違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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お久しぶりです
テストは水曜日まであるのでもう少し遅い期間になりますがお願いします

そして総UA50000件突破しました。そしてあと少しで60000件になります。とても嬉しい限りです。これからも頑張っていきます!


幕間

中間テストを無事に乗り切ることができ、テスト後初めての休日がやってきた。普段は休日でも早く起きている桐生もこの日ばかりは自室で遅くまで寝ていた。この二週間はクラスのために様々なことをしていたり、自分の勉強をしたりとあまり眠ることもできなかったため、眠気がピークだったのだ。

 

ゆっくりと起きて、時計を見てみると時計の針は9時を少し回っているところであった。そろそろ起きようかと思うが未だ眠気が襲ってきているため、意識がはっきりとせずベッドの上でぼやけていた。

そんな中桐生の携帯が音を立ててなりだした。

突然鳴った携帯の音になんとか目を覚まして、携帯を取だて電話に出る。

 

「…うーん…朝から誰…?」

 

「あら、おはようごさいます。その様子ですと寝起きのご様子ですね?」

 

桐生に朝から電話をかけてきた相手、それは坂柳であった。

 

「有栖か…朝から何の用で…?」

 

桐生は寝起きのため眠気まなこをこすりながら応対している。そのため声も普段に比べて出ていない。そんな桐生に坂柳から電話をかけてきた要件が伝えられる。

 

「そうですね、要件としては、先日約束いたしました図書館に行くという話です。早速行きましょう。9時30分に寮のロビーの椅子に座って待っていますので、遅れないように来てくださいね?」

 

目覚まし時計で今の時間を確認する。時計を見ると針は9時13分を刺している。9時30分から逆算して残り17分しかない。そして桐生は今まさに起きたばかりだ。ご飯も食べてなければ、着替えてもいない。

 

「…え?ちょっと待ってくれ!まだ今起きたばかりなんだけど!?」

 

「ふふっ、お待ちしてますね。遅れないように気をつけてくださいね?」

 

すると有栖はすぐに電話を切ってしまった。おそらく俺が困っているのを考えて笑っていのだろう。その様子が目に浮かぶ。ってそんなこと考えてる暇ない!早く着替えて準備しないと…

 

桐生はベッドから飛び起きて急いではねた髪を整えて、服を着る。朝ごはんも食べようと思っていたが、すでに時間は9時25分を回っていた。

 

「もう時間がない…朝ごはんは諦めていくしかないな…」

 

桐生はご飯を食べるのを諦めて部屋からロビーに向かって走りだしたのだった。

 

 

 

 

「15秒の遅刻ですよ?どうされたのですか?」

 

急いで準備を整えて、部屋から飛び出した桐生であったが、エレベーターに目の前で行かれてしまい乗り遅れてしまった。エレベーターに乗ることを諦めて急いで階段を降りたのだが、結果15秒ほど遅れてしまったのだった。遅れてきたことを坂柳に聞かれているが、全速力で階段を下ってきていたので、肩で息をしていた。

 

「ぜぇ…ぜぇ…休日寝ていた人を起こして、しかも急にきてくれって言われても…」

 

「まあ、いいです。遅刻した分は今日のお昼に付き合ってもらいましょうか」

 

桐生はそれ以上何か言っても無駄だろうと諦めた。そして歩き始めたので桐生も坂柳の隣を歩き始めた。

 

「ところで聞くが、その服はプライベートポイントで買ったのか?」

 

今日、坂柳は淡いピンクを基調としたワンピースで頭には白と黒のリボンをつけ、坂柳のトレードマークとも言えるようなベレー帽を被っていた。その様子は深窓の令嬢のようであった。

 

「このピンクのワンピースに関してはプライベートポイントを使って買いましたが、それ以外は元から所有していたものです。何か変でしたか?」

 

「いや、そんなことはない。似合っていて気になったから聞いただけだ。変だとは思ってないぞ」

 

「褒めてくれるのですね。ありがたくその言葉受け取らせてもらいますね。司くんも来ている服装、大変似合っていますよ」

 

互いの服装を褒めあってから図書館へと二人は歩き始めた。

 

 

 

 

坂柳と歩いて図書館にやってきた。坂柳は生まれつき体に先天性疾患を持っているため、杖を持って移動する。そのため、他の人に比べて動く速さが遅い。そのため桐生が気遣って歩いているとかなり遅くなってしまった。

 

「ふふふっ、お心遣い嬉しいです。私に合わせてゆっくり歩いてくだ

さってとても楽に動くことができました」

 

「俺だけ先々歩いて行ったら意味ないしな。それに何だかんだ話をしたいことはたくさんあったからな。それで話は変わるが、有栖はどんなジャンルの本が好きなんだ?」

 

図書館の中に入ると桐生は坂柳に聞く。以前本を紹介してほしいと言われていたため、ある程度のジャンルの本について調べておいた桐生であったが、坂柳がどんなジャンルの本を好むか知らなかったので困っていたのだった。

 

「そうですね。私は時代小説が最も好きです。ですが、ミステリーや恋愛小説なども読みますよ?」

 

俺はぶっちゃけ言ってミステリーなどを好むだろうと予想はしていた。けれども、有栖が恋愛小説も読むなんて思ってもなかった。意外すぎて今の俺は目が見開いている状態になっているかもしれない。

 

「へぇ…有栖が恋愛小説を読むなんて意外だな。俺もミステリーとかは読んでいるだろうと思っていたけど、恋愛小説を読むなんて思ってもみなかったな」

 

「それはどういう意味ですか?」

 

…なんだか凄い威圧感を隣から感じる。ここで「いやだって有栖は恋愛とか興味なさそうだし…」とか言ったら杖が飛んできそうな気配すら感じる…。当たり障りのないように返しておこう…

 

「…いや、有栖はミステリーとか時代小説とかの方が好きそうに思ったからだ。ほら、有栖は頭がいいからそういうミステリーとか歴史物が好きだと思ってたんだ」

 

「…なんだか失礼なことを考えていたような気がしますが、まあいいでしょう。確かにミステリーや時代小説は私の知性を刺激してくれるものですので好きです。大体9割ほどはその二つのジャンルを読んでいます。しかし、最近恋愛小説を勧められたので読んでいるのですよ」

 

有栖に恋愛小説を進めるなんて誰がしたんだろうか。色恋沙汰とは全く無縁そうに思えるのに…

 

「そこでです。司くんにはその3つのジャンルのおすすめの本を紹介してもらいます。もちろん私が読んだことのない本でお願いしますね?」

 

これまた無理難題が課せられた。口ぶりから有名どころは読んでいるのだろう。その中で有栖が読んだことのない本を探さなければならない。なかなか大変そうだ…

 

「けれども、俺は恋愛小説はあまり読まないのだが?」

 

「お願いしますね?」

 

無理やり「はい」と言わされた。ニコニコとした笑顔の裏に恐ろしい顔が見えた気がした。これ以上言っても返してくれそうにないし、怖いからとりあえず本を見にいくことにしよう。

 

桐生は坂柳に紹介する本を探しに奥の方へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

「あまりに司くんが遅いので待ちきれなくて来てしまいました。さて、どんな本を今は持っているのですか?」

 

桐生が最後の一冊を探していると待ちきれなくなった坂柳が本を一冊持って歩いて来た。時計を見ると、なんと30分近くも探していたらしい。桐生の体感では15分くらいだろうと思っていたいたため驚いた。

 

「最後の一冊がなかなか見つからなくてな。待たせてたな」

 

「構いませんよ。それで今のところ見つけている本はどんな本なのですか?」

 

桐生が持っている二冊の本を坂柳は桐生の手から取って確認する。

 

「それは『蝉しぐれ』と『モルグ街の殺人』だ。」

 

坂柳は近くにあった椅子に腰掛けて、二冊の本の裏表紙にあるあらすじに目を通す。二冊の本のあらすじを読み終えると桐生に話しかける。

 

「どちらも読んだことがない小説ですね。この二冊のオススメのポイントは何なんでしょうか?」

 

「まずは『蟬しぐれ』からだな。藩の揉め事に巻き込まれて行く少年の成長と周りの仲間との青春、そして少女への淡い恋心がオススメの作品だ。時代物の中で一番俺が勧めたい作品は何かって言われたらこの『蟬しぐれ』を推す。それくらい俺が好きな作品なんだ」

 

先ほどまでとはうって変わり、熱く語る桐生に普段とは違い押され気味の坂柳であったが、桐生は気付かずさらに説明を続ける。

 

「もっと説明したいけど、次に『モルグ街の殺人』を説明しよう。これは世界に存在するミステリーの中で最も早く書かれた小説とされているんだ。これが世の中に出たのが1841年だから今からざっと170年前の作品になる。けれども読んで分かるのは今と変わらないその手法だ。トリックなども今と変わらなく、ミステリーの始祖の作品だから見て欲しいんだよ!」

 

「…司くん…少し近いですよ」

 

オススメの本を紹介しているうちに熱がこもって、説明している間に、桐生はかなり坂柳と近い距離まで接近して説明していた。それこそ、目と鼻の先に坂柳の顔があり、2人の吐く吐息がお互いにかかるほどの距離に。

 

「わ、悪い…熱くなりすぎた…」

 

冷静になると恥ずかしくなってすぐに離れる。しかし勢いをつけすぎたのか後ろの棚に頭をぶつけてしまう。

 

「いった…」

 

「ずいぶんな勢いで本棚とぶつかりましたが、大丈夫ですか?」

 

「思いっきり頭打ったから痛い」

 

「突然後ろに飛び退くからですよ。かくいう私も驚いて少し後ずさりしてしまいましたが…。まあ、それだけその小説を気に入っているということなのでしょう。その2つはまだ読んだことがないですので借りさせてもらいますね」

 

思わぬトラブルがあったが、気に入ってもらえたようで良かった。しかし、今探している恋愛小説がまだ見つかっていないんだよな…

 

「ところでその最後に探しているという小説は何なんですか?」

 

まだ見つかっていないため有栖が探している本を質問する。

 

「ああ、それは『ライ麦畑でつかまえて』だな。あの小説も淡い恋心を上手く口語体で示していてオススメなんだよ。でもこれだけ探しても見つからないってことは誰かが借りてるのかもしれないな」

 

あまりに見つからないので、誰かが借りてしまっているのだろう。諦めて他の本を探そうとしたときだった。

 

「それでしたらこちらにありますよ。先ほど本日返却された本の棚に入っていて気になったので持ってきました。ちょうど良かったですね」

 

俺が探していた『ライ麦畑でつかまえて』は有栖がたまたま見つけていたらしい。しかもちょうどきにいっていたようだったので良かった。

 

「それでは目的の本も見つかりましたし、行きましょうか」

 

坂柳が踵を返して受付へと向かって行く。しかし片手で杖を持ち、もう片方の手で三冊の本を持って歩くのは大変そうに見えた。

 

「片手で杖を使って歩いてるのに本を持つのは大変だろう。持つよ」

 

そう言って半ば強引に坂柳から三冊の本を取る。少しだけびっくりしていたようだったが、いつも通りの顔に戻って坂柳は再び受付に向けて歩いて向かった。

 

 

 

「目的の本が全てあって良かったです」

 

隣を歩く少女、坂柳は満足した表情を浮かべていた。坂柳を知らぬ人から見れば普通の顔をしているように見えるだろうが、桐生には満足した表情をしているように見えたため、桐生は本を読むことが好きなんだな、と思っていた。

すると坂柳が止まったため、桐生も足を止めて坂柳の方向に振り返る。

 

「どうした?急に止まって?」

 

「そうですね、そろそろいい時間ですのでご飯でも食べていきましょうか」

 

桐生が時計を確認するとすでに13時を回っていた。何だかんだで長いこと図書館にいたことになる。桐生の体感ではまだ12時も来ていないくらいだと思っていたが、時間を確認すると急にお腹が空いてきた。

 

「そうだな。俺も腹が減ってきたからどこかに食べに行くか」

 

「決まりですね。では私のオススメのお店がケヤキモールにあるので行きましょうか」

 

坂柳のオススメの店があるというので、桐生は坂柳のオススメの店があるというケヤキモールの方向へと歩いて行った。

 

 

 

 

坂柳オススメの店に着くと早速店内に入る。店内を見渡してみるとお洒落な雰囲気が漂っていて、桐生はその雰囲気に少し呑み込まれていた。

桐生たちは店員に促されて席に座り、メニューを見る。メニューを見ると洋食がメインに様々な種類の料理が並んでいた。

どれも写真を見ると美味しそうに見えるため、どれを注文するか悩んでいると、坂柳は決めたようでメニュー版をしまっていた。

 

「なかなか決められなくてすまんな」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。こうして悩んでいる司くんを見るというのも愉悦なものですから」

 

「その言い方は不気味だからやめてくれ…」

 

「ふふふっ、面白い表情を浮かべていますね」

 

結局それから5分かかって桐生は何を注文するか決め、店員を呼ぶ。桐生は卵とチーズのドリアを、坂柳はサケのムニエルを注文し、しばらく待っていると料理が出てきた。

セットのドリンクを持って乾杯し、ジュースをお互いに飲む。

 

「それにしても本当に美味しそうだな。こういう店によく有栖は来るのか?」

 

「いえ、頻繁に来るというわけではないのですが、以前たまたま食べに来ることがあった際に味が気に入ったものですから」

 

「普段外食をしないから偶に食べるのもいいな。うん、美味しい」

 

チーズがとろけて卵とご飯が絡み合い、とても美味しい。さらにトマトの酸っぱさが卵の甘さを引き立てていて、食欲をそそる。

 

「ふふっ、美味しいそうに食べてもらえてるので、紹介した甲斐がありました。私もいただきますね」

 

坂柳もナイフとフォークを持ってムニエルを切り分け、上品に食べる。坂柳もとても美味しそうに食べていた。

 

 

 

食べている最中にも世間話を色々としたが、ある程度食べ終わると坂柳は話を変える。

 

「さて、言い遅れてしまいましたが、無事誰一人として脱落者を出すことなく中間試験を突破しましたね。今までのDクラスでは一人は脱落者が出ていたそうなので素晴らしいことであると思いますよ。流石の手腕ですね」

 

「そうは言ってるが、別に俺が何かしたからといって変わったことはないだろう。多少の変動はあっただろうが、結局は各々の努力が実を結んだだけだな」

 

「謙遜されるですね。ですが、司くんがしたからこそ役に立ったという点もあるでしょう。これからも1年生の間にCクラスへと上がれるように頑張ってくださいね?」

 

桐生は坂柳から1年生の間にCクラスへと上がらなければ一生坂柳の下で働かされると言われている。そのためそれを回避するため動いているのだ。

 

「せいぜい頑張らせてもらいますよ。といってもクラスのやつらにこうして有栖と繋がっていることを悟られないように動きながら、クラスメートと協力するのも大変なもんだ」

 

「あら、そうなのですか?別に気にされなくてもよろしいのでは?」

 

「そうはいかないさ。ここはクラス間で対立をする学校だからな。こうして他クラスのやつとつながっていると知られてしまったら、クラス内での信頼度に直結するからな」

 

「確かにそうですね。盲点でした」

 

口上ではそう述べているが、薄ら笑いをしながら話しているため全て知っていたのだろう。全く、今俺の前にいる少女は食えない人物だと思う。

 

 

 

 

 

食事を終え、店の外に出る。時刻は3時を回り、暑さが肌にまとわりつくようであった。今日は気温が暖かいため、少し汗ばむほどであった。これからどうするかと聞くと、寮へ帰ると坂柳が言ったため、寮の方向へと歩き出すと、桐生の見知った人たちに会うこととなった。

 

「あれ?桐生くん、こんなところで何しているの?」

 

「桐生お前!そんなかわいい女の子と何してたんだよ!」

 

「そうだぞ!」

 

 

それは櫛田と池、山内であった。なぜこのメンツで集まっているのか分からなかったが、この前のテストで最も点数の良かった人とデートをするとでと言ったのだろう。

このまま返事をしないと池と山内が面倒くさいので返事しておく。

 

「別にどうもこうもないぞ。見てもらえば分かるだろけど、体が悪いこの子が本を借りたいっていうから手伝っていただけだ。そうしたらちょうどいい時間だからここで食事してたたけだ」

 

「本当か?」

 

「信じられないな」

 

どれだけ俺のことを疑ってるんだ。現に俺は本を持ってるいるし、有栖は杖を持って移動しているからそうにしか見えないだろうに…。

 

桐生が困っていると櫛田が二人に注意をする。

 

「二人ともいけないよ。桐生くんが親切心でやってあげていることを疑っちゃダメだよ?」

 

櫛田からの言葉に苦しそうな表情を二人は浮かべる。それを見て坂柳が話す。

 

「ええ。司くんが話してくれたように、私が本を借りたかったために付き合ってもらっただけですよ。そしてそのお礼にこの店で食事をしたということです。ずっと立っているのは身に応えますので失礼しますね。行きましょう司くん」

 

そう言って坂柳は寮の方へと歩き始めてしまった。置いていかれるとあれなので簡潔に「じゃあ」と言ってその場を後にした。後ろからは「なんで桐生のやつ下の名前で呼ばせてるんだ!」と叫んでいる二人の声が聞こえてきたが気にしないでおくことにした。

 

 

 

「やっぱり、あいつらは苦手だったか?」

 

しばらく寮の方へと歩いて周りに人が少なくなってから有栖にさっきのことを聞いてみる。有栖は少し考えてから、こちらを見て話す。

 

「そうですね。あの男性二人は女性を見る目がとてもいやらしいものでした。それこそ女性の容姿だけを見て飛びつく猿のようで吐き気がします」

 

やはり池と山内はどんな女性から見られても気持ち悪いと思われるようだ。それもそうだろう。あの場面だってあれだけ普段かわいいって言っている櫛田といるのに有栖の方をガン見していた。改めて考えてみると確かに有栖はかわいい。美少女と言われるに相応しい見た目をしている。今日も一緒に歩いていて、多くの人が振り返って有栖のことを見ていた。それを考えてみても、あの二人がいかに薄っぺらい感情で動いているかが分かる。

 

「そしてあの…櫛田さんでしたかね?」

 

「櫛田がどうした?」

 

「彼女からは、やはりみなにいい顔をしておこうとする思惑が見て取れます。彼女ともあまり同じ場に居たくはないですね」

 

「確かにそうだな。だが、多くの人はその裏の顔に気づけていないんだけど、有栖はどう思う?」

 

「そうですね…確かにその裏の顔を悟らせないようにしていることはすごいと思います。しかし、観察眼の良い方が見るとそれは一目瞭然です。これからも彼女とは関わらない方がいいですね。もちろん司くんもそうした方がいいでしょうね」

 

有栖から軽い忠告のようなものを受ける。有栖に言われなくとも、櫛田は嫌な予感を感じさせるため関わりたくないものだと思っているのだが。

 

そんな話をしていると寮に着いた。ここでいいと有栖は話していたが、有栖の部屋の前まで本を持っていくことにした。有栖も折れてくれたので本を持って付いて行った。

 

「今日は付き合ってくださってありがとうございました。本を持ってくださって大いに助かりましたよ」

 

「最初は無理やりだったけど、なんだかんだいい休日を過ごせたと思う。こちらこそありがとう」

 

「ふふっ、満足してもらえて、こちらも嬉しい限りです。また誘わせてもらいますね?」

 

「今度は事前に言っといてくれると嬉しいんだが?」

 

「できる限り努めさせてもらいますね」

 

「絶対にしてくれよな…」

 

再び浮かべる坂柳の不敵な笑みに少々困りながらも、坂柳の部屋に本を送り届けて、自室へと歩いて桐生は帰った。

その様子を見た平田は、普段とは違って楽しそうな表情を浮かべている桐生に驚きを感じたという。




ここから先は第1話〜第18話までのあとがきになります。少々長くなりますので興味ないよって人は流してください



最初はただ坂柳有栖という少女を描いてみたいと始目で見たのですが、本当に最初には彼女の扱い方に苦労をしました。賢く、ミステリアスな有栖は行動をさせるのも大変でなかなか苦労をしていました。
ですが、第11話『ミーティング』の話より有栖がひとりでに動き始めたのです。こちらが何もしなくても勝手に動いて主人公、司を困らせるようになって書いていて楽しかったです。
そしてこの第11話を投稿した日、始めて日間ランキングにも乗り、多くの人がお気に入り登録をしてくださりました。これはやっぱり自由に動き始めた有栖のおかげだと思います。
ここ最近は有栖が勝手に動きすぎるため、話を全部変更させられることになったこともありましたが、それを含めても面白かったです。

長く書きましたが、まだまだ書きたいことはあるので活動報告の方で残りは書かせてもらいます。興味がある方は見ていってください。それではまた次回の更新でお会いしましょう!

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