アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

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ちょっとダークなところもありますが、話の本筋とは関係ないので短くカットしてあります


拾われっ子の友達事情2

 

 

「あれは負けたわけじゃないからな」

「はいはい」

 

満月の夜、エヴァンジェリンとネギ先生の対決はネギ先生の方に軍配が挙がった。

決め手がネギ先生の魔力暴発だったところは締まらないけれど勝利は勝利。

しばらくはスピカにイジられることになるだろう。

 

 

 

ところで、少し経つと修学旅行だとか。

スピカはあまりにも楽しみで修行に身が入らない体たらく。

だって私麻帆良以外に街を知らないもの。

エヴァンジェリンの目が少し優しくなった気がしたスピカであった。

 

「一応聞くが、どういう意味だ?」

「アーラシュに拾われるまで、外に出たことがなかったもの」

 

いつもいつも暗い部屋。

誰もが私を実験動物として扱う部屋。

肉を割かれ骨を砕かれ脳を弄り回される。

 

助けて――――

 

「ストップ」

「あ……?」

 

スピカが気付いた時にはエヴァンジェリンが馬乗りになってきていた。

何、そういう趣味?

違う、そうじゃない。

知ってる、私のせいよね。

気付いてるくせに変なことを聞く。

 

「ごめんなさい、変なこと思い出したわ」

「いや、謝るのはこっちだ。そこまで重い事情だったとは」

 

沈痛な面持ちで謝るエヴァンジェリン。

どうやら記憶の一部が溢れたようだ。

それを感じ取ったエヴァンジェリンが謝ったのである。

 

そのことに関して。スピカは別に気にしていなかった。

もう終わったことで、アーラシュによって終わりをもたらされたものである。

というか盗み見ですか恥ずかしい。

仕方ないだろう見えてしまったんだから。

仲良しか。

 

 

 

「とにかく、昔の話はなし! 未来の話をしましょ」

「そうだな。京都観光について話そう」

 

スピカに異論はなかった。

 

「そういえば、班は決まっているの?」

「一応な。桜咲刹那が班長で、ザジが班員だ」

「ふーん」

「勿論茶々丸も一緒だ」

 

あまり交流がない相手である。

若干不安だが、何とかなるだろうとスピカは楽観視。

きっとエヴァンジェリンが一緒だからだろう。

 

 

 

とはいえ、全く交流のないまま班行動を共にするのは少し厳しいかもしれない。

と無駄に真面目に考えたスピカはまずは桜咲刹那と接触することにした。

もはやクラスメイトに接する態度ではないのだが、そのことを気にできるほど余裕がなかったりする。

 

「というわけで、スピカだ。仲良くするように」

「え、いやその。エヴァンジェリンさん?」

「よろしくお願いします」

「待ってください、話が飲み込めないんですが……」

 

スピカはエヴァンジェリンに仲介にして桜咲刹那と接触した。

ザジ関しては後でどうにでもなるというのがエヴァンジェリンの談。

その前に頭の固い桜咲刹那をどうにかしようというのもエヴァンジェリンの談。

言いたい放題である。

 

「そ、その……なんですかこの状況」

「面談ですわ桜咲さん」

「そうだぞ面談だぞ桜咲刹那」

「面談って……」

 

訳が分からないとでも言いたげな桜咲刹那。

しかしそんな彼女を放置して2人はどんどん話を進める。

 

「ご趣味は?」

「え、剣の修行ですかね……?」

「2人とも固いぞ」

「エヴァンジェリンさんは何目線なんですか!?」

 

もはやお見合い目線である。

 

ニヤニヤと笑いながら2人の会話を聞いているエヴァンジェリン。

楽しそうだなーと思いつつも真面目に会話を続けようとするスピカ。

そもそもどういう状況か把握できていない桜咲刹那。

どうしてこうなったのか。

 

 

 

「とにかく! 説明してください!」

「仕方ないな」

「なんで若干嫌そうなんですか……」

 

桜咲刹那がしびれを切らしたのを見計らって、エヴァンジェリンが説明を始める。

これは修学旅行前の交流会なのである。

だから仲良くするように。

簡潔に略すとこうなる。

なおその間もスピカの質問は続いた模様。

 

「つまり。友達になりましょう的なサムシングよ」

「そのさむしんぐ? というのはわかりませんが……」

「まあ思ったより相性良さそうだし、大丈夫だな」

「エヴァンジェリンさんはさっきから何目線なんですか!?」

 

今は多分親目線。

しばらくこのコントめいたやり取りが続いた。

 

アーラシュがスピカを迎えに来たところで会談は終了。

満足そうな顔のスピカとエヴァンジェリンに対して桜咲刹那は疲れた表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザジとの会談は翌日だった。

スピカが緊張した面持ちで呼び出された広場に向かうと、そこでジャグリングをしているザジを見つけた。

ちなみにエヴァンジェリンは急用ができたとかで席を外している。

 

「……」

 

ひょいひょいとボールが宙を舞い、円を描く。

片手で、両手で、足を使ったり首の裏に乗せたり。

色んな手法でジャグリングを見せてくる。

 

「はぁ……!」

 

スピカは初めて見た大道芸に興奮気味である。

アーラシュの弓矢連射も中々に大道芸だが、そのことは頭から抜けていた。

 

 

 

「わぁ……!」

 

ひょいと一礼するザジ。

それに合わせて拍手をするスピカ。

会話などなくても仲良くなった模様。

 

「ふむ、これで大丈夫だろう」

 

一緒にジャグリングをしようと奮闘しているスピカを見ながら、エヴァンジェリンはその場を離れる。

急用ができたというのは嘘であった。

ザジならばきっと大丈夫だろうと踏んでの作戦だったが、どうやら上手く行ったようである。

 

 

 

「さて、修学旅行の準備でもするか。茶々丸」

「はい、ここに」

 

エヴァンジェリンは笑顔を浮かべながら、茶々丸を伴い麻帆良学園の外れへと消えていった。

 

 




あしたのイベントが楽しみです

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