駄目神様にご注意を。   作:淋傘

2 / 6
第二話です!


運命「なぜ主人公は面倒事に巻き込まれても平然と溶け込めるのか」

前回からのあらすじ。気づいたら、神様がいました。……それだけ!?

 

 

 

「くじ引いたらお前だったから」

 

 

「………はい?」

 

今なんと言いましたでしょうか?

 

「だぁーかぁーらぁ!くじ引いたらお前が出たの!神導運命って出たんだよ!」

 

「待ってください!話が飛びすぎです!まず何故くじ?」

 

「しょうがねぇ……理解力が乏し過ぎるお前にも分かるよう簡単に説明してやろう」

 

「今の言葉に全力で反論したいところですが、まぁ説明どうぞ」

 

「じゃあお前はなにが聞きたい?質問してみろ。答えてやるから」

 

「え?えーと……それじゃあ……」

 

①この場所はなに?

②くじってなに?

③神様の手伝いとは一体?

④帰りたいです。

 

「帰りたいんですけど」

 

④択一だろう。それ以外に選ぶものがないよ。

 

「却下だ。他は?」

 

ですよねー。じゃあ順当に。

 

「ここはどこですか?」

 

「ここは俗に言う【神界】だ」

 

しんかい、神の世界で神界か……

 

「漫画とかでよくあんだろ?神界。それだよそれ」

 

身も蓋もないこと言われた!?

 

「この世には人間界と神界があってだな……お前が住んでんのが……ってもう説明しなくても分かんだろ?」

 

あれ?神様ってなんだっけ。

 

「……………さっき言っていたくじとはなんですか?」

 

第二。さっきの件はなかったことにしてください。

 

「俺は働きたくなかった!面倒だから!」

 

いきなりの神様ニート宣言だ。もう僕はついていけない。

 

「そこで考えた。暇な人間を一人、手伝いにさせちまえばいいんじゃねぇか、とな。Oh!ナイスアイディア!」

 

ナイスじゃない、それはバッドアイディアと言うんです。

 

「だが、その人間をどう決めよう……となった時。また閃いた!テキトーにくじで決めりゃあいいじゃねぇか、とな!!!」

 

「で?くじを引いたら僕になったと」

 

「そうだ!正解!」

 

「そうだ!じゃないよ……」

 

え?なに?僕はそれで呼ばれたの?マジですか?いやマジですよね。ここで実はドッキリでしたー!とか看板持った人が出てきたり……しませんよね。もうドッキリだったら手上げて喜んじゃうよ?

 

「次はなにが聞きたい?納得するまでは答えてやんよ」

 

何故日本語が通じるのか……は追求しないことにしよう。なんとなくだけどタブーな気がする。

そうなると残りの選択肢は1つ。

 

「神様の手伝いとは……なんでしょうか?」

 

「ん~っとな、一言で言うなら【全部】だ。そう【ALL】俺の仕事を全部やってくれ」

 

「それって、手伝いとは言わないのでは……?」

 

「こまけぇこたぁいいんだよ!」

 

うわぁー鬼だ、悪魔だよ!

 

「いや神様だ。みんなの憧れの」

 

「信じてたまるか!そもそもなんで神様が面倒だと思ったから、なんて理由で僕が全仕事を任されるんですか!世界のバランスが崩壊(バスター)しますよ!?」

 

「じゃあ運命くんも快くOKしてくれたので……」

 

「どこがですか!?今までの会話のどこをどう聞いたら快くOKなんて結果に行きつくんですか!わけがわからないよ!」

 

「もう!お前はなにが不満なんだ!」

 

「全部ですよ!ALL不満ですよ!この少しの間に溜まったストレスで爆発しそうなLvですよ!」

 

「ハッキリしない男はモテないぞー?」

 

「その妙に達観したウザい先輩みたいな言い方やめてください!」

 

「いや~、結局やってくれんの?ぶっちゃけさぁ、俺もう眠いんだよね~……」

 

「駄目人間じゃないですか!」

 

「いやだから、それを言うなら駄目神様だよ」

 

「……ドヤ顔で言われても……」

 

思わず溜息を吐く。溜息を吐くと、幸せが逃げるなんて聞いたことがあるけど、この状況以上に不幸なこともそうそうないだろう。幸せは追い詰められ、もう逃げ場がない。誰が追い詰めているのかはしらないけど、THE・ENDだよ。幸せも、ついでに僕の気分も。

 

「拒否権を「ない!」ですよねー」

 

せめて、最後まで言わせてほしかった……

 

「……やります」

 

「え?本気(マジ)で?え~いや~ワリィなぁ……お前が親切でよかったぜ!」

 

ニヤニヤしながらお礼を言われると、こんなにイラツくものだったのかぁ。知らなかった、知りたくなかった。

 

「じゃあ、これな!」

 

「鍵……ですか?」

 

「そう、キーだ!」

 

「学校には今まで同様通っていい!」

 

「あ、そうなんですか」

 

学校はけっこう好きなので(勉強は除外するけど)それはよかった。

 

「学生の基本は勉学だからな!その辺はしっかりやらないと!」

 

凄い……まともなこと言ってる……この短時間の間に熱でも出したのだろうか。

 

「放課後は毎日来てくれよ!まぁもしサボっても強制的に呼ぶが」

 

拒否権って言葉は、いや違うかな?常識って言葉は神様には通じないようだ。

 

「ただし、神が人間を呼ぶのには条件があってな……寝てるときにしか呼べんわけだよ」

 

「へぇ、神様っていうのも万能じゃないんですね」

 

「できる奴もいるけどな。俺は無理なんだ」

 

「え?神様って一人、いや一神じゃないんですか?」

 

「お前常識的に考えて一人、いや一神で全てのこと管理できるわけがねーだろ!」

 

「ハハッ、それもそうですね。で、この鍵はなんですか?」

 

「あぁ、その鍵を人間界で持ってな、ここに来たいとイメージするとここ来れるから」

 

「へぇ……」

 

なかなかにハイテク。ここ来るのに毎回寝ろ、とかじゃなくて良かった。

 

 

……というかこの状況を受け入れて馴染んでしまっている自分が嫌だ。

 

「じゃ、頼むぜ~」

 

 

 

 

 

―――――チュンチュン、チュンチュン

 

鳥の声に目を開ける。

 

「知ってる天井だ……」

 

自分の部屋だった。いや当たり前なんだけど。

一瞬、今までのは夢か?なんて淡い期待をしたけども、その期待は右手の感触でぶち壊された。

 

「……鍵」

 

改めて見ると、歪な形をしている。こんなもので、本当に神界に行けるのだろうか?

 

「というか、疲れが全然とれてないんですけど……」

 

まるで今まで誰かと話していたかのような……いや話してたんだけど。せっかくいつもより早く寝たのに、感覚的には徹夜である。理不尽だ。

 

「ハァッ……って、もう7時50分じゃん!」

 

なんでこんな時間なのっ!?いや答えは出ている、神様の所為だ。

 

そんなことを思いながら、僕は制服のポケットに鍵を入れて走っていく。

 

 

 

これは、駄目な神様とか他のいろんな個性的メンバーに振り回される、不幸な少年の物語。




主人公、神導運命!よろしくお願いします!
感想とか待ってます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。