最近二話連続投稿をしてきたんですが、プロットやストックがキツくなってきたので一話ずつにします。自分勝手な理由で申し訳ありませんが一話ずつにしないと私の書き手としての実力が間に合わなくなってしまいます。どうかご理解ください。
ブルワーズとの戦闘後新たなに仲間が増えた鉄華団、元ブルワーズの少年達は先程まで戦っていた筈の自分達をあっさりと受け入れ良くしてくれる鉄華団の皆に驚きつつも少しずつであるが馴染み始めていた。何より鉄華団とブルワーズではヒューマン・デブリという意味での差別はまるで無く一人の人間として扱ってもらえることが大きかった。もう此処から離れたくないという意味で必死に仕事を覚えたり馴染もうとしている子が大多数であった。
「アストン君、そろそろ区切りを付けて休憩に入ろう」
「分かりました班長」
「う、うむ」
「デルマ、ここはこうやってやるんだ。まだ慣れていないんだから時間は掛かってもいい、最初は丁寧にやり遂げる事を優先するんだ」
「わ、分かりました」
新入団員は基本的に整備班に入って貰いクランクやアインといった大人達の元で仕事を覚える事になりしっかりと仕事に励んでもらえている。中々仕事の出来前と覚えがいいので教え甲斐があると二人からの評価も上場で鉄華団としても素晴らしい人材補強が出来て嬉しい限りである。そんな風景を眺めつつ三日月と共にバルバトスのシステムチェックを行っているエクセレンは笑みを浮かべていた。
「いいわね~こういう風景って癒されるわ~」
「そういう物なの?」
「そういう物なのよ~、お姉さんにとっては最高ね」
デブリ帯を突破する事約二日、クーデリアからの依頼を果たす為に地球へと向かう鉄華団だがその前に歳星で依頼された行く途中のドルトコロニー群へと荷物を運ぶ仕事をする事になっている。その事に付いてはクーデリアは勿論納得しており了解も取れている。新入団員の皆にはそこで一旦タービンズが手配した迎えの船に乗船して貰い、火星の本部に移動してもらいそこで働いてもらう事になっている。それまでの間だけでも確りと仕事を覚えて欲しいという事で始めた事だが上手く行っているようで何よりだ。
「どうかしら『TD』を搭載したバルバトスは?」
「扱い易いよ、それなのに前より燃費も出力も上がってて強くなってる」
「流石パパ特製の推進装置ね」
三日月によればデブリ帯での戦いではあの巨大なMSとかなり有利に戦えたとの事。そして後から分かった事だがあの機体の正体はバルバトスと同じくガンダム・フレームの一機である『ガンダム・グシオン』であることが明らかとなった。改めてリアクターの波形を確認してみた所リアクターを二基搭載したガンダムだと判明した。ブルワーズはその出力を活かしてあんな重装甲にしたのだろう。そしてグシオン以外の機体は全て売却しグシオンは一応鉄華団預かりとなり今はタービンズのドックで改装となっている。
「姉さん。これからコロニーって所に荷物届けに行くんだよね」
「んっ?ええそうよ、楽しみなの?」
「違う。その前に荷物の確認とかしなくていいの?前の戦闘で中身が壊れたり傷ついたりしてたら俺達が賠償金だっけ、それを払う事になるんじゃない?」
それを言われてエクセレンは思わず納得し確かにやって置くべきだと思った。三日月の直感的な考えは的を得ている、運搬中の荷物に何かあったら此方の責任問題となってしまう。確認はしておくべきだろう。
「ナイス助言よ三日月!ぎゅ~!!」
ご褒美と言わんばかりに三日月を抱きしめるとそのままテイワズのマークが付けられているコンテナへと向かっていくエクセレンと抱きしめられた際に感じた体温と感触に三日月は良く分からないがいい気分になっていた。そして何処か懐かしい感覚も同時に覚えていた。
「なんか気持ちよかったな……また、良い事を言ったらやってくれるのかな」
「成程な、そりゃ確認しておいた方が良いかもな。うし、ちょっと待ってろこっちの仕事を片付けたらやるからよ」
「頼むわよおやっさん」
一先ず雪之丞に話を通してコンテナを開ける事を許可して貰いつつ積荷が無事であることを願う。これで何かあったらこちら側が謝罪と金を支払う事になってしまう。それだけは避けたいと思いつつも雪之丞と共にコンテナの確認へと取り掛かる。
「うーんコンテナに見た感じでの異常はないわね。でも確かブルワーズとの戦いでどでかいの一発貰っちゃったのよね?」
「ああ。あのグシオンって野郎にな、あれは馬鹿げてるぜ。MSに400ミリの火砲が付いてんだからな」
「わぁおなんとそんなに立派なモノを付けてたの!?でも無茶するわね、400ミリって……大昔の戦艦じゃないんだから」
改めて聞くと本当に奇襲などに特化した機体だったと思い知らされる。逆に奇襲が成功したから良い物の失敗していたらグシオンの400ミリをまともにイサリビやハンマーヘッドが受け続けて危ない事になっていたかもしれない。その時はもう一撃撃とうとした際にクランクがグシオンを抑えている隙に三日月が到着しクランクとのコンビネーションでグシオンのコクピットを抉って勝利したとの事。
「んじゃコンテナの内部チェック始めんぞ」
「はいは~い、初仕事がコケちゃうなんて嫌だもんね」
雪之丞もエクセレンの言葉には納得し自分も気持ちよく仕事を終わらせたいという気持ちからコンテナを開ける、ドルトコロニー群のドルト2に届けてる手筈になっている荷物。恐らく工業資源だろうと二人は聞いておりそれだろうと思っていた、しかしそんな考えはコンテナを開けた直後に粉々に砕け散る事になった。そこにあったのは資源などではなく新型のアサルトライフルとその弾丸がぎっしりと詰め込まれていた。
「お、おい何だこりゃ……?」
「え、え~っと……もしかして開けるコンテナ間違えちゃった?」
「いやデータだとこいつは届ける奴だぜ、だがこりゃ……」
「でもこれって……間違いなく銃よ、しかもかなり高性能な……」
その中の一つを手に取り構える、何かの間違いではない手に触れる感触と腕に伝わってくる重みは間違いなく銃器の物。これを自分達が届ける荷物……?
「す、直ぐにオルガと色男さんに連絡よ!!」
『おいおいそりゃマジか?』
「私がこんな悪趣味な冗談を言う悪女さんに見えるかしら?私だって言いたくはないわよ……」
ブリッジにて事のあらましをオルガに名瀬へと報告するエクセレン、その表情は暗かった。同時にドックから映像が送られてくると名瀬も参ったと言わんばかりに顔を歪めた。整備班全員でチェックして見た所テイワズから受け取った荷物には大量のライフルに弾薬、極め付けに戦闘用のMWまでも揃っていた。明らかに何か届け先を間違っているか、あっていたとしても何かやばい事をしでかそうとしているようにしか思えない。
「兄貴、ドルトってコロニーは今なんか大変な事になってるんですか?」
『そう言えば労働者が会社に対して待遇改善を訴えるデモを行ってるって話を噂で聞いた事があるな……おいまさか……』
「悪い予感って当たる物ね……メリビットさん、今回の仕事の依頼先は分かる?」
「はい少し待ってください……出ました。GNトレーディングという会社ですね」
GNトレーディングという会社自体には名瀬もよく知らないらしいが兎に角あの武器類がドルトへと運ばれるように仕組み、恐らくだがそのデモに使用される筈だったのは分かりきっている事だった。問題はここからどうするかという事だった、このまま正直荷物を届けてしまって良い物かと迷っていると名瀬が不愉快そうに顔を歪めた。
『分かったぜそういう事かよ……ギャラルホルンだな、間違い無い』
「どういうことですか兄貴?」
『簡単なことだ、奴らは労働者に武器を与えるフリをしてそこを取り押さえて労働者を鎮圧するつもりだろう。後はお得意の情報操作と武力による制圧という名の虐殺で見せしめとしてドルトを取り締まる気だ』
未然に暴発するように仕向けてそれをする直前に纏めて始末する事で均衡を保つ、マッチポンプをやろうとしているという事だった。その為にテイワズも鉄華団も利用されていると言う事になる、ハッキリいって面白くはない。
『そうだな……いい事思い付いたぜ、なぁ兄弟。それ俺も噛ませて貰ってもいいか?』
「そりゃ勿論いいですけど……兄貴何をする気なんですか?」
『何、世界を支配している気の奴らに一泡吹かせてやるのさ』
名瀬の何処か不敵だが頼り気のある表情に皆は顔を見合わせたり首を傾げたりしているがきっと名瀬の考えなのだから何かあるのだろうと思い次に口が開かれるのを静かに待つのであった。
「私はドルト2の労働者組合の代表をしておりますナボナ・ミンゴと申します。今回はよろしくお願いいたします」
「鉄華団団長、オルガ・イツカ」
「タービンズ代表の名瀬・タービンだ。さあナボナさんよ、希望を運んできたぜ」
オルガ「またすげえ事になってきたな、まあ今更だけどよ。
だけど今回の事はかなりの自信があるぜ、なんたって兄貴の発案だからな。
姉さんの発案も頼りに何だけどな……普段があれだからな
いざって時は少し不安になるんだよな……。
もうちょい、緊張感って奴を持って欲しいぜ。
次回、鉄血のオルフェンズ 悪魔と堕天使