし、軽井沢がどっかに落としたとかじゃねえの?」

 

須藤が軽井沢が落としただけじゃないのか指摘する。確かにそれは大いにあり得ることだと思うし、あるいは無くした可能性があると思っていた。いつも通りにしまったと思っていても、実際はどこか別の場所に置いてて気づいてないという可能性もあり得る。だからそこらへんはどうなのか…と思っていると、他の男子たちも口を揃えて言う。

そんな男子の意見に対して、女子たちは、自分たちが疑われていることに逆に怒り出した。

 

「落とすなんてあり得るわけないでしょ!そうやってこっちばっか疑うのがより怪しい!絶対隠してるに決まってる!」

 

「こんな犯罪者たちと一緒に後4日も探さないといけないなんて考えられない!」

 

一切その可能性はないと断定し、さらに文句を女子たちは言っていく。

いつまで経っても進まないこの言い争いに俺としても苛立ちが募っていた。女子は俺たち男子の意見を一切聞こうとしない。俺たちが犯人だって信じて疑わないという姿勢がとても不愉快に思われるからだ。

 

しかし、俺まで苛立ちを募らせていても何も進展はない。ともかく、一度冷静になってこの事件について考えてみる。

 

女子たちの主張によると、昨日の夜には確かに軽井沢のバッグの中に下着はあったらしい。それを確認してから軽井沢はテントで寝た。そして朝起きて、準備をしているときにはすでに下着は軽井沢のバッグの中からなくなっていた。これがざっくりとした今回の流れだ。

普通に考えれば軽井沢がバックから離れて、寝ている間に誰かが盗んだと考えるのが妥当だ。 しかしながら、男子と女子のバックは混同しないように、そして、こういったことが起こらないように少し離れた位置に置くように洋介が提案していたので、女子のバックは女子側のテントの近くに置かれていた。

 

これを踏まえて考えてみると、男子が勝手に女子のバックの場所に近づくのは不自然に思われるのが普通だ。

そして、昨日は俺が夜遅くまで起きて水の煮沸消毒をしていた。そのため、夜の遅くまで起きていたのだが、俺とその作業をしながら話をしていた洋介以外に男子の誰かが起きているような様子はなかった。もちろん、俺たちが寝るのを見計らって犯行をした可能性もあるだろうが…。

 

ここまで考えて、俺はある可能性に気がついた。盗むことによって同じくメリットがあると考えられる人物…それはCクラスからやってきている伊吹だ。恐らくスパイとしてここへやってきていると考えられる伊吹にとってDクラスで男女が喧嘩するというのは他クラスを蹴落とす意味では大きなメリットだ。

 

こう考えると伊吹が意図的に仕組んだようにしか思えなくなってきた。そして、伊吹を俺は朝から見ていない。女子側の方にずっといるのかもしれないが、怪しいとしか思えない。

 

「なあ、洋介、少しいいか?」

 

とりあえず、この考えを洋介には伝えておこうと思って洋介に話しかける。しかし、俺と同じように何かを考えているのか、下の方を向いて反応しない。何かブツブツと言っているようだが、男女間の言い争いのせいで何を言っているのか聞き取れない。とりあえず、もう一回呼んだが、また聞いていないようなので、肩を掴んで呼びかけた。

 

「なあ、洋介!」

 

「…司…ご、ごめん…どうしたの?」

 

洋介はようやく反応する。一瞬見えた洋介の目は虚ろだったように見えたため、洋介も疲れているように思われたが、すぐにそんな様子は鳴りを潜め、いつものクラスをまとめるリーダーの洋介といった様子に戻った。

とりあえず、洋介に俺の考えを伝える。俺たちが起きていたから、犯人がこのクラスにいる可能性はかなり少ないということ。伊吹が怪しい可能性が高いということ。

話を聞き終わると洋介も納得したようで、早速女子たちの元へ行って確認に向かった。

 

「少しいいかな?」

 

「平田くん!こいつらに言ってやってよ!こんなやつらと一緒に生活できないって!」

 

「怒るのも分かるけど、少し待って、僕の話を聞いてほしい。いいかな?」

 

怒りに任せて文句を言う女子たちも洋介が言う言葉には黙って聞こうとする。やはり洋介は女子からかなり信頼されているようだ。明らかに俺たちとは扱いが違う。

 

「確かに僕たち男子が一番疑わしいと思うだろうけど、一つの可能性として、伊吹さんがした可能性はないかな?伊吹さんは他のクラスだし、もしかしたら…万が一だけども、僕たちを混乱させるためにやったのかもしれない」

 

「確かに伊吹さんは他のクラスだけど…それでもやっぱり男子がしたとしか思えない!」

 

「僕もこう思ったけど、あくまで一つの可能性ってことだけだからね。信じてくれとは言わないよ。それでもここで喧嘩するのはやめよう。これ以上お互いに文句を言ってもいたちごっこだよ。男子はボディーチェックも荷物検査も僕がした。だから一旦この話は終わりにしよう。どうかな?」

 

「でも…」

 

「これ以上続けてもお互いに相手を恨むだけだよ。だからね?」

 

女子たちはまだ言いたそうだが、流石に洋介に強く言うことはできないようで、大人しく引き下がっていった。流石である。

 

「男子のみんなも一旦この話は終わりにしよう。これ以上お互いに喧嘩してもお互いに疑心暗鬼になるだけだからね。そして、これ以上疑われることがないように、しばらく男子と女子の生活空間をここを中心に完全に分けておこう。どうだろう?」

 

みんな最初は戸惑っていたようだが、すぐに納得した。お互いにこれ以上刺激し合わないようにだろう。

 

「女子たちは何かあれば僕に伝えて欲しい。基本的に僕はここにいていろいろ橋渡し役になるから。けれど、僕はその代わりご飯の調達とかはいけなくなるから、代わりにみんなにしてもらうことになるけどいいかな?」

 

「それくらい俺たちがやってやるよ。だからその代わりに女子の方はよろしく頼む」

 

幸村たちが率先して動くらしい。それでみんな納得して、解散となった。

そして、俺はその解散をした後、洋介に他クラスの偵察に行くとだけ告げて、俺はようやく橋本、神室たちとの合流地点に向かって動き始めれたのであった。




原作でのくだり、ボディーチェックからの池のバックに下着があったくだりなどはすでに行われていたと言う時系列で今回は書いています


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