「…お姉ちゃん…いつからいたの…?」
「ユ、ユウマさんに用があって来ただけよ。…そ、それよりこいし、あなた今何をしようとしたの…?」
「…お兄ちゃんを膝枕してただけだよ。」
「嘘をつかないで。」
「…。わかったよ、正直に言えばいいんでしょ?…お兄ちゃんの口にキスしようとしたの!」
「な、なんでしようとしたの…?」
「お兄ちゃんが大好きなの!お姉ちゃん達も大好きだよ!けどその『好き』とは違うの!フランちゃんに言われて気づいたの…この気持ちは紛れも無い『恋』の感情だって!」
「⁉︎…それで…ユウマさんの口にキスをしようとしたの…?」
「そうだよ!何かいけないこと⁉︎」
「ユウマさんがそうして欲しいと言った?」
「言ってないよ。けど…お兄ちゃんが大好きだからっ…ーーー!!?」
私がそう言った矢先お姉ちゃんが私の頬を叩いた。
「ユウマさんの気持ちを考えないで自分勝手なことをしていいと思ってるの⁉︎」
「お姉ちゃんだって…お姉ちゃんだってお兄ちゃんに勝手に膝枕やってたじゃない‼︎」
「あ、あれは…硬いところで寝かせたら痛いだろうと思って仕方なく…‼︎」
「私はお姉ちゃんがさっきお兄ちゃんを膝枕をした時ににお姉ちゃんが羨ましいとは思ってたよ!けど今は違う!嫉妬してたって気づいたの!お姉ちゃんがお兄ちゃんと仲良く話をしてた時も胸が苦しかった…!私がお兄ちゃんの横にいたらって思ってた…!けどお姉ちゃんから心を読まれないのをいいことにずっと誤魔化してた!けどもう限界‼︎胸の苦しみを解放したいの‼︎お姉ちゃんにはわからないでしょ⁉︎」
「私だってね‼︎」
「⁉︎」
突然お姉ちゃんがさっきより明らかに大きい声で叫んだ。それは…お姉ちゃんの気持ちだった。
☆
私はこいしの気持ちを知って、レミリアさんに言われた自分の気持ちがどうなのかに気づいた。そうだ…私はきっと…‼︎
「今だから正直に言うわ!私だってね、ユウマさんが恋愛的に大好きなのよ‼︎あなただけのことだと思った⁉︎勝手に決めつけないで‼︎私もあなたがユウマさんの腕に抱きついたりした時は羨ましいと思ったわ!だから前に一緒に寝た時にあなたの真似をしたのよ!あなたに取られたくなかったのよ!えぇ、確かに自分勝手なことをしてたわ!だったらあなたも私がさっきあなたにやった様に頬を叩けばいい!それでも私の気持ちは揺るがない!あなたにユウマさんを譲る気は無いわ‼︎」
私は自分の思いを一目散に伝えた。ユウマさんに聞かれてないのが幸いだったかもしれない。今これを伝えるとなると緊張で何も言えなかっただろう。
「お姉ちゃんも…恋…してたの…?…それも…お兄ちゃんに…?」
「えぇ…そうよ…私は自分の気持ちがわからなかった。どうしてこんなにユウマさんのことを考えるとドキドキするんだろうって思ってたわ。けどあなたの思いを聞いた時に自分の気持ちがどうなのかに気づいたのよ…。」
さっきまで大声で喧嘩をしていたのが打って変わって静かに落ち着いて話をする様になった…。
「えぇっと…どーゆーこと…?」
『!!!?』
急に声が聞こえた。そして声がした方向を見た。…喧嘩に集中してて気づかなかった…ユウマさんが…起きていた…。
☆
俺が起きたと気づいた後に俺のベッドの上でさとり様とこいしちゃんが並んで正座し、俺がその正面で正座をした。聞かれたことが相当恥ずかしかったのだろう。二人とも顔が真っ赤だった。やば、俺まで顔が熱くなってきた…。
「ユ、ユウマさん…いつから起きてたんですか…?」
「喧嘩が始まってすぐ…ですかね。なので話の内容はほとんど聞いてます。」
「うぅ…。///」
「聞かれてたんですね…私たちの喧嘩…。///」
「えぇ…それで…えぇっと…この喧嘩の内容が解決するにはどうすれば…。」
「ユウマさんの正直な答えを…私たちに言ってください…。」
「俺の…正直な…答え…。」
「はい…。」
「答えて、お兄ちゃん…。」
「…正直…俺は…二人とは付き合えない…。」
『!!?』
「そう…ですよね…。人間と妖怪が…付き合えるわけ…ない…ですよね…。」
「!」
二人の目からは涙が流れ出していた。…表情から察するに…悲しみの涙だろう…。
「ちょっと待ってください!それとは違う理由があります…。」
「グスッ…理由…?」
「二人は俺が二人のこと嫌いだと思ってませんか?そんなわけない。むしろ逆です。好きすぎるんですよ…。えぇ、大好きですよ!けど…俺は『二人が』好きなんですよ‼︎だから片方だけと言うのは無理なんです‼︎」
『‼︎』
二人の目からはさっきより明らかに涙の量が多くなった。表情は…分からないな…少しぐしゃぐしゃになってしまっているから…。
「だから…今はこのままでいさせてください。」
「うぅ…は、はい…!」
「うっ…ひぐっ…えぐっ…うん…!」
「二人とも、これで涙を拭いてください。」
俺はそう言うと、ハンカチを2枚作り、二人に渡した。
二人は素直に受け取り涙を拭いた。
「こいしちゃん、鼻水出てるよ。」
「だってぇー…。」
俺はティッシュを作るとこいしちゃんに差し出した。
「はい。」
「ありがとう…。」
こいしちゃんはお礼を言って鼻をかんだ。一旦二人は落ち着いた。
「それじゃあ、今日はもう寝ましょう、ね?」
「そう…ですね…。」
「うん…。」
「あの、ユウマさん!」
「お兄ちゃん!」
「!」
二人の声が重なった。二人ともさっきまで泣いていたから目の周りが少し赤い。
「はい?」
『一緒に寝て(ください)‼︎』
「またですか…いいですよ。そんなことでよければ。」
「ありがとうございます!」
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「うわっ⁉︎」
二人はそう言うといきなり抱きついてきた。…待って、キュン死しそう…。とりあえず…二人の髪を撫でた…二人ともサラサラしていて気持ちよかった。今日のブラッシングはお燐がやってくれたらしい。
「それで、さっきから何そこでこそこそ見てんだ、お燐、お空?」
『⁉︎』
「あはは…バレちゃってたかぁ〜…。」
「さとり様にも気づかれてなかったからバレないと思ったんだけどね〜…。」
「元暗殺者の気配察知能力を舐めるでない。」
「そうだったね〜…とりあえず、お空。この場は立ち去ろうか。」
「うにゅ?なんで?」
「お邪魔みたいだからさ。さっきからさとり様とこいし様が『顔を赤くして』睨んでるよ。」
「あ、ほんとだ。」
『変なとこ強調しないで‼︎///』
「あはは、それでは私たちはこれで失礼しまーす。」
「失礼しまーす。」
そう言ってお燐達は出て行った。
「もう…あの子達は…。」
「とりあえず寝ましょう?」
「…そうですね、寝ましょうか。」
「寝るー!」
そう言って俺が寝転ぶと、その隣で二人が寝転び、また二人は腕に抱きついてきた。前にもあったからと言って慣れたわけではないが、少しは前よりは緊張しなかった。今はなぜか安心感がある。そうして俺たちは眠りについた。
寝落ち×2しましたので起きると朝になってました!次の話はまーた練習だよ!長いね!けど最後の練習だから安心しておくれ。そんじゃあまたの。