アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

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イベントにかまけて投稿をおろそかにしていました


拾われっ子の旅行事情

 

朝。

いつもより早く起きたスピカは荷物の確認をする。

確認の回数は既に3回。

楽しみにし過ぎである。

 

それに聞いた話ではアーラシュが同行するというのだ。

より一層気合が入るというものだ。

何に気合いが入るのか、当人は把握していないのだが。

 

とにかく、スピカは荷物を持って部屋を出た。

まだ薄暗い早朝。

たっぷりと余裕をもって、スピカは駅へと向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新幹線車内。

スピカが高速で動く景色に興奮していると、突如周囲で悲鳴が上がった。

何やら大量の蛙が現れて、みんなが怯えてるらしい。

 

「蛙……」

「これだけ多いと壮観だな」

 

エヴァンジェリンもいくらか辟易しているようだ。

しかしスピカはあまり気にしていない様子。

そもそも見かけたこと自体がないので、忌避感がないのである。

 

「食べたら美味しいのかしら……?」

「やめとけ」

 

スピカが蛙を掴み上げたところで、エヴァンジェリンがその手を叩き落とす。

食用じゃないからやめとけ。

食用とかあるんだ。

問題はそこではないのだが。

 

 

 

しばらく経つと、ふわっと蛙が消えてしまった。

残ったのは紙くずのみ。

スピカはくしゃりと握りつぶしてどかっと座席に座りなおした。

 

「だから言っただろ」

「そもそも蛙じゃなかったじゃない」

 

一理ある。

一理しかないが。

 

不貞腐れたスピカがふと目線をずらすと、桜咲刹那が歩いてきた。

どうやらいつの間にか移動していたようである。

注意力散漫にもほどがある。

 

「トイレ?」

「そういうことは聞かないでください!」

 

今日も桜咲刹那の突っ込みが冴え渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日はスピカの苦手な団体行動である。

エヴァンジェリンも苦手と言えば苦手なのだが、合わせるだけならどうとでもなる。

 

近衛木乃香をチラ見する桜咲刹那を横に、スピカはネギ先生の様子を見る。

アーラシュは別のクラスを巡回中だ。

ようするに暇なのである。

 

「あの……なんで見てるんですか……?」

「逆に聞くけど、どうしてだと思う?」

「暇なんだ。察してやれ」

 

失敬な。

私はただ単に面白そうなことをしている桜咲刹那の様子を見ているだけなのである。

つまりスピカは暇なのだ。

 

 

 

「落とし穴ですか……」

 

恋占いの石の間に掘られた穴。

そこにハマった人たちを助けているネギ先生を少し不安そうな目で見ている桜咲刹那。

 

「また蛙……」

「懲りないというかなんというか」

 

スピカは落とし穴の中にいる蛙に目を囚われている。

どうやら蛙が気に入った模様。

エヴァンジェリンはあきれ顔だ。

 

「次行くぞ次」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酒臭いな」

「お酒……」

 

音羽の滝に着いた直後からエヴァンジェリンが呟く。

何やら縁結びの滝にお酒が混ぜられている模様。

 

「飲みたいわ」

「やめとけ。まだ早い」

「そういう問題では……」

 

興味を持ったスピカと、それをたしなめるエヴァンジェリン。

そしてその状況にツッコミを入れざるを得ない桜咲刹那。

なまじ真面目なためか割を食っている感ある。

 

「ん、中々いい酒を使ってるな。ガキにはもったいない」

「ずるい!」

「ははは、年長者の特権という奴だ」

 

みんなが酔いつぶれている間に、エヴァンジェリンが酒入りの滝を飲みだした。

まさかのガチ飲みである。

その様子をスピカが恨めしそうな顔で見ている。

 

そして桜咲刹那はがっくりと項垂れた様子。

ツッコミを諦めたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法の厄介事ねぇー」

「はい……」

 

廊下で話し込んでいる神楽坂明日菜とネギ先生。

そこにスピカとエヴァンジェリンが通りかかる。

 

「あ、エヴァンジェリンだったらどうにかなるんじゃないの?!」

「あん?」

 

神楽坂明日菜がズビシッ! っとエヴァンジェリンを指さす。

スピカが一瞬ムカッとした表情を浮かべるが、当人は気付かない。

エヴァンジェリンは少し考える様子を見せ、すぐに返事をする。

 

「無理だな」

「ええ?! どうして?!」

「登校地獄の影響でな。未だに魔力を大量に使った魔法は使えん」

 

自衛ならともかくな、と言いながらエヴァンジェリンは廊下を歩いて行く。

スピカは置いて行かれないように小走りで進む。

 

 

 

「ところで、本当に魔法が使えないの?」

 

スピカは疑問に思い、エヴァンジェリンに聞く。

抜け道があるんじゃないかと疑っているのである。

しかしエヴァンジェリンは意地悪そうな顔でスピカに応える。

 

「使えるが、闇の吹雪一発が精々だ。小手先の技ならいくらか……っといったところか」

「ふぅん……」

 

そのいくらかの手段が気になるのだが、あえて口には出さないスピカ。

言わないということは言いたくないということなのだろうと思ったからだ。

なおふくれっ面までは隠せない模様。

 

「ふふっ。後で色々教えてやるから待ってろ」

「むぅ」

 

何やらあしらわれている気がする。

スピカは色々と考えるが、すぐに考えは霧散した。

別に考える必要がないとおもったからだ。

 

 

 

その日は真夜中まで一緒に話すことになった。

エヴァンジェリンの小手先の技や、スピカの軽い昔話。

テンションが上がっていたせいか、スピカは起こっていた問題に気づくことはなかった。

 

 

 

 


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