プリンセス・プリンシパル Blood Loyalty 作:悪役
今回はわざと括弧つけているの付けていないのと分けています。
アドルフとナタリーという少女との交流は傍目から見たら、嚙み合わないモノであった──────と思っている。
曖昧なのは、自分達を客観的に語れる人間がいないからだが…………やはり、アドルフからしたら嚙み合うわけがない、というのが感想であった。
何せアドルフはナタリーの事なんてどうでも良かった
あくまで俺は姫様の事しか考えていなかったから、個人的にはとっととどっかに行って欲しいと願っていた。
そんなあからさまな不満を、少女は読み取っていただろうに、アドルフの記憶にあるナタリーはよく笑っていた。
だから、授業の合間などに来る少女に対して思わず、問い掛けた。
私が貴女に興味がない事なんて、理解しているでしょう? なのにどうして付き纏うんですか? と
すると、少女はうん、と前置きを置きつつ
「だって、今がどん底なら、後は上がっていくだけでしょ?」
何とも眩しい言葉だ。
諦めなければ、勝ち目があるだなんて実に物語的だ、と思いつつ、アドルフは嘆息した。
呆れを多分に乗せた吐息だったのに、少女は何故か嬉しそうによしっと頷いた。
意味が分からない、と俺は思ったが、そういえば姫様を見ていても偶に思う事がある。
女の子の共通点なのだろうか、ともう一度溜息を吐いた
ある日、ナタリーが自分に訪ねてきた。
「ねぇ、アドルフ。貴方、プリンセスにアルフって呼ばれているらしいけど…………君付けは駄目なのに、それはいいの?」
と訪ねてきた。
一体、何を訪ねてくるのやら、と心底残念そうに見た覚えがある。
というか一体、何時の間に自分と姫様の会話を盗み聞いたのだ、と思うが、とりあえず無視してやろうか、と思うが、以前、それをしたら、無言で悪意も敵意も無くずっとじーーっと見つめられたのを思い出すとこの女、マジむかつくと思いつつ
別に、姫様が決めた事です。特に何も恥じる必要も無ければ、訂正する気もありません、と
こちらの答えに満足したのか。
ふーーーん、と首を傾げ…………何を思ったか。
「じゃあ、私がアルフって呼んでもいいの?」
その時、自分はどんな顔をしただろうか。
基本、どんな不機嫌な顔を見せても、前向きで笑みすら浮かべていた少女はあっという間に青い顔になっていった。
そして、当時の自分はそれについて謝る気も無かった──────が、自覚も無かった。
当時はふざけるな、程度で見ていたのだが…………さて、実際はどんな感覚で見ていたのやら。
だから、青い顔で、しかし分かった、と呟いて引くのを、ただ見ているだけであった。
「ねぇ、どうして貴方はプリンセスにそうまでして仕えるの?」
デート出来ない? と誘われ、姫様の傍から離れるなんて有り得ない、と否定した後、少し考えるように口を閉じた後に言われた言葉であった。
どうでもいい質問だ、と思いつつ、アドルフは仕方なく答えた。
仕事だから、と
ふーーん、と少女は前置きをして
「嘘吐き」
と半目でそんな風に断じた。
横目でその時、俺は見ていたと思うが、その表情には確信しかないから、という感じであった。
気にはなったが、しかし、確かに義務感だけで動いている人間の生き方をしているわけではない、というのは自覚していたし、別に本心を知られても問題は無かったから、特に気にせず口に出した。
姫様に未来を見た。
この人なら、王として輝くだろうし、この人の為に死ねるのならば、自分は本望だ
拙いし、在り来たりな言葉ではあったが、本心であった。
あの人の王としての姿がどうなるかを知りたいと思っていたし、この人の為に死ねるのならば、どれだけ幸福だろうか、と心の底から思っていた。
何も出来ない、何もない、何の価値も無い自分でも何かを成し得るのではないかと。
──────何かを成し得るなら、彼女の為に成し得たい、と
ふーーーん、と少女は再び気のない返事をして
「意気地なし」
流石に一瞬、硬直してしまった。
結構、色んな罵倒だったり何だったりは聞いてきたが、意気地なし、というのは聞いた事が無かった。
それに会話の繋がりからしてもいきなりだ。
自分は問われた内容を、正しく返したのに、返ってきた反応が意気地なしというのはどういう事だ。
その旨を告げると、ナタリーはアーバンの瞳でこちらをじっと見つめてきたかと思うと、分からないの? と逆に訪ねてきた。
質問を質問で返してきた事より、まるで不俱戴天の仇を見るように苛立つ瞳と表情を見て、逆にこちらも苛立ってきたから、思わず、
分かるか。他人何て理解も共感も出来るものじゃない、と告げた。
そう言ってから、言われた少女がくしゃり、と泣きそうな顔に歪むのを見てしまって、苛立ちも怒りも無理矢理途切れさせられてしまった。
苦しそうに歪む顔も、絶望を感じる顔も、希望を信じる顔も見た事はあるが──────ただ悲しそうに顔を歪める女の子の顔だけは見た事が無かったから。
今にも涙を溢しそうな顔で、ナタリーは俺を睨んでいた。
許せない、そう言っているようにも見えたし
どうして、と哀願するようにも見えたのは、気の迷いか
アーバンの瞳を怒りと悲哀で焼いている様に、一瞬だけ、見惚れるような感覚を抱くのを内心で首を振って否定していると、少女は憎しむように、悲しむように声を漏らした。
「どうして解ってくれないの…………?」
少女の顔を凝視する。
その言葉と顔には一切の虚飾がなく、その瞳は自分だけを見ていた。
思わず、たじろいだ記憶がある。
無機質な目
助けを求めるような目
笑いかけてくれる目
憎むような目
その他諸々様々な目を見てきたが……………………縋るように求める目で見られたのは初めてだった。
訳も分からずに、どうすればいいのかと思っていると少女の両手が差し出され、両頬を挟まれた。
唐突に感じるひんやりとした手に、片目を閉じ、残りの片目で見る光景はアーバンの瞳。
縋りつくように求める瞳をしながら、そのまま顔を近づけようとするのを感じ取って──────
咄嗟に、自分は少女と自分の顔の間に手を入れた
反射的に体が動いた。
彼女が何をしようとしていたのは察する事は出来たが……………………たかだかキスくらいされようが、しようがどうでもいい事なのに、体はそんな風に、動いて、そして少女を押し退けていた。
たたらを踏む少女の顔は今度こそ絶望に染まっていた。
どうして………………という悲哀は、次の瞬間、怒りへと変貌し、少女は手を挙げたが
「…………っ」
それを振る事は無かった。
少女は今にも血反吐を吐き出しそうな表情と仕草のまま、震える手を、しかしやはり振りぬく事はしなかった。
その表情のまま走り去っていく少女を見送りながら………………アドルフは首を傾げた。
何故、自分はどうでもいい事に対してあれ程抵抗したのだろうか?
どうして自分は、振りぬこうとしていた彼女の手を、受け入れるつもりだったのだろうか?
よく、分からなかった。
「ねぇ、どうすれば貴方は私を受けて入れてくれるの?」
暇潰しに本を読んでいた自分はそこらの草の上で寝転んでいる少女の言葉を適当に聞いていた。
唐突であったのもあったが、それ以上に自分の感覚からしたら十分に少女を受け入れているつもりだったからだ。
本来、姫様と姫様が必要と思う人間以外はどうでもいいと思っている人間が、こんな風にテリトリーに入れて話し合いをしているのだ。
譲歩という意味ならば十分にしているつもりだ。
だから、俺は黙って本を読むというスルーをしていると少女は不機嫌そうに頬を膨らませながら、俺を睨み
「貴方は本当にプリンセスの事しか見てないのね」
実に今更な事を問われる。
だけど……………………それは確かに正しくはあるが、流石にそれだと深読みされかねない言い方だ、と思う。
だから、そこは忠誠………………と自分から言うのもなんだが、せめてそういった言い方に変えろ、と告げた。
すると、ナタリーはふん、と鼻を鳴らし
「忠誠心なんかで傍にいない癖に」
そんな風に断言され、思わず少女の方を見るが、少女は寝返りをうち、顔が見えない方向に体を傾けた。
力づくで何とかは出来たことかもしれない。
でも、俺はそうする気が無かった。
少女の後ろ姿が酷く弱く、こちらを拒絶しているようにも見えて──────そして何より、言われた言葉に体がまるでその通りと言わんばかりに硬直したからだ。
だから、少女の言葉を否定することも出来なければ、少女の弱さに反応する事も出来なかった。
だけど、意外にも直ぐに少女から
「ねぇ……………………どうすれば貴方は私を見てくれる?」
先程とほぼ同じような言葉を投げかけられるが……………………意味も一緒だったのか。
分からないまま、しかしアドルフは何も答えられなかった。
だって自分はそんな風に求められた事もなければ──────そんな風に求める事は許されないと思っていたから
ある日、アドルフはナタリーに聞いてみた。
どうして、俺なんかを好きになった、と
はっきり言おう。
自分は事故案件という物だと思う。
主観的な判断だけではない。
客観的に見ても、地位や財産を見れば、自分は大した事も無ければ……………………そもそも家からは勘当されてる。
次に将来性も自分は出来ればこのままプリンセスの傍付きでありたいと思っている。
どんな形になるかは分からないが……………………それでも何時亡くなるか分からないような立場であることは確かだろう。
そして最後に人間性。
これは最早、最悪の一言だろう
客観的に見れば、自分は人でなしだ。
姫様の事だけを優先し、他の人間は有象無象の無価値扱い。
人間の振りをした絡繰でしかない。
一つの事だけを目的として専心する絡繰機構。
人間性なんて皆無だし──────他人の幸福何てとてもじゃないが作る事も守る事も出来る筈がない。
だから、少女の告白も無視したし、付き纏われたとしてもどうせ夢から覚めるように現実を知るだろう、と思っていたのだが……………………少女は飽きもせずに俺を求めてきた。
他人に興味もない絡繰だが──────流石にそこまでされたら、無視する事も出来なければ、悪趣味と断ずる事も出来なかった。
すると少女はキョトンとした表情──────心底そんな事を聞かれるとは思ってもいなかったという顔を数秒顔に浮かべ──────破顔し、そして爆笑した。
実際、一分くらい笑われていた気がするが、当然、俺はうざいから無かった事にしようか、と思い出しているとごめん、と笑いながら謝りつつ、目元に浮かぶ涙を指で拭き取りながら
「だって──────勝ち目を得れたんだもの。嬉しくなっていいでしょ?」
どこがだ、と思う。
俺は単に何故、こんな悪趣味なのを選んだのか、と聞いただけで、別に少女を愛し始めた、とかではないからだ。
そう思っていると少女は楽し気に笑いながら
「聞くって事は興味を持つって事でしょ?」
ぬ………………と思わず、唸ってしまった。
確かにその通りだった。
聞くという事はつまり、関心を抱いたという事。
それがどれだけ些細であったとしても、自分から行動してしまった以上、それは少女に関心を抱いている事になるのは否定出来ない事柄であった。
だからと言って、=勝ち目などと思われるのは心外なのだが、と言うと
「0が1になったのよ? なら、その先を夢見るのは自由だと思うけど?」
そこまで言われるともうこちらはそうですか、としか言いようがない。
確かに夢見るのは自由だろう。
夢だけはどこにでも行けて、そして形にはならない空想なのだから。
だから、少女の言は適当にあしらい、結局、質問の答えはどうなんですか、と問い直すと、少女は別に大した事はないんだけど、と前置きを置いて
「プリンセス相手にだけ浮かべている笑顔を奪いたくて」
思わず、巣で反射的に言った。
馬鹿かお前は、と
すると少女は何故か誇らしげに──────しかし、悲し気に
馬鹿よ私は、と彼女は答えた。
混ぜ返すことは可能だったが……………………余りにも
ある日、机の中に手紙が入っていた。
何か毒とかが仕込まれていないかを確認してから、開くと見た事がある文字とやはり、最近、聞き覚えてしまった名前が書かれていた。
手紙には夜、学園から少し歩いた辺りにある自然公園に来てくれないか、という誘いの手紙であった。
内容を知ったアドルフは一つ吐息を吐いて、天井を見上げた。
夢なんて見る物じゃない
選ばれた人間以外は大抵、現実にぶち当たって堕ちるだけなんだから
そして指定された場所と時間に自分は行った。
今日はもうそろそろ雨が降りそうな感じの空模様になっていたから傘を持ちながら。
自然公園は名の通り、かなり自然の様相を強めに出しており、曇り空である事も拍車にかけて光はほとんど届かない。
時折、風によってざわめく自然の騒音も含めて、ここなら多少、暴れても周りには気付かれないか、と思う。
そう思いながら、歩いていると辿り着いた場所に、少女はいた。
この暗闇の森の中、仄かに光るように揺れる金髪とアンバーの瞳を見て、素直に美しいな、と思った。
こちらの姿を見て、驚愕するように瞳を大きくするのを見たら、そんな感想は即座に消されたが、ともあれ、俺は傘をそこらに置いて、どうでも良さそうに呟く。
意外だ。貴方はいない、と思っていた、と
そんな言葉に対して、少女は少し間を置いた後、小さくポツリと言葉を呟いた。
「…………最初から気付いていたの?」
まさか。
自分はそこまで有能ではない。
最初はただの馬鹿か、お遊び気分の少女としか認識していなかった。
しかし、後々から少女は色々とおかしな事を言った。
顕著なのが少女が俺に惚れたという理由だ。
プリンセス相手にだけ浮かべている笑顔を奪いたくて?
何時、それを見たというのだ。
当時の自分は人前がある場所では、硬く接していたはずだ。
それなのに、自分のそんな笑みを見ているという事は、最低でも遠距離から道具を使って見るしか出来ない筈だ。
無論、他にも自分で調べて理解したこともある。
それは情報というには拙いかもしれないが………………少女の家は酷く貧乏であり、母はおらず、父の借金で首が回らない、という状況との事であった。
大きな違和感と一つのよくある情報だが……………………アドルフがそんな事も有り得るかも、と思うには十分だった。
頭は良くないので、己は全てを察する事は出来ないが、夢を見ないようにする事は得意であった。
最初から分かっていたとか、推理したとかではなく──────単に信じないだけである。
他人も未来も──────自分も。
だから、別に裏切られたとか、騙されたとは思わない。
単にこれはこういう話であった、というだけだ。
そんな結論を無感動に告げると少女は暫く俯いて…………………そのまま言葉を紡いだ。
「……………………私の言葉は貴方には何も届いていなかったの?」
──────いや? 聞いてはいた─────ただ、信じていないだけ
「……………………私と貴方が過ごした時間は貴方には無価値だった?」
──────いや? 別に価値がないとは思ってはいない。意味があったかは分からないが
「私の…………………私の想いは、貴方には映らなかった?」
その問いに対しては少しだけ自分は間を置いた。
答えるかどうかを躊躇したのではなく、どんな言葉で答えればいいかを考えただけ。
だから、数秒後に脳内で言葉を纏めた俺はただ、思ったことを口にした。
────────────少なくとも、結局、こうなっただろ
例え少女の想いが本物であったとしても…………………結末はこうなったではないか、と。
本物であっても、こうする、と決めたのなら、それを持ち出すなよ、と。
それだけを告げ、アドルフは口と手を閉じた。
もう語る事も無いだろうと思ったからだ。
だから、少女が髪で顔が隠れるくらい俯いても、もう無視するような形になると思っていた。
しかし
「………………うん」
もう舞台から消えていたと思っていた役者が再び上がる為の合図のような言葉が告げられた気がした。
思わず、視界には入っても意識からは消えていた少女を見ると目などは髪に隠れているが、少しだけ顔を上げたのか、口元は見え………………その口元には小さくて淡い笑みが形作られていた。
こんなタイミングで形作られる笑みに、理解が届かず、目を細めるが、しかし少女はそんな事知らないと言わんばかりに笑みを深め
「何もかも中途半端に生きてきた人生……………………だから、今だけ──────」
少女の言葉を最後まで聞くことは出来なかった。
何故なら、そこでアドルフは背後に人の気配を感じたからだ。
故にそれに集中し、振り返らずに裏拳を放とうとして
──────自分も、後ろにいた、恐らく暗殺者であった男の目論見を全て破壊するように、少女が自分を真横に押していた。
「──────」
スローモーションで流れる光景。
暗殺者はどうやらナイフを持っていたらしく、恐らく自分の背の中央に突き立てようとしていたそれは止まる事がないまま、少女のお腹の辺りに突き刺さる様を、自分は見せられた。
少しずつ倒れていく少女を視界に収めながら、しかし体だけは暗殺者に対しての対応が始まる、
突き飛ばされた体を即座に、弾き、ナイフを抜いて、それをこちらに向けようとしていた暗殺者の懐に入り込み、一度、その心臓に対してコークスクリュー気味に一撃を入れる。
心臓に対しての一撃は暗殺者の全ての行動を一時停止させる。
その隙を逃さないように、暗殺者の背後に滑り込み、敵の頭を掴み──────ゴキリ、と鈍い音が首をひねた後に響くが知った事ではない。
勝手に倒れる暗殺者を無視して、自分は少女を見ていた。
ナイフに刺されたお腹を片手で覆い、痛みに苦しみ悶えながらも──────こちらに良かった、と向ける顔が……………………どこかの少女の顔とダブった
それでも、出来る限りゆっくり近寄って、膝を付き、少女が刺された箇所を診てみた。
そう経験があるわけではないが、刺し傷なら見た事がある。
中をしっかりと見れるような状況じゃないから、断言は出来ないが………………この位置だと内臓を傷付けている可能性が高い。
出来る限りの治療を今、ここで行うにしても自分にやれるのは精々手か布で抑えて出血を押さえるだけ。
病院に運び込むにしても、ここは人気のない自然公園だ。
誰かの手助けを望むことも出来なければ、自分の力だけで運ぶにしても間に合うかどうか。
だが、無駄であっても、可能性があるならした方がいいだろう、と思い、少女に手を伸ばし──────その手を少女は残った片手で握り、弱弱しく首を振った。
その意味を、流石に理解出来ないわけではなかった。
だから、握られる手をそのままに、俺は思わず呟いた。
「何がしたいんだお前は………………」
思わず敬語すら捨てた問いに、少女は激痛が走っているだろうに、笑みを浮かべた。
「敬語……………やっと、外、し……………………」
そんな詰まんない事はどうでもいい。
俺はお前が本当に何がしたいのかが分からない。
君の家の事情については多少は調べて知っている。
故に、付け入る隙なんて幾らでもあったのだろうくらいは流石に理解出来る。
だから、実は恨みも怒りも俺は彼女には覚えていなかった。
これが、姫様を狙った暗殺ならともかく、俺を狙った暗殺ならば許す余地があった。
…………………いや、本来ならば己の暗殺であったとしても、それは遠回しに姫様の弱体化や安全性を落とす内容なのだから、許せるものでは無かったが…………………しかし、不思議とそういう気にはならなかったのだ。
精々、もう会う事が無くなるくらいだと思っていたのに……………………何故こんな事をしたのだ、と再度問い詰めると少女は痛みと死の恐怖に憑りつかれながらもやはり笑い──────理解不能な言葉を語った。
「こうしたら……………………私の、想いを……………信じて、くれるでしょう……………………?」
今度こそ愕然とした。
死の間際にこんなイカレた冗談を言えるならば大したものだが、少女の顔と声には
故に余計に分からなかった。
だって──────自分にはそんな価値なんて無い。
アドルフの命なんていざといいう時の使い捨ての盾程度だ。
姫様……………………否、姫様の姿をしたただの少女のような強さも気高さも持っていない。
かと言って、何か、特別な才能を擁しているわけでも無い。
そして惰性に生きるには余りにも人でなしだ。
ゴミが無様に地面を這いずり回っているようなものだ。
生きているだけで、時折、手首を切りたくなる程、惨めに思える。
ふとした瞬間に、ただ息を吸うのが苦しくなる。
当たり前だ。
自分の生は呪われている。
何故なら、生まれる時に、一匹の■の信頼を裏切らった。
例え、それが人間で無いにしても、例え、そうしなければ生きられなかったとしても、自分はあの時、確かに裏切ったのだ。
死ぬ寸前まで自身の膝で擦り寄ってきた■を、俺は裏切り、■した。
それだけは忘れてはいけない罪だ。
結局、■の世話をしていた■■■■という少年の意識は死んだと認識していたとしても──────自分はやはり裏切ったのだ。
そんな人間に人波の幸福何て許されない。
人間としてい切れる筈がない。
ただの使い捨てのゴミで、一つの目的にのみ専心する絡繰細工であった。
そんな人間の──────どこを愛するというのだ
そう吐露すると、少女はそうかもしれない、と頷いた。
霞んだ瞳で、少女はアドルフの欠陥から目を逸らさずに、肯定した。
しかし、その上で
「そんな貴方を──────愛しく思ったの」
その欠陥も含めて、愛おしい、と少女は囁いた。
目を見開く。
聞いた事もない言葉に、アドルフは思わず握られている手を振りほどきそうになった。
生まれて一度も聞いた事がない肯定の言葉。
どうして………………と、再び問う。
お前に対して、俺はその欠陥を剥き出しに接していたはずだ。
なのに、何故、そんな欠陥を愛すること出来る。
お前にとっては敵意だったはずだ。
お前にとっては害意だったはずだ。
お前にとっては失望だったはずだ。
お前にとっては断絶だったはずだ。
そんな物を──────愛せたというのか。
そう言うと、少女は小さく首を振り、そうじゃない、と否定し、弱弱しく言葉を作る。
握られている手に込められた力は少しずつ弱まっているような感覚を得ている。
それに体温も少しずつ低く……………………そう思ってようやく気付いた。
何時の間にか土砂降りの雨が降っている事を。
最も、少女はそれを見て、感じ取れているのかは定かではないが……………………そんな事よりも大事な事があるという風に、
「貴方が……………………プリンセス、に向、向け、て笑って、いるのを見たの……………そ、が……………とてもすて、きで…………………だか、ら……………私も、そ、が、欲しって…………」
所々ぶつ切りになる言葉を脳内で埋めながら、やはり、そんな事で自分を犠牲にしたのか、と愕然とする。
そんな………………俺程度でのぎこちない表情に……………全てを賭けたのか、と。
本当ならば、もっと聞きたい事はたくさんあったが…………………少しずつ指が手から解けていくのを見ると時間がない事は一目瞭然であった。
だから、少女もそれを察したのだろう、少女は正しく残った命を振り絞り、解きかかった指に力を籠め、見えているかも怪しいアンバーの目で俺を見つめ──────願いを呟いた。
「ねぇ…………………お願い………………キス、して………………」
少女の方を見る。
強請るというには余りにも必死な表情。
勿論、死の間際である事を考えれば当たり前だ。
命を懸けてまで強請るのが俺の唇とは幾ら何でも安過ぎる。
愚痴や皮肉は幾らでも思いつくが、それを語る時間は刻々と削られている。
死にに行く少女の最後の願いだ。
叶えてやるべきだ。
だから、少女の手を握りながら、彼女の背から肩にまで手をかけ、出来るだけ傷に障らない様に持ち上げ、そのまま顔を近づければいい。
キスなんて言っては何だが、唇と唇が接触するだけだ。
ファーストだとが何だとか気にする事は無い。
無いはずなのに
「………………っ」
持ち上げるまではした。
後は顔を近づけるだけだ。
そうして唇を触れ合うだけだ。
すればいい。
こんな奇妙な関係になったが、別段、アドルフは少女を嫌いに思ったことも無ければ、少女の要旨は十分に優れたものだから、特に嫌悪する事もない。
だから、何時も通り人形のように無感動でいればいい。
そうすれば、少女の障害から未練と後悔を晴らして見送る事が出来る。
「ぁ…………!」
なのに、思い浮かぶのは目の前の少女ではなく、別の少女。
理不尽に塗れ、理不尽に押しつぶされ、理不尽に抗う少女
ナタリーとダブっていた姿が乖離する。
瞬間、気付いた。
これは明白な選択だ。
それも、機械的な選択ではない。
これは
それをした瞬間、自分は間違いなく今まで形成していた自分を捨てる事になる。
機械であるだけを償いとして来ていた。
幸福である事なんて許されないと思っていた。
しかし、これはそんな理屈を全て放り投げなければ答えられない選択であった。
改めて少女の顔を見る。
少女の顔にはやはり、必死な顔が張り付いていた。
しかし、その瞳には……………………絶望の形をした復讐の色が宿っていた。
思わず、顔を歪める。
酷い等価交換だ
自分の命を懸けて……………………少女はこれから先、ずっと苦しむか、
酷いが、しかし確かに筋が通った等価交換であり……………………避けては通るには、自分はこの少女と長く付き合い続けていた。
いや、やはり酷くない。
釣り合いは取れいている所か、俺が遅過ぎたくらいだ。
姫様の理想に付き合うと決めた人間が中途半端な姿勢で居続ける方が、少女に無礼だったのだ。
キリがいい、というのは目の前の少女には失礼だが、ここで全ての未練を清算するべきだ。
だから、俺は少女の顔に唇を近づけ、今こそただのゴミになろうと──────
口元を自分の吐瀉物で汚しながらも……………強がりの微笑みを崩さない少女の顔がよぎる
美しい、とその姿を見て思った。
この人の力になれればどれだけ嬉しい事か、と思った。
そうすれば、自分の詰まらない命も、裏切ってしまったあの■の命も無駄にしない事になる、と思った。
──────意気地なし、と目の前の少女に告げられた言葉が今の己を刻む
そうだ、嘘だ。そんな綺麗な事だけなんて考えなかった。
もっと自分勝手な想いだった。
他人の事なんて考えていない、過去の事なんて無視するような想いだった。
対象の少女の思いすら無視するような下品な欲望だった。
獣ですら、もう少しマシな本能に従う。
そんな風に強がって、その上で気高い少女を────────────自分が欲するなんてあってはいけない。
百億の絵画に泥を塗るような行為だ。
美として愛でるべきモノを、自分の手で触れ、引き裂くような想いだ。
こんなもの、成就する事所か、想う事すら許されない事だ。
自分は機械でいるべきだ。
だから、自分は
そんな自分勝手な誤魔化しに………………少女の愛を利用するのか
目の前に痛みと死の恐怖に震える少女がいる。
否、本当に震えているのはどっちだ。
どうすればいいのかが分からなくて震えているのはきっと俺の方だ。
どっちを選んでも、結果は自身の汚さを自覚するしかない。
どっちの方がマシなんてものは無い。
ならば、いっそこの選択肢自体を放棄するか?
そうすれば、苦しむ事は無い。
ただ、自分がどっちつかずのゴミのままでいるだけだ。
だから、だから、だから────────────
「出来ない…………………俺は、君を愛せなかった…………………俺は…………………あの
吐き出した言葉に真摯さなんて欠片も無かった。
何て情けない言葉だ──────────
せめて、死に行く彼女に納得させれるような言葉暗い吐けないのか、と思わず叱咤する。
そんな俺の自己嫌悪する様を見ながら、しかし少女はふっ、と小さく………………本当に悔しそうに笑った。
「あ、あ………………振ら、れ、ちゃた……………と、さ………………も、い、もう………………と、もうら………………たのに…………………」
ポロリ、とアンバーの瞳から零れた宝石のような涙を見た。
そこまでして、初めて少女が今、ようやく泣き始めた、と知る。
激痛と死の恐怖に苛まれても泣かなかった少女が、自分に振られて初めて辛い、と泣いたのだ。
それに対して何かを思う資格は無い。
自分はこの少女を、完璧に振ったのだ。
彼女が命を懸けてまで行った決意と愛を、俺は無駄にした。
だから、もう少女に対して何かを思う事は無い。
なのに
「………………ぁ…………嬉しい………………」
少女は不意にそんな事を告げて、傷口を押さえていた手でこちらの頬に触れてきた。
終わりが寸前にまで近づいているのに、少女の顔は喜色の色が強かった。
もう、痛覚すら感じれなくなった事もあるのだろうが…………………喜ぶことなど何かあっただろうか?
そんな当然の疑問に
「だって……………貴方、泣いている………………」
告げられた言葉に、反射的に目元を押さえる。
しかし、そこにあるのは雨に濡れた顔であり、涙らしいモノで濡れているような感触は無かった。
だから、俺は単に雨を見間違えただけだ、と答えた。
だけど、少女はそれを信じず
「だって……………わたしを……………慈しんで、る………………」
などと告げた。
慈しむ? 慈しむだって?
そんなの俺がしていい事ではない行いだ。
少女の人生を汚すような行いだ。
そして、幾ら"人間"に戻ったとはいえ、流石にそこまで真っ当な人間のような形には戻れない。
勘違いだ。
それはきっと勘違いだ。
そう告げるべきなのに、自分の口は動かなかった。
死に瀕した少女の方が口を開き、無駄に生きているだけの自分が口を閉じているなんて人間のようになってもそんなモノか、と思っていると
「良かった………………私………………最後に………………貴方の
自分の手を握っていた力が弱まる。
頬に触れていた最後の温もりが離れそうになり、咄嗟にもう一つの手で掴む。
しかし、零れた力とぬくもりは一切取り返せないまま、滑り落ちていく。
人の死を見慣れていないわけではないが、腕の中で死んでいく人を見るのは初めてであった。
見届けるだけの時間か、と思っていたら、口からひゅー、ひゅー、と息を漏らす少女は最後に、はっきりとこっちを見て
「そ………………で、も……………………」
恐らく、それでも、と告げ、そしてその後小さく、口を数回小さく動かし──────少女から全てが抜け落ちた。
「………………………………」
雨音が耳を穿つ。
今更雨の音と冷たさが肉を襲うが、どうでもいい。
雨と血と死に抱かれた少女の何と美しい事か。
そんな少女に対して──────やはり、到底泣いているとは思えない自分の器の小ささに失望の黙禱を捧げる。
少し躊躇ったが、手を動かし、少女の開いたまま閉じる事のない瞼を閉じる。
そうすると
「………………何だ、君は。何、笑っているんだ馬鹿……………………」
男を見る目だけは絶望的にない少女だ、とアドルフは、最後にそんな恨み言を少女に囁いた。
そうして場面が暗転したかと思ったら、次の瞬間には見覚えのない部屋で見覚えしかない顔が直ぐ傍にあった。
サファイアの瞳は揺れており、こちらへの心配で染まり切っている。
美しい姿であった。
献身の徳とは正しく、この人のような事を言うのだろうし、その美しさに惹かれたのもやはり、事実なのだ。
だが、今はその事実が妙に俺を
自分が今、どういう状態かを深く理解していないアドルフは麻薬の影響下で、理性と状況認識力が酷く落ちている。
何時が現実で、どれが妄想と過去が混ざった世界を見ているか分からない少年は本当に運が悪く──────10数年溜め込んで鬱憤が破裂した。
アルフが少しだけ沈静化したので、アンジェが一旦、水を用意すると席を離れている間、プリンセスはアドルフがこちらをぼやけた瞳で見ているのに気付いた。
「アルフ…………………?」
一瞬、ようやく意識が覚醒したのか、と思ったが、暫くするとそうでない事に気付く。
未だ、意識は夢想と妄想と過去の中にある。
今も意識があるのではなく、そんな妄想と夢想の狭間にあると思い込んでいる目だ。
ならば、また暴走するかもしれないと思い、再び腕を抱えるべきか、と思っていると
「っ…………………」
握っていた手に力が込められた。
アドルフの手指がこちらの手に少しだけ埋まる程の力の強さに痛みを感じるが、それでも放さないでいると
「
突然の問いであり……………………そしてたったそれだけの音で恐ろしいほどの想いが込められた言葉であった。
思わず、アドルフを見ると彼の目はただ自分を見ていた。
まるで、本当に目に入るのは自分だけ、というような視線に恐怖でなく、驚きで足を引きそうになるが、握った手がそれを許さない。
問われた言葉は……………………もしかしたらあの日の続きなのだろうか。
あの日、彼は分からない自分に怒りを覚えたという事なのだろうか。
だけど、何を、と思うと
「私が………………俺が……………………貴女の傍付きだから……………………自分に価値を見出していないから、自分を疎かにしているだけだ、と思っているでしょう……………………?」
「それは……………………」
思わず無意味であっても、言葉を返してしまった。
だって、そうでしょう?
何時も無茶ばっかりしているだろうし、私生活において何時も私を優先して、己の為にしようとしない。
まるで、自分なんていない、みたいな扱いでこちらを立てるだけ立てる。
まるで自分という存在を見ていないとしか思えないではないか。
その結果、私を大事にしているのではなく、私しか大事にしていない、としか見えなくなる
この考えが間違っていると言うならば、あのデートの時、どうして一度でも自分がしたい事を言ってくれなかった。
一度も自分のしたい事を言ってくれなかった。
それを思わず言いたくなるが、しかし言っても無駄かと思って口を噤んでいると、勝手に少年が先を続けた。
「俺は………………そんな風には生きれない、生きられなくなった…………………もう…………欲望しか見えない……………………」
「欲望……………………?」
最もアルフからは縁遠い単語だ。
それを見せなかったから、私はあんな話を切り出したというのに。
それとも自分が見落としただけで、本当にそんな自分の為だけに行動する何かを持っていたのだろうか。
そう思い、改めて少年の顔を見ると──────少しぞっとした。
何故なら少年の瞳には本当に私しか映っていなかったから。
こっちを見ているから当たり前では、と思われると思うのだろうけど、これは私が知る人を見るという状態ではない気がする。
そうだ、これはむしろアンジェが……………………シャーロットが昔、己の夢を語っていた時の目に似ている。
国の未来を求めると叫んだ少女の目に映っていたのは私ではあったけど、私では無かった。
彼女が見ていたのは望む未来というモノであった
それと同じような目をしているが……………………彼が見ているのはシャーロットとは違い、私であった。
反射的に体を抱いて、引こうとするが、それを止めるように手が握りしめられている。
ああ……………………、と思わず声を漏らす。
この手は温もりを求めている、とか近くにあるものを握っているだけとかではないのだ、と今頃気付いた。
私をどこにも逃がさず………………奪う為にあるのだと悟り──────そしてそんな脅迫紛いの手を、無理矢理にでも振りほどけない時点で、私の負けであった。
だから、次の言葉に、私の心は成す術もなく砕けるしかなかったのだ。
「──────愛している」
熱と負傷と麻薬によって理性を剥ぎ取られ、現実を認識できず、本能を剥き出しにされているからこそ吐き出された愛の言葉。
だからこそ、プリンセスになってしまった少女は素直にその言葉を受け止める事が出来た。
「他の物なんていらない………………他の誰かなんて知らない……………………貴女だけが欲しい………貴女だけを愛している…………誰かになんて譲りたくない──────貴女の、全てが」
欲しくてたまらない──────
そう言って、少し濁るように染まる瞳には一種の狂気のような物さえ見えていた。
否、もしかしたら本当に狂気だったのかもしれない。
少年の言葉には嘘偽りは無かった。
心底から他の物なんていらないし、他の誰かなんて知った事でもないし──────本当に私の全てを奪い尽くしたい、と目も語っていた。
背筋が震える。
プリンセスではなく女としての自分が一種の恐怖とどうしようもない嬉しさで体が勝手に震える。
「あぁ……………………」
もしも昔の自分なら、自分はプリンセスとしての願望を優先しないといけない。
だから、それは出来ない、と嘆いていたかもしれない。
だけど、そんな思考は既にあのおばあさんと話し合い、そしてあの星の夜に踊った事で全て放棄した。
だから、少女は手を伸ばした。
正確には体を預けた。
出来る限り、傷には触れないように、手を握られたままだから無理な姿勢ではあるが、それでも彼の顔に己の顔を近づけ──────無理矢理唇を重ねた。
「──────」
言葉で伝えるには既存の言葉では足りなさ過ぎる。
理性で愛を語るには本能が我慢を許さなかった。
だから、必死に唇から伝われ、と願う。
私も同じ気持ちだ。
どうしようもなく愛している。
理屈なんてどうでもいい。
お互いの立場も知った事ではない。
ただ、愛しているという想いがあればもう十分であった。
そうしてどれくらい経ったか。
ふと、唇を離してみると何時の間にか少年は再び、微睡みのような空想の世界に落ちているのを見た。
その事実に思わず、小さな怒りを吐き出してしまう。
「酷いわ」
私一人だけヤキモキさせて、祈りが叶った、と喜んでいるのに、少年はもしかしたらこの事を覚えていないかもしれないのだ。
ここまで、人を本気にさせておいて、本人はその気が無いかもしれないとは女として悔しいではないか。
流石にこればかりは許せそうにない。
だから
「後で絶対に…………………謝ってもらうんだから」
そしてその時は…………………逃がさないから
あれだけの愛の告白をしてくれたのだから、こんな所では終わらない、とプリンセスは微笑み──────信じる明日が来ることを、信じれた。
愛している、と今度は口でも呟きながら
難産でした………………やっぱり一万二千越えは辛いねぇ………………
そして自分の言葉で死にました。今は亡霊になっています。
えーーとボケるのはともかく、まえがきにも書きましたが、わざと括弧がきと無しがあります。
これは括弧があるのは現実でも言った言葉。
括弧無しは言ってないかもしれない言葉です。
回想のようなこの話は、どっちかと言うと回想というより妄想が入り混じった回想であるので、実は所々、作られたシーンなどがあったりします。
でなければ、死ぬ直前にあそこまで多くを語れるっていうのもあれですしね。
だから、真実なのは括弧。真実か虚構か不明な所は無しにしています。
いやぁ………………最後の最後まで甘い言葉で死ぬかと思ったぁ…………………
あ、まだこの章終わりじゃないですよ?
後、二話くらいあるので。
では、長いあとがきはここまでで。
感想・評価など宜しくお願い致します。