違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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また遅くなりました(いつものこと)
前回の話が好評だったようで嬉しいです
また皆さんに満足してもらえる作品を書けるように精進していきます


女子との交渉

Bクラスの帆波、神崎と同盟関係の有無を確認し、情報を交換した俺と綾小路は、山内や佐倉、伊吹が待っている場所は戻っていた。

そこにはBクラスのメンバーである柴田、白波の二人もいたはずだったが、既にいなかったため、帆波達と合流し拠点へと帰っていってしまっていたようだった。

 

3人に合流して、俺たちも拠点へと帰ることになった。

 

その後は特にこれといった問題や出来事もなく拠点に帰ることができた。その間も山内は佐倉にアピールを繰り返していたが、やはり鬱陶しがられているようであった。当の本人は気づいていないようなので幸せそうであったが…。

 

 

そんなことを尻目に見ながら拠点に帰ると、男子達の一部が不機嫌そうにテントを組み立てていた。

 

テントについてだが、元々クラスには2つのテントが支給されていた。しかし、篠原たち女子組が占有すると言い張り、言うことを聞かないため、どうにかしないと幸村や池たちが、俺たちが出かける前に話していたことを思い出す。

今組み立てていることから、テントを買うことが出来ているようであったが、様子を見る限りいい様子ではないようであった。

 

とりあえず、近くにいた平田に話を聞いてみる。

 

「平田、これは何があったんだ?」

 

平田は俺が呼んだことで、振り返る。その平田も少し疲れたような表情が伺えたので、一悶着あったのであろうことが伺えた。

 

平田が疲れた様子になった原因は何か。厄介なことでないといいけど…とは思うが、厄介なことじゃなければ平田一人でなんとか出来たはずだ。

 

「ああ…桐生くん、戻ってきたんだね…。実は…」

 

平田はここで起きたことを簡潔に話してくれた。その話をまとめると、最初にクラスに与えられた2組のテントを女子が占領してしまったらしい。最初はそれに男子も抵抗していたらしいが、結局篠原たち強硬派が奪い取ってしまったらしい。これに対して、男子も寝るためのテントが欲しいからポイントを使わせてくれ、と幸村たちが言ったらしい。最初はポイントを節約しようと話していた幸村たちが言だだと言うことに驚いたが、流石にこんなに硬い地面に一週間も寝泊まりしたら疲れが取れないと判断したのだろう。

 

話を戻そう。この男子の提案に対して篠原率いる強硬派は、男子の提案に対して、「あんたたちがポイントを節約しろっていったんじゃなかったの?そんなのに使うんだったら私たちだって使わせてもらうから。何か文句でもあるの?」と挑発のように言ったらしい。これに対して、男子も女子が占領したからこうなったんだろう、と文句を言い、再びの喧嘩状態になったらしい。

 

平田は両方ともを落ち着かせようとしたが、両者頭に血が上って話を聞いてくれなかったらしい。そして今は櫛田が戻ってきたため、櫛田が両者なだめている状況だと話をしてくれた。

 

まとめると、再びDクラスは傾いた状態になっているらしい。

 

また厄介な状況になったと正直なところ思った。この問題はいきなりテントを占領した篠原たちに非があるのは明白だが、これを言ったところで篠原たちはさらに言い返して来るだろう。

 

何を女子たちが欲しがっているのか分からないが、ある程度そちら側の意見も譲歩しなければ男子の意見は通りそうにない。正直、俺としても地面に何も敷かず寝るのは嫌だ。普段ベッドなどで寝ている人は床で1日寝てみると、この辛さが分かるだろう。地面が硬いと想像以上に疲れが取れない。それに加えて、今俺たちがいるのは周りを木々に囲まれた大自然の中だ。もちろん地面には虫などが生息してあることはあり得る。都会の生活に慣れてしまっている俺たちにとって、地面に寝そべって寝ることには大きな抵抗がある。

 

以上の2点から、なんとかしてテントを2つほど確保しておきたい。下手に男子を連れて行くと挑発によって交渉が決裂して話がややこしくなってしまう。出来るなら平田を連れて行きたいが…

 

平田の様子がどんなものかと伺ってみるが、疲れ切っているようで、少し呆けているようで、連れていっても余計に疲れさせるだろうと思った。

 

「平田、俺今から篠原たちと交渉して来る。お前は今疲れてるみたいだし、ゆっくり休んでくれ。いきなり無茶してこのクラスの精神的支柱のお前が倒れてしまったら、それこそDクラスはやばい。とりあえず悪化はさせないように気をつけるから、少し待っててくれ」

 

「いや、桐生くんに任せっきりと言うのは良くないから僕も行くよ。僕も上手くできなかったからこうなってしまったところもあるからね」

 

 

平田の意思は固いようで、付いてくるようだ。

これ以上言っても無駄なようなので、平田にも付いてきてもらうことにした。

 

平田に女子たちがどこにいるのか、案内してもらい、俺たちは現在テントの前に来ていた。

平田が話があると言ったら、篠原や軽井沢、歌詞だと言った各女子の派閥の上位の人たちが集まった。他の人たちは今も外に出かけている面々を除くと、篠原たちの後方で話を聞いていた。

 

「で?平田くん、話って何かしら?」

 

篠原は平田に少し高圧的に聞く。普段の篠原は平田に対してはかなり優しい口調で話すため、先ほどの話し合いの時の怒りがまだ残っているようであった。

 

「えっと、今回は僕からじゃなくて、桐生くんからあるみたいなんだ。話を聞いてもらってもいいかな?」

 

「…ふーん、桐生くんが…。何の話?テントを買うなんて認めないよ。そっちがポイント勿体無いって言ってたんだし、野宿でもすればいいじゃない?ねえ、みんな、何か私間違ったこと言ってる?」

 

篠原は断固反対のようで、強い口調で話してくる。また、同様に反対の意見を持つ人たちも大きく頷いて、「そうだそうだ!」と言う。

 

これに対して、櫛田は反対のようで、他のみんなの神経を逆なでないように、制している。平田は困った様子で、こちらを見つめていた。

 

正直、ここまでは大方予想通りの動きをしているが、ここで想定外だったのは軽井沢率いるグループの動きであった。

 

正直なところ、軽井沢たちのグループも反対側の意見を出しているのではないかと思っていたが、意外にも傍観をしているようであった。この嬉しい誤算により、想定していたよりも説得しやすいのでは…と思いつつもこちらも提案を始めた。

 

「簡単に言ったら取引をしたい」

 

「取引?」

 

突然の言葉によく分からず、不思議そうに首を傾げいる篠原に順次説明して行く。

 

「男子としてはテントなど、生活に最低限必要なものが欲しい。けど、それでは女子としては不公平に感じるかもしれない。それは分かる。だって男子だけ買おうとしてるんだからな。しかも、女子にはポイントを使うなと言っているから余計にだ。そうだろう?」

 

「桐生君が言った通りだよ!あいつらったら私たちに文句言う癖に自分たちが使う分はいいとか言うんだよ!意味わからないよね!?」

 

篠原が言うと他の女子たちも一斉に文句をあげる。この様子だと須藤などがそんな感じで言ったのだろう。

 

「と言うわけでだ、俺としてはこちらもポイントを使いたいが、代わりとして女子も欲しいものを一定量使ってもいいと言う条件を提案したい。単純明快だが、これなら平等だと言えるだろう?」

 

「それはそうだけど…」

 

「納得いかないとは思う。女子だってポイントを少しでも残したいんだろう?」

 

「うん…」

 

「そこで、だ。考えてみて欲しいんだ。クラスの中間テスト、そこで獲得できたポイントは何ポイントであった?」

 

「えっと…確か110ポイントくらいだったよね?」

 

「そう、110ポイントだね。そして今回元から与えられてるポイントは300ポイントだ。そう考えれば少しは使っても問題ないと言えるだろう。これは学校側が予めポイントを使うことを想定してるということだろう。だからある程度のポイントは使用しても問題ないと俺は考える。どうだ?平田?」

 

ここで平田に意見を振る。俺の意見ばかりでは不満を覚える人もいるだろうからだ。女子からも信頼されている平田が賛同すればより強い意見となる。

 

「そうだね、全くポイントを使わないで一週間を過ごすのは不可能だと思うな。最低限必要なポイントは使わないといけないと思うな。どうだろう?ここは桐生君の言う通りにしてみないかい?勿論無駄遣いはしないように確認した上で…になるけど…」

 

やはり平田も賛同してくれた。これにより女子たちもいいんじゃないかと話し始めた。やはり平田の影響力は強い。平田が来てくれたのはありがたかった。

 

「私もいいと思うな。やっぱり男子も女子もポイントを少しは使わないと一週間も過ごすのは無理だと思うんだよね。だから、みんなで考えて使おうよ!」

 

「…私も賛成かな。無理して過ごすなんて私たちには無理でしょ?」

 

平田に続いて櫛田、軽井沢も賛成の意思を示す。女子の中でも特に影響力のある面々が次々と賛成することによって、多くの人たちが賛成へと流れ始めた。

 

最初は渋い顔をしていた篠原であったが、やはり多くの人が賛同することに折れ、納得した。

 

「…分かったよ。まだ何を買うかは決めてないけど、しっかり話して決めるならいいよ…」

 

「ありがとう。これで過ごしやすくなった。感謝するよ」

 

これで、一先ず問題となっていた問題は解決することができた。納得してくれたようなので、俺も水を煮沸するために戻ろうとする。すると平田が話しかけてきた。

 

「ありがとう、桐生君。僕だけじゃこの問題は解決できなかった…だから本当に感謝しているよ」

 

「そんなに感謝されることじゃないさ。俺だって平田に頼らないと出来ないことも多い。また、俺も頼らせてもらうかもしれない。その時はよろしくな」

 

「…ああ。僕に出来ることを全力でさせてもらうよ。改めて、これからもよろしくね、桐生君」

 

そう言って平田は俺に手を差し出してくる。

 

「ああ。勿論だ」

 

俺も手を差し出し固い握手をした。このとき、平田と改めて信じ合えたような気がしたのであった。




次回はもう少し早く出したい…って毎回言ってますね
次はいつになることか…

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