簪と出会った翌日。いよいよジンによる授業が始まろうとしていた。
教科書などはなく、ジン達がその日にやる内容を編集してモニターに映すというやり方をとっている。生徒達はノートを広げメモを取れるようにしている。
千冬と山田先生は教室の後ろで見学している。
「よし。始める前にゲストを紹介する。入ってきていいぞ」
「失礼します」
ジンの呼びかけで入って来たのはアリサだった。
昨日一夏達に話した内容をサカキに話した時、報告の為支部長室にいたアリサが立候補して今日の朝に学園に到着したのだ。
「初めまして。アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。独立支援部隊クレイドルに所属しています。よろしくお願いします」
そう言い頭を下げた。
「アリサには暫くの間俺の補佐として授業に参加してもらう。アリサは優秀だから色々と聞けばいいぞ」
「いいえ。私なんて皆さんに比べればまだまだです」
「櫻羽君、アミエーラさんに質問いいですか」
「いいかアリサ?」
「はい構いません。それと私の事はアリサでいいですよ」
「じゃアリサさんクレイドルとはどんな活動をしているのですか?」
質問したのは相川清香だった。
「クレイドルはサテライト拠点、極東支部に入れなかった人たちが暮らせる場所を捜索し、支援をします。後は他の神機使いと同じで周辺アラガミの討伐など人々が安心して暮らせるよう活動しています」
『『『成程』』』
そう言い生徒達はメモした。
「まだまだアリサに聞きたいことがあると思うが先に授業を進める。余裕があれば最後にも質問タイムを設けるからな」
『『『はーーーい』』』
「よし。まずアラガミについて説明するぞ。アラガミはオラクル細胞と言う細胞の群体だ。オラクル細胞は昔から地球に存在していたと言われ2046年、今は2074年だから28年前はミミズ状生物に進化し2050年頃にはアラガミとなったみたいだ」
ジンはアラガミの写真を幾つか映した。
「アラガミの由来は旧日本に伝わる八百万の神々になぞられ「荒神」(アラガミ)と呼ばれるようになったみたいだ。アラガミには幾つか種類があるが・・・アリサ挙げてくれ」
「はい。まず基本種と言い、人や動物、建物を捕食出来るまで成長したアラガミを指します。次に堕天種とは基本種が極地に対応するため変異したアラガミを指します。次に接触禁忌種は2種類あり、第2種接触禁忌種と第1接触禁忌種があります。第2種接触禁忌種は堕天種同様に基本種から発生しより神に近い進化を遂げています。能力も大幅に上げられており異常状態の攻撃もしてきます。第1接触禁忌種は指定接触禁忌アラガミとも言われ5体しかいないのですが並みの神機使いの接触は禁止されています」
ジンとアリサは朝に打ち合わせをしていたのでアリサの説明の時にモニターにはそれどれ当てはまるアラガミの写真が写されている。
「そして近年猛威を振るった感応種です。この感応種は偏食場パルスと言う特殊な信号を発します。例として私達の神機が使えなくなります」
「神機が使えなかったら戦えないのでは?」
神機が使えなくと聞きセシリアは質問した。
「そう、この感応種のに対抗するために俺達ブラッドが結成された。感応種に干渉するためには血の力が必要なんだ。俺も初めて感応種と交戦?した時に血の力に目覚めたんだ」
「最も今では極東支部の神機使い達全員感応種と戦えます」
「それは櫻羽の血の力の恩恵か?」
ジンの答えにアリサが付けたし、更に千冬が質問した。
「はい。前にアラガミの大群が極東支部付近に現れた時に防衛班、極東支部の第二、第三部隊が戻った時の急ピッチでブラッドアーツやブラッドバレットを覚えた事により極東支部を守り切る事が出来ました。脱線したが続き頼む」
「はい。次に神融種 と言われるアラガミがあります。このアラガミは髑髏の様な仮面を被り体の一部に神機が癒着しています。また血の力やブラッドアーツに似た能力も持っています。そして最後に特異種と人工アラガミです」
「特異種とはこれまでのアラガミの進化系統の何れにも属さない個体だ。その個体が終末捕食の鍵だ」
「その終末捕食とは?」
「地球再生のシステムでもあり、アラガミにより一度初期化し生命を再分配する事です。終末捕食が起これば私達の世界の生物、植物は全てリセットされると言われています」
「そう言えば3年前の事は俺も知らないな」
「それは口外出来ません。しかし見る事は出来ます」
「・・・感応現象か」
「はい。ジンさんなら見ても大丈夫だと思います」
そう言いアリサはジンの方に手を伸ばした。ジンは迷う事なくアリサの手を握った。その瞬間3年前の出来事が流れて来た。
およそ1分後にジンはアリサの手を離した。
「・・・アリサ」
「何ですか?」
「俺も友達になれるかな?」
「ジンさんだけじゃなくブラッド全員と友達になれると思いますよ」
「そっか。決めた」
「何をですか?」
「俺はISを宇宙へ行ける為にサカキ博士と協力してみる」
「それって・・・」
「ああ。サカキ博士にお願いして極東支部でISが宇宙で活動できるように研究してもらおうと思う」
「ありがとうございますジンさん」
アリサはとびっきりの笑顔で礼を言った。
「あのー何の話ですか?」
ここで山田先生がおずおずと手を挙げた。
「あ、すいません。今俺は感応現象でアリサの過去を見ていたんです」
『『『感応現象??』』』
「新型神機使いに起こる現象で、簡単に言うとその者に起こった出来事を見る事が出来る事かな?」
「そうですね、感応現象はまだ謎が多いですからね」
「感応現象についてはより詳しい人が来た時に説明するとして、続きを話すぞ」
「最後は人工アラガミについて話します。これは2種しかありません。まず前極東支部長が造った物で人型神機と呼ぶ事が出来ます。その理由は神機の技術が応用されているからです」
「そしてもう一つは神機兵と言って、神機使いの変わりの戦力として造られた物だ。しかし破壊され赤い雨を浴びた事により暴走するなどの事態も起こった。赤い雨については今度話す。後俺達が使っている神機もアラガミと同じオラクル細胞で出来ている、つまりアラガミに対抗出来るのは同じオラクルを持つ神機だけとなる。今回はここまでだ」
「質問がある方は遠慮なく言って下さいね」
生徒達は話した事を纏めているのか手をあげる者はいない。
「そう言えばアリサはこっちにいる間にサテライト拠点への物資を買うのだったな?」
「はい。私達の世界のお金は1fcでこちらの世界の1円と同じという事なので、買う分のお金を換金しようと思います」
「あーこの通帳使ってくれ俺は金そんなにも使わないから、サテライト拠点の為に使ってくれた方が有益だからな」
「そんな悪いですよ」
「良いから良いから」
「じゃ、お言葉に甘えます」
「ああ、少ないと思うが好きに使ってくれ」
アリサは幾ら入っているか見る為通帳の最後のページを見て目を見開いて一言言った。
「・・・どん引きです」
「あー引くぐらい少なかったか?」
「いえその逆です」
気になった相川は通帳を覗き込んだ。
「一、十、百、千、万、十万、百万、一千万・・・・・・三億?」
『『『さ、三億!!???』』』
「何なんですかこの金額は!!?多い時には同じ日に何度も大金が入ってるじゃないですか!!これは受け取れません!!!」
「大丈夫だまだ通帳はあるから一つぐらい大丈夫だ」
「はい?」
そこでアリサは最後に入金された日付を見て理解した。
「そういう事だだから遠慮なく使え」
「あ、ありがとうございます」
アリサは引き攣った顔で礼を言った。
「次の授業はリッカに神機の説明をしてもらう。言い忘れていたがこの授業もテスト教科となるのでそのつもりでな」
こうして最初の授業は終わった。
アラガミ説明で指摘があれば遠慮なく言って下さい!!