「まあ落ち着け。ツノを突きつけられててちゃビビって話も出来やしねぇ。」
「そんな権利がシンちゃんにあるとでも?」
「ないです。」
「ナ?」
この状況にベリーナイスな答えは浮かばない。
「またなにやってんだアイツらは。」
「んもー!こんなに散らかしたらピグモン怒っちゃいますよー!」」
「怒ってもかわいいだけだよピグモンさん。」
そう、僕らは、と言うよりもゴモラは談話室をこんなに荒らしまわっている。その僕、シンジにあるという事なんだけど。
「大体、別に忘れてたわけじゃないでしょうが!」
「でも何も用意してないんでしょ?」
「うん、それはまあ。」
「喰らえぃ!」
「喰らわん!」
また何の罪もないテーブルが犠牲となった。
「えぇっと・・・こういうときはどうしたら?」
「ほっとけよペガッサ。」
「どうせしばらくしたら大人しくなるよ。」
「ええ・・・そんな他人ごとでいいんですか?」
「逆に聞くが、自分が割って入ってどうにかなる問題だと思うか?」
「・・・思わないです。」
「だろ?ほとぼりが冷めるまで、クレー・・・牛丼屋にでも行こうぜ。」
「クレープでいいんだよレッドキングさん。」
「ちょっ、置いてかないで!」
「エレキングさんが来るまでに片づけとかないとマズいよ?」
「それはたしかにそうだけど?」
「骨は拾ってやるからなー。」
「この薄情者~!」
と、そんなわけで僕とミカを残してみんなどこかへ行ってしまった。
「がるるるるる・・・。」
「うん、『また』なんだ。済まない。仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思ってない。」
「ぐるるっ。」
「大切な人の誕生日を忘れるわけないし、なにかプレゼントだって用意したかった。これは本当だよ。」
「がるるるるるる・・・。」
「でもね、ときどき思うんだよ。こんな程度のプレゼントでいいのかって。」
「がるっ?」
「僕には、そんな魅力的な才能なんて無いし、何よりそんな中途半端な物じゃ、自分が自分に満足できない。だから、ゴモラに何も用意できなくなっちゃうんだ。ホントにゴメン。」
正直な気持ちである。スポットライトを浴びるゴモラに、自分なんかが近づいていいのか疑問に思う。
「わかってないなぁチミは。」
「?」
「どんなものを貰ったかなんて関係ないよ。ボクは、『キミの言葉』が聞きたいんだから。他でもないキミの気持ちがね。」
「僕の気持ち?」
「そう!表現してくれないことには、上達だってしないよ!評価は人がつけるものだけど、本当の気持ちはキミからボクにつたわるんだから!」
「だから聞かせて!キミの気持ち!」
「・・・恥ずかしいんですけど?」
「聞きたいな?」
「んっ・・・じゃあ。」
「ゴモラ、誕生日おめでとう!」
「うんうん、で?」
「えーっと、ずっと応援してるから!」
「ほうほう?で?」
「えっと・・・好き。」
「もっと。」
「大好き!」
「もーっと!」
「大好き!!」
「もっとー!!!」
「ゴモたん超大好きー!!!」
「えへへ・・・ありがと。」
言えた。言葉にしてみたら、こんなにも嬉しい。
「じゃ、ボクたちもクレープ屋さんいこっか!」
「うん!」
「その前に、やることがあるんじゃないかしら?あなたたち。」
そこには青筋立てたエレキングさんが!
「・・・ごめんなさい。」
「言葉よりも態度で示してちょうだい、あなたたち?」
「はーい。」
「・・・わたしのことは?」
「みんな好きです。」
「そう・・・ならいいわ。」
ゴモラおめでとう!久々の更新がこんなに短いのでスマソ