違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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また遅くなってしまいました。
なんでこんなに書けないんだろう…って思って、考えていたら、有栖が出ないから…って思いました。
有栖書きたい…


合流

橋下、神室と別れた俺はDクラスの皆と合流するために、目印をつけていた道に従って最初の海岸に戻ろうとしていた。

 

しかし移動をしようとした時、近くにバナナのような果物がなっている木を見つけた。食料になるかもしれないと、確認に行ったところ、それは確かにバナナの木であった。果物は熟れているようで食べるにも適しているようであったので、早速回収しようと思ったが、意外と高めのところになっているので、取ろうにもすぐには取れないでいた。

とりあえず木を揺らして落としてみようと思っていたのだが、近くから大勢の足音が聞こえて来たため、すぐに身を隠さないといけなくなってしまった。

もしも他クラスなら思わぬ情報を得られるかもしれないと思ったからだ。

 

周りを見渡すと、先ほどの洞窟が近いため、半面は開けているが、対して反対は木が生い茂っているので、その木の茂みに身を隠し、様子を伺った。

 

「しかし葛城さん。あいつらいいスポットを見つけたって言ってましたね。近くでいいスポットがあって良かったです」

 

やたらと大きな声で喋る奴がやって来た。会話の内容から察するにAクラス、それも葛城派のメンバーで、その近くに葛城もいるようだ。

 

「…ああ。橋下と神室が見つけてくれたからだな。今回ばかりは感謝しないといけない。だが戸塚、もう少し声を静かにするんだ。誰が聞いているとも分からない。確実に安全とはまだ分からないのだ」

 

「それはそうですね!分かりました!」

 

「…もう少し声を下げるんだ。とりあえず洞窟を確認しに行くぞ。自分たちでも一度確認しておくに越したことはない」

 

そう言うと葛城と戸塚と呼ばれた男、及びその取り巻きたちは洞窟の中へと入っていった。それは凡そクラスの半数ほどの人数で、残り半分の人たちは洞窟には入らず、外で待機していた。

そして、その洞窟の外にいる集団の中心には橋下、神室がいた。

その様子から、その集団は有栖派なのだろうと予想がついた。

 

「…行きましたね。それで今回はどういったことをするんですか?坂柳さんがいませんが、このままあいつらに好き勝手させるのですか?」

 

「…そんなつもりはない。あいつらは泳がせて失敗するように妨害工作をするつもりだ」

 

「何をするんですか?」

 

「具体的に言えば…敵クラスにリーダー情報を流すとかだな」

 

「…それでは私たちにも被害があるのでは…?」

 

どうやら先ほど俺が聞いたことは他の人には伝えてなかったらしい。その内容に動揺が他の人たちに伝わっていく。しかし、橋下はそんな動揺している皆に続けて伝える。

 

「確かに今回の試験においてボーナスポイントを得られないかもしれない。しかし、それを差し引いても葛城派の信頼を打ち崩せるのなら大きなポイントとなる。葛城派の戦力を削り、こちら側に引き込めたのならば、これからの試験において優位に持っていける。それならばここでのボーナスポイントと釣り合いにかけてもおつりが返ってくると思わないか?」

 

橋下は力強く語る。その言葉を聞くと多くの生徒たちは黙っていった。橋下の言葉に説得力があったからである。この言葉に不満がある生徒もいないようで、有栖派は葛城派を妨害し、貶める方針で決まったようだ。

 

「ただ、勝手に行動は起こさないでくれ。何か行動を起こす時には俺か神室に伝えてくれ。そうすれば安全に、確実に相手の戦力を削れるだろう」

 

その言葉に多くの生徒たちが納得したようだった。その言葉を聞くと、有栖派も洞窟内へと入っていった。完全に人気がなくなったところで、茂みから動き、バナナを他の木によじ登ってから採る。

最初に木を揺らして採ろうとしていたのにもかかわらず、揺らさず、他の木から採ったのは、もしもAクラスの生徒たちが外に出て来た時にここにいることがバレるとめんどくさくなると思ったからだった。

 

そして、バナナを回収し終え、近くにあった大きな葉を使って簡易式の袋を作り、今度こそ戻ろうとしていた時だった。

 

突然草がガサッと動く音がした。

その音を聞くと、同時にこちらもすぐに近くの木の陰に身を隠し、様子を伺う。

 

物音の下方向にを伺ってみると、同じクラスメイトの綾小路、佐倉が草陰に隠れているのが見えた。綾小路が佐倉の口を塞いで気配を察知されないように息を潜めていた。

 

その視線は洞窟の方を見ているだけで、一切他の場所を見ていなかった。佐倉の方は苦しいのか悶えているようであったが。

 

そんな綾小路が見ている方角を、俺も気づかれないように確認してみると、先ほど中に入っていった葛城、戸塚が外へと出て来ていた。

そしてその葛城の手には何やらカードのようなものを持っているのが確認できた。

 

葛城と戸塚は何かを話しているようであったので、その声が聞こえるように耳を澄ましてみる。するとその会話が聞こえてくる。

 

「……す、すみません。でも上陸前から…ってどういうどういう意味ですか?」

 

「船は桟橋に付ける前、何故か遠回りをするように島の外周を一周した。あれは生徒たちにヒントを与えるために学校側がやっていた行動なのだろう。船のデッキからは森を切り拓いていた見えていた。あとは船を降りてすぐにその道を辿ればよかっただけの話だ」

 

「で、でも観光のためではなかったのですか?」

 

「いや、それはない。観光のためにしては旋回速度が速すぎる。アナウンスの内容も妙であったからな」

 

「そうなんですね…俺には全然感じられかったですけど、そんなことに気づくなんて流石です!」

 

どうやらここを見つけた話をしていたらしい。実際のところ、橋下たちがやって来て確認しているのだめ、本当に先ほど言っていた通りなのか、些か謎であるが、おそらくその考えはあったのだろう。

実際俺も船から見えたため、ここにやって来たのだ。やはり見ているやつは見ているようだ。

 

「ここは他の人たちに任せて俺たちは他のスポットを探しに行くぞ。あと2か所ほど船から見えた道があった。その先にも何かしらの施設、スポットがあるに違いない」

 

「は、はい!でも、これだけ結果を残せば『坂柳』も黙るしかありませんね!」

 

「内側ばかり気にしていれば足元をすくわれるぞ」

 

「そうは言いますけど、警戒するとすればBクラスだけですよ。特にDクラスなんて不良品ばかりの落ちこぼれ集団じゃないですか。あんなの気にするだけ無駄ですよ」

 

「…行くぞ。時間を無駄にはしたくない」

 

そう葛城は言うと足早に去っていった。しばらく待機していて、他の人がいないか確認していたが、いなかったので、身を隠すのをやめ、少し話していたことを振り返る。

 

他にも数か所すでに目当てが付いているらしい。俺もここ以外に見当をつけている場所はあったが、具体的に見つけていたのはここだけだった。やはりAクラスを取り仕切る二大巨頭の一人といったところか。有栖と比べてどちらがより強いのかは分からないが、厄介な相手には間違いなさそうだ。

そして、今回のことで一番大切であったのは、葛城が持っていたカードのことだ。

 

うまく確認はできなかったが、おそらくリーダーなどを指し示すカードだろう。先ほどの洞窟内に存在していた機械にもカードのようなものをかざす場所があった。あれを使うことによってスポットの占領が完了するのだろう。そしてそれを出来るのは各クラスのリーダーだけのはずだ。

 

……しかし、外で誰かが見ているかもしれないにも関わらずそれを見せつけるような行動をするのだろうか?

少なくとも俺ならしない。そんなことをしたらリスクが高すぎないか?

まずもって、元からリーダーをしている葛城をリーダーにするか?直ぐに当てられそうでもある。となると…あれは…フェイク…?

もしも…見ている人がいたならば、引っかかるように…仕向けた…可能性があるな。

 

となると…リーダー候補は結構絞られる気がするな。まずもって有栖派にリーダーを指名はしない。敵対している勢力に権力を与えるとめんどくさい上に、裏切られる。

そんなリスクを負うタイプではない。葛城派は穏健、慎重派と聞いている。有栖ならやりかねない気もするが、そんな葛城派ならありえない。

そうなってくると、葛城派の誰かになるが…末端の人間にはしないだろう。普通のクラス…特にBクラスのように一枚岩の組織あり得そうだが、Aクラスのように二つの勢力が混在している組織なら、末端の人間は裏切る可能性を孕んでいる。そんな人間に与えるとも思えない。そうなってくると、葛城に近い人間…それも仲の良いやつを指定する可能性が高い…。つまり…あの葛城の腰巾着…戸塚の可能性が高い。

まだ予想の範疇を超えないが、あり得ないとも思えない。まだ日数はある。観察を続けて断定していこう。

 

考えるのをやめて綾小路たちの方を見ると綾小路たちも立ち上がって戻ろうとしているところのようであった。

綾小路たちがここにいると言うことは、Dクラスも移動している可能性が高い。

とりあえず合流しておくことにしよう。

 

そして、俺は一度綾小路たちと合流することとしたのであった。


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