学戦都市アスタリスク 『道化/切り札』と呼ばれた男   作:北斗七星

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今回はサブタイトルをすんなり決められた……毎回、こうだと良いんだけどなぁ。


似たもの同士?

「お姉ちゃん!」

 

「……プリシラに手を出したんじゃねぇだろうな?」

 

「……出してない、って言ったって信用してくれないでしょ、あんた」

 

 飄々とした調子を崩さず、凜堂は敵意の籠ったイレーネの視線を受け流す。今のイレーネが凜堂の言葉を信じるとは思えない。それ程、イレーネの姿は鬼気迫っていた。

 

「ち、違うってば! 高良さんは私を助けてくれたの!」

 

「少し黙ってろ、プリシラ」

 

 イレーネは凜堂をねめつけたままプリシラの言葉を遮る。妹の言葉すら届かないとなると、説得は無理そうだ。

 

「そもそも、何でこいつがお前を助けるんだよ? そっからしておかしいだろ。こいつにゃお前を助ける理由も義理もねぇ。寧ろ、放っておいた方が好都合なはずだ。敵なんだからな」

 

「自分と妹以外は全部敵、ってか? 随分と疲れる生き方してるな」

 

「黙れ」

 

 イレーネが無造作に覇潰の血鎌(グラヴィシーズ)を振るう。紫色のウルム=マナダイトが輝き始めた。紫の光は屋上にある給水タンクを包み込むと、一際強く光った。そう見えた瞬間、耳障りな音を立てて給水タンクが押し潰され、見るも無残なスクラップへと成り果てる。

 

「お姉ちゃん!!」

 

 プリシラが呼ばわるも、イレーネは聴く耳を持たない。屋上へ降り立ち、脅すように覇潰の血鎌を凜堂へと突きつけた。一筋の光も届かない、暗黒のような瞳が凜堂を見据える。

 

「あぁなりたくなかったら正直に答えな。何が目的でプリシラに近づいた?」

 

 目的など無い。が、そう言ってもイレーネは信じないだろう。目的ねぇ、と凜堂は顎を擦りながら考え込む。どうせ、凜堂が何を言ったところでイレーネは矛を収めないはずだ。この場から一目散で逃げ出す、という手もあるが、凜堂は既に覇潰の血鎌の能力射程圏内に捉えられている。逃げ切るのは至難の業だ。

 

 少しの間、考えていた凜堂は仰々しい動作でプリシラを指差す。

 

「いやなぁに、お宅の妹さんがあんまり魅力的なもんだから食事でもどうですかと誘おうと思ってね。うるせぇ連中がいるせいでおちおちお話も出来ないから、静かに話せそうなここまで来た次第よ」

 

「えぇっ!?」

 

「……はぁ?」

 

 凜堂の口から出た突拍子も無い言葉にプリシラは顔を真っ赤にさせ、イレーネはポカンと口を開いた。

 

「……手前、舐めてんのか?」

 

 すぐにイレーネは表情を険しいものに戻し、凜堂を激しく睨む。対して凜堂は不真面目な言葉とは裏腹に真剣な顔をしていた。

 

「いんや、どちらかというと馬鹿にしてる……妹の言葉を聞くことも、信じることもしないお前の単細胞振りをな」

 

「な……」

 

 んだと、と続けようとしてイレーネはハッとする。凜堂の言うとおりだ。イレーネはプリシラを心配する余り、頭から凜堂を敵だと決めつけ覇潰の血鎌を振るおうとした。プリシラが必死で止めようとしているのに、だ。小さく息を吐きながら凜堂はプリシラを指し示す。

 

「俺は信じなくてもいいさ……でも、彼女のことくらい信じてやれよ。お前の妹なんだろ?」

 

 イレーネの目に光が戻った。恐る恐るプリシラの方を見ると、怒ったような悲しそうな、複雑な顔を作っていた。

 

「分かった、信じる! 信じるよ、プリシラ! だから、そんな顔しないでくれ……」

 

「もう、高良さんに酷い事しない?」

 

「しないしない」

 

 嘘じゃない事を示すようにイレーネは覇潰の血鎌を待機状態へと戻した。プリシラはにっこり笑い、満足そうに頷く。プリシラの機嫌が良くなったことでほっとしたのか、イレーネは胸を撫で下ろしたが、すぐに凜堂へと視線を向けた。

 

「プリシラもあぁ言ってた事だし、とりあえず信じてやるよ。ただ、お前には聞きたいことが二つほどある」

 

「お姉ちゃん!」

 

「聞くだけだ、聞くだけ! 手は出さねぇって! それならいいだろ?」

 

 プリシラは半信半疑の目で姉を見る。妹にそんな目を向けられ、イレーネは若干涙目になっていた。いくら自業自得とはいえ、少しイレーネが可哀想になった凜堂は肩を竦める。

 

「別に構いやしねぇよ。で、聞きたいことってなぁ何だ?」

 

「まず一つ目。あいつらはお前がやったのか?」

 

「はぁ、何のこっちゃ? 連中はおちょくりこそしたけど、それ以外は何もしてねぇぞ」

 

 暫しの間、イレーネは凜堂を観察するように見詰めていたが、彼の言葉に嘘は無いと分かったらしく先を続けた。

 

「なら二つ目。プリシラから聞いた話じゃお前、偶然この近くを通りかかったんだよな? 星導館の序列一位が何だってこんなとこに来たんだよ?」

 

「あぁ、それは……やべ」

 

 ここに来た本来の目的を思い出し、凜堂は慌てて携帯端末を取り出す。紗夜へと連絡を入れると、数回コールが鳴ってから空間ウィンドウが開き、紗夜の顔が映し出された。

 

「サーヤ、今どこら辺にいる? 下手に動いたりしてないだろうな?」

 

『大丈夫。問題は今さっき解決した』

 

 紗夜の言葉を肯定するように綺凛が空間ウィンドウ内にフレームインする。凜堂と目が合うと、ほっとしたように笑った。

 

『凜堂先輩。今ちょうど、紗夜さんと合流しました』

 

「そっか。お疲れさん、リン。そのままサーヤから目を離さないでおいてくれ」

 

 これ以上、迷われたら困るからな、という凜堂の言葉に綺凛は苦笑を浮かべながら頷く。一方、紗夜は不服そうに頬を膨らませていた。だが、迷子になっていたのは事実なので何も言い返すことは出来なかった。

 

『凜堂は今どこにいる? もしかして、迷子になった?』

 

「お前と一緒にするない。流石にこの短時間で迷うほど方向音痴じゃねぇよ。ちょっと色々あってな……じゃあ、リン。さっき、別れたところで合流しよう。あぁ、それじゃ」

 

 連絡を終え、凜堂は携帯端末をしまいながら振り返る。プリシラは得意げに胸を反らし、逆にイレーネは罰が悪そうに頭を掻いていた。

 

「そういうわけだ。お分かり?」

 

「だってさ、お姉ちゃん」

 

「ちっ、借りが出来たな」

 

 気にすんなよ、と凜堂は本心から言った。実際、恩を売るためにプリシラを助けた訳ではない。それは分かっているのだろうが、それでもイレーネは首を横に振る。

 

「そうはいかねぇよ。さっさと清算しとかねぇと、やり辛くってしょうがねぇ」

 

「どういうこと、お姉ちゃん?」

 

 イレーネは答えず、携帯端末を取り出して空間ウィンドウを開いた。そこにはトーナメント表が映し出されている。『鳳凰星武祭(フェニックス)』本戦の組み合わせだ。

 

「もう、本戦の組み合わせが発表されたのか……って、そういうことか」

 

 自分の名前を探していた凜堂は対戦相手の名を見て、得心した様子で頷く。

 

『鳳凰星武祭』四回戦。凜堂とユリスの対戦相手欄にウルサイス姉妹の名があった。

 

 

 

 

 

 

 

「たたた、大変です、会長!」

 

「……どうした、ころな?」

 

 顔を真っ青にさせた樫丸ころなが生徒会長室に飛び込んできても、ディルクは一瞥すらくれずに手元の電子書類に目を通していた。レヴォルフの生徒会長室に窓や装飾品といった類の物はない。必要最低限に用意された調度品はどれも重厚で、客人を迎えるというより、客人にプレッシャーを与えるような代物ばかりだった。

 

「ううう、ウルサイスさんが会長に話があるとか」

 

 ころなの話の途中で生徒会長室の扉が派手にぶち破られた。

 

「ひゃあ!?」

 

「邪魔するぜ」

 

 ころなが振り返ると、そこには覇潰の血鎌(グラヴィシーズ)を片手に物騒な笑みを浮かべたイレーネが立っていた。その後ろには生徒会長室を守る為にいたであろう数人の警備員が仲良く床に転がっている。イレーネにぶちのめされたのだろう。

 

「あわわわ……」

 

 半泣きになりながらころなは四つんばいでディルクの元まで移動し、その小さな体躯の陰に隠れた。

 

「イレーネ。俺と会いたきゃアポを取れ。こっちも忙しいんだ」

 

 流石に書類を処理する手を止めたものの、ディルクはまるで動じた様子も無くイレーネを見ている。

 

「そうかよ。なら、さっさと済ませるとするか」

 

 言うや、イレーネは覇潰の血鎌を振り下ろして執務机を真っ二つにした。ころなは再び悲鳴を上げて飛び上がるが、ディルクは眉一つ動かさない。イレーネから刺すような殺意と怒りを叩き付けられているにも関わらずだ。

 

「何の真似だ?」

 

「あんたが言えた台詞か? あんたは約束だけは守る男だと思ってたんだがな」

 

「その通り。俺は約束だけは守る。そうじゃなきゃ、俺は当の昔に墓の下だ」

 

「ほざくな!」

 

 イレーネは怒気を隠そうともせずに覇潰の血鎌を振り上げてディルクに切り掛かろうとするが、次の瞬間には後ろへと跳んでディルクから距離を取っていた。猫のように身を低くさせ、警戒した眼差しで部屋中に視線を飛ばしている。

 

「ちっ、ここにも『猫』が潜んでやがるか!」

 

「俺は星脈世代(お前等)と違ってか弱い一般人だぞ? 用心くらいしてて当たり前だろ」

 

 レヴォルフの言うところの『猫』というのは、生徒会直轄で隠密活動を行なう組織、『黒猫機関(グルマルキン)』に属する生徒の呼び名だ。と言っても、ころなはその黒猫機関の人間を今まで一度も見たことが無い。学内で活動する『銀目』と、学外で暗躍する『金目』の二つに分かれていると聞いたぐらいだ。

 

(でも、どこに……?)

 

 尻餅をついた体勢でころなは部屋内を見回すが、ころな以外の人はディルクとイレーネの二人しかいない。そもそも、この部屋には人が隠れられそうな所は無い。それでも、イレーネはその『猫』の気配をしっかりと感じているらしく、警戒を解かなかった。

 

「で、何を以ってそんな言いがかりをつけに来たのか聞かせてもらおうか」

 

「……今日、プリシラが襲われた。あんたが知らないわけねぇよな?」

 

「何だ、その事か」

 

 大して重要な事じゃなかったので覚えてなかった、と言っているような口振りだった。

 

「まさか、俺が差し向けたとでも思ってんじゃねぇだろうな? そもそも、襲ってきたのは歓楽街(ロートリヒト)の連中だろ? 元はお前が蒔いた種だろうが」

 

「んなこたぁ百も承知してるさ……だが、あんたとの契約条件の中にはプリシラの保護も含まれてたはずだ。忘れたとは言わせねぇぞ」

 

「言われなくとも、覚えてるさ。お前等姉妹には手を出すなと通達してあるし、馬鹿共にもお灸を据えて置くように言っておいた」

 

 ただ、レヴォルフにはディルクのことを良く思ってない者達もいる。今回の件も、そういった類の者達が起こした事だ。

 

「そんな連中をどうして野放しにしておく? さっさと片付けちまえよ」

 

 幾分か落ち着きを取り戻したようで、イレーネは荒々しくソファへと腰を下ろす。その目は変わらずにディルクを睨んでいる。

 

「あぁいった連中にもそれなりに使い道はあるんでな」

 

「使い道、ね。まぁいいさ。だがな、ディルク。あたしが傍にいない時、プリシラには『猫』が付いているはずだよな? そいつらは一体何をしてたんだ!?」

 

「『猫』はつけてるさ。今回は出遅れたみたいだがな」

 

「出遅れた、だぁ?」

 

 再びイレーネの目に危険な光が灯るが、ディルクは相変わらずの不機嫌そうな態度で言葉を続けた。

 

「どうせ再生能力者(リジェネレイティブ)だ。ちょっとやそっとの傷くらい、問題ないだろ」

 

「……」

 

 イレーネは無言のまま、幽鬼のように立ち上がった。その手の中で覇潰の血鎌がカタカタと音を立てる。それはまるで笑っているかのようだった。

 

「死ネ」

 

 さっきまで込められていた怒りも殺意も無くなった、無機質無感情な声。しかし、放たれた一撃は疾風のように速く、そして鋭かった。

 

 覇潰の血鎌の切っ先がディルクの喉元に迫る。だが、刃が突き刺さる直前、見えない壁のようなものにぶつかって軌道を逸らされた。狙いを外した刃先はディルクの頬を掠める。小さな赤い筋がディルクの頬に走った。

 

 イレーネはゆらりと後ろに下がり、どこか虚ろな目でディルクを見ながら覇潰の血鎌を構え直す。イレーネの姿を見て、ころなは『死神』という言葉を連想していた。

 

「はん。ここまで侵蝕が進んだか……おい、イレーネ」

 

 不愉快そうに、つまり何時も通りの表情でディルクは無愛想にイレーネの名を呼んだ。ゆらゆらと動いてたイレーネの動きが止まる。

 

「俺がいなくなって困るのは誰だ?」

 

「……っ」

 

 イレーネの目に光が戻った。それに伴い、カタカタと音を立てていた覇潰の血鎌も文字通り鳴りを潜める。

 

「大体、今回の一件だって現場にゃ間に合ってたんだよ。星導館のガキが余計な事しくさりやがったから、『猫』が出て行けなかっただけだ。連中が姿を見られちゃいけねぇことくらい、お前も知ってるだろ?」

 

「……でも、あいつには借りが出来た」

 

「さっきも言っただろ。俺は忙しい。さっさと用件を言え」

 

 ディルクは面倒くさそうに鼻を鳴らし、椅子の背凭れに寄りかかった。

 

「このままじゃやり辛くてな。こっちで筋を通すから、あんたは黙っててくれ」

 

「……好きにしろ」

 

 しっしっ、とディルクは野良猫でも追い払うような仕草でイレーネに出て行けと促す。邪魔したな、とだけ言い残してイレーネは生徒会長室から出て行った。

 

「こ、怖かった……」

 

 イレーネがいなくなったことで部屋の中の空気が弛緩し、ころなはホッとした様子で息を吐き出す。しかし、そうしていられたのも一瞬だけだった。

 

「おい、ころな。今、何時だ?」

 

「え? あ、はい! えっと、午後六時を回ったところです!」

 

 ディルクの気遣い皆無の声にころなは慌てて立ち上がり、すぐに時計を確認した。

 

「頃合いか。よし、占え」

 

「えっ、今ですか?」

 

 ころなは驚いた様子でディルクを見返す。それよりも、イレーネがしっちゃかめっちゃかにしてくれた生徒会長室を掃除する方が先なのではないかと思うが、ディルクの言葉に逆らう度胸などころなには無かった。

 

「やれ」

 

「はい! 今すぐに!」

 

 ころなは制服のポケットから取り出したタロットカードをボロボロになった絨毯の上に並べ、おずおずとディルクを見上げる。

 

「……それで、何を占えばいいんでしょう?」

 

 対して、ディルクの返答は何時も通りだった。

 

「好きにやれ」

 

「はぁ……」

 

 困ったように頷きながらころなは手順通りにタロットを並べ替えていく。占いはころなの数多い趣味の一つだ。と言っても、しっかりと勉強しているわけではなく、独学のオリジナルだ。まぁ、占いとは名ばかりでほとんど当たらないが。不思議なことに、ディルクは当たらない事を承知でころなに占うよう命じる。

 

 その事に関してころなに文句は無いのだが、ディルクが何を占って欲しいのか言わないのが悩みの種だった。本来、占いは求められてやるものであって、自発的にやるようなものではない。

 

「あ、じゃあ、ウルサイスさん達が『鳳凰星武祭』でどこまで出来るか占ってみましょうか?」

 

 名案、ところなは手を鳴らす。普段は今日の夕飯は何だとか、自分でもしょうもないと思うことを占っているのだが、今回はちょうどいいネタがあった。

 

「それじゃ占いますね」

 

 ころなは目を閉じ、手探りでカードを並べ替え始める。すると、彼女の周囲に青白い魔法陣が現れ、膨大な量の万能素(マナ)が流れ込み始めた。だが、当の本人に気付く様子は無い。目を瞑ったまま、カードを選んでいく。

 

「これでよし」

 

 ころなが五枚のカードをめくり終えると、魔法陣が影も形も残さず消えていった。

 

「えっと、正位置の愚者に逆位置の太陽、それから……」

 

 瞼を上げ、選んだカードを読み終えると、ころなは顔を輝かせてディルクを見上げた。

 

「やりましたよ、会長! ウルサイスさん達はなんと優勝するって出ました」

 

「だろうな」

 

 当然のように呟くと、ディルクはころなにあがるよう命じる。ころなは手早くタロットカードを片付け、零機正しく一礼して生徒会室を出て行った。

 

「それにしても、会長って本当に占い好きなんだなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に一人残ったディルクは腕組みをしながら思考に没頭していた。ころなの占いであぁいう結果が出た以上、それは避けることの出来ないことだ。何かしらの手を打っておく必要がある。

 

「……準備だけはしておくか」

 

 ディルクは誰に聞かせるでもなく呟くと、壊れた執務机の中から黒い携帯端末を取り出した。それはディルク個人のものではなく、レヴォルフ黒学院生徒会長のみが使うことの出来る専用の端末だ。

 

「金目の七番に繋げ」

 

 端末を操作していたディルクは音声通信を繋げ、言葉短く言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……悪いが凜堂。もう一回、最初から分かるように話してくれ」

 

「いや、だからさ、ちょっと成り行きで昨日ウルサイスの妹の方を助けてさ。その恩返しにって飯に誘われたんだが」

 

「それで、了承したと?」

 

「あぁ」

 

「お、お前という男は……」

 

 ユリスは力なくトレーニングルームの床に座り込み、頭を抱えてしまった。何も言えないのか、う~んと悩ましげな声を上げている。押し黙ってしまった相棒に罪悪感を覚えなくも無いが、凜堂は何の言い訳もしなかった。

 

 暫くの間、ユリスはしゃがみ込んだままだったが、ゆっくりと立ち上がると引き攣った笑みを浮かべた。

 

「いや、もう分かった。こいつと一緒にやっていく以上、こうしたことに慣れねばいかんな。あの時から分かりきっていただろう、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト」

 

 自分に言い聞かせるように呟き、無理矢理己を納得させる。

 

「一つ聞かせてくれ凜堂。お前、飯に誘われた時点で次の対戦相手がウルサイス姉妹だと知っていたのだろう?」

 

 ユリスの問いに凜堂は頷く。飯に誘われる前にイレーネが教えてくれた。

 

「その上で招待を受けたと。そういうことだな?」

 

「イエス、マム」

 

「……罠だったらどうしようとか考えないのか?」

 

「罠なら食い破るだけさ」

 

 あっけらかんと答えた凜堂にユリスは再び頭を抱える。有言実行できる実力があるだけに強く言い聞かせる事も出来なかった。

 

「それに、んな下らないことするような人間には見えなかったぞ?」

 

「甘い!」

 

 ビシィ! と音が出そうな勢いでユリスは凜堂の鼻先に指を突きつける。

 

「悪事を仕組む者が皆、悪人風でたまるか。まして、ここはアスタリスクだぞ。サイラスの一件を忘れたか?」

 

「いや、忘れた訳じゃねぇけどさ」

 

 凜堂は困り顔で頬を掻いた。確かにこの町には己のために他人を陥れる者、欺く者が何千といる。何時、どんな場所に姦計が仕込まれているか分かったものではない。

 

「凜堂。前々から言おうと思っていたがお前は少しばかり、いや、かなり人が好すぎる。それは美徳だが、悪事を働く者にしてみれば格好の的だぞ?」

 

 もう少し人を疑う事を知れ、とユリスは凜堂に軽くデコピンする。

 

「でもさ、それって俺じゃなくねぇか?」

 

 凜堂の返しにユリスは言葉を詰まらせる。確かに、そんなのは凜堂ではない。雲のように飄々としてて掴み所が無い。それでいて嵐のような激しさを持っている。罠があれば、その罠を仕掛けた愚か者ごと叩き潰す。高良凜堂とはそんな男だ。言動こそ軽薄だが、その内には誰にも負けないほどの熱い想いを持っている。だから、ユリスは一緒に戦おうと思ったのだ。

 

「ユーリってさ、俺だから一緒に戦うことを許してくれたんだろ? そんな他人にビクビクして、相手の裏にあるものを警戒するような人間と一緒に戦いたいのか?」

 

「そ、そういう訳では……」

 

 ユリスは言葉を詰まらせる。これ幸いにと凜堂は畳み掛けた。

 

「それとも何か? 俺にそういう人間になれってか?」

 

「ち、違うぞ! 断じて違う! お前はお前のままでいろ!」

 

 卑怯な言い方かもしれないが、効果は抜群だ。ユリスは複雑そうな表情を作るが、諦めたのか大きく息を吐き出す。

 

「はぁ。分かった、お前の好きにしろ……ただし、条件が一つだけある」

 

「と、仰いますと?」

 

「私もその席に同席させろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、夕暮れ時。凜堂とユリスはプリシラに教えられた住所に来ていた。居住区にある、小奇麗なマンションの一室だ。高級マンションというほどのものではないが、それなりに上等なものだろう。

 

「食事に招かれたのだよな、お前は? それで何故、マンションなんだ?」

 

「さぁ?」

 

 凜堂は首を傾げる。疑問に思っているのは凜堂も同様だった。まさか本当に罠か、と警戒心MAXのユリスを引き摺りながら指定された部屋へと向かう。

 

「ノックしてもしも~し?」

 

 扉をノックする。すると、拍子抜けするほどあっさり扉が開き、エプロン姿のプリシラが二人を笑顔で迎えた。

 

「いらっしゃいませ! あ、リースフェルトさん。先日は碌な挨拶も出来ずにすみませんでした」

 

「あぁ、いや、こちらこそ何というか……」

 

「遠慮せずにあがってください。すぐに料理を用意します」

 

 プリシラに促されるまま部屋に上がる二人。通されたリビングには綺麗なテーブルセットが一つと、私服姿のイレーネが椅子の一つに座っていた。

 

「……よぉ」

 

 申し訳程度の挨拶だけすると、イレーネはすぐにそっぽを向いてしまった。元々、プリシラが凜堂を招くと言った時、かなり難色を示していたのでこの態度にも頷ける。プリシラとは対極の態度だが、毒気を抜かれていたユリスには丁度良かったようだ。

 

 何時も通りの態度に戻り、イレーネの真向かいの椅子に腰を下ろした。

 

「招いておいてその態度か? 随分なご挨拶だな、『吸血暴姫(ラミレクシア)』?」

 

「……あんたを招いた覚えは無いんだがな、『華焔の魔女(グリューエンローゼ)』」

 

「お前も知っての通り、こいつは底抜けのお人好しでな。何かあったら私も困る。だから、付き添いだ」

 

「随分と心配性だな。お前はこいつのかーちゃんかよ?」

 

「だ、誰が母親か!?」

 

 母親ねぇ、と凜堂は今はもういない、自身の母に想いを馳せた。数秒後、ないないと手を振る。少なくとも、凜堂の母はこれ程慎重な性格をしていなかった。どちからというと、

 

「ウルサイス姉。それは違うぞ。ユーリはお袋なんかじゃない」

 

「凜堂、お前も言ってやれ」

 

「どっちかっていうと姉貴だ」

 

「お前はどっちの味方だ!?」

 

 二人のやり取りを、イレーネは面白そうに眺めていた。三人が席に座って待っていると、プリシラが料理を運んでくる。

 

「お待たせしました!」

 

 テーブルの上に置かれた料理はどれも美味そうな匂いを立ち上らせている。ここで、凜堂とユリスはマンションに呼ばれた訳を察した。

 

 早速、イレーネが料理へと手を伸ばそうとするが、プリシラの手によって止められる。

 

「えぇ~、ここでお預けかよ。いいじゃねぇか、少しくらい」

 

「駄目に決まってるでしょ! そもそも、今日は高良さんにお礼をってことなのにお姉ちゃんが先に食べたら意味……あぁっ!」

 

「いただきまーす」

 

 馬耳東風とはこのことを言うのだろうか。イレーネはプリシラの制止を綺麗に無視してひょいひょいと料理を口に放り込んでいった。

 

「なるほど。『吸血暴姫』は彼女なりに気を使っている様だぞ」

 

「と、言いますと?」

 

「毒見のつもりなのだろうさ」

 

 毒見ねぇ、と凜堂は美味そうに料理を食べていくイレーネを見る。もりもり食べていくその姿は見てて清々しいほどだ。

 

(毒見ってのもあるんだろうけど、それ以上に妹の料理が食いたいだけなんじゃねぇか?)

 

 そう思わずにはいられない。

 

「ほら、あんた達も食えよ。プリシラの料理は最高だぜ?」

 

 イレーネの言葉に促され、二人はいただきますと手を合わせてから料理を食べていく。その言葉に嘘は無く、料理はどれも非常に美味かった。

 

「そういや聞きたかったんだが、ここってどういう場所なんだ?」

 

 食べ始めてから数分後、凜堂は気になったことを訊ねた。素っ気無く答えたのはイレーネだった。

 

「あたしが普段使ってる部屋だよ。それがどうした?」

 

「普段使ってる?」

 

 基本的にアスタリスクの六学園は例外なく全寮制だ。学生が市街地で暮らすことは原則として許可されていない。

 

「レヴォルフの『冒頭の十二人(ページ・ワン)』にはそういう特典があるんだよ。表立って言われてねぇがな」

 

「それで、私もよくお掃除とかお料理しに来たりするんですけど……お姉ちゃん、幾ら言っても自分の部屋に戻ってくれないんですよ」

 

 姉に振り回されることも多いようで、プリシラは苦笑を浮かべていた。だが、今回ばかりはイレーネがここで暮らしていて良かった。流石に他校の生徒をレヴォルフに招く訳にはいかない。

 

「流石はレヴォルフと言うべきか、恐ろしいほどの自由さだな」

 

「何だってこんなとこに部屋借りてんだよ?」

 

 凜堂の疑問にイレーネは罰が悪そうに顔を背けるが、それでもぼそりと答えた。

 

「ここからだと、歓楽街が近い。だから、色々と便利なんだよ」

 

「夜遊び用、ということか?」

 

 ユリスの皮肉にイレーネは盛大に顔を顰める。

 

「遊んでるわけじゃねぇよ。金が必要だから稼いでるってだけの話だ」

 

「金、だと?」

 

 その言葉にユリスは手を止め、イレーネを真っ直ぐに見詰めた。

 

「そういえば、凜堂から聞いたぞ。どこぞの裏カジノで一騒動起こしたそうじゃないか」

 

「……だから何だ?」

 

 金を稼ぐにしたって、もっとマシな方法があるはずだ。何故、わざわざそんな危険な真似をするのか。ユリスの指摘にイレーネは自嘲気味に笑った。

 

「だったら、その方法ってやつを教えて欲しいもんだ」

 

「教えるも何も、お前達が『鳳凰星武祭』に出ているのはそのためではないのか?」

 

「……そうか。そう言えば、あんたも金を稼ぐためにここに来てるんだよな、『華焔の魔女』」

 

「なっ!? どうしてそのことを?」

 

 反射的にユリスは凜堂を見る。いやいや、と片手を振って凜堂は教えてないことを示した。

 

レヴォルフ(おたく)の諜報機関は随分と優秀なんだな?」

 

 凜堂の言葉に答えず、イレーネは小さく喉を鳴らす。

 

「あんたとあたしじゃ立場が違うんだよ、『華焔の魔女』。たとえ、あたしが『鳳凰星武祭』で優勝しようが、望みを叶えられることはねぇ。そういう契約なんだよ」

 

「契約?」

 

 イレーネはちらっと隣に座るプリシラに視線を飛ばした。すると、プリシラはオーブンを見てくると言ってキッチンへと向かった。それを見届けてからイレーネは話を続ける。

 

「簡単に言うと、あたしはレヴォルフ黒学院生徒会長、ディルク・エーベルヴァインの手駒として扱われている。昔、ディルクの野朗に莫大な金を借りてあたしは望みを叶えてもらっている。そして、あいつの命令に従うことで、少しずつ清算している」

 

「『悪辣の王(タイラント)』か」

 

 ユリスは不愉快そうに眉を顰める。その悪名の高さは凜堂も聞き及んでいた。悪い噂は数多あるが、反対に良い噂は全くない。というか、皆無だ。

 

「その契約で私は『星武祭《フェスタ》』への参加を制限されてるし、仮に出場して優勝したとしても、賞金を返済に充てることは出来ない。そういうことになってるからな」

 

 出来るだけ長く、イレーネを手駒として手元に置いておきたいのだろう。いけ好かねぇ野朗だ、とイレーネは吐き捨てた。

 

「つっても、あたし自身、あの野朗の下で長々と働くのはご免だ。だから、少しでも早く金を返すためにひぃこら言ってるのさ」

 

「そんな凄ぇ額なのか、その借金ってのは?」

 

「普通に働いてるだけじゃ、何十年かかっても無理さ」

 

 そいつは相当だ。

 

「なるほど。今回、お前が『鳳凰星武祭』に出たのはエーベルヴァインの指示だな? 何か、優勝以外の目的があると」

 

 ユリスの言葉にイレーネは口元に物騒な笑みを貼り付けながら凜堂を指差す。

 

「その通り。今回、あたしがあいつから受けた命令はお前を潰す事だ、高良凜堂」

 

「何だとっ!?」

 

 咄嗟にユリスは立ち上がろうとするが、それは凜堂本人の手によって止められた。

 

「座っとけ、ユーリ。今のこいつに敵意はねぇよ」

 

 少なくとも、今はまだ。ユリスは凜堂をイレーネを交互に見比べ、渋々浮かせかけた腰を下ろした。

 

「あたしにはあたしの仁義があんだよ。お前にゃプリシラを助けてもらった恩がある。そいつを放っといたままじゃやり辛くてしゃあねぇ」

 

「……エーベルヴァインは何故凜堂を?」

 

 ユリスの問いにイレーネは肩を竦める。実際、彼女自身もそこまで詳しいことは聞いていない。

 

「ディルクが言うには、高良の使ってる純星煌式武装(オーガルクス)が厄介だから、今の内に潰しておきたいらしい」

 

「『黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)』か? それとも……」

 

 その右目のやつだよ、とイレーネは凜堂の右目辺りを指差した。

 

「最悪、お前の右目を抉れっていうのがディルクの指示だ。あいつがそんだけ警戒してるんなら、それ相応の理由があるはずだ」

 

 話を聞きながら凜堂は右目を撫でる。使用者に無限の力を与える代わりに渇望を増幅させ、精神を崩壊寸前に追い込む曰く付きの純星煌式武装。その上、『悪辣の王』に警戒されるなど、一体どれだけのやんちゃをしてきたのだろう。

 

「あいつが何を考えてるかは分からねぇが、あいつの口振りから一つ推察できることがある。どうやら、以前にもその純星煌式武装の使い手を見たことがあるらしい」

 

「……そいつはまた妙だな」

 

 クローディア曰く、近年、無限の瞳を使っていた者はいないはずだ。なのにどこでそれを見たのか。

 

「その辺りにお前が狙われている理由があると思うんだが、どんぴしゃだったみたいだな」

 

「多分、な」

 

 この右目に宿った魔眼がどれだけの力を有しているのか、気にならないと言えば嘘になる。きっと、容易く扱えるようなものではないはずだ。その力を使い続けた先に何が待っているのか。

 

(考えても無駄、か)

 

 この先に何があろうと、やる事に変わりは無い。ただ、道を貫くだけだ。

 

「よし、これで義理は果たしたぜ」

 

 イレーネがさっぱりとした顔を浮かべたのと同時に、プリシラが大きな鉄鍋を持って現れた。その後、食事は何事もなく、和やかに進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろお暇させてもらうか」

 

「だな」

 

 食後に出されたコーヒーを飲み干し、凜堂とユリスは頷きあい、立ち上がった。

 

「え、もう帰られるんですか? もう少し、ゆっくりしていっても」

 

「やめとけ、プリシラ。下手に馴れ合っても、明日にはやり合うんだ。もう、十分に義理は果たしたはずだ」

 

 でも、と引き止めようとするプリシラをイレーネが制する。

 

「悪いが、あたしがディルクの命令で動いてる事に変わりは無い。これで気兼ねなくあんた等を叩きのめす事が出来る。それが嫌ならさっさとギブアップすることだな」

 

「……ま、適当に頑張るさね」

 

 ピラピラと手を振り、凜堂はユリスと一緒に部屋を出て行く。二人を見送ろうと、プリシラが後を追ってきた。イレーネも見送りまで止めさせる気は無いようだ。

 

「ごっそさん。美味かったぜ」

 

「とんでもないです。その、お姉ちゃんが色々とすみませんでした」

 

 恐縮しているプリシラにユリスは優しく首を振って見せた。

 

「いいや。あいつの言い分も尤もだし、それはこちらも同じことだ。悪く思うなとは言わんが、明日は我々も全力で相手をするぞ」

 

「それは、分かってます」

 

 分かってると口で言っても、納得はしてないようだ。プリシラは傷心した様子で項垂れている。

 

「戦うのは嫌いか?」

 

 凜堂の問いにプリシラは無言で頷いた。レヴォルフに所属している学生にしては珍しい部類に入るだろう。だが、プリシラに戦っている姿が似合わないのは事実だ。彼女は戦うより、エプロン姿で姉の世話を焼いている姿の方が相応しい。

 

「……姉は私のために闘っているんです。だから、私だけ逃げちゃいけないんです」

 

「生き血を吸われても、か」

 

 ユリスの言葉にプリシラは首を振った。

 

「あれくらい、何でもありません。私は今までずっと、お姉ちゃんに守ってもらってましたから、少しでも役に立てて嬉しいくらいです……ただ」

 

「「ただ?」」

 

 一瞬、言葉を詰まらせるが、プリシラはおずおずと言葉を続けた。

 

「覇潰の血鎌を使っている時の姉は、少し怖いです。最初は慣れない武器に苛立ってるのかと思ってたんですけど、あれを使っている姉は凄く凶暴っていうか、人が変わったみたいになって。最近、どんどんそれが酷くなって」

 

 ほとんど、独白に近い呟きを漏らしていたプリシラははっとして二人に頭を下げた。

 

「ご、ごめんなさい! 私ってば、変なことをお二人に……」

 

 慌ててプリシラは謝るが、二人は気にしていないと言った。話している内にマンションのエントランスまで下りてきた凜堂はそこで別れる事にした。

 

「んじゃ、また明日」

 

 頭を下げるプリシラに別れを告げ、二人は帰路に付いた。

 

「……ユーリ。さっきの話、どう思う?」

 

「さぁな。私は普段の『吸血暴姫』を知らん。だから、凶暴になっていると言われたって違いは分からんぞ。あいつは普段から凶暴そうな人間に見えるしな……まさかとは思うが、情でも湧いたか?」

 

 からかい半分、確認半分でユリスは問いかける。情じゃねぇさ、と凜堂は自身の手を見下ろした。

 

「どっちかって言うと、シンパシーかな」

 

「シンパシーだと?」

 

「あいつと俺は似てる。凄くな」

 

 凜堂の言葉に唖然とするが、すぐに首を振って否定するユリス。

 

「いや、お前と『吸血暴姫』は似ても似つかんだろう。お前はあんなに凶暴ではないだろ」

 

「あいつの行動は全て妹を守るってとこに帰結してる。俺もユーリを護る為に闘ってる。見てくれややってる事は違くても、根っこは同じさ」

 

 強いて違いを挙げるとすれば、凜堂には選択肢があったということ。イレーネには選択肢が無かったということだけだ。言われてみれば、確かに似ているのかもしれない。ユリスは得心した顔をしていたが、すぐに表情を引き締めた。

 

「凜堂、お前の言う通りなのかもしれんな……だが、我々に出来ることは何も無いぞ」

 

 ですよね~、と凜堂は星空を見上げる。幾千万の星が輝く、無限に広がる夜の帳。自分が酷く無力で、ちっぽけな存在に思えた。

 

「我々には我々の戦いがある。今はただ、進むだけだ」




 アスタリスクの新刊が出るまで一週間を切りましたな……終わらせられるか? とりあえず頑張ろう。

 さってさて、原作では黒炉の魔剣が原因で主人公が狙われましたが、この作品では無限の瞳が原因です。どんな力かと言いますと……ぶっちゃけチートです、どチートですはい。後、二、三話で詳細を明かせると思いますので、まぁテキトーに待っててください。

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