鉄血のオルフェンズ 悪魔と堕天使   作:魔女っ子アルト姫

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新生



第37話

戦闘開始から15分が経過しようとしている頃、新世代の暗闇団の旗艦となっている『黄金のジャスレイ号』には月々と凶報が舞い込んできている。

 

「ユーゴ第3小隊隊長機撃墜、戦線を離脱!」

「百錬4、6番機戦闘不能!!撤退します!!」

「カス共が……!!!」

 

旗艦に据えられているジャスレイの艦には戦闘状況の全てが入ってくるが次々に入ってくるのは凶報ばかり、次々と落とされ戦線から離れていく報告や撃墜報告、補給の要請などが鳴り止まない。新世代の暗闇団は数こそ27隻という大艦隊だがその殆どは生きて行く為に致し方なく手を結んだ別々の組織の混成軍である為に統率などが取れる訳もなくバラバラに判断して行動をし続けている。それぞれが海賊として名を上げて来た者ばかりというのが逆に仇となり被害に歯止めが利かない状況が続き続けている。

 

「叔父貴、援軍要請がまた来てやがる!!」

「クソ共が……何の為にゲシュペンストを渡したと思ってやがんだ!!!」

 

怒りのままに拳を振り下ろすが状況は変わらない、鉄華団にタービンズそしてアサルトウルフズは全く勢いを止めずに自分の喉笛を噛み千切ろうと迫り続けてくる。テイワズ内で戦闘能力の三強と言われる組織が手を取り合って自分達を討伐しようとしている、そしてそこに加わっているアリアンロッドの艦隊。悪い夢でも見せられているかのような感覚に陥りそうだ。

 

「各艦に通達しろ、ヒューマン・デブリ共を投入しろ!!こっちの方が数では勝ってるんだ押し潰させろ!!」

 

 

「そろそろ、向こうも焦ってくる頃じゃないかしら。そろそろ子供達を使ってくる筈よ」

「だな。頃合いって奴だな」

 

イサリビのブリッジにて戦局を見守っているオルガの隣でパイロットスーツのエクセレンが言葉を零した。向こうからしたら数で有利な筈なのに有利な所が劣勢な状況を覆したいだろう、その為に阿頼耶識搭載型のMSを大量投入してくるだろう。自分達は阿頼耶識の対応には慣れているし化け物的な能力を持っている三日月との模擬戦を重ねている事で対阿頼耶識戦は問題ないがアリアンロッドからしたら大量に迫ってくる阿頼耶識は厄介な事極まりないだろう。

 

「アリアンロッド艦隊に連絡、予定通りにMSは3機構成の小隊運用を基本に。そこをゲシュペンストや獅電が入らせろ!」

『此方アリアンロッド了解した、小隊運用を徹底させる』

「頼む。被害拡大を防ぐにはそうするのが一番だからな」

 

連絡を徹底させながらエクセレンはそろそろ自分もでるべきだと思いブリッジを後にする、通路では補給の為に戻ってきているパイロット達に食べさせる食事を持っていくクルーや補給が終わった事を確認して機体に向かっていくパイロット達が視界に入っていく、彼らの傍を通りながらヴァイスの元へと辿り着いたエクセレンは即座に機体の立ち上げを開始する。

 

「新生ヴァイスちゃんのお披露目って奴ね、うーん堪らないわね~♪」

 

MA戦にて大破してしまったヴァイス、歳星によってMAのパーツや新造の『TD』などによって最早新しい期待へと生まれ変わっている。今までは堕天使という言葉が似合う姿をしていたが今では悪魔と化した天使と言われるようになっている。そんなヴァイスは機嫌良さそうに機関を起動させると今すぐに叩かせろを言わんばかりに出力を上げていく。

 

『エクセレンさん出撃準備完了、何時でもどうぞ!!』

「エクセレン・ブロウニング。ライン・ヴァイスリッターちゃん出撃するわよ!」

 

射出され暗黒の海へと解き放たれたヴァイスは悪魔の如き翼を広げると、一気に出力を高めると閃光の如き速度で戦場を駆け抜けていく。以前のヴァイスであれば限界であった筈の速度をあっさりと越えていくがまだまだ速度は上がっていく。

 

「くぅぅぅっこれは、想像以上ね!!」

 

白い閃光となって突き進んでいくヴァイスの前に数機のMSが躍り出る、急激な速度で接近して来るヴァイスを食い止める為に迫ってきたのだろうがそれを見て無意識なうちに唇を舐めた。

 

「行かせるなぁぁぁっ!!」

「止まれえええ!!」

 

罵声を飛ばしながらライフルを乱射して此方を捉えようとして来る、しかしそれは超高速移動を行っているヴァイスに掠る事もない。銃口を向け引き金を引き弾丸が発射されるまでの短い間にヴァイスはその射線上から姿を消している、捉えたかと思えばそれは残像であり攻撃を全く与える事が出来ない。

 

「こ、攻撃!?何処から……があっ!!?」

 

刹那、周囲から襲い掛かってくる弾丸がライフルを抉った。ライフルを手放すが直後に腕の関節に閃光が突進し穿ち腕を爆炎に飲み込んだ。周囲を警戒しつつ全速力で逃げ去ろうとするがその初動すら今のヴァイスにとっては隙だらけでしかなく手にしたライフルから放たれるビームは無慈悲にスラスター、メインカメラに関節といった急所を打ち抜いていき戦闘能力を奪い去って行く。

 

「し、白い閃光……!!」

 

気を失いかけたパイロットが最後に見たのは僅かに動きを止めた白騎士が瞬時に速度を上げて閃光となって去って行く姿であった。その白騎士の内部ではエクセレンも今までとは段違いの性能となったのに驚きを感じずに入られなかった。

 

「凄いわね新しいヴァイスちゃん……ムフフフ……さあ、暴れるわよぉぉお!!!!」




イオク「次回、鉄血のオルフェンズ 悪魔と堕天使 2nd Season

手向けの花


ジュリエッタ、お前本当に私を蔑ろにしすぎだぞ!?

えっ何、わ、私の食事抜き!?何だとぉぉ!!?」

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