英雄伝説 閃の軌跡3 灰の剣聖   作:クロス レイブン

8 / 11
キャラ崩壊してないかな。


入学式

 トールズ士官学院第二分校 グラウンド

 

 グラウンドには既に入学生が集合していた。

 生徒たちは思い思いに過ごしていたが、誰かがグラウンドに降りてくる教官達に気づくとにわかに騒ぎ出す。

 

「ククッ……マジかよ。」

 

「ふふっ……予想外、ですね。」

 

「《灰色の騎士》………」

 

「…………うそ………」

 

 近づくにつれ生徒たちが騒ぎ出したのを見てリィンは、伊達メガネはやっぱり意味なかったなと、心の中で苦笑いした。

 

 そしてリィンは今日は随分と視線を感じる日だなと思う。その視線の中でジトーとした視線を感じそちらに目を向けると目が合った瞬間顔をそらす無表情ながらどこか拗ねたような感じを出す見覚えのある銀髪の少女がいた。

 

 リィンは一年前より随分と感情を感じられるになった事を嬉しく思うと、同時に彼女がいる事に驚く。

 

 その後つつがなく入学式が終わり。各生徒をクラスごとに分かれて行く。

 

 そしてクラスの発表されていない三人の生徒たちが《Ⅶ組・特務科》となり、リィンはその担当教官に任命される。

 

 また、リィン達Ⅶ組・特務科は列車の中で会った金髪の少女とシュミット博士、ミハエル少佐に先導され、大きな機械的な建物の前まで連れて来られる。

 

 

 

 

 アインヘル小要塞

 

 

 

「わああっ………!送られた図面で見ましたけど、こんなに大きいなんて………!」

 

「フン、この程度ではしゃぐな。伝えていた通り、お前には各種オペレーションをやらせる。ラッセルの名と技術、せいぜい示してみるがいい。」

 

「は、はいっ……!」

 

 リィンはシュミット博士と金髪の少女の話を聞きながらやはり第二の生徒だったかと思うと同時にラッセルと言う名に聞き覚えがある様な気がした。まあ、そんな事はさて置いてと、《Ⅶ組・特務科》について考えを巡らせる。

 

 そうしていると、ミハエル少佐が説明を始める。

 

「現在、戦術科と主計科はそれぞれ入学オリエンテーションを行なっているが……Ⅶ組・特務科には入学時の実力テストとしてこの小要塞を攻略してもらう。」

 

「こ、攻略……?」

 

 と、ピンク髪の女子が困惑したように声を上げる。

 

「そもそもこの建物は一体……。」

 

 と、蒼灰髪の男子は冷静に現状を把握しようと質問した。

 その質問答える様にシュミット博士が話し始める。

 

「アインヘル小要塞ーー第ニとあわせて建造させた実験用の特殊訓練施設だ。内部は導力機構による可変式で難易度設定も思いのままーー敵性対象として、()()()()も多数放たれている。

 

「な……!?」

 

「ま、魔獣ーー冗談でしょ!?」

 

 二人ともさすがに魔獣が放たれていると言う言葉に驚きを隠せない様だった。

 

 リィンはここまでの話を聞き「……なるほど。」と呟いた。

 

「《Ⅶ組》、そして、《特務科》》。思わせぶりなその名を実感させる入学オリエンテーションですか。新人教官への実力テストを兼ねた。」

 

「フッ、話が早くて助かる。と言っても、かつて君のいた《Ⅶ組》とは別物と思うことだ。教官である君自身が率いることで目的を達成する特務小隊ーーそういった表現が妥当だろう。」

 

「なるほど………それで。」

 

ちょ、ちょっと待ってください!

 

 ピンク髪の女子がいきなり大声を上げる。

 

「黙って付いてきたら勝手なことをペラペラと………そんな事を…ううん、こんなクラスに所属するなんて一言も聞いていませんよ!?」

 

 そんなピンク髪の女子にミハエル少佐が冷徹に言い放つ。

 

「適性と選抜の結果だ。不満ならば荷物をまとめて軍警学校に戻っても構わんが?」

 

「くっ……」

 

(軍警学校……?たしかクロスベルのーー)

 

「……納得はしていませんが状況は理解しました。それで、自分達はどうすれば?」

 

「ああーーーーシュバルツァー教官以下四名は小要塞内部に入りしばし待機。」

 

 そう言うと、ミハエル少佐はこちらに来て四種のマスタークオーツを渡してくる。

 

「その間、各自情報交換と。シュバルツァー教官には候補生にARCUSⅡの指南をしてもらいたい。」

 

「ーー了解しました。」

 

「フン。これでようやく稼働テストが出来るか。グズグズするな、弟子候補!十分で準備してもらうぞ!」

 

「は、はいっ!」

 

 そしてミハエル少佐を除き小要塞内部に入っていく。

 

 中に入ると博士達は制御室に向かった。

 

「機械仕掛けの訓練施設……博士ならではといった感じだな。ーーで、概要についてはどこまで知っているんだ?」

 

 と、リィンは銀髪の少女に尋ねるが、銀髪の少女は無表情でそっぽを向いていた。

 リィンはため息を出すとこう言う。

 

「そろそろ、機嫌を直してくれないか、アルティナ?」

 

 その言葉にやっと銀髪の少女いやアルティナが反応する。

 

「いえ。別に機嫌が悪いわけではないです。ただ、一年間連れ添ったパートナーに何も告げず、一年間も行方不明になった薄情で不埒な人に少し思うところがあるだけです。」

 

 リィンは思った以上に感情が育っている様子に驚き、そこを突かれると(一部納得出来ないところもあったが)痛いなと苦笑いしつつ思い。

 

「分かった。俺が悪かったよ、俺が出来る事なら出来る範囲で何でもするから許してくれないか?」

 

「……何でもですか?………今回はそれで許してあげます。」

 

 そう言うと、無表情が少し崩れ満足そうな顔を覗かせる。

 リィンはアルティナが意見を聞いて悩んだ様に見せていたが実際どこかその言葉を待っていた様にも見えた。

 

「ああ、でも、無茶な注文はやめてくれよ。」

 

「それは……リィンさん次第です。」

 

 その言葉を聞いた後、リィンはずっと気になって居た疑問を問う。

 

「それと、ずっと気になって居たんだが………誰の入れ知恵だ?」

 

「…………なんの話ですか?」

 

 そう言って、目を逸らす。

 リィンは言いたくなかったが仕方ないと思いながら言った。

 

「言わないと何でもの話はなかった事に「クレアさんです。」す………そうか。」

 

 リィンは何でもの話をなかった事にしようとした瞬間、顔を急に近ずけ元凶(クレアさん)を白状するアルティナに驚きつつ、クレアさんに次会った時に話すことが増えたなと思う。

 

「とりあえず。話を戻すが、概要についてはどこまで知ってるんだ?」

 

「詳しくは何も、ここに来ればリィンさんに会えると言われたので。」

 

 そう言ってアルティナは此方を見る。

 リィンはここまで心配をかけていた意味とアルティナがここまで自分の意思をしっかり持てていることに成長したなと言う意味で頭を撫でる。

 

「………やはり不埒な人ですね………」

 

 そう言うが言葉とは裏腹にもっと撫でろと言わんばかりに頭を近づけてくるアルティナにリィンは思わず微笑む

 

「…………そろそろいいですか?」

 

 と、蒼灰の髪をした男子がリィンに問いかける。

 リィンは「ああ」と言うと撫でていた手を離す。アルティナには何故か、不満そうな顔をされたが。

 

「その……二人は知り合いで?」

 

「ああ、少し縁があってな。まあ、こんなところで会うことになるとは、流石に想定外だが。ーーそれはともかく。準備が整うまでの間お互いに自己紹介しておこう。申し訳ないが、到着したばかりで君達の事は知らなくてね。」

 

 こうして自己紹介が始まり、ピンク髪の女子がユウナ・クロフォード、蒼灰髪の男子がクルト・ヴァンダールだという事がわかる。

 その後少しギスギス感はあったものの自己紹介を終えると、アナウンスが入る。

 

『お、お待たせしました!アインヘル訓練要塞、LV0セッティング完了です!《ARCUSⅡ》の準備がまだならお願いします!』

 

「これって、さっきの金髪の……」

 

 ユウナがそう言うと、クルトが肯定する様に言う。

 

「僕たちと同じ新入生だった筈だが……」

 

「了解だ、少し待ってくれ!」

 

 と、アナウンスに返信をする。

 そして、リィンは《ARCUSⅡ》を出しながら言う。

 

「さてーーいきなりになるが、三人とも、これを持っているか?」

 

「ええ、それならーー」

 

「送られてきたヤツね。まだ起動はしてないけど……」

 

 リィンは《ARCUSⅡ》の説明をしつつ、マスタークオーツを全員に渡してスロット盤の中心に嵌める様に言う。するとまた、アナウンスが入る。

 

『ーーフン、準備は済んだか。それと、シュバルツァー……わかっているな。』

 

 シュミット博士は、本気で戦うなと言いたいのだろうとリィンは即座に理解する。

 リィンは元よりそのつもりだったので直ぐに返事をする。

 

「シュミット博士。分かっているので、安心して下さい。」

 

 そのやりとりに他の皆んなは首を傾げるが、そんな事知った事では無いと言う様にシュミット博士は喋り始める。

 

『ならばいい。とっとと始めるぞ。LV0のスタート地点はB1、地上に辿り着けばクリアとする。』

 

 すると、アナウンスから金髪の少女の焦った様な声が響く。

 

『は、博士………?その赤いレバーって………ダ、ダメですよ〜!そんなのいきなり使ったら!」

 

 その言葉を振り払うようにシュミット博士は言う。

 

『ええい、ラッセルの孫のくせに常識人ぶるんじゃない……!ーーそれでは見せてもらうぞ。《Ⅶ組・特務科》とやら。この試験区画を、基準点以上でクリアできるかどうかをーー!』

 

 そう言うと、直ぐに床が斜めになる。

 リィンは下に空間がある事が分かっていたので即座に皆に忠告する。

 

「みんな、足元に気をつけろ!」

 

「えーー」

 

「なっ……!?」

 

 と、クルトとユウナが落ちて行くのでリィンは指示を送る。

 

「バランスを取り戻して落下後受け身を取れ!アルティナはーー「クラウ=ソラス。」……心配無用か。」

 

 リィンはアルティナにも指示を出そうとしたがクラウ=ソラスを展開したのを見て途中でやめる。

 

「リィンさん。どうやって傾いている床の上に()()()()()んですか?」

 

「うん?ああ、足場が悪いからと言って剣を振れないのは情けないからな、いついかなる状況だとしても剣を振れるように修行したんだ。

 それと、即座にクラウ=ソラスの展開の判断いい判断だった。もし、クラウ=ソラスを展開していなかったら、俺が受け止めようと思っていたが無駄な心配だったな。」

 

「いえ、修行して出来るものでもないと思いますが。それと、受け止めるなんて不埒ですね。」

 

「いや、どうしてそうなる。」

 

「なら、不埒じゃないと証明して下さい。」

 

 そう言うと、クラウ=ソラスを消す。

 リィンは咄嗟のことに驚きながら落下するアルティナをお姫様抱っこで受け止める。

 

「何やってるんだ。危ないだろう。」

 

「リィンさんなら受け止めてくれると思っていましたから。」

 

「信頼の高さに喜ぶべきか。はぁ、下までだからな。」

 

「はい、わかっています。思った以上に顔が近いですね。

 

「うん?何か言ったか?」

 

「いえ、別に……」

 

「なら行くぞ!しっかり掴まっていてくれ。」

 

 そう言うと、リィンは下に続く穴に降りて行く。

 

 リィン達が下に降りるとクルトがユウナの下敷きになっていた。

 

「こ、これはーー(なんか覚えがあるような……)」

 

 リィンは取り敢えずアルティナを床に下ろす。

 

「弾力性のある床……打撲の心配はなさそうです。しかしまた、リィン教官のような不埒な状況になっていますね。」

 

「だから誤解を招くようなことを言わないでくれ。って、教官って……切り替えが早すぎないか?」

 

「そういう仕様ですので。」

 

 そして、クルトとユウナは一悶着あり。リィンが最終的に三人の怪我の確認を行いまとめるのであった。

 その後、リィンの指示によりお互いの武装の確認を行う。その時、ユウナがクルトを挑発をかけたり、アルティナのクラウ=ソラスに驚いたりし残すところはリィンだけになった。

 

「ーーああ、ちなみに俺の武装はこれだ。」

 

 リィンはそう言うと、鞘から刀を抜く。

 

「《八葉一刀流》の太刀……」

 

「………あの時の……ううん、アリオスさんが使っていたのと同じ武器ね。」

 

 リィンはボッソと呟いたユウナの言葉に引っかかりを覚えたが今は目の前の事に専念しようと思う。

 

「ああ、帝国風の剣じゃなく、東方風の刀になる。はは、さすがに《風の剣聖》は有名らしいな?」

 

「……色々ありましたけど今でもファンは多いですから。どこかの国のせいで今も手配中みたいですけど。」

 

「ああ………そうみたいだな。」

 

 リィンはユウナの皮肉に内心苦笑いしながら返す。

 

「ーーよし。それじゃあ攻略を始めよう。現在B1、地上に出ればこの実力テストも終了だ。実戦のコツ、アーツの使い方、ARCUSⅡの機能なども一通り説明していく。迅速に、確実にーーただし無理はしないようにしっかりついて来てくれ。」

 

「っ……言われずとも!」

 

「…やるからには全力を尽くします。」

 

「それでは状況開始、ですね。」

 

 こうして、《Ⅶ組・特務科》のオリエンテーションが始まった。

 

 




このアルティナな一年間で割と感情を自覚しています。
次回は戦闘回になるかな?

そう言えば、ps4で閃の軌跡が来年の3月にでるみたいですね。次回作も来年には出したいと近藤社長が言ってたので今から楽しみです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。