鈴side
「ゴッドイーター。アラガミを狩る者だ」
急に現れた茶髪の男。ソイツは自分の事をゴッドイーターと名乗った。先日の起きた事は上からも聞いていた。人類の脅威アラガミ、そのアラガミと戦う者ゴッドイーター。何よりこの男からは独特の雰囲気を感じる。恐らく相当な修羅場を抜けて来たのだと思う。
「ヤクシャ一体か速攻で片付けるか」
「ち、ちょっと大丈夫なの?」
アタシはたまらず声を掛けた。
「大丈夫だ。奴の攻撃は右手の銃口による遠距離攻撃だけだ。接近戦に持ち込めば有利だ。それとお前「鈴よ」なら鈴、後ろの奴を回収して離れていろ」
そう言って男は一夏を指さした。
「分かったわ」
アタシは頷いて一夏の回収に動いた。
鈴sideout
「さて、こちらの世界での初陣だ!」
ジンはそう言いヤクシャに接近しジャンプして神機を振り下ろした。
「まだだ!」
更に素早く銃形態にして銃撃を浴びせた。最初のダメージと今の銃撃でヤクシャの頭が結合崩壊を起こし、ヤクシャがふらついた。その隙を見逃すジンではなく剣形態にしてヤクシャの足に攻撃しダウンさせた。
「凄い・・・」
鈴は一夏を背負いながらジンの戦闘を見ていた。
ヤクシャは苦し紛れに鈴に向かってオラクル弾を発射した。
「え?」
鈴は再び体が硬直した。
「はぁああああ!!」
ジンはオラクル弾を断ち切り鈴を護った。
「ふぅ、安心しろ俺がいる限りお前達は俺が護ってやる」
その言葉に鈴の心臓はドキッと高まった。
ジンは神機を銃形態にして肩鎧を狙って火のオラクル弾を撃ち込みながら接近した。
(次のダウンで決める!)
ジンは剣形態に変えて横一線に切り裂いた。すると肩鎧が結合崩壊した。
「畳みかける」
更にジャンプし結合崩壊を起こした頭と肩鎧を重点的に攻めた。そして数撃食らわした後ヤクシャはダウンした。
「決める!!」
ジンはダウンしたヤクシャにブラッドアーツ・ソニックキャリバーで止めを刺した。
「・・・終わったの?」
動かなくなったヤクシャを見て鈴はジンに聞いた。
「ああ終わった。怪我は無いか?」
「ええ大丈夫よ。一夏は気絶しているだけだし」
「・・・う、あ!!鈴あの化け物は!!」
「あれならこの人が倒したわ」
鈴に怪我の有無を聞き鈴は一夏とも大丈夫だと答えた。その会話の途中で一夏が目を覚ましヤクシャの事を聞けば鈴はジンを指さした。
「アンタ一体何者だ?」
「ああ俺は・・・」
ジンが名前を名乗ろうとしたタイミングで教師部隊がアリーナに突入しジンを取り囲んだ。
「貴様何者だ!!」
「ここがIS学園だと知っての狼藉か!!」
教師たちは武器を構え何時でもジンに対応出来るようにしている。
「俺に交戦の意志はないが・・・やるならやるぞ」
ジンも神機を構えた。
一発即発の状態の中上から声がした。
『ストップ、ストープ!!その人が櫻羽ジンさんです!!武器を収めて下さい!!』
「中原先生!!」
「今確か櫻羽ジンって言いましたよね?」
ヘリからの拡声器でジンの名を聞いて教師たちの顔は蒼白になった。そして一同は武器を収め謝罪した。
「「「すいませんでした!!」」」
「いや気にしていない。それよりも何故改まる?」
「それは向こうの世界の英雄だからですよ」
ジンの疑問に答えたのはこの世界最強の称号を持つブリュンヒルデ・織斑千冬だった。
「初めまして英雄・櫻羽ジンさん」
「初めましてブリュンヒルデ・織斑千冬さん。それと中原さん達にも言いましたが、俺は此処の生徒になるので敬語を使わなくってもいいですよ」
「そうか、なら改めて。ようこそIS学園に」
「はい。お世話になります」
「早速説明に移りたい所だが、アレ等を片付けなくてはいけないから後でいいか?」
と指を刺したのはヤクシャとヤクシャに破壊させたISだった。
「ヤクシャの方は俺がやるよ」
そう言いジンは捕食形態でヤクシャのコアを取り除いた。するとヤクシャは地面に沈むように霧散していった。
「アラガミにはコアと言う物がありこれを取り除くと今みたいになる」
驚いている千冬達に簡潔に説明したジン。
「あ、ああ説明ありがとう・・・こちらの処理が終わるまで寮に入る予定の部屋で待っててくれ。これが寮までの地図と部屋の鍵だ」
「ありがとう。早めに頼むよ」
「ああ。おい織斑、凰、篠ノ之そしてオルコット。貴様達は生徒指導室で待機していろ。後今見た事は口外するな。いいな?」
「「「「は、はい!」」」」
一夏達四人は千冬の言葉に全力で頷いた。
一方ジンは地図を頼りに寮の部屋の前に辿り着いた。
(何かいる)
ジンは部屋に何かあると感じ、神機を壁に立てかけ、懐のサバイバルナイフを何時でも取り出せるようにして扉を開けた。
「おかえりなさい。お風呂する?ご飯にする?それとも、わ・た・し?」
バタン
(う~ん疲れているのか?裸エプロンの女幻影が見えたぞ)
無言で扉を閉め混乱しながら考えるジンがいた。
(よし、今のは幻だ。幻を見るとは飢えているのか俺は?取り敢えず開けようアレが幻なら今度は大丈夫な)
そう決意し扉を開けた。
「おかえりなさい。私にする?ワタシにする?それとも、わ・た・し?」
「幻じゃなかった。痴女が実際にいた」
「痴女じゃ無いわよ失礼ね」
「そんな恰好をしていては説得力はないぞ」
「この格好は単にイタズラ目的なの。それにちゃんと水着を着けているから」
そう言って後ろを向く。そこには確かに水色のビキニを着けていた。
「水着を着けているのは分かったから着替えろ。話が進まんだろ」
「そうね」
と言い女子はシャワールームに入って制服に着替え、ジンに向き合った。
「じゃ、改めて自己紹介ね。私は更識楯無。此処IS学園の生徒会長よよろしくね」
「フェンリル極東支部所属、ブラッド隊隊長櫻羽ジンだ。それで何故此処に居る?」
「私が貴方と同室だからよ」
「俺の護衛って事か?」
「理解が早くって助かるわ。そう政府の命令で私が護衛に着いたの。生徒会長はIS学園で最強の者が務める事になっているの」
「ほぅ、だがわざわざ一介の生徒に護衛させるとは思えんな。お前裏の人間か?」
「鋭いわね。そう私は日本政府お抱えの暗部。対暗部用暗部更識家17代目当主よ」
「なら俺の情報も持っているだろ?」
「ええ。貴方の部隊全員が特殊な力を持っていて、その力でそちらの世界を救ったって出たわ。特殊な力は確か『血の力』って言ったわね?」
「ああ、その通りだ。お前の家の情報網は優秀だな」
「まぁね。さて本題なんだけど。櫻羽君生徒会に入ってくれないかしら?」
そう言い楯無の扇子には『勧誘』と書いてあった。
「その扇子の出来にツッコミたいが無視するとして、勧誘ねぇ。監視の間違いじゃねぇのか?」
「・・・やっぱり鋭いわね。一応理由を聞こうかしら」
「俺の血の力を警戒しているのだろ?なんせ俺の喚起の力で多くの血の力を目覚めさせ、他の者達にブラッドしか使えないブラッドアーツの習得、そしてブラッドレイジ。ISで敵わないアラガミを倒すゴッドイーターの存在は、お前達からしたら脅威かもしれない存在だから監視するって所か?」
「当たりよ。上は貴方ゴットイーターを脅威と捉えているわ。私としては友好的に行きたいのだけど・・・」
「俺は俺達に害しない限り手を出すつもりは無い。俺としても友好的に行きたいからな」
「じゃあ?」
「生徒会に入ってやるよ。ただ任務が入ればこっちを優先させてもらうがな」
「良いわよ。アラガミは貴方達にしか倒せないのだから仕方ないし。それと櫻羽君には副会長をお願いしたいのだけど」
「俺の事はジンでいいぞ。見た所タメだろ?それと俺でよければ副会長をやらせてもらおう」
「ありがとうねジン君。最後になったけど。ようこそIS学園に」
「ああ。それから世話になる」
そう言いジンと楯無は握手をした。