違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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投稿遅れてしまったすみません
それに加えて、今回少し文が短めです




試験開始

「遅かったな、桐生。お前が最後だ」

 

有栖との話を終え、急いで準備を整えた俺が急いで集合場所であるデッキに行くと、既にほとんどの生徒は揃ってあるようであった。更に、茶柱先生の話す通りなら、Dクラスとしては一番遅かったらしい。

たしかに有栖と話をしていたため、遅いとは思っていたが、まさか一番最後に到着することになるとは思っていなかったため、驚いた。

驚いたことを表情には出さずにいたところ、茶柱先生が携帯は預かると言ってきた。他の人も携帯を先生たちに回収されているようなので、黙って茶柱先生に携帯を渡し、並んでいる列の最後列に並んだ。

 

「全員揃ったようだな。それではAクラスより順に島へ上陸をするんだ。上陸した先ではまた別の支持をするため、身勝手な行動はくれぐれも起こさないように」

 

Aクラス担任の真島先生の指示によりAクラスから順に島へと上陸を皆し始めた。俺たちDクラスは最後になるため、皆が雑談をしながら待っていた。その内容は、早く島で泳ぎたい、島の中を探索してみたいなど様々なことを話していた。

 

一方俺は別のことを考えていた。

元々配布されていたパンフレットには、島に上陸後、7日間に渡ってバカンスを楽しむと書かれていた。

7日間バカンスを楽しむのなら、先ほど有栖を待機させることに疑問を覚える。ふつうにバカンスを楽しむのなら有栖も上陸させ、比較的安全に過ごせるであろうロッジにでも有栖を待機させればいいはずなのだ。それにもかかわらず船内で待機させたことに疑問を感じる。

それに加えて、先ほど島の周りを遊覧していた時に、島な外縁部にこれほどの大人数が休めるような大きさのロッジは確認できなかった。それどころか、ロッジのような人工建造物すら確認できなかった。

確認できたのは、二方向に存在したひらけた海岸、洞窟のような形状をした洞穴、切り立った崖と、島中心部に広がる森林地帯くらいであった。

島の様子を見る限りおよそバカンスに来たとは思えない。それに加えて有栖を島ではなく、船に待機させたこと。これらを踏まえて、考えてみると思いついてくるのはサバイバルをさせるなどといった行為などが思いついてくる。まさかそんなことはないといいのだが…

 

「最後はDクラスだ。Cクラスに従って歩いて行きなさい。Dクラスが着き次第、詳しい説明をするため、速やかに指定の位置に着き、待機をしていなさい」

 

深く長考している間にどうやらCクラスのほとんどが上陸をしたようであった。前の人たちが歩き出しているので、それに従って俺も歩き出した。

 

歩きながら島の外観を見てみると、ここは先ほど見た開けた海岸の一つのようであった。周りに風を遮るような建物が船を除けばないため、気持ちの良い浜風が吹いてくる。そんな磯の香りを感じながら歩いていると、AクラスからCクラスの生徒たちが順に並んで立っている場所が見えてきたので、Dクラスの生徒たちもなるべく急いで移動して、先生たちがくるのを待った。

俺たちが指定の位置について5分ほど待っていると各クラスの担任たちがやってきた。

 

「今から各クラス点呼を行う。名前を呼ばれた生徒は返事をすること」

 

各クラス担任が整列を促し、点呼を行う。その時の各先生の格好は自分たち生徒と同じようにジャージ姿であったので、不思議に思ったが、誰も気にしている様子はなかったので、突っ込んだりはしなかった。

 

そして、全クラスの点呼が終わると同時にAクラス担任の真島先生やり真実が告げられる。

 

「ではこれよりーーーーー本年度最初の特別試験を行いたいと思う」

 

真島先生の発言を聞いて多くの生徒たちがざわめき出した。しかし、そんな生徒たちを黙るように言い、言葉を続ける。

 

「試験期間は今より一週間。8月7日の正午をもって終了とする。続いて試験内容、君たちにはこれからの一週間、この無人島で集団生活を行ってもらい、無事過ごしてもらうことだ。なお、この特別試験は実在する企業研修を参考にして作られた実践的、かつ現実的なものであることを最初に言っておく」

 

「無人島で生活って…船ではなくて、この島で寝泊まりをするということですか?」

 

Aクラスの生徒が質問をする。それに真島先生は答える。

 

「そうだ。試験中の乗船は正当な理由なくして認められない。この試験中、君たちは寝泊まりする場所、食料全てを自分たちで確保しなければならない。ただし、スタート時、各クラスにテントを2つ、懐中電灯を2つ、マッチを一箱づつ支給する。それと同時に日焼け止めは無制限に借りることが可能だ。歯ブラシに関しては各1人ずつ配布され、特例として女子の場合に限り、生理用品は無制限に許可される。日焼け止め、生理用品を借りる場合は各クラス担任に申し出るように。以上だ」

 

ざっとではあるが、大まかな内容は把握した。以上、そう言っているので、これ以上聞いても特にこれといった成果を得られることはないだろう。こうなると、どうやって一週間を過ごすか、生活ポイントをどこにするか、そこがこの特別試験の鍵だろう。さてどうしたものか…。

 

「だが、安心していい」

 

真島先生が強い口調で話した。そこまで不平不満を漏らしていた生徒たちは一度不満を漏らすことをやめ、話を聞こうとする。皆が黙ったのを確認して、真島先生は話を続ける。

 

「これが過酷な生活を強いるものであったならば批判が出るのも無理のない話だ。だが、特別試験だからと言って身構える必要は一切ない。今から、君たちは海で泳ぐことをするのも、バーベキューをするのも悪くない。時にキャンプファイヤーを囲んで友と語り合ってみるのも良いだろう。この特別試験、テーマは『自由』だからだ」

 

真島先生の言葉に再び生徒たちがざわめき出す。試験であるのに自由にできる。その意図が汲み取れず、皆が動揺しているようであった。

 

「この特別試験では大前提として、各クラスに試験専用のポイントを300支給される。このポイントをどのように使ってもらっても構わない。使い方では旅行のように楽しめることだろう。そして、そのポイントに関したマニュアルも用意している」

 

すると、別の先生が、真島先生に数十ページほどの冊子を渡した。

それを読み、説明を続ける。

 

「このマニュアルに、特別ポイントを使う事で入手できる物のリストが全て記載されている。一例を挙げよう。生活必需品である、飲料水、食料はもちろんのこと、バーベキューをするための機材や食料、海で遊ぶためのモーターバイクなどなど、無数の道具を揃えている」

 

「つまり、何でもポイントで使えるものは何でも使っていいってことですよね?」

 

「ああ、そうだ。あらゆる使い方をしてもらって構わない」

 

他の人たちはどんな使い方をしようと胸を膨らませているようであったが、俺は何か裏がある気がしていた。そして、その予感は的中することとなった。

 

「そして、この特別試験終了時に各クラスに残っている特別ポイントは、全てをクラスポイントに加算をし、夏休み明け以降、反映をする」

 

その説明は今日一番俺たち生徒を驚かせただろう。ここの7日間を楽しむか、これからの学校生活に活かせるクラスポイントのために我慢をするか。この二つを天秤にかけられたようなものだ。これまで楽しく過ごすつもりであっただろう生徒たちの顔は一気に変わった。

 

「そして、マニュアルは各クラスに一冊ずつクラスに配布する。紛失した際、再発行することは可能だが、その際ポイントを使用することになるので、注意をしておくように。また、今回の試験を欠席になった者はAクラスの生徒だ。特別試験のルールでは、体調不良などでリタイアした者がいるクラスにはマイナス30ポイントのペナルティを与えることとなっている。そのため、Aクラスは初期ポイントを30ポイントマイナスとし、270点より開始とする」

 

欠席になっているのは有栖だろう。身体の弱い有栖はこう言った類のことは出来ないからだからである。先ほど有栖が船内に残された理由がこれによって分かった。移動するにも杖がいるのに、こんな足場の悪い場所を歩いたりすることができない。だから待機命令になったのだろう。有栖は悔しそうにしていたが、仕方ないことだな…

 

そんな有栖が欠けているAクラスの方を見ていると誰も動揺しているような様子は見えなかった。いたって普通に先生の話を聞いていた。

寧ろその様子を見ていた他クラスの方が動揺しているようであった。

 

「質問が内容であれば試験を開始する。開始の合図をした後は各クラス担任の元へ集まり、備品などを受け取りなさい。では質問がある生徒はいれば、質問を許可する」

 

真島先生は質問を受け付けるというが、誰も質問をするような生徒はいないようであった。

 

「…いないようだな。ではこれより現時刻を持って特別試験を開始する」

 

真島先生の言葉により、特別試験が開始されたのだった。

 




なるべく丁寧に説明するように努めてみました。
原作と同じ内容の説明をしていますが、文言は変化させていますので、少し分かりにくかなっている箇所もあるかと思います。
その際は遠慮なく聞いてください。

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