駄目神様にご注意を。 作:淋傘
前回からのあらすじ。気づいたら、神様がいました。……それだけ!?
「くじ引いたらお前だったから」
「………はい?」
今なんと言いましたでしょうか?
「だぁーかぁーらぁ!くじ引いたらお前が出たの!神導運命って出たんだよ!」
「待ってください!話が飛びすぎです!まず何故くじ?」
「しょうがねぇ……理解力が乏し過ぎるお前にも分かるよう簡単に説明してやろう」
「今の言葉に全力で反論したいところですが、まぁ説明どうぞ」
「じゃあお前はなにが聞きたい?質問してみろ。答えてやるから」
「え?えーと……それじゃあ……」
①この場所はなに?
②くじってなに?
③神様の手伝いとは一体?
④帰りたいです。
「帰りたいんですけど」
④択一だろう。それ以外に選ぶものがないよ。
「却下だ。他は?」
ですよねー。じゃあ順当に。
「ここはどこですか?」
「ここは俗に言う【神界】だ」
しんかい、神の世界で神界か……
「漫画とかでよくあんだろ?神界。それだよそれ」
身も蓋もないこと言われた!?
「この世には人間界と神界があってだな……お前が住んでんのが……ってもう説明しなくても分かんだろ?」
あれ?神様ってなんだっけ。
「……………さっき言っていたくじとはなんですか?」
第二。さっきの件はなかったことにしてください。
「俺は働きたくなかった!面倒だから!」
いきなりの神様ニート宣言だ。もう僕はついていけない。
「そこで考えた。暇な人間を一人、手伝いにさせちまえばいいんじゃねぇか、とな。Oh!ナイスアイディア!」
ナイスじゃない、それはバッドアイディアと言うんです。
「だが、その人間をどう決めよう……となった時。また閃いた!テキトーにくじで決めりゃあいいじゃねぇか、とな!!!」
「で?くじを引いたら僕になったと」
「そうだ!正解!」
「そうだ!じゃないよ……」
え?なに?僕はそれで呼ばれたの?マジですか?いやマジですよね。ここで実はドッキリでしたー!とか看板持った人が出てきたり……しませんよね。もうドッキリだったら手上げて喜んじゃうよ?
「次はなにが聞きたい?納得するまでは答えてやんよ」
何故日本語が通じるのか……は追求しないことにしよう。なんとなくだけどタブーな気がする。
そうなると残りの選択肢は1つ。
「神様の手伝いとは……なんでしょうか?」
「ん~っとな、一言で言うなら【全部】だ。そう【ALL】俺の仕事を全部やってくれ」
「それって、手伝いとは言わないのでは……?」
「こまけぇこたぁいいんだよ!」
うわぁー鬼だ、悪魔だよ!
「いや神様だ。みんなの憧れの」
「信じてたまるか!そもそもなんで神様が面倒だと思ったから、なんて理由で僕が全仕事を任されるんですか!世界のバランスが
「じゃあ運命くんも快くOKしてくれたので……」
「どこがですか!?今までの会話のどこをどう聞いたら快くOKなんて結果に行きつくんですか!わけがわからないよ!」
「もう!お前はなにが不満なんだ!」
「全部ですよ!ALL不満ですよ!この少しの間に溜まったストレスで爆発しそうなLvですよ!」
「ハッキリしない男はモテないぞー?」
「その妙に達観したウザい先輩みたいな言い方やめてください!」
「いや~、結局やってくれんの?ぶっちゃけさぁ、俺もう眠いんだよね~……」
「駄目人間じゃないですか!」
「いやだから、それを言うなら駄目神様だよ」
「……ドヤ顔で言われても……」
思わず溜息を吐く。溜息を吐くと、幸せが逃げるなんて聞いたことがあるけど、この状況以上に不幸なこともそうそうないだろう。幸せは追い詰められ、もう逃げ場がない。誰が追い詰めているのかはしらないけど、THE・ENDだよ。幸せも、ついでに僕の気分も。
「拒否権を「ない!」ですよねー」
せめて、最後まで言わせてほしかった……
「……やります」
「え?
ニヤニヤしながらお礼を言われると、こんなにイラツくものだったのかぁ。知らなかった、知りたくなかった。
「じゃあ、これな!」
「鍵……ですか?」
「そう、キーだ!」
「学校には今まで同様通っていい!」
「あ、そうなんですか」
学校はけっこう好きなので(勉強は除外するけど)それはよかった。
「学生の基本は勉学だからな!その辺はしっかりやらないと!」
凄い……まともなこと言ってる……この短時間の間に熱でも出したのだろうか。
「放課後は毎日来てくれよ!まぁもしサボっても強制的に呼ぶが」
拒否権って言葉は、いや違うかな?常識って言葉は神様には通じないようだ。
「ただし、神が人間を呼ぶのには条件があってな……寝てるときにしか呼べんわけだよ」
「へぇ、神様っていうのも万能じゃないんですね」
「できる奴もいるけどな。俺は無理なんだ」
「え?神様って一人、いや一神じゃないんですか?」
「お前常識的に考えて一人、いや一神で全てのこと管理できるわけがねーだろ!」
「ハハッ、それもそうですね。で、この鍵はなんですか?」
「あぁ、その鍵を人間界で持ってな、ここに来たいとイメージするとここ来れるから」
「へぇ……」
なかなかにハイテク。ここ来るのに毎回寝ろ、とかじゃなくて良かった。
……というかこの状況を受け入れて馴染んでしまっている自分が嫌だ。
「じゃ、頼むぜ~」
―――――チュンチュン、チュンチュン
鳥の声に目を開ける。
「知ってる天井だ……」
自分の部屋だった。いや当たり前なんだけど。
一瞬、今までのは夢か?なんて淡い期待をしたけども、その期待は右手の感触でぶち壊された。
「……鍵」
改めて見ると、歪な形をしている。こんなもので、本当に神界に行けるのだろうか?
「というか、疲れが全然とれてないんですけど……」
まるで今まで誰かと話していたかのような……いや話してたんだけど。せっかくいつもより早く寝たのに、感覚的には徹夜である。理不尽だ。
「ハァッ……って、もう7時50分じゃん!」
なんでこんな時間なのっ!?いや答えは出ている、神様の所為だ。
そんなことを思いながら、僕は制服のポケットに鍵を入れて走っていく。
これは、駄目な神様とか他のいろんな個性的メンバーに振り回される、不幸な少年の物語。
主人公、神導運命!よろしくお願いします!
感想とか待ってます!