鉄血のオルフェンズ 悪魔と堕天使   作:魔女っ子アルト姫

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鉄華団



第20話

地上では巨人が軽い身のこなしで弾頭を避け一閃を受け流しカウンターの一撃を振りかざす、それを焼き直しという名を持った家族の為に戦う悪魔が受け止めた。鈍くも甲高い金属音が響く中、巨人の力に思わずおどきつつも必死に食いしばる。それでも巨人の想像以上の力に舌打ちと怖気が止まらない。

 

「こいつなんて馬鹿力だっ……!!」

 

昭弘の駆るガンダム・グシオンリベイクは現行の他のフレームタイプMSとは違ったエイハブ・リアクターを2基並列稼働によって他とは一線を画した出力によるパワーを発揮出来るのにそれでも互角並の馬鹿力に驚愕を禁じえなかった。

 

「昭弘どけっ!!」

「シノッ!!」

 

リベイクの背後から飛び出した流星号はボディプレスを仕掛けるように飛びかかった、横っ飛びをするような体勢のまま通常のグレイズリッターよりも二回りは巨大な機体。グレイズリッターベルセルクの頭部を捉えるかのような斧が振るわれたがその頭部の一部が上下に開閉するとそのまま斧を受け止めるかのように閉ざされた。まるで生物の口のように。

 

「なっ!?」

『無駄だ、私はカルタ様の為にこの身を悪魔に捧げ狂戦士となる事を誓ったのだ!!例え野蛮だと蔑まされようと私はお前達を倒し、カルタ様の栄誉を守り続けるのだぁっ!!』

「くそっ!!」

 

斧から手を離しつつ頭部を足蹴りして離れる流星号を援護するようにリベイクはサブアームを展開し4本の腕でベルセルクの両腕両足を拘束した。出力を最大にしながら全力の力で持って動きを封じようとする、それを好機と見てホーク、イーグル、漏影が近接戦闘を仕掛けようと一斉に武器を持って襲い掛かる。幾らあの巨体でもリベイクの馬鹿力で抑え込まれては動けまいという判断からだったが甘かった。

 

『舐めるなぁぁぁぁっっっ!!!!!』

 

ベルセルクの背中のユニットから異形の物が姿を現した、それは機械の腕、新たな腕であった。4本の腕が展開しクランク達を同時に殴りつけたのだ。それを見た昭弘は此方に超反応して殴りかかろうとするベルセルクから離れるためにサブアーム一本を犠牲にしながら後退したが今のあの姿は完全に異形の物、ベルセルクの奥の手とも言えるサブアームを搭載したユニット。それを展開した姿は正しく阿修羅。

 

「とっつぁんたちは射撃重視で頼む!!ありゃ阿頼耶識じゃねえと捌き切れねぇ!!昭弘まだいけるか!?」

「ああっまだサブアームが一本逝っただけだ!まだ行ける!!」

 

それを聞いてシノは少し安心した、あの六本腕に対抗するのは間違いなく自分と昭弘だけなのだから。三日月はキマリスを抑えてくれている、エクセレンの話ではあれもバルバトスやグシオンと同じガンダムらしい。なら今はそれに集中していて貰おう、それが一番だ。あれまで混ざっての乱戦なんて勘弁、そして今頭上では自分達以上に辛い戦いを強いられている姉がいる。そんな姉に負けないように自分達も気張られけばならない。

 

「おい昭弘、姉さんに良い所見せてやろうぜ!俺達は姉さんの扱かれた鉄華団、こんな奴なんか負ける訳がねえ!!」

「当たり前だ誰に行ってやがる!!」

「へへっだな!んじゃ」

「「行くぜオラアァァァァァアアアアア!!!!!!」」

 

 

「くっこいつっ!!!」

「今度こそ、お前が俺が倒す!!宇宙ネズミィィィッッ!!!」

 

短い距離でも上手く加速しつつスピードを生み出して槍の威力に上乗せしてくるキマリスにバルバトスはやや苦戦を強いられていた。今までの時よりもガンガン攻めてくるようになった上に今までとは全く違ったキマリスに三日月は戦いづらさを覚えていた。脚部が変形し騎馬のような形に変化しキマリスは常にホバーしながら襲ってくる。常に浮遊しているため受けた攻撃の衝撃を受け流しバルバトスのメイスの一撃を上手く殺していた。

 

「貴様らのような紛い物の阿頼耶識とは違った真の阿頼耶識となったカルタの部下達、俺もお前を討ちカルタの仇を討たせてもらう!!」

「知らないなそんな事」

 

嘗て奪われた槍の代わりに携えた巨大な槍、デストロイヤーランスを構えて突撃するキマリスに対抗するように同じく超重量級のメイスを構えたバルバトスは『TD』によって完璧な飛行を可能とした事を活かして機体を浮き上がらせてメイスを持ったままハンマー投げを行うかのように勢いよく回転し始めた。

 

「おおおおっっっ!!!」

「ふっ!!」

 

最高速に達したキマリス、クリンヒットすれば例えガンダム・フレームだろうと一溜まりも無い一撃を回転しながらギリギリの所で回避しながら回転の勢いが乗った一撃をキマリス目掛けて全力で振りぬいた。それをシールドで防御しようとするキマリスだが『TD』によって生まれた回転による一撃はシールドを一撃で粉砕しながらキマリスを吹き飛ばした。必死に機体を制御して倒れこむのを防ぐガエリオ、騎兵(トルーパー)形態だったのが功を奏したようだ。だがさらに追い討ちをかけるかのように投擲されたメイスが機体を後ろ倒しにしてしまった。流石の騎兵形態でもそれなりの質量が勢いよく飛んできてぶつかった場合受け止めきれない。

 

「今っ……!!」

 

三日月は倒れ込んだキマリスに構う事無くリベイクや流星号に襲い掛かっているベルセルクへと向かっていく、キマリスに相手をしている暇など無いと言わんばかりの行動。それを支援するかのように一機のMSがバルバトスと後退するかのようにキマリスの前に立ち塞がり、そのままその動きを拘束した。

 

「昭弘、シノっ!」

「三日月!?」

 

背後から迫ったバルバトスは最大出力で突入しながら太刀を構えてベルセルクの阿修羅の如き腕の2本を串刺しにしながら突進をかました。

 

『ぐぅぅぅぅ!!貴様、カルタ様を討った憎き悪魔か!!!!』

「誰そいつ」

『貴様ぁぁぁぁカルタ様を、カルタ様を侮辱するなぁぁぁぁっっ!!!!』

 

背中越しに刺さった太刀など気にも止めずにバルバトスを引き剥がそうと跳躍するとそのまま背中を地面に叩きつけようとしたが太刀を素早く引き抜いたバルバトスは脱出しベルセルクは一人で背中を強打しながら再び立ち上がった。

 

「昭弘にシノ、行ける?」

「ああ大分あいつの動きには慣れてきたぜ!あいつ、動きが硬いから行けるぜ!」

「ああ。今度こそあいつを仕留める!!」

「だが今度は俺達も接近戦を仕掛けさせてもらうぞ」

 

バルバトス、リベイク、流星号と並び立つようにホーク、イーグル、漏影が立った。その手には近接武器を手にし三日月達と同じ立場で戦うという覚悟を示しながら。

 

「あんた達だけに美味しい所なんで上げないからね!」

「他のグレイズも片付けた、後はこいつらだけ…連携してやるよ!」

「アイン覚悟はいいな、阿頼耶識だとしても負けないところを見せてやるんだ!」

「はい!!アイン・ダルトンとして鉄華団の剣の一本として輝きを見せてやります!」

「へっおい昭弘に三日月、俺達って姉さんやとっつぁんにアインさん、ラフタさんにアジーさん、良い大人ばっかりに恵まれてるな!」

「だな、さあ終わらせようぜ!!」

「うん、皆行こう」

 

 

ベルセルクへと一斉に襲い掛かるMS隊、連携し異形のグレイズへと向かっていく。

 

その上空では同じように激しい戦いが繰り広げられていた。それも同系の機体とたった一人、孤独な戦いを強いられているモノが。

 

「あんなに巨大なのに何でなんてスピード……!!」

『堕天使、貴様は私がこの手で裁いてやるぅぅぅぅ!!!!』

 

ベルセルクと同型の機体、グレイズリッタージョーカー。両腕や肩に搭載されている多数の火砲による圧倒的な火力とその巨大でありながらヴァイスに迫るような速度を発揮する異常な敵に相手にエクセレンは立った一人でそれを抑えこんでいた。こんな力を秘めている敵を既に一機相手取っている三日月達に向かわせれば確実に大きな被害出る、弟達にはこれ以上負担をかけられない。ならば自分がその負担を追うしかないとヴァイスでタイマンを張っていた。

 

『堕天使ぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!』

「そんな激しいラブコールなんて欲しくないんだけどねぇ!!」

 

圧倒的な加速を見せながら突撃してくるジョーカーに対して小回りを利かせながら背後を取ってオクスタンランチャーを乱射するエクセレン。普段の精密射撃をしている暇が無い、兎に角相手の機を引きつつ相手を仕留める気でやらなければならない。BとE、二つのモードを扱いながら相手の火砲に狙いを絞って行くが阿頼耶識特有の人間のような動きで回避して行く。本来人間には無い火砲すら自分の一部として感じているかのような動きに気持ち悪さすら覚える。

 

「それならこれならどうかしら!?Eモードマキシマムチャージ、シュートォ!!!」

 

直線的な機動に限定すればヴァイスすら凌駕する速度で迫ってくるジョーカー、だがただ直線的な動きに加えて阿頼耶識の人間的な動きがリズムを狂わせ予想外な運動性能を生み出している。やり難そうにしながらある意味奥の手を発動する、迫ってくるジョーカーへと向けたランチャー。引き金を引くとEモードのビームが発射されジョーカーを狙うがそれをアクロバティックな動きで回避して行く、しかしランチャーからはそのままビームが放たれ続けていた。

 

「まだまだぁぁぁっっ!!!」

 

コクピットにはランチャー内の温度が急上昇している事を知らせるアラートが鳴り響くがそれを強引に機体ごと動かすように銃身を動かすとビームが撓るように動き回避したはずのジョーカーを飲み込んだ。機体にはナノラミネートアーマーが施されているジョーカーにはダメージらしいダメージは無いなんて事は無い。火砲などにはアーマーは施されていない、故にビームの干渉を受けて爆発を起こして破壊されていきあれだけあった圧倒的なジョーカーの火力を激減させる事に成功した。

 

『貴様ぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!』

「えっうっそぉ!?」

 

ジョーカーは怨嗟の叫びを撒き散らしながら狂ったかのように超スピードを発揮しながら接近して来た。先程とは比べ物にならない速度、鬼神のような動きをするジョーカーが迫る。だがヴァイスはEモードのマキシマムチャージを行って影響で一時的な出力不足に陥ってしまい動きが鈍った。そこを付け狙われヴァイスの胸部へとジョーカーの拳が炸裂した。

 

「きゃああっっ!!!」

 

ヴァイスの胸部は一瞬で剥ぎとられてしまった、コクピットにまで達した一撃は正面のモニターを割りコクピットハッチを抉った。それでバランスを崩して落下して行くヴァイス、必死に機体を制御しなんとか墜落だけは避けるが抉られた装甲の隙間からは映像ではなく実際の景色が見えている。そしてあのグレイズも。まだ、この子(ヴァイス)も自分も戦える。なら精一杯やるしかない!

 

「行くわよヴァイスちゃん!!私達の全力全開を、あのこんちきしょうに見せ付けるのよ!!」

 

長年連れ添った相棒に声を掛ける、同時にその瞳が翠に輝くと出力を上げてヴァイスはジョーカーに突撃して行く。切れ目から入り込んでくる風の重圧が操作を鈍らせる、そんな彼女を気遣うように緊急用ハッチが作動し風を遮りつつ予備のモニターが灯った。まだまだヴァイスも死んではいない、行けると確信した。

 

『まだ足掻くか!!ならこれで終わりだぁぁぁっっ!!!!』

 

まだ向かってくる堕天使に腹を立てたのかジョーカーか肩と胸部装甲を開放した。そこからは無数の弾丸が射出されていく。ジョーカー最大の火力を誇る前面集中射撃形態、鉛弾の雨、それでもヴァイスは進み続ける。肩、脚部に被弾しても止まる事は無い。そして頭部の半分を吹き飛ばし瞳の光が露出するように見えても、止まらない。

 

「そこよっ!!!」

 

此方を仕留めようと最大限の武装を展開したのが誤りだった。握り締めたレバーに力を込めるとビームと弾丸が同時に発射され胸部の発射口を潰した、装甲を展開した事でナノラミネートアーマーが機能しない内側を晒す事になっているそこを狙った。そしてナパーム弾をセットするとそのまま同じポイントを狙い討ち続けた、ナパームによってジョーカーは内部から焼かれていき苦悶の声が周囲から響いていく。

 

「オクスタンは槍って意味よ、それをその身で味わいなさい!!!」

 

最後に貫通弾をセットするとランチャーをそのまま焼け爛れボロボロとなったジョーカーの胸部へと押し付けた、銃口は機体の内部に潜り込みコクピットの目の前で静止した。だがそこから連続的に特殊貫通弾が連射されていき機体を穿った。自らの身体を悪魔に売り渡した忠義の塊とも言えるカルタの部下を屠りながら、ジョーカーは沈黙し落下し動かなくなった。

 

 

『っジョ、ジョーカーまさかおまえっ!!?』

「隙が出来た、今よ!!」

「喰らえっっっ!!!」

 

ジョーカーが落とされた事で動きが止まったベルセルク、そこへ所持してバズーカを打ち込みラフタとアジー。動きを止めた事、そして阿頼耶識という考えその物が機体に連動するシステムの影響で動揺が諸に機体に反映され完全に静止したベルセルクへと弾丸が炸裂する。

 

『グググッ!!!貴様らぁぁっ!!!』

「どこを、見ているぅぅ!!!!」

 

頭上からアインが飛びかかるとイーグルの脚部を両肩へと食い込ませると更に自分へと伸びてきた二本の腕を抑えこんだ。必死にアインを振り払おうとするがガッチリ両肩に食い込んだ脚は離れない。そしてそこへ追い討ちと言わんばかりにホークが最後の武装であるバスターブレードを残った片腕で保持しながらベルセルクの右足へと突き刺した。

 

『がああああ!!!貴様ぁぁぁっ!!!』

 

怒り狂ったベルセルクは器用に肘から先を動かしてホークの頭部へと腕についていたパイルバンカーを打ち込んだ。それは僅かにコクピットをかすめクランクの直ぐ傍を杭が襲い掛かり、その際の爆発でクランクは頭部から血を流した。

 

「とっつぁん!!」

「私など気にするな!!三日月今だっっ!!!!」

「うん、ありがとうっ!!!」

 

十分に距離をとったバルバトスは一気に加速して手に持った太刀をそのままホークの肩へと突き刺しそのまま装甲を貫くとベルセルクの腹部へとブチ当てた。クランクは残った最後の腕をパージするとそのまま後退するがベルセルクはその一撃によって動きが鈍った。

 

「シノ!昭弘!」

「喰らえぇぇぇアルティメットスーパー流星キィィィイイイクッッ!!!」

 

バルバトスの背後から流星号が躍り出た、跳躍しながらベルセルクの頭部へと渾身の蹴りを命中させ頭部を抉りそのまま破壊した。そしてベルセルクの背後に落ちた流星号はまだ終わらずクランクの一撃によって最早片足でバランスを取っているベルセルクに残された左足へと蹴りを入れた、それによって身体を上へと反らせたベルセルクへと

 

「喰らええええええええええええ!!!!!!!!」

 

リベイク渾身の右ストレートが炸裂した、その一撃は装甲を歪めコクピットを露出させる一撃となった。そしてそのまま吹き飛ばされようとしたベルセルクへと太刀を引き抜いたバルバトスが真一文字に全力で振るった。今まで太刀を突きさすなどの方法でしか使った事の無い三日月にとってそれは無意識のうちに取った行動だった。バルバトスがこうするのが一番だと教えてくれたかのような感覚、その一閃はベルセルクのコクピットを破壊しそのままベルセルクの機能を完全に停止させ沈黙させた。

 

「終わったのかな……?」

「あ、ああ終わった……」

「やったぜ……」

 

それと同時にMS全機へと通信が舞い込んできた、それはオルガからの物だった。クーデリアと蒔苗を無事に送り届けたという物、それが示すものは鉄華団の仕事の終わりとこの戦いの勝利であった。終わった戦い、それによって齎された勝利と仕事の成功に鉄華団は歓喜の声を上げた。蒔苗はアーブラウの代表に返り咲きクーデリアとの交渉にあったハーフメタルの事を実現させようとクーデリアと握手をした。

 

そして数日後……

 

「ほらほら急いで~明日には火星に向けて出発するんだから。早くしないと置いて行かれるわよ~」

『ウィ~ス!!』

 

地球での仕事も終わり、いよいよ鉄華団は火星へと帰る為にアーブラウの宇宙港へと荷物を運び込み準備を行っていた。長くはいなかったが本当にこの地球での時間は印象に残っていた、これから鉄華団の名は大きく知れ渡っていく事だろう。それがどんな事態になるのかは分からない。だけど鉄華団は必死に生きていくだろうそれは間違い無い。

 

「姉さん何やってんだよ、休んでろっつったろ」

「え~でも」

「いいから指揮は俺がやるから!!」

 

オルガにどやされて準備指揮から降ろされて文句を言うエクセレンだがそれは皆からも同意見だった。あの阿頼耶識対応型のMS、三日月達とは違ってたった一人で倒しただけではなく一歩間違えれば死んでいた所まで追い込まれていたエクセレンには確りと休んでいて欲しかった、それが鉄華団の総意だった。有難いような複雑な気持ちを引きずりながら宿舎に戻ろうとすると三日月がアトラとクーデリアにサンドされて頭を撫でられていた。

 

「何これ……?」

「えへへっ頑張った三日月へのプレゼント!」

「えっと……はい、激励も込めてです」

「だったらギュウ~としてあげたらいいんじゃないかしら♪」

 

とニヤ付いた笑みを浮かべたエクセレンが登場するとアトラとクーデリアは素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。

 

「エ、エクセレンさん!?」

「エクセ姉様何を!?」

「三日月、ギュウ~の方が良いわよね~」

「うんそうだね」

「「えっ!?」」

「ふふふじゃあ後はお楽しみに~」

 

そう言って厄介事の種だけを残して宿舎へと入ったエクセレンはとある一室へと入った、そこには一人の男がベットに横になっていた。

 

「具合はどうかしら?もう平気?」

「……」

 

男は口を閉ざしたまま何も言わない、口も利きたくないというのが見えているようだ。それもそうだ、本来彼は此処にいるのも可笑しい筈の人間なのだから。そこにいたのは友に裏切られ、絶望を知った青年、ガエリオであった。エクセレンはオルガの勝利の通信を聞きながらボロボロになったキマリスを発見し回収、ガエリオを手当てし此処に寝かせていた。機体の方は何処からか現れた一人の男、ダンディな髭を蓄えたおじ様が一時的に預かっている。

 

「何故、俺を助けたんだ……?」

「怪我人を助けるのに理由が必要なの?」

「俺はお前達の敵で何度もお前達を襲ったんだぞ」

「だから?私は敵だったヒューマン・デブリの子達を弟として迎え入れる位の女よ、敵だった怪我人を手当てするぐらい当たり前よ」

 

然も当然のように語るエクセレンにガエリオはやや呆気に取られた、今まで会った事の無いタイプの女性だと思いつつも治療してくれた事に感謝しつつ初めて顔を合わせた。

 

「俺は、ガエリオ。ガエリオ・ボードウィン……だが既に俺は死んだ身……俺はこれから如何するべきなんだろうな……」

「やりたいようにやってみたら?人間それが一番よ、私がそうなんだから間違い無いわ」

 

まさか即答されるとは思っていなかったガエリオはキョトンとすると次の瞬間には愉快そうに笑いを表した。

 

「そうか、したい事をか……有難う確かエクセレンと言ったな。感謝する」

「いいえ。このぐらい当たり前よ、あっこれ私の連絡先、貴方友達いないタイプでしょ?私がなって上げてもいいわよ?」

「これは新しい逆ナンパだな、それと俺にも友人ぐらいいる」

 

エクセレンはそのまま笑うと少しばかりガエリオと話してから部屋を後にした。なんだか彼は大成するようなきがする、気紛れで助けたようなものだがこれがどうなるのか少し楽しみにも思える。そんな事を思っているとオルガが呼んでいると言われて表に出た。そこではバルバトスを前にしてオルガが鉄華団の皆を見下ろしていた。

 

「皆、今回の仕事良くやってくれた!鉄華団としての初仕事、お前らのお陰でやりきる事が出来た。だけどな、これからもまだまだ仕事を続けていく。俺達はもっともっと立派になる、そして今まで宇宙ネズミだとか馬鹿にしてきた大人を見返してやろうぜ!!けど、まあ次の仕事までには間がある。お前ら、成功祝いのボーナスはたんまり出すから期待しとけよ!!」

 

歓声が上がるとオルガはエクセレンと三日月の元へと歩いた。もう明日には地球を離れる、これから戻る火星、鉄華団の帰るべき場所。此処からがスタートライン、此処から本当の意味で鉄華団は始まる。

 

「なあミカ、姉さん。終わったな」

「うん」

「そうね」

これからどんな事があろうと彼らは前へと進み続けるだろう、頼りになる大人達の手を借りながら。それでも立派に前へと進んでいく、何れ手を借りずとも進める時が来るだろう。でも今は……一緒に進んでいける事に喜びを感じる。

 

「さあ帰ろうぜ」

「ええそうね、皆が待ってる物ね」

「うん―――火星に」




これにて一期完結ぅぅぅ!!!

此処まで見てくださってお疲れ様でした!!

いやぁ原作壊れまくってるなぁ最初から最後まで!!本当にこれどうすれば良いんだよ。もう二期で出る重要な部分とか壊れてるぞ!?主に阿頼耶識システム Type-Eとかタービンズが壊滅しないとかケツアゴがいないとか。あれ、二期行けるの?

っつうかこれで二期書かないと駄目なの?えっマジで?ぶっちゃけ一期限定のつもりで此処まで派手に原作壊したんだけど。このまま二期……?えっ。

ハッキリ言うと二期はマジで未定なつもりだったんだけどなぁ……うーん……姉さんが暴れる事になるけど、書くか!!!





近日公開 鉄血のオルフェンズ 悪魔と堕天使

2nd Season

乞うご期待!!

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