怪獣娘~ウルトラ怪獣ハーレム計画~   作:バガン

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 せっかくパート分けするのなら、パートごとに各キャラの視点から描くのもいいかなと思い立つ。今回はベムラーさん視点。


ヘヴンズキャッスル①

 怪獣娘ベムラーこと、天城ミオの朝は早い。私立探偵としての一日は、一杯のコーヒーから始まる。

 

 「今日は飲んでないけど。」

 

 さてさて、ガッツ星人コンビとレッドキングたちが戦っているその裏では、また別の戦いが繰り広げられていた。勿論対戦相手のリサーチは十分だ。

 

 「ちょいやー!」

 「てりゃー!」

 

 まずカプセル怪獣ミクラスと、古代怪獣ゴモラ。2人ともパワーファイターであるという点では同じだが、ゴモラは超振動波やEX化といった強力な技をもっているほか、歯に衣着せぬ物言いもとい物怖じせぬ度胸で恋もバトルも一気呵成に攻めてくる。攻めていると思っていたら足元掬われていたということがしばしばあるのが玉に瑕だが。

 

 一方ミクラスは、ゴモラを上回る膂力に加えてバッファフレイムという遠距離武器を持ち、さらに熱にも寒さにも強いという隙の無さがウリである。多少臆病という弱点こそあれど、それを乗り越える勇気もある。またこの大会で初めてエレキミクラスという姿も見せたが、大よそ予想の範囲内に収まる。

 

 「そこぉ!」

 

 そしてもう一人、距離を取りながら銃を構えて絶えず隙を伺ってくる濱堀シンジ君。戦いのスキルは私が教えた、いわば私の教え子でもある。どちらかというと頭で戦うタイプであるが、たまにとんでもない行動を起こしてくるので油断ならない。

 

 「というか、君らはナチュラルに連携してきているな。」

 「シンちゃんの発案でーす。」

 「知ってる。後で痛い目に遭わせるからそこは安心してくれ。」

 「安心できません先生。」

 「シンちゃんはこの先生きのこれるか。」

 

 ミクラスとゴモラが代わる代わる攻撃をしかけ、その間を縫ってシンジが銃撃をかます。一人にターゲットを絞らせない、車掛かりの陣再び。前誰が使ってたのか忘れたけど。

 

 そういった戦術の有用性は歴史が証明しているが、穴が開いていないというわけでもない。そういう落ち度(証拠物件)を探すのが普段の仕事でもある。

 

 「そりゃーっ!」

 「甘いわっ!」

 

 突っ込んできたミクラスのツノを引っ掴んで、ホイップしてゴモラにぶつける。そうして倒れて重なった2人を踏み台にして、銃を構えるシンジに上からの逆襲をかける。

 

 「わーこっち来た!」

 「悪い子にはおしおきだぞ!」

 「僕いい子ですし!」

 「黙っておしおきされるのがいい子だ!」

 「うへー!」

 

 空中に舞い上がってはいい的だが、照明の位置を計算して逆行を背負う。即座にシンジ君も迎撃は難しいと判断して、腕を組んで防御態勢をとる。いい子だ、私の思い通りに動いてくれる。

 

 わざわざガードの上から蹴りつけるまでもなく、シンジ君の両肩に手をついて背後に着地し、流れるような動作で締め落としにかかる。

 

 「ぐっ・・・ががっ・・・。」

 「どうした?もう降参かい?」

 「の、のぉおおお・・・。」

 

 手足をバタバタとさせてもがくシンジ君の動きを制御し、体力を地道に奪っていく。この子の知識や判断力は確かに難敵になるが、ならばこうして懐にまで潜り込んでしまえばかえって安心できる。勝手知ったる他人の家とは。

 

 「あーっ、シンちゃんなんか喜んでない?実は喜んでない?」

 「えー、さすがにそれはヒくはシンジさん・・・。」

 「ちゃうわい!」

 「おー、まだがんばれるじゃないか。」

 

 ギギギッとホールドを力尽くで振りほどいて、両脚を反らせる形で蹴ってくる。反射的にガードすると、彼は私の腕からするりと抜け出す。ちょっと寂しい気分だ。

 

 「シンちゃんもう満足?」

 「だから喜んでないっての。」

 「物足りなかったら後でアタシもやったげよっか?」

 「だから違うっての!なんでみんな僕をMにしたがるの。」

 

 ミクラスとゴモラが復帰してくる。この程度では大したダメージにもなっていないのだろう、当たり前だが。小手調べもそこそこに、ここらで本気を出すとしようか。

 

 「シンちゃん作戦は?」

 「囲んで棒で叩く。」

 「ショッギョムッジョ!」

 

 相手さんたちも攻め方を少し変えてきた。波状攻撃ではなく同時攻撃、見ればアリーナの反対側で、レッドキングたちも同じように数の暴力を受けているが、レッドキングの実力ならそう難しいこともないだろう。ならばこちらはパワー押しではなく、もっとスマートにこなして見せよう。

 

 「まず後ろっ!」

 「ぎゃいんっ!」

 

 姿勢を落として足払いを狙ってきたゴモラをソバットで打ち返し、流れ作業的にミクラスに頭突きを与える。また何か仕掛けてくるであろうシンジ君の姿を、常に視界の端に捉えておく。

 

 「なんのっメガトンテール!」

 「尻尾の扱いなら一過言ある!」

 「バッファフレイム!」

 「熱線もね!」

 

 ゴモラとミクラスの、それぞれの得意武器と同時に克ちあいながら、それぞれを押し返して見せる。

 

 「押し返せないのが辛いな・・・。」

 「『悪魔のような怪獣』の呼び名は伊達ではないということさ。」

 

 3人をダウンさせてフフンと鼻で笑うと、トドメの一撃を用意する。空へ向けて熱線を放つと、それが光と爆炎の雨となって降り注ぐ、悪魔の流星・ベムザッパー。(ペイルザッパーの方がよかったかも。)逃げ場を封じつつ、相手の数を選ばない、無難な選択と言える。

 

 「これで・・・終わりっ!」

 

 バッと手をかざすと、青い炎の幕が降りてくる。

 

 「これにて終演・・・とはいかないか。」

 

 その幕引きに『待った』をかけるようにババンッ!と弾かれて、甲高い音が木霊してくる。

 

 「ひぃーっ危ない危ない!」

 「シンちゃんナイスフォロー!」

 「これはツケ(・・)にしておくね。」

 

 しかし3人は無傷だった。青空色の生地に、目玉のような赤い斑点、つい最近見た覚えのあるデザインをした傘の下に守られていた。

 

 「問われて名乗るも烏滸(おこ)がましいが、青雲高く曇りなき、海月の伽話(メルヘン)『バリブレラ』!とでも名付けておこう。」

 

 『キャッ!キャッ!ステキですわー!!』

 

 成程、バリケーンの力か。名乗りをあげるにしては少々歯切れが悪いのを誤魔化すように肩にかけながら見得を切ると、観客席からも黄色い声が上がる。中々様になっていると褒めてやりたいところだ。

 

 「じゃ、ここはシンちゃんのお手並み拝見ということで?」

 「頼んだー!」

 「OK、ちょっと休んでなー。」

 

 バッチリ請け負った傾奇者がクルクルと指先で軸を廻しながら、一歩一歩踏み占めるように歩み寄ってくる。その表情は逆風なぞどこ吹く風の、自由人のように晴れ渡っている。

 

 「余裕そうだね?」

 「生憎空は曇りだけど、心は夏の空より晴れ渡ってますよ。」

 「今はそうでも、一雨来そうだな。」

 

 真夏の空は夕立に注意。雷を伴う積乱雲の発達が予想される。生憎天気予報師ではないので、どんな暴れ方をされるのかは見当が付かない。単独で出てきたということは、それだけ周りに危害を及ぼすほどに苛烈ということだろうか。

 

 

 じりっ・・・っと互いに隙を窺い、睨み合いが続く。

 

 

 (どうした、何を狙っている?) 

 

 

 今の彼の表情からは、考えが読み取れない。本当に何も考えていない、ということはまずない。新しく力を手に入れて、その全様が自分にも咀嚼できていないとすると、『待ち』も一手かもしれないが、そんなリサーチ不足のぶっつけ本番は彼の性格からいって無い。

 

 では制御が難しいというほどまでに力が強すぎるのか?そうでもない。彼はそういう身に余る力は嫌う傾向にあるから。持て余すぐらいなら最初から使わないのを選ぶだろう。

 

 じゃあやっぱり、彼は今待つべくして待ってるのか。こういう時、彼なら舌の根も乾かぬ程に口八丁で挑発してくる。ならば先手必勝、っと踏み込みたいがそれもしたくない。

 

 (このタイミングで、何をするつもりかは100%読み切れる自信があるが、101%信じるにはあと1つ足りない。)

 

 どれだけ理論詰めしても、運命の悪戯というのは性根が悪く。何かしら想定外の事態が起こると、勘が告げている。怪獣娘としても、探偵としても。なにせ今、風は彼の方向から吹いてきている。

 

 「おっ?」

 「ん?」

 

 風向きの話をしたところで、彼は何かに気づいたようだった。どうやらそれは予想外のことのようで、気が一瞬それたことが見て取れた。

 

 「『青色(ペイル)熱線』!」

 「あっ、ヤバっ!パラソルガード!」

 

 傘を前面に突き出して盾にするが、構えるのがコンマ1秒遅かった。直撃こそ免れたが、バランスを崩して無防備を晒す。

 

 「考えるだけ無駄だったかな?」

 「ぶふぅっ!」

 

 一足飛びで詰め寄り、顎を蹴り上げる。浮き上がった体の中央を打ち据え、最後に尻尾で絡めとって投げ捨てる。

 

 「あぎゃぁ・・・。」

 「だらしない顔をするんじゃないっ。」

 

 これで終わるか?傘を杖にして立ち上がるその表情はまた読めないが、少なからずダメージを受けたことで揺らいでいる。

 

 「臆さず攻めるっ!」

 

 機は逃さない、自分がそうであるように相手にとっても頭を巡らすより早く体を動かす。自分でもよく動かせたものだと感心するところだが、すこしばかり甘かったとこの直後思い知らされる。

 

 

 

 「風が・・・吹いてくる・・・。」

 

 

 

 それも命の色と力の乗った、春の風が。

 

 

 (これは・・・桜の花びら?!)

 

 

 既に都内のソメイヨシノは見ごろを終えた時分だと記憶していたはずだったが、どこからともなく桜の花びらが舞ってくる。美しさと儚さを備えた存在に、思わず心奪われた。

 

 

 「ぐっ・・・『バリブレラ』・・・!」

 

 

 その命の力の行く先は、シンジの手元、風を纏う傘へ。

 

 

 「行けるっ!『サクラボルテクス』!!」

 

 ドリル状に突貫する風の力に、サクラが乗ってパワーアップ!虚を突かれたのは今度はベムラーの方だった。

 

 「おっ!やったやったー!ベムラーさんに一泡吹かせてやったぜー!」

 「ラッキーがついてたおかげでしょ!」

 「運も実力の内って言うじゃん!」

 

 (ふっ・・・まるで空模様のように表情が変わるじゃないか。)

 

 全く、見ていて飽きない子だ。こうして拳を交わしてみるのも、案外悪くない。

 

 「もう勝ったつもりかい?甘く見られたものだな。」

 「おっと、そんなこと、全然、ないですよ?」

 「さて、ラッキーは二度も続かないぞ?」

 「なら今度はラッキー以外で勝ってみせますよ!」

 

 

 再び構えなおすシンジ君に、私も今度こそ真剣に向き合おう。サクラ舞い散るリングに、今は二人だけで相対する。




 歯切れ悪くない?ベムラー、シンジ、ゴモラ視点で3パートの予定。予定通り行かないのが常だけど。

 さて、またまたクロスものの案がひとつ浮かんでしまったが相変わらず書く予定はないのでネタだけ。ズバリ、アメコミ×ジョジョで各部ごとに主人公を変えて連載するってのどうだろうか?具体的には、

 1部×ウルヴァリン:19世紀から生き続けているウルヴァリンの幼少期からをジョナサンと絡めさせる方向で。富裕層と貧困層、友との確執などジョナサンとディオに通じるところもあるかなと。

 2部×キャプテンアメリカ:誰もが思ったであろうクロス。石油王のスピードワゴンの消息を追って、メキシコへ行ったところでジョセフと会う。そしてヒドラが柱の男たちを信奉している(ヒュドラーの不死身の伝承が、元は柱の男がルーツだったとかで)とか、なんかいろいろ。

 3部×未定:一番肝心なところが出来てねーじゃねえかこのタコッ!

 4部×スパイダーマン:大いなる力には大いなる責任が伴う。その自覚が薄かったために仗助は祖父を死なせてしまった、ピーターは叔父を見殺しにしてしまった。シンパシーがあると思うんですけど。音石が矢でスタンド使いを増やしていた時(ネズミとほぼ同時期)、高校の理科室の隅で孤独死寸前の一匹の蜘蛛を刺し、『己の眷属を残す』ことがトリガーとなって蜘蛛が能力を発現、たまたまそこにいたピーター(日本人だから小森ユウか?)に噛みつき、能力が伝搬する。エレクトロ、ハイドロマンなど、スタンド能力と似てるヴィランが割と多いかも。

 5部×ゴーストライダー:ボスに贖罪の目ブチ当てたい、ただそれだけ。というのは半分嘘で、癌に侵された父を救うために危険な仕事を続けてきたジョニー・ブレイズは、縋る思いで麻薬(モルヒネ)を格安でてっとりばやく手に入れるため、組織根付くのイタリアにやってくる。そこで運悪く掃除夫の爺さんの代わりにブラックサバスに矢で刺されて、自覚の無いまま能力に目覚める。なんやかんやあってブチャラティチームの監視下に置かれることとなる。

 能力は『手にした物を強化、武器にする』と『他人が傷つけられると燃え上がる(自分自身が中心の円から、遠ざかる存在となるほど比例する)』能力。愛用のバイクはモンスターマシンと化し、鎖は炎の鞭となり、拳銃が象撃ち銃のようになる。だがジョニー自身が、無鉄砲で向こう見ずな正義感(ノミの勇気)の持ち主で、無関係な人間も仲間も見境なく傷つけてしまう悪癖、負のスパイラルがある。

 麻薬絡みで身を滅ぼされたブチャラティと、麻薬に縋るしかないジョニーの対比、強すぎて制御の効かない力に翻弄され続けるジョニーと、それを一歩引いた場所から見るフーゴが見所。

 ボートには乗らない。元々巻き込まれたクチなので、そこまで付いていく謂れが無いから。しかし、フーゴと共に残ったはいいものの、逃亡中は連絡の取れなず、やっとの思いで連絡のついた父が既に帰らぬ人となっていたことに絶望。ここがハイライト。自暴自棄に組織にケンカ売ろうとしたところで、フーゴの捨て身の説得で考えを改め、こっそりとブチャラティたちを追うことにする。

 ラスボスは『ディアボロ』と、その側近となる『メフィスト』。実はこのメフィストはDIOの『友人』で、DIOと同じ吸血鬼となることを目論み、ローマの地下の遺跡(2部でカーズたちがいた場所)に眠る石仮面を狙っていた。グリーンデイの所業に怒ったジョニーの猛攻でローマの一部が吹き飛び、露出した地下から未発掘の石仮面を手に入れ、ついに念願を果たす。ボスが贖罪の目に焼かれている一方で、DIOの息子であるジョルノと相対する。

 メフィストの能力は『取引』。対価を支払えば、ある程度の運命すら捻じ曲げられる。だが対価を支払った人間の、その先にある『結果』をも自分の手で転がすことが出来る。直接戦闘力は皆無に等しいが、本体の話術が得意で、意志の弱い人間はたちまち懐柔されてしまう。
 口先ばかりで人を操り、平然と切り捨てるクズ野郎。何よりも『自分自身』だけを信じて、自分が上手く生きられることを望むが故に、石仮面による自己強化を望んだ。その本性は『嘘を吐かない』ことが『当たり前』な人間である。メフィストと取引した人間は皆、その今際の最後に「騙された!」という言葉を遺しているが、メフィスト本人は全くと言っていいほど『嘘は言っていない』。メフィストの言葉は、沈み行く者にとっては天使のラッパのように心地よく聞こえるが、手を引かれた先にも落とし穴がある。掘ったのもメフィストだし、そもそも沈んでいく沼を用意したのもメフィスト。欲しいのは『取引の対価』ではなく、『騙して仕事をさせられる駒』であり、『取引をする』ということこそが、メフィストが生きるための糧なのだ。
 その『悪行』もメフィストにとっては生きるための当然のことであり、人間が食事のために動物を殺したりするのとなんらかわらない。なので贖罪の目は効かない。つまり、本当に頭がいいやつや、同じくらい邪悪なやつとは『取引』は出来ない、あるいはしない。逆に持ちつ持たれつで仲良くなったりすることもあるけど、それもまあ長続きしない。
 ではそんなメフィストとはどんな人物かと言うと、至ってごくごく普通な人間、嘘は絶対に吐かないし、約束は守るしでむしろ人が良すぎるぐらいの好人にすら見える。ブチャラティが舐めてもわからないレベル。あくまで自分が生きるために『取引』をすることはあるが、その対象にならない人間に対しては過度に接触もしない。ただ平然と人間を利用し、用が済めばゴミのように切り捨てる所業は間違いなく『吐き気を催す邪悪』。ただ一切嘘を吐かないのと同じくらいに、一切の罪悪感を持たない。(自分こそが正義!とかもいわない、ただただ生きるために必要だし、パンの枚数も覚えていないだけ。)要約するとヤベーサイコ野郎ってこと。

 みたいな。5部だけやたらなげ-なオイ。メフィストの説明のところで、同じことを何回か書いてるし、もうちっと文章推敲が必要になりそうだけどまいっか。


 考えるだけならスッゲー楽しいわ。でも考えるだけにしとく。誰か代わりに書いてくれー!

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