スィーフィード世界で楽しく生きてみよう   作:トロンベ

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プロローグ

 プロローグ

 

 ん…?ここはどこだ?

 周りを見回してみる、辺り一面真っ白な空間だ。

 いや、見回すと言ったが実際は首を動かしている感覚はない、なんというかテレビカメラの映像を、自分の意思で動かしている、といった感じだ。

 喋ろうとしても声も出ない、一体自分はどうしてしまったのだろうか…

 

 自分と言うが、自分がどこの誰であったのか曖昧で思い出せない。

 自分が日本という国で生きていた、男であったくらいの曖昧な「設定」しか思い浮かばない、自分の「個」というものが浮かばないのだ。

 こんな訳のわからない状況だというのに、まったく恐怖を感じないのもおかしいと思う。

 

 

 

 

 

 ………………よくわからない状況で時間がどれだけ経ったかわからないが、途方もない時間が過ぎたと思う。多分1年とかの単位じゃなくて数十年とかいったレベルで。

 

 このまま何もない空間で気も狂わないまま、無為に思考のみで存在し続けるのかと、益体のないことを考えながら過ごす。

 

 このままこの状況が永遠に続くのかと考えた矢先、変化は突然起こった。

 

『ん、この空間に魂?しかも上位観測世界からの漂流…珍しいわね』

 

 いつ現れたのか、声が聞こえた瞬間目の前に金色に光る存在が現れた。

 金色の光は、人の形の様にも見えるし、そうでないようにも見える。

 だが、途轍もなく偉大で美しいということだけはわかった。

 

『へぇ…このあたしを見ても存在が消えないばかりか、平然としている。なかなかの魂じゃない…』

 

 どうやら目の前の存在が言うには、(口調的に女?)自分は魂であったらしい、道理で体の感覚がないわけだ。

 

『ふむ、人間の魂にこの空間は在っただけでも魂には苦痛のはずなんだけどね、自我を保っているし、あたしを見ても平然としている…』

 

目の前の存在は恐らく自分から見たら高位の存在なのだろう、自分から話しかけるのは恐れ多いと感じた。まあ、自分には発声器官など無い訳だが。

 

『ん?あぁ、別に構いやしないわよ、あたしと話して平然としている存在なんてここじゃ部下以外滅多にいないから。あと声が出なくても考えるだけで伝わるわよ、魂なんだから』

 

 なるほど、では…ここはどこであなた様は誰でしょう?

 

 『ここは、所謂「混沌」と言われる場所から少し外れた場所かしらね。世界の狭間と言っても過言ではないわ。それであたしだけど…そうねあたしは神とも金色の魔王とも呼ばれたことがあるわ。正しくは混沌そのものなのだけど、それだと呼び名としては相応しくないわね。かつての呼ばれた名前、ルシファーとでも呼んでちょうだい』

 

 ルシファー様ですか、自分の世界でも確か同じ名前の神話存在がいたと思います。

 

『でしょうね、あたしは色々な場所に偏在するのよ、名前だけ力だけだったりね』

 

 そうなんですか…なんだか途轍もない方だということはわかりました。

 自分は…一体どうすればいいのでしょう?この何もない空間で考えているだけでこの先も過ごすのでしょうか?

 

『そうよ、あたしは凄いのよ。さて…あなたはこの狭間の空間に人間世界の時間で63年ほど存在していたようね、この不安定な場所には存在しているだけで魂は摩耗していくものよ、だけどあなたは逆に魂そのものが鍛えられている。それはとても凄いことなのよ?人間の魂としては既に規格外ね』

 

 そうなのか、自分ではわからないけど凄いらしい。

 しかし、規格の外といってもここじゃあルシファー様と自分しかいないので実感がわかない。

 

『そりゃあ、そうよね。…そうね、あなた私の創造した世界の一つで生きてみない?』

 

ルシファー様の創造した世界ですか?

 

『そう、あなたの魂の残留情報から読み取った知識から解りやすく言うと、剣と魔法のファンタジーな世界よ』

 

 おお!前世なんて思い出せないけど、何故かその言葉に惹かれるものが。

 

『ふふ、どうやら乗り気のようね。ならばその世界で過ごして貰おうかしら』

 

 それはとても嬉しいのですが、どうしてルシファー様はここまでしてくれるのですか?

 

『んー、あたしって今まで会話したことあるのって、自分で創造した者としかないのよね、どうしても自分で作った存在だと、自分より下の存在としか認識できなくてね、それ以外の存在と会話出来たのが、思ったより新鮮で楽しかったの。ならあなたにはあたしの世界で経験を積んで、あたしと並び立つ存在…は無理だとしても、対等に付き合える存在に成長してくれたらなーっていう願望がほんの少しだけあったり』

 

 …解りました、その世界で過ごしてみたいと思います。

 正直この空間で漂っているのにも飽きましたし、そのお言葉に乗らせていただきます。

 

 『オッケー、あなたに行って貰いたい世界はさっきも言ったように剣と魔法の世界よ。かつては神族と魔族が争っていたのだけれども、現在互いに痛み分けで停滞状態にあるわ、生き残りが多い分やや魔族が有利かしらね?とはいえ部下Sもとい魔王が7つに分断されて封印されてるのに対して、神族もこの世界最上級の存在が完全に滅びてないし、分身まで残してるからやっぱりどちらが有利というわけでもないのかしら?』

 

 危険な世界なのでしょうか?

 

 『そうでもないわ。まあ、普通の人間にとっては危険かもしれないけど、あなたは魂の格が高いから魔力のキャパシティも高いだろうし、肉体もそれなりのスペックのものを用意するわ。それにあなたの知識にあった転生チート?っていうのかしら、なんか楽しそうだし、あたしの力の欠片をサービスであげちゃうわ』

 

 サービス満載ですね、とても有難いです。

 

 『そうでしょそうでしょ。じゃあ早速その世界に送るわね』

 

 ルシファー様がそう言うと金色に輝く体が更に激しく光輝き、その光に押し流される様に、自分の意識はこの空間に来て以来初めて失うのであった。

 




とりあえず、見切り発車の初投稿。
ちなみにプロットなんて作ってない勢いだけの小説です。


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