本当に書く時間がない。
短めです。
誤字脱字報告ありがとうございます。
十六夜10さん、名状しがたい人さん、メイさん。
本校舎一階 教官室
「さて、明日は自由行動日だがーーー連絡事項は以上だ。」
と、ミハイル少佐が明日の予定についての連絡を話し終えるとさっさと教官室から出て行ってしまう。
リィンがトワ先輩とランドルフ教官の二人と喋っていると、突然ドアが開く。その事に驚いた三人はドアの方に目を向けると、
「邪魔するぞ。」
と言う声と共に分校長が入ってくる。
「分校長!ノックしてから入ってきてください!」
トワが不満気にそう言う。
「そんな細かいことはさて置き「置かないでください!」まあ、とりあえずシュバルツァー、今夜暇だな。少し飲みに付き合え、用事が終わったら《バーニーズ》に来るように。」
と言いたい事だけ言うとさっさと去っていく。
これにはリィンもしばしば唖然としてしまった。
「全く、お前さんも罪な男だね〜。それじゃ、俺もこの辺で。」
と、ランドルフ教官も関わるつもりがないのか教官室からでていく。
「リ、リィン君!そ、その、あ、あんまりハメを外し過ぎたら、だ、駄目だからね!そ、それと、たまには私にも付き合って欲しいな……あ。の、飲みにだよ!飲みに!」
トワは最初は焦りながらそして最後は顔を赤くしながら言う。
「はい、機会があれば是非付き合わせて貰います。」
「そ、そっか。じゃあ、私も学院の見回りしなくちゃいけないし。それと、生徒手帳の件よろしくね。」
そう言うとトワも教官室からでていってしまう。
「はぁ、本当に話を聞かないな分校長は。とりあえずⅦ組のみんなに生徒手帳を渡しに行くか。」
リィンはこの後、Ⅶ組に生徒手帳を渡したりクラブで迷う生徒達の相談に乗ったりしていた。そしてもうそろそろいい時間かと思い、宿酒場《バーニーズ》に向かう事にした。
校門の前で一悶着ありつつ無事に《バーニーズ》に着く。
「さて、入るか。」
リィンが中に入ると分校長を探す。
「こっちだ、シュバルツァー。」
分校長がカウンター席に腰掛けて隣の席を叩いていた。
リィンは大人しくその席に座る。
「すみません。お待たせしましたか分校長?」
「いや、そこまで待ってはいない。それと今日の勤めは終わりだ分校長などと堅苦しい呼び名で呼ぶな。オーレリアでいい。」
「流石にそれは、オーレリアさんでどうでしょう。」
「まあ、今はそれでいい。とりあえず、何か頼むか。」
そう言うと料理と酒を二人分注文する。
そして、北方戦役の話をしているうちに料理が運ばれてくる。
「どうやら、料理が運ばれてきたようだな。話をする前に先に食べてしまうか。冷めてしまうからな。」
「ええ、そうですね。」
そう言うと、リィンは料理を食べる。たが、食べた途端リィンは忘れた事を思い出した様な顔をして固まる。
「どうした?ここの料理はそこそこいけるだろう。」
「そ、そうですね………美味しいです。」
と、リィンはどこか作った様な笑みを浮かべてそう言う。
「本当にどうした?口に合わなかったか?」
「いえ、少し食欲が無いだけです。」
「あまり無理はするなよ。」
そう言うと、食事を再開する。
二人が食べ終えると、オーレリアがまず口を開く。
「私はなシュバルツァー、強くなり過ぎたんだ。この大陸で私と互角以上に戦える者など数を数えるほどしか居ないだろう。そしていつしか空しさを感じるようになっていた。そこでだ、シュバルツァーいやリィン、お前は空しさを感じた事は無いか?剣聖という高みにいたり、自分は強くなり過ぎたと感じた事は無いか?」
と、オーレリアは心底知りたいと思う様に言う。
「自分は空しさを感じた事は無いですね。だって、まだまだ未熟ですし、自分にとって剣聖も只の通過点でしかありません。それに、自分の斬りたいものをまだ斬れていませんから。」
「ほう、今のお前にして斬れないものとはなんだ。」
「そうですね………敢えて言うなら
「フフ、世界とはまた大き出たな。」
「まあ、ただの比喩ですよ。」
「だとしても世界とはな。並大抵の努力ではどうにもならないぞ。」
リィンは知っていた世界には努力ではどうにもならない事がある事を。そして、それこそが自分のやろうとしている事だと。
「ええ、
「そうか……」
オーレリアはその言葉に何かを感じたのか、それ以上聞こうとはしなかった。
「そろそろ、明日に響くので帰ろうと思います。」
そう言うとリィンは席を立つ。
「それと、オーレリアさんはもっと剣を何のために振るのか、考えると良いと思います。そうすれば空しさも少しはマシになる。でも、もし剣を振る理由が無いなら……俺がなりましょう。これでもそこそこ強い自信があるのでオーレリアさんが空しさを感じないよう俺が貴女の前に立ちましょう。安心して下さい貴女がどれだけ強くなろうと俺は貴女を凌駕します。」
リィンはそう言うと店を出て行く。
「お客さん。大丈夫ですか?顔が真っ赤ですが。」
「いや、大丈夫だ。少し酔いが回ってきたようだ。」
オーレリアにとってリィンの言った言葉は初めて言われた言葉だった。自分の強さを知っていながらそれより強いと、どれだけ強くなろうと凌駕すると、今までその様に言う男は居なかったのだ。
「リィン・シュバルツァーか……まさか落とすつもりが落とされるとは、私を本気にした罪は償ってもらわないとな。」
オーレリアのその顔は赤く染まっていたが、それが酔いのせいなのはそれとも………それは本人にしかわからない。
リィンは酒場を出た後直ぐに宿舎には戻らず橋に向かうと橋から川を見る様に手を置く。
「分かっていたつもりだったんだが……これは思った以上に…くるな。味が全く分からなかった。これじゃ………シャロンさんや母さんの料理も心のそこから美味しいとは……言えないな。」
いつしかリィンの頬を涙が流れる。
「いつか、この涙も出なくなるんだろうか。だが、必要な事なんだ。
運命を変えるためにはこの世界の強制力から外れる必要がある。この世界にとって
そう決意を新たに歩き出すリィンの顔にはもう涙はなかった。しかし、その背中は痛々しく、崩れ落ちしまいそうなほどだった。
何故かシリアスを書いていた件(リィンの不幸にこそ輝く主人公だから。)。
最終的にハッピーエンドなら良いよね(終わりよければ全て良し。)
実は灰の剣聖にも意味があったりなかったり。