午前中の授業も終わりジンはアリサと共に食堂に向かっていた。
「しかしこのIS学園は大きいですね」
「普通の学校が分からないが、確かに大きいと思うぞ。なんせ世界で唯一のIS操縦者育成機関だからな」
「そうですね。そう言えばリッカさんとフランさんは?」
「先に行っといてって言われた。リッカは基本的に整備室の一角を借りて、ISの勉強と俺の神機とISのメンテをしている。フランは職員室の一角を借りて、事務仕事をしてる」
「2人共忙しそうですね」
そう話していると食堂に着いた。
「此処の飯は美味いぞ。ムツミと張れるぐらいに」
「それは期待出来そうですね」
ジンは洋食セットをアリサは和食セットを頼み席を探していると、一夏達が手を振って呼んでくれたので同じ席に座った。
そこでアリサと鈴は自己紹介をし、ある事に気付いた。
((この人(この子)もジン(さん)の事が好きね(ですね)))
妙な空気を感じ取りセシリアがある事を問いかけた。
「しかし本当に腕輪の色が違いますね」
「え、ええ。ジンさんから聞いていると思いますが、ブラッド以外の神機使いは赤です」
「アリサの神機って何世代なの?」
「私の神機は第二世代の新型です」
「因みに第二世代の新型が出始めたのは3年前だ」
鈴がアリサの神機の世代を聞きアリサが答えジンが付けたした。
「その時の私は本当に子供でした。当時の私は高圧的で新型ゆえ旧型を見下していたんです。それこそ古参のリンドウさんに『旧型は旧型なりの仕事をしていただければいいと思います』って言ってしまったんです」
アリサの話を聞いて一夏と箒は(少し前のセシリアみたいだな)と思い、セシリアの方を向いた。その視線に気づいたセシリアは身が縮こまった。
「うわーそんな事リンドウさんに言ったのか。あ、リンドウさんっていうのは当時のアリサの上官で今はクレイドルの隊長をしているぞ」
ジンもアリサの暴言に引き、リンドウを知らない一夏達にリンドウの事を教えた。
「すいません遅くなりました」
「やほー」
フランとリッカも合流し8人は雑談しながらゆっくり昼休みを過ごした。またこの時にフランと鈴がお互いにジンの事が好きと分かったのは余談である。
午後の授業も終わり整備室に楯無と共に向かっていた。
「簪ちゃんいるかな・・・」
「さっきリッカに連絡とったら居るって。俺とリッカは整備室の外で待ってるから、お前の本当の気持ちを話せよ?」
「・・・ええ」
そして整備室に入りジンが楯無と簪に一言言ってからリッカと共に外に出た。中からは・・・
「私はお姉ちゃんに認められたかった!!」や「私は簪ちゃんの為に」や「そうやって私の事をちゃんと見ないで・・・」など聞こえてくること数分・・・
すっきりした表情の楯無と簪が出て来た。
「仲直り出来たみたいだな」
「ええ、ジン君の言った通り正直に話して仲直り出来たわ。ありがとうジン君♪」
そう言い楯無の扇子には「感謝」と書かれていた。
「ありがとう櫻羽君」
「どういたしまして。それと俺のことはジンでいい」
「うん。じゃジンと楠さん」
「私もリッカでいいよ」
「分かりました。2人共私の専用機を作るの手伝ってもらってもいいですか?」
「「勿論」」
簪の誘いにジンとリッカは迷うことなく頷いた。その日からは簪は周りを頼るようになった。
整備室から自室に戻ったジンに楯無がある報告をした。
「転校生?」
「ええ、3日後にフランスとドイツの代表候補生が転校してくるの。しかもフランスの方は男子ですって。2人共一組に転入よ」
「成程。お前はフランスの方を疑っているのだな」
「何故そう思うの?」
「男性操縦者が見つかれば報道されるはずだ、俺は例外だがな。大方男と偽る女で俺の黒牙や一夏の白式のデータでも狙ってと思っているんだろ?」
「ええ、その通りよ。問題は部屋割りなのよね」
「確かに一夏の方にすると問題が起きそうだな。なら俺がソイツと同じ部屋にするか」
「うーんその方がいいんだけど・・・ジン君の監視って言う上の命に逆らう事になるし・・・」
「なら3人同じ部屋でもいいんじゃねーか?俺が床で寝ればいいだけだし」
「何なら私のベットで一緒に寝ても良いわよ?」
「そう言うのは好きな男にしてやれ」
「私はジン君なら良いわよ」ボソッ
「ん?何か言ったか?」
「何でもないわ!」
「そうか。先にシャワー使うぞ」
「ええごゆっくりどうぞ」
ジンがシャワーを浴びに行ったのを確認して楯無は一息ついた。
「簪ちゃんと仲直りしてからジン君と話すと凄くドキドキする・・・やっぱり私ジン君の事が///」
楯無はジンに対しての気持ちに気付いて顔が朱に染まった。
「何時か必ずこの気持ち伝えてみるわ」
そう決意し楯無の夜は過ぎていく。
そして3日後
朝から女子達はISスーツの話で盛り上がっていた。それもそのはず今日からスーツの申し込みが始まるからだ。
話していると千冬と山田先生が入って来てホームルームが始まった。
「今日はなんと転校生を紹介します!しかも2名です!」
『『『えええええっ!?』』』
クラス中が一気にざわついた。
「失礼します」
「・・・・・・」
ざわつきが収まった頃に教室のドアが開き2人の人物が入って来た。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。皆さんよろしくお願いします」
金髪の男性が自己紹介をすると・・・
『『『きゃあああああーーーっ!』』』
ソニックウェーブ如きの歓喜の叫びが教室に響いた。
「男子!三人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形!守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれて良かった~~~!」
騒いだ女子を千冬が収め銀髪の女子が簡潔に自己紹介をし、指定した席に移動する前に一夏の前に立った。
「貴様が!」
銀髪の女子ラウラ・ボーデヴィッヒが手を振り上げそのまま振り下ろし一夏に・・・
「悪いがそこまでた」
当たらなかった。ジンがラウラの腕を掴んだからだ。
「何だ貴様は!」
「俺は櫻羽ジン。向こうの世界の人間だ。階級は大佐だ、お前も軍属だろ?階級は?」
「・・・少佐です」
ラウラは階級が上だと分かり敬語になった。
「ならボーデヴィッヒ少佐。民間人に手をあげるな」
「しかし!」
「俺達軍人は民間人を守る存在だ。軍人は民間人に手を出しては駄目だ。今日は見逃すが次はないと思え」
「・・・分かりました。申し訳ありません」
ラウラは不服そうに謝った。
「あー・・・ゴホンゴホン!ではHRを終わる。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」
ぱんぱんと手を叩いて千冬が行動を促す。すると千冬がシャルルを連れてジンと一夏に近づいた。
「おい櫻羽と織斑。デュノアの面倒を見てやれ同じ男子だろう」
「君達が櫻羽さんと織斑君?僕はー」
「先に移動するぞ。女子達が着替えるからな」
そう言いジンはシャルルの手を引き一夏とアリサと共に教室を出た。あおして案の定女子の大群が現れた。
「ああ!転校生発見!」
「しかも櫻羽さんと織斑君と一緒!」
「者ども出会え出会え!」
「・・・ジンさん何時もこんな感じですか?」
「ああ毎回だ」
「どん引きです・・・」
アリサがこの光景をジンに聞き引いた。
「仕方ない」
「おいジンまさかまたか?」
「そうだ」
「他に方法は無いのかよ!?」
「ないな。あれが嫌なら一人でどうにかしろ」
そういいジンはシャルルを抱えてアリサと共に窓から飛び降りた。
「イヤぁああああーーー!!!」
その最シャルルの悲鳴が響き、一夏の嘆きの声も聞こえた。
そして木の枝の太い所に捕まり落下を止めシャルルを降ろした。
「大丈夫か?」
「大丈夫か、じゃないよ!急に飛び降りないでよ怖かったんだから!!」
「悪いなつい癖で」
「そんな癖ないよ!」
「いや俺達ゴッドイーターだしな?」
「ええ」
ジンがアリサ向いて問いかけるとアリサも頷いた。
「場合によってはヘリから何十メートルも飛び降りるし今の位普通だな?」
「そうですね」
「聞いた僕が馬鹿だったよ・・・」
シャルルが落ち着いたので、ジン、アリサ、シャルルは歩きながら自己紹介を始めた。
「自己紹介がまだだったな。俺は櫻羽ジン。ジンでいいぞ。フェンリル極東支部所属ブラッド隊隊長を務めている」
「アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。私もアリサで構いません。フェンリル極東支部独立支援部隊クレイドル所属です」
「うんジン、アリサ。僕はシャルル・デュノア。僕もシャルルでいいよ。2人は確か神機使い、ゴッドイーターっていう向こうの世界の人間の守護者なんだよね?」
「まぁその認識で合ってるな」
「そうですね」
「それで何で腕輪の色が違うの?」
「一般的な神機使いは赤ですが、ジンさん達ブラッドは血の力と言う特殊能力に目覚める可能性があるP66偏食因子を投与される為黒なのです。因みに一般的にはP53偏食因子が投与されます。まぁこれもまた授業で話すと思うので」
「話している内に着いたな。実習の時はアリーナの更衣室で着替える事になっているみたいだか覚えておけよ。俺とアリサは先に行ってるから着替えとけよ」
「え?ジンとアリサは?」
「俺は何時呼び出しが来るか分からんから、オフの日以外基本このブラッドの制服だ。アリサは生徒じゃなく俺の補佐だから着替えなくっていいんだ」
「そうなんだ」
「早く着替えろよ、遅れたら織斑先生の手痛い一撃が待ってるからな」
「直ぐ着替えるよ!」
そう言い更衣室に入って行った。
長くなりそうなのでここで区切ります!