鉄血のオルフェンズ 悪魔と堕天使   作:魔女っ子アルト姫

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目指していた場所





第30話

『にしてもまあ随分と派手にいったねぇ、エクセレンさん?』

「あ~はははっ……いやぁその…やっちゃいました☆」

 

歳星へと繋がった通信、ヴァイスにバルバトス、そしてアルトを送り出してある程度経った頃。漸くMAによって出来た傷跡が塞がり通常業務に戻れてきた鉄華団。歳星にて改修を始めたという連絡をしてきた整備長は漸く全面的に弄れるヴァイスに興奮しつつも怪しげな瞳をエクセレンに投げかけていた。

 

『MAでの戦いで確かギャラルホルンの人間を庇ったとか言ってたねぇ。それで鉄華団の皆荒れただろう?こっちにも話は来てるよ、鉄華団の皆が火星支部に殴りこみをかけそうになったのをオルガ団長とビスケット補佐と一緒に必死になって止めたって』

「私ってば罪な女よね、大人気過ぎてギャラルホルンを滅ぼそう!って事になってたから……バルバトスとかがあったら本気で殴りこみに行ってたでしょうね」

『そうそうそのバルバトスの件でね、これを見てくれるかい?』

 

そう言いながら出力されたのは改修終了予定のバルバトスの姿とそのデータであった。それを見た瞬間、思わず目を丸くした。

 

「……えっ」

『いやぁ私渾身の設計だよ!!残されていた三日月のデータを最大限に発揮するようになるにはこれが一番効率的なんだよ!』

「いやだからってこれは……凄すぎない?ご立派なモノっていうレベルを超えてるわよこれ」

 

流石のエクセレンも若干引き気味になる完成した姿をしているバルバトス、一般的なMSからすると正に異形の悪魔といえる。ルプスのスマートなシルエットは一体何処に行ったのだろうと言えるほどにビルドアップしている上に背中には翼のようなものまで背負っている。バルバトスを更にマッシブにしてヴァイスの翼を足してみましたっと言えばいいのだろうか……。

 

「何を如何したらこうなったの?」

『バルバトスを全体的にビルドアップして私のやりたい事、主にMAの要素を盛って見たらこうなった』

「わぁお完全に趣味の領域だわぁ♪って私のヴァイスちゃんとキョウスケのアルトちゃんも!?」

『勿論!!』

 

力強い返答共に現在改修中のアルトのデータが出力された。元々頭がおかしい凄まじい突貫力を持つアルトアイゼンであったが、今回のハシュマルの戦闘でアルトはもっと上へと登る事が出来ると確信出来たキョウスケが更なる強化改修案を提出しそれを整備長が一応否定しつつも同様のコンセプトで改修したものである。

 

「因みにキョウスケが出した改修案って?」

『色々書いてあったけど、簡単に纏めると

武器を大きくすれば強い

装甲を厚くすれば硬い

ブースターを増やせば速い

だったね。全く子供のような発想だったよ、まっ私も同じコンセプトでそれを実行したけどね』

「えっ」

 

ハッキリ言ってキョウスケが提出したもののよりも酷い事になったらしいがキョウスケ自信は酷く満足げにこのまま進めて欲しいと笑顔で行っていたらしい。

 

続いてヴァイスのデータも出力されたがそれを見た瞬間エクセレンは硬直した。全身にハシュマルに付いていた赤い宝玉のようなものが設置され、各部の装甲の隙間からは緑色の蔦のようなケーブルが見え隠れしている。ヴァイスもやや以前よりもガッシリとするようになって居るがそれ以上に目を引くには悪魔じみている4枚の翼であった。

 

「………(絶句)」

『ふふん如何だい!?ハッキリいってバルバトスの改修よりも手を入れたからね!!MAから解析した厄祭戦時の技術をふんだんに盛り込んだこのヴァイス!!恐らく最早君にしか扱え切れない代物となっているよ!!』

「わ、私のヴァイスちゃんが……小悪魔になってるぅぅぅ!!!??」

『いやいや白銀の堕天使が何を言うんだい』

 

そんなこんなもあってそのまま改修が進められる事になったヴァイス達を引き続き整備長に頼むと何処か疲れたのかエクセレンは外に空気を吸いに行く事に決めた。既に日も落ちて夜空が広がっている火星の空、ひんやりとした空気が身体に当たりながら深呼吸をする。そんな自分に後ろからジャケットがかけられた。振り向くそこにはキョウスケが立っていた。

 

「あら、紳士的ね」

「怪我は、もういいみたいだな」

「もう大丈夫よ、骨だってちゃんと戻ってるし」

「そうか」

 

無愛想に何時もどおりの鉄仮面ぶりを披露するキョウスケにエクセレンは何処か違和感を感じた。確かに無口で表情変化が少ないが彼は静かに燃える熱血漢、なのに今の彼は何処か落ち込んでいるように見える。気のせいではない、確かにそうなっている。

 

「すまない、俺がお前をフォローすると言っておきながらあのような事に……」

「何まだ気にしてるの?キョウスケが悪い訳じゃ無いでしょ、元は私が無理言って出たせいよ」

「……」

 

如何にも納得してなさそうにする彼にエクセレンは寄り添うように身体を預ける。いつもは皆に身体を預けられる側だったエクセレンとしては始めての事だった。

 

「う~んいいわね~偶には誰かに甘えなくちゃ」

「……」

「悪いと思ってるならさ、これからも宜しくね」

「……ああ」

 

そのまま二人の大人の夜は更けて行く、静かだが何処か熱い夜は……。

 

 

「月外縁軌道統制統合艦隊司令官、ラスタル・エリオンだ」

「鉄華団団長、オルガ・イツカ」

 

そして、事態は大きく変わろうとしていた。




ハッシュ「次回、鉄血のオルフェンズ 悪魔と堕天使 2nd Season

望んだ居場所


三日月さん、お茶持ってきます。

あっそれと今日はケバブらしいですけど、三日月さんもヨーグルト試しません?」

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