スィーフィード世界で楽しく生きてみよう   作:トロンベ

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最近リアル事情により執筆の時間が取れなく…


第20話 婚約

 

 オレはセイルーンで暫く過ごした後、目的であった白魔術の大体を覚え、やっていたアイドル事業の引き継ぎやら、別れやらを済ませ、再び旅に出た。

 旅立つ時にグレイシアちゃんもいつか旅に出ると言っていたけど、一国の王女ってそんな簡単に旅に出れるものなのだろうか?まあ、セイルーンの王族は色々変わっているのでそういうこともあるのかもしれない。

 

 現在はカルマート公国、ラルティーグ王国の順で旅をし、次の目的地であるライゼール帝国にさしかかろうかという所である。

 旅は良い言い方をすれば順調、悪い言い方をするなら特に面白い出来事もない普通の旅路であった。

 というか、今まで各地で知り合った人たちが濃すぎるとも言う。まあ、そうそうあんな濃い人たちに会う方がおかしいのかもしれない。

 カルマートやラルティーグでは特に特筆することもなく、各地の名物や名産などを食べ歩きながらの旅路であった。

 

 そうそう、面白い事と言えば旅の道中ではなく、休暇中のゼフィーリアでならあった。

 リナちゃんが魔道士協会から今までの研究成果が認められ、称号を得たのだ。リナちゃんは現在12歳、その歳での称号授与は魔道士協会の歴史上でも最年少に近いらしい。

 最年少でなく近いらしいというのは、リナちゃんよりも最年少で称号を得た人物がいるからだ。

 その名は赤法師レゾ、なんでも数百年に一度の天才と呼ばれ、現在も各地で献身的に病気の治療や新たな技術の提供などその功績は他に類するものがない程だと聞く。

 っとまあ話を戻すと面白い出来事というのはリナちゃんの貰った称号の色である。若い女の子が称号を得るのは珍しい。

 そしてリナちゃんは称号を貰う立場としては珍しい可愛い女の子ということで得た称号の色は「ピンク」である。

 当然称号を得たときにもらえる称号の服(ディグリー・ローブ)の色も称号と同じピンクである。しかも、フリフリのフリルが各所に散りばめられた女の子仕様である。

 それを見たリナちゃんの家族の反応は、皆大爆笑であった。

 リナちゃんは涙目できれていたので、流石にオレまで笑うのは悪いと思い耐えていたのだが、ルナちゃんがその衣装でアイドル活動したら?なんてい言うから思わず吹いてしまい、それを見たリナちゃんの機嫌は急降下、リナちゃんに機嫌を治してもらうまで相当な時間を費やした。

 称号の服(ディグリー・ローブ)は魔道士協会から1着しか貰えず、替えなども貰えないので、リナちゃんの称号の服(ディグリー・ローブ)といったらずっとあの服ということになる。

 リナちゃんは貰って次の日には称号の服(ディグリー・ローブ)をクローゼットの奥に封印したのは言うまでもない。

 

 

 今日はゼフィーリアの屋敷にて過ごしている。

 食堂には豪華な料理が並び、普段の食事とは違う特別な日に食べるような料理である。そう今日は特別な日なのだ。

 なんの日かと言うと今日はルナちゃんの誕生日なのだ。

 ルナちゃんは今日で16歳になる。

 この世界では誕生日と言えば、5年毎に盛大に行われるものでルナちゃんは去年は盛大に祝った。本来は16歳になったからといって誕生日を祝うということはない。

 が、今日はそれ以外にも祝う理由があるのだ。

 オレは人生に置ける重要な決断をした。

 ルナちゃんとオレは今日婚約することにしたのだ。

 ルナちゃんの熱烈なアプローチに耐えていたオレだったが、16歳になったら一線を超えるという約束をしていた。

 本当は、もっとプラトニックな関係でいようと思ったのだが、でもそれはしょうがない!オレも日に日に成長し、オレにアプローチしてくるルナちゃんに耐えていたのだが、あんなん耐えられるか!毎回毎回彼女に対し劣情を抑えるのは大変なのだ。非常に嬉しいけどね。

 まあ、オレが抑えてきたのも前世の記憶の欠片の影響が大きいので、この世界ではもっと若く男女の仲になるカップルも多い。

 それもあって16歳という年齢にしたのは前世での女の子が結婚できる年齢という事もあってのことだ。

 まあ、でもオレもこの世界に生きているのだ。あんまり前世の常識などに囚われすぎるのも良いことではないのかもしれない。

 そんな訳で手を出すのだから、責任を取らなければならない、それもあって婚約ということなのだ。

 ちなみに、既にリュートさんやレナさんには婚約の許可はもらってある。

 本当は婚約でなく、結婚を考えていたのだが彼女は赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)。結婚するにも関係各所との根回しや、段取りが必要なのである。

 なのでとりあえずの婚約なのである。

 

 ちなみにテーブルに並ぶ豪華な料理はレナさんが主に作ってくれルナちゃんと共にオレも手伝った。

 インバース一家にも好評なカレー料理を主に担当した。

 

「今日は私の為に祝ってくれてありがとう。とても嬉しいわ。お母さんの料理とっても美味しそうだわ。お父さんも料理の食材集めありがとう。リナは飾り付け手伝ってくれてありがとう。――そしてライさんは今まで私の我儘を聞いてくれてありがとう。ちょっと面倒な彼女かもしれないけど、これからもよろしくね。…それじゃあお料理が冷めないうちに頂きましょうか」

 

 ルナちゃんがこちらを促すので頷き、飲み物が入ったグラスが皆に行き渡っているのを確認し、音頭を取る。

 

「それでは、今日はルナちゃんの16歳の誕生日を祝い、乾杯!」

「「「「かんぱーーい!」」」」

 

 ゼフィーリア産のワインを一気に呷る。やはりゼフィーリア酸のワインは特産なだけあって美味い!

 芳醇な香りや、奥行のある旨みを感じ楽しみ気分を落ち着け、懐から手のひら程の大きさの箱を取り出す。

 

「皆さん、今日はルナちゃんの誕生日の他に婚約を祝うと言ってありました。彼女には婚約の証として贈り物があります。ルナちゃん…受け取って欲しい」

 

 オレは箱を開け中身を取り出す。

 中から出てきたのは、ミスリル銀の台座に輝くラウンドブリリアンカットされた大粒のダイヤモンドが鎮座した指輪である。

 この指輪は自作で特殊な効果はないが、このラウンドブリリアンカットを実現するのにはかなり苦労した。

 

「キレイ…」

「オレの生まれ故郷で婚約指輪といったら、ダイヤモンドをこのラウンドブリリアンカットで加工したものが一般的なんだ」

 

 オレはそう言い指輪を彼女の左手の薬指に嵌める。

 

「嬉しいわ、ありがとうライさん」

 

 ルナちゃんは目に涙を貯め、微笑む。

 

「ああ、一生ルナちゃんを大事にするから。これからもよろしく」

「はい!」

 

 パチパチパチパチ

 

 周りにいたリュートさん達から拍手が湧き上がる。

 こうやって、ルナちゃんの家族から祝ってもらえると、オレもインバースの一家に家族として受け入れられたと、認められたと実感でき、少し恥ずかしいが嬉しい感情の方がその数倍は上回る。

 

「ありがとうございますリュートさん、ルナちゃんはオレが一生守っていきます!」

「おう、ルナの奴は物理的には守る必要はあまりないだろうが、心はそうでもない。今までもルナを守ってくれてたんだ、お前さんがいなけりゃ今のルナはないだろうよ。お前さんには感謝しかねぇよ!これからもルナをよろしく頼むわ」

「はい!任せてください()()()()()!」

「お義父さんはやめろ、なんか背中が痒くなるわ」

 

 リュートさんが苦笑いしているとレナさんが微笑みながら話しかけてきた。

 

「ライちゃん、私の事は本当のお母さんと思っていいからね。是非お義母さんって呼んでね」

「えっと、はいお義母さん」

「うふふ、私前から息子が欲しかったの、嬉しいわ」

「ライにーちゃんは本当にあたしのお兄ちゃんになったんだね!」

「まあ、まだ一応婚約だから実際はまだだけど、いずれそうなるかな」

 

 その後もワイワイと騒ぎながら楽しく過ごし、宴の時間はあっという間に過ぎ去った。

 宴の片付けも終わり、インバース一家は家に帰っていた。

 オレとルナちゃんは一息着いて、リビングのソファーで二人寄り添って座りながら寛いでいた。

 

「本当にライさんと婚約したのね…4年近くも一緒にいるから婚約したからって、急に何が変わるってこともないけど、やっぱり婚約って言葉にして形のある指輪を貰うと、とても嬉しいものね」

「ああ、そうだね。やっぱり形にすると周りにそう宣言しているせいかな、オレも嬉しいな。たぶん周りにこれでルナちゃんは正式にオレのものだ!って認められて喜んでいるのかもしれない。ほらルナちゃんって周りに人気あるし、可愛いし、最近じゃアイドルなんてやってるせいかますます人気出てきたし、少し嫉妬していたのかも」

 

 ルナちゃんはニコッと笑いながら、頭をコテンと傾けオレの肩に載せる。

 

「あら、でもライさんは知らないだろうけどライさんも周りの女の子に人気あるわよ?私がライさんにくっついて周りにライさんは私のものだ!ってアピールしてたからゼフィーリアではライさんに寄ってくる女の子はいなかったけどね」

 

 いや、俺に人気があったのは知らなかったけど、ルナちゃんが周りの女の子に牽制していたのは一緒にいて解っていた。結構露骨だったし。

 

 暫くお互いが心地よい沈黙でいると、不意にどちからともなく互い見つめあい、キスをし、唇を放し再び見つめ合う。

 

「私幸せよ、あまりに幸せすぎていつか壊れるんじゃないかって怖いくらい」

「…大丈夫だ、何かあってもオレが守る。だから安心してくれ、ルナ」

「ふふ、信じるわ貴方のいうことだもの、私を守ってね、ライ」

 

 ルナのその色気に思わずその場で燃え上がりそうになってしまうが、初めてでリビングで致すのもアレかと思い踏みとどまる。

 

「ルナ、寝室へ行こうか」

「はい、わかったわライ。ってキャッ」

 

 オレはルナをお姫様抱っこし寝室へと向かう。

 やはり、こういう時は雰囲気作りは重要だろうしね。

 

 その日オレとルナは恋人から新たに一つ上の段階へと上がったのだった。

 

 

 




ある日の事。

「あー○○君、△△さんが今月一杯でうちを辞めるそうだ」
「え!?先週も××さんが辞めたばっかですよね!?」
「あー、すまないが新しく人が入るまでこの人数で頑張ってくれ」

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