スィーフィード世界で楽しく生きてみよう   作:トロンベ

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第10話 旅立ち

 俺とルナちゃんがお付き合いを初めて一年が経った。

 この一年色々あった。

 ルナちゃんとデートしたり、冒険したり、永遠の女王(エターナル・クイーン)に会ったり、その永遠の女王(エターナル・クイーン)が水竜王の力の一部を宿した存在だったと判明したり、リナちゃんがついに黒魔術の最高峰である竜破斬(ドラグスレイブ)を習得したり、それを姉妹喧嘩で使ったり、それをルナちゃんが正面から叩き切ったり、そりゃもう色々なことがあった。

 丸々、日記帳が埋まる程度の色々があったのだ。

 それはまたの機会があったら、話すこともあるかもしれない。

 

 

 ルナちゃんは日に日に魅力的になっている。

 ルナちゃんに対して自分の気持ちが好きな感情か分からない、なんて一年前に言っていた気がするが、そんなんもうとっくに好きになっとるわ!惚れてるわ!

 

 ルナちゃんも13才から14才になり、発育が良い彼女はさらに少女から女性へと近づいていった。

 リナちゃんがルナちゃんの発育のいいある部分を見る度に、自分のある部分を見て溜息をついて切ない気分にさせるが、大丈夫!まだ彼女は10才これからが成長期だ!

 ――ルナちゃんは10才のころからかなり発育が良かったとか言ってたが個人差もあるし!大丈夫!ファミつ…ライ兄ちゃんの保証だよ!

 

 女性へと近づいていくルナちゃんだが、かといって少女らしさも失っておらず普段見せるお茶目な所は変わらず、明るい性格は皆を笑顔にする。

 

 そういえば、最近ルナちゃんはチャームポイントであった前髪をバッサリカットした。

 なんでも心境の変化があったそうだ。

 勿論、前髪がなくなった程度じゃ彼女の魅力は変わらない。

 否!前髪が無くなったことで、彼女のレナさん譲りの綺麗な瞳が見えることで彼女の魅力は数倍、いや数十倍にも引き出された事は、論じるまでもない世界共通の万物における常識であることは疑うべくもない事実である。

 これを否定する不届きなる輩は例え、上位魔族だろうが魔王シャブラニグドゥだろうが、俺の全力でもって見敵必殺(サーチアンド・デストロイ)するつもりだ!

 そう、それに彼女の笑顔はお付き合いする前よりも更に魅力的になった。

 無論、お付き合いする前から魅力的であったことは言うまでもない事だが…

 その証拠に、リアランサーにて彼女が笑顔を見せる度に客の男共が彼女に見惚れるのだ。

 だが、おいお前ら!彼女を笑顔を見続けていいのは俺だけだ!そんなに見るんじゃない!だからって魅力的な彼女を見ないということは彼女に対しての冒涜だ。

 だから、チラっと見るくらいは俺の海よりも広い心で許してやろう。

 彼女から笑顔を向けられる度に、俺の心は転生したばかりの乾いた心とは比べるべくもない程高鳴るのだ。

 それに対し俺は、こんな笑顔が出来たのかというくらい、自然だが満面の笑顔で返すのだ。

 それを目撃される度に男共から嫉妬の視線や、血涙を流し怨嗟の声が聞こえてくるが、もはやその程度のことなぞ俺にはなんの痛痒も齎さない!

 あ、彼女が魅力的だからってまだ手は出していないからな。

 彼女とは非常にKENZENなお付き合いをしている。

 ルナちゃん的にはそっち方面にかなり積極的なのだが、流石に彼女の年齢を考えるとそれはまだ時期尚早なので、B程までで抑えている。

 日に日に彼女からのアプローチがレベルアップしているので、こちらも抑えるのが大変なのだが…

 

 まあ、そんなこんなで順風満帆な日々を過ごしているのだが…

 

 俺はある決断をした。

 

 俺は旅を再開する事にしたのだ。

 ゼフィーリアに来る前はエルメキア帝国の各地を転々としながら、モンスター退治やら、魔術の研究やらをして、一つの地に滞在しても最長で1月と少しという所だった。

 ゼフィール・シティに来て一年半。

 勿論ゼフィーリア各地に観光や素材集めの為の採取などはしていたが、それでもそこまでの遠出じゃない。

 前から旅の再開を考えてはいたが、この地があまりにも居心地が良いのでついつい先延ばしにしていた。

 そして、ルナちゃんと付き合う事になってそれは最早忘れかけていた。

 ――のだが、この世界に来て旅をする事は目的の一つであったので、このままぬるま湯に浸かっていていいものか、と思い直すこと一年。

 非常に、ひじょーに心苦しいが、これ以上の魔術の研究の発展には、このゼフィーリアでこもっているだけじゃ新たな材料や発見が少ない。

 だからルナちゃんと一時離れる事になるが、泣く泣く旅に出ることにしたのだ。

 

 という訳で、一月ほど準備期間――急げば一週間程で終わる――を挟んだら旅に出ることにしたのだ。

 ルナちゃんと一緒に旅に出たらいいんじゃない?とか言うかもしれないが、彼女は赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)

 彼女は俺と違ってかなり名が知れており、彼女が動けば高位魔族などにいらぬ刺激を与えることになるかもしれない。

 ――特に狡猾で陰険とガーヴが言う、冥王フィブリゾ辺りなんかが反応しそうだ。

 なので、彼女も一緒に旅をしたがったが本当に泣く泣く諦めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――まあ、転移魔術で3日に一回は屋敷に戻る訳だが…

 

 旅先から気軽に帰れる様に、旅先に持ち運べる転移魔法陣を封入した魔道具を開発した。

 3日に一回使うということは燃費を良くする必要があるので、その魔道具には神族の魔力と魔族の力を合成した黄金の魔力(神魔融合魔力と名づけた)を封入し、それのコントロール、さらにその神魔融合魔力自体を感知されないための術式、屋敷に戻る時その場に魔道具が置き去りになる問題の解決に、魔道具自身が亜空間に退避し、さらに結界を張るという複雑な工程を繰り返すという難解な術式になったうえ、莫大な魔力が必要なので、その工程の維持にもさらに神魔融合魔力を使うという、意味のわからない二度手間、三度手間を繰り返した結果…

 アーティファクトクラスの代物が完成した。

 なんと3日に一回なら内蔵した魔力で、魔法陣を設置した場所なら旅先から自由に転移往復でき、3日経てばその魔力は自然回復するというのだ。

 今回の開発は本当に頑張った!リナちゃんに至っては白目むいて気絶していたが…

 今考えたらとんでもないものを作ってしまったのかもしれない。

 これ転移魔術に使用するだけなら問題ないけど、もしこの内部エネルギーを指向性を持たせ破壊に振った場合、3日に一回自由に使える大規模破壊兵器になってしまうものなのだ。

 まあ、悪用されない為にも、厳重に厳重を重ねたプロテクトを掛けておいたし、ルナちゃんと俺以外には使用出来ない様にしてあるし、万が一他者が解体しようとするものなら、魔道具自体が虚無に還り消滅するようにブラックボックス化もしてある。

 なので安心安全だ!(強弁)

 いや、それだけ必死だったんだよ!

 

 そういう訳で旅に出ても3日に一回はルナちゃんに出会えるわけだ。

 だが、毎日会えてたのが3日に一回になるというのは、どれだけ辛いことなのか諸君らに分かるだろうか?

 

 そんなこんなで旅に出るわけだが、ゼフィーリア王国はエルメキア帝国、セイルーン王国、カルマート公国に囲まれており、エルメキア帝国はゼフィーリアに来る前に旅したので、向かうならセイルーン王国に向かうか、カルマート公国に向かうかの二種類の選択肢がある訳だが、どちらにするか考えた結果。

 サイコロの目により決めることにし――結果セイルーン王国に向かうことになった。

 え?真面目に決めろって?

 いやいや、このサイコロはこう見えて普通のサイコロと違うのですよ。

 占術を応用してサイコロの目が自分にとっての幸運な目を出しやすくする、という魔道具なのだ。

 まあ、気休め程度の効果だけど。

 だが間違ってもギャンブルで使ってはいけない。

 ギャンブルでははっきりと結果出ちゃうので。

 昔この魔道具をギャンブルに使って発覚した輩がいて、そいつは普通のサイコロを振ってその目で自分の罰を決めるという刑に処されたのだ。

 ちなみにどの罰も苛烈であったと言う。

 

 

 

 月日が経つのは早いもので、アッという間に旅立の準備の一月は過去のものとなった。

 そして、俺はルナちゃんや世話になった人達に旅立ちの挨拶をしていたのだが――

 

「ルナちゃん、名残惜しいが、本当に名残惜しいが、そろそろ行かなくては」

「うん、分かってるでも最後にもうちょっと、ね?」

「そうだな…もうちょっとくらいは、な」

 

 ちなみにこのやり取り既に10回目である。

 

「お前らいい加減にしやがれ!ルナもライも3日にいっぺん会えるんだろうが!さっさと出発しやがれ!」

 

 最初はニヤニヤしつつ見ていてリュートさんも、何回も繰り返しているうちについに堪忍袋の緒が切れたらしい。

 仕方ないな、出立するか…

 

 そんなこんなで、最後にグダクダになったが、俺は新たな冒険を求めて旅に出たのだった。

 




ライ君、愛を自覚したのはいいのだが…
バカップルになってしもうた。
どうしてこうなった…

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